2016年12月21日

マツダ渾身の「後だしジャンケン」!! CX5はもっとスケール大きく育てて欲しいな・・・。

  まだまだ先の2017年2月に発売だというのに、はやくも新型CX5の価格が発表になりました。マツダの焦りがヒシヒシと伝わってくるようです。これは相当にピリピリしているようですが、まあライバル関係がやや複雑になっていて、冬のボーナスという「時期」を考えれば、これまた当然の戦略なんですけども、わざわざ「1日違い」とは・・・これはもう明確な「宣戦布告」ですね。前日の12月14日にはトヨタC-HRの発表がありました。完全に強気のトヨタ陣営が提示した251万円〜。これに対して、CX5のマツダ陣営は、12月15日のプレスリリースで先代からわずかに2万円アップの246万円〜と発表されました。

  アクセラのシャシー(SKYAC)を使うCX5に対して、プリウスのシャシー(TNGA)を使うC-HR。どちらもブランドの看板を背負って立つ「アーキテクチャー」を使っていて、CX5の方が全長、全幅、全高ともにサイズは一回り上ですが、車格はほぼ同じといって良さそうです。あくまでスペック表から想像できる範囲ですが、いくつか比較してみると、新型CX5の最大のセールスポイントはメイングレードとなるXDのエンジンにナチュラル・サウンドスムーザー(バランスシャフト?)を組み込んで、マツダのフラッグシップSUVに相応しい「NVH対策」を施してきた点ですが、対するC-HRはプリウスと同じHVユニットを使っているので、こちらも静粛性に関してはアドバンテージがあります。

  新型CX5は先代とサイズはほとんど変わらないのに、同じ2.2Lディーゼル同士で比べて、なんと100kgも重くなっています。おそらくマツダの2代目モデルの「定番改造」といえる、遮音材をたっぷり使って徹底的に静かにする!!を真面目に実行してきたことが伺えます。プロライターの試乗レビューでは「誰でも気づくレベルで静かになった!」とか書かれていますから間違いなさそうです。初代アテンザがカルト的なバカ売れを記録して、2代目アテンザにも同様の処置がされてましたねー。ミレーニア廃止でフラッグシップ化するので徹底的にやったそうです。・・・が2代目はリーマンショックに飲み込まれて未曾有の円高で売っても赤字の状態に陥りました。

  シャシーが変わった3代目アテンザは、また遮音がリセットされていて「(2代目後期に比べれば)ちょっと騒々しいかも・・・」って思いましたが、MC後はだいぶ改善されました。「(先代が)売れれば静かになる」というマツダの法則。欧州流儀のクルマでアメリカに挑んだ新生マツダですが、CX9とは別にCX5が単体で年間10万台をクリアする水準まで成長しました。グローバルでもアクセラと並ぶ40万台の水準を確保したことで、製造原価計算における固定費償却分のコストがだいぶ下がったのかなーという気がします!!しかもトランプ氏の利上げ政策で年末に向けて、マツダ念願の1ドル=120円水準まで円安が進んでいます。不安要素としては北米で始まるディーゼル販売が軌道に乗るかどうか・・・。

  たった1世代(4年半)でグローバル年間40万台へと成長した初代CX5(現行)はやっぱりスゴい!!発売から2年とちょっとでグローバル累計100万台を突破した初代アテンザは桁違いですけど、あの時代はフォード陣営の総攻勢でエンジンもミッションもフォードの工場でじゃんじゃん作られてジャガーやボルボにも同じものが使われてましたから、それを考えるとマツダの独力で0から40万台を生み出したのは素晴らしい!!まさに快挙です(アテンザやアクセラのシェアをいくらか喰ったかもしれないけど)。

  日産のファンから見れば・・・、日産が初代エクストレイルから地道に「走り」のSUVを研究してきて、やっと2007年発売のデュアリス(欧州名キャッシュカイ)が欧州でスマッシュヒットして、欧州で日本車の新しいイメージ(スタイリッシュで走りも良いSUV)を確立しつつあるところで、マツダがそのノウハウを手際良くパクってホームランにしただけだろーってツッコまれそうですが・・・。3代目(GJ)アテンザのデザインも日産から拝借してしまったようですし。

  CX5の歩みを再現するかのように、おそらく1世代での大飛躍を狙っているのがトヨタC-HRですね。国沢さんまで動員するなり振り構わないステルスマーケティング・・・、こんなこと指摘するのはちょっと野暮かもしれませんが、デザインは定評があるホンダ・ヴェゼルと日産ジュークからの「影響」が強く見られます(笑)。ヴェゼル、ジューク、CX3がいつの間にかアメリカ市場にもしっかりとラインナップされていて、各ブランドのボトムラインに厚みを加えていますが、トヨタも「コンパクト」で「ポリゴン」みたいな造形のSUVがラインナップに欲しくなったみたいです。新型CX5もグリル部分のやや過剰な突き出し感が、「新しいデザイン」へ刷新されたことを印象づける非常に重要な要素になっているようですが、それにしても一気に「ポリゴン」感が増しました。

  マツダとトヨタによる、「コンセプトはパクリ&ポリゴンな外観」の新型SUV対決はどっちに軍配が挙がるのか!? CX5はグローバル40万台を死守できるのか!? トヨタもこの1台で、日本市場のヴェゼルを叩き落とし、欧州市場のキャッシュカイ(エクストレイル)と北米市場のローグ(エクストレイル)の30万台とCX5の10万台を「回収」する腹づもりなんでしょうね・・・。エクストレイルとCX5が活躍できたのは、トヨタがこれまで対抗モデルを投入せずに「泳がせて」きたからなのは間違いないですけど、もしトヨタが2012年段階で慌てて「北米カローラのクロスオーバー」などを作っていたら、それはC-HRとは似ても似つかないクルマになっていた可能性が高そうです。

  エクストレイルもCX5もSUV離れした圧倒的な操縦性が海外市場で高く評価されています。これと互角に勝負するには「TNGA」を使う必要があったのだと思います。トヨタの汎用2.4L直4エンジンは経年のシロモノで、日産やマツダの内燃機関とガチンコで勝負するのはちょっと苦しい・・・。やっぱり日産やマツダのエンジンはすごく良くできてますよ。英国のレース用エンジンの大手サプライヤーであるアドヴァンスド・エンジン・リサーチ(AER)が大手メーカーから採用しているエンジンは、日産のSRとVQ、マツダのMZRだけだし・・・とりあえず基本性能が違う!!

  トヨタは、EV性能を高めたプリウスのユニットが、モータートルクの恩恵でSUV向けにも非常に相性が良いことを商品力につなげようとしているようです。さらに欧州流のダウンサイジングターボで低速トルクを低コストで稼ぐこともやってます。ただし2016年の末に慌ただしく発売してくる辺りがちょっと如何わしい気もします。来年から排ガス規制が一層厳しくなり、現状の欧州車に使われる1.2/1.4L直噴ターボは2017年から型式認証が通らないらしいです。トヨタC-HRはなぜこのタイミングで発売なのか?(滑り込みセーフ狙い?) そしてターボ化を視野に入れていたスズキが新型スイフトの発売を延期したことも「排ガス規制」に絡むトラブルなんじゃないか?という気がします。どっかの雑誌が報じていた1.4Lターボのスイスポなんてね・・・。

  トヨタは「HV」によるSUV観の確立を目指すのに対して、マツダは自慢の「ディーゼル」で強硬突破を図りますが、こちらも言うまでもなく低速「から」トルクが使えるSUV適正の高いユニットです。ダウンサイジングターボのような「誤魔化し」エンジンではないですけど、弱点が無いことも無いです。やはり「チョイ乗り」に対する懸念ですね。マツダもいろいろ対策を昂じていて、ノッキング対策にカスを自動的に燃やす行程が組み込まれていたりします。もっともチョイ乗りが良くないのはディーゼルに限った話ではなくて、ガソリンターボも状況はほぼ一緒です。日本の都市部でのチョイ乗りの使用状況を考えると、自然吸気のガソリンもしくはEVが無難かもしれません。CX5には「自然吸気ガソリン」がある!!っていうアピールもアリかも!!

  ポルシェ・マカンターボみたいにV6ターボ(400ps)でドカンと走らせれば、そりゃ楽しいクルマになりますね!!官能的なSUVの出来上がりです。日産も35GT-R用のVRエンジンを使ったジュークRやキャッシュカイRを欧州で限定発売していました。500psはさすがに過激なので、新たに開発した3LのV6ターボ(400ps)でエクストレイルのハイスペック版も検討していると思います。対してマツダも2.5Lターボをハイチューンで350psくらいまで上げたらいい。

  目一杯にハイチューンなユニットを積んだSUV同士で、日産のATTESA・E-TSの伝統を受け継ぐ「オールモード4×4-i」とマツダの気鋭の新開発「i-activeAWD」のどちらのトラクションコントロールがより優秀なのか?真剣勝負して決めたらいいさ!!他にも三菱、スバル、アウディ、ポルシェ、ホンダ(SH-AWD)が、挙って350ps級のSUVを発売して、ラリーでもすれば盛り上がると思うんだけどな。トヨタが「ザックス製サス」を前面に出してスポーツ性能を謳ってますけど、高性能SUVに関する技術力が全然違うんだ!!ってことがハッキリと示せるならばC-HRなんて怖くないと思いますけどね・・・ちなみにC-HRはターボのみがAWDだそうです(モーター式じゃなくて一応ドライブシャフト付きのフルタイムAWD)。


リンク・最新投稿まとめブログ
↓新型CX5とC-HRの特集あり!!超有名エンジニアが「欧州ダウンサイジングターボは完全に間違っている!!」と断言。マツダに追い風かな?



  

  

  
posted by cardrivegogo at 04:31| Comment(0) | CX5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月09日

2代目CX5登場 マツダの2代目にハズレ無し!!

  アメリカ市場での市販モデルが多く展示されるLAオートショーで次期型モデルとなる2代目CX5が発表されました。チーフデザイナーは満を持して登場の諌山さんだそうです(GHアテンザも担当)。気のせいかもしれないですがGHアテンザのように顔が締まって見えますわ〜。マツダらしいキレのあるデザインへと進化したことで、「コレはカッチェーぞ」と欲しくなる人もいれば、「ちょっとガキっぽいかも?」と先代の方がよかった〜なんて離れていっちゃう人もいるのかな〜。まあ良くも悪くもマツダが覚悟を決めたデザイン面での「進化」だと思います。

  これまでのマツダデザインの名車は、一台一台がキレイに作り込まれていて、ひたすらに「クール」でした。ヘンに暑苦しいこともないですし、とにかく1991年以降(ユーノス、アンフィニ以降)は特に、大衆に後ろ指さされることを恐れるかのように、神経質なまでの無欠なデザインを緻密に作るメーカーだったなーと思います。実際10年経っても20年経ってもありえないくらいにカッコいい!!それでもポルシェやMINIのような熱狂的マニアをデザインによって集められているか?っていうとそれほどでもないです。・・・つまりもっと「ガキっぽい」デザインの方がむしろブランドのステータスは高まるってことなんじゃないか?

  「マツダのSUVデザインはどこかイっちゃってるよね!?」そう呼ばれることをむしろ望んでいるかのような、アクの強さみたいなものを新型CX5から感じます。相変わらずというか、もはやマツダらしさの一部になりつつある「ソウルレッド」(他のブランドも挙って真似してるけど)をイメージカラーとしたままに、よりエモーショナルでスポーティな外観スタイルを選んだことで、初代CX5の「ファミリーカー」っぽいとっても幸せな世界観が一気に吹き飛んだ感じがします。誤解を恐れずに言ってしまうと、2010年以降から急速に魅力を失いつつあるアウディの大失敗に終わった「スカしたSUV路線」を、マツダがやや盲目的に後追いしている感すらあります。アウディのようにキレイに作ればとりあえず人気が出ると思っている節がある?余談ですがアウディは相変わらずダメですね。和田智氏がいなくなってからもうずっとダメです。

  初代CX5はとにかく大成功でした。アメリカでも中国でもデビューから燻ることなく売れましたし、何より日本でミドルクラスSUVがここまで売れるのか?ってくらいに予想を良い意味で裏切って快進撃を続けました。日本を代表する一流の重工メーカーの傘下にある三菱自動車の得意なジャンルにおいてアウトランダーに完勝したのは素晴らしいですし、あの日産がエクストレイルにアレコレと手数を加えてくるなど、完全に本気にさせています!!そもそもこのクルマが売れなかったら・・・日本向けのアテンザやアクセラにディーゼルが搭載されることもなかったですし、もしそんな消極的な展開だったならば、GJアテンザは全く売れなかった可能性もあります。まだマツダが日本市場に踏みとどまっているのも初代CX5のおかげです。

  これだけ偉大なモデルが先代だとすると、2代目を開発するのは相当に大変だったろうと思います。境遇はまさにGHアテンザデビュー当時と同じじゃないですか!?基本シャシーやエンジンなどは先代モデルからの引き継ぎ。ボデーサイズやデザイン面での意匠変更などはあるものの、スペック面での大きな変動はなし。ただしGHアテンザがGGアテンザの荒削りなところを洗練させて、あらゆる路面でより高い次元の乗り味が引き出せるように徹底的に弱点の強化に励みましたが、それと同じような意味合いのフルモデルチェンジと言えるかもしれません。良いクルマが欲しい、あるいは長く使うクルマが欲しいなら「買い」のタイミングだとは思います(少なくとも試す価値はあると思います)。

  トヨタのC-HRが圧倒的な乗り込みによって相当に完成度の高いクルマになった!!と盛んに宣伝していますが、CX5がデビューしたての新型SUVに乗り味であっさりと負けるとは考えにくいです。C-HR自慢のドイツメーカーのダンパーを使ったから一気に走りがよくなるとも思えないですけども、試乗レビューではハッキリと「乗りやすい」と書かれていますので、あまり断定的なことを書くとあとで大恥かもしれないですが、CX5とはマツダの「信念」ともいえる「世界一の操縦性」をSUVというパッケージに全力でぶつけた結果による、ある意味では「必然的」なヒットです。

  初代CX5をさらなる高みへ微調整して来たであろう2代目CX5を、あっさり越えて来るモデルを、ポルシェならまだしもトヨタ(のクルマ文化)がいきなり作れるはずがない!!もしそれが簡単に出来るというなら86はロードスターを軽く越えたハンドリングマシンになっていたでしょうし・・・。もっともトヨタのC-HRをここまで真剣にさせた一因はCX5の成功にあるのでしょうけど。

  予定通りに2017年の上旬にも登場するならば、モデルサイクルはわずか5年という最近のマツダでは異例の短さとんります。SUVは今がまさに旬であり、勝負の時だと考えているんでしょうね。フルモデルチェンジがあと1年2年と遅くなれば、もしかしたらトヨタの本気の設計と本気のプロモーション(これは脅威過ぎる!!)によって、日本のスポーティ路線のSUV市場は完全に占拠されてしまう!!という脅迫観念に追われているかのようです。

  確かにSUVは良く売れています。トヨタやVWも慌てて新型モデルを仕立ててきました。初代CX5はエクストレイル、ハリアー、CR-Vがちょうどモデル末期を迎えて存在感を無くしている抜群のタイミングで投入され、日本市場では瞬く間にミドルクラスSUVの頂点に立ちました。その後に次々と発売されたアテンザ、アクセラ、デミオはマツダの気合いがやや空回りしたのか案外な結果でしたけど、CX5に関しては完全に嬉しい誤算だったと思います。前にも書いたことがありましたが、「魂動」デザインはCX5の為だと言っていいくらいに、端正なデザインとSUVの良い意味でのラフさがよく調和しつつも、日本車らしい気取ったところが無いスマートな雰囲気が見事です。

  冒頭にも初代から2代目になって、エクステリアから伝わってくるものが変わったと書きました。2012年の発売後に様々なSUVが次々と発売されましたが、CX5に続いて出て来たモデルで特に日本で反響が大きかったのがホンダ・ヴェゼルとポルシェ・マカンです。特に後者のスタイルはどうやら2代目CX5のスタイリングに大きな影響を与えているのは間違いなさそうです。

  マツダ以外にも2017年を目処に新型SUVの投入を予定しているブランドがいくつもありますが、そのほとんどが「マカン」の影響下にあるといっていいかもしれません。アウディQ2、BMW・X2、プジョー3008、アルファロメオ・ステルヴィオ(FR車です!!)などなど・・・。この中に混じっても新型CX5は光ることができるのか?想定価格は270〜400万円の範囲だと思われますが、利益率と販売台数を考えたら今やCX5が完全にやマツダの屋台骨ですから、これでコケたらマツダ終焉?の可能性すらあります。さて今月15日発売の四季報には何と書かれるのか?とてもマツダ株に手を出せるタイミングではないですけど・・・。

  そしていよいよ北米でもディーゼル搭載モデルの販売が始まるらしいです。先行報道によるとメルセデスやPSAが使用する尿素SCRを搭載して排ガスを浄化することになったようで、日本向けも同じとなると本体価格に跳ね返ってきそうです。ベースモデルで300万円〜ともなると、日本ではさすがに売り上げが激減しそうです。あの豪華装備のトヨタ・ハリアーですら大苦戦だったのに(ハリアーはちょっとズレていた気もしたけど)。

  GHアテンザと同じ2代目のスピリッツを十分に感じさせるモデルであったなら、人生初のSUV購入も考えてみようかな?なんて感傷的な気分にもなっている今日この頃です。日本仕様にはコスト削減で尿素SCR付けないのかな!?まあガソリンモデルにすればいいわけですが・・・。あとは何といっても「色」ですかね。重厚感をしっかり感じさせてくれるアテンザの新色「メタリック」が使われるとは思いますが、ピラー回りの配色とのマッチングなどでイメージもだいぶ変わるので、その辺で徹底して「絵」になるデザインへと、ショーカーモデルから市販デザインへと作り込んでほしいと思います。


リンク・最新投稿まとめブログ



  

  

  

  

  
タグ:CX5
posted by cardrivegogo at 00:01| Comment(2) | CX5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月22日

アテンザ漂流。ブランドの「象徴」は売れればいいってもんじゃない。

  2012年に華々しく登場して一躍脚光を浴びた3代目GJアテンザ。デビュー当初から日本車らしからぬ存在感を発揮し、Eセグの代用が務まるくらいに立派な車格は観るものに新しいイメージを振りまきました。初代アテンザを越える大ヒットも予想されましたが、SUVが拡大するなかでセダン需要は世界中で伸び悩んでおり、特に日本や欧州ではセダンはかなり悲劇的な状況に追い込まれていて、期待のGJアテンザでも局面を打開するまでには至っていません。早いものでいよいよ発売から4年が経過し、同じ年に発売したCX5は早くも2代目がお披露目になるなど、いよいよモデルサイクルの終焉に向かってカウントダウンの時期になりました。

  洗練されたデザインは、2011年の東京モーターショーでのコンセプトモデルから評判が高く、マツダのやる気満々な姿勢からも、まだまだ発売後もいろいろな展開があるのかなーっと期待していましたが、結局スポーティなターボモデルが出ることもなければ、2ドアクーペが導入されることもありませんでした。北米市場は非常に利己的で、海外生産車には差別的で難しい面もあります。この4年間にGJアテンザが残した実績といえば、欧州でも評価の高いマツダのディーゼルを日本市場である程度は売ることに成功したかなー・・・くらい(結局北米ではまだ実現せず)。「ディーゼルを売るためのクルマ」それ以上でもそれ以下でもない・・・というのが当初からのマツダの目論見だったのかもしれません。GJアテンザの隠された使命はマツダの優れたディーゼルを売り込むこと!!もちろんユーザーにではなくトヨタに対してです。

  「スカイアクティブ」以前からも欧州で高い技術力を見せていたマツダのディーゼル。日本人はメルセデスやらBMWやらのドイツ車を過剰に評価しますが、欧州市場で発売されてきた歴代のディーゼルエンジンを比べても、マツダの技術は非常に高く、メルセデスやBMWのディーゼルはそれに比べればはるかに回らないし熱効率も悪く総合的に低スペックなものでしかありませんでした。世界のカーメディアは以前からマツダのディーゼルを高く評価していたのに対し、日本のカーメディアも渋々とマツダの優位を認めつつあります(清水和夫のようなとんでもないジジイもいるけど・笑)。しかしトヨタは欧州向けのオーリスやアベンシスに搭載するディーゼルを一旦はマツダを採用を決定しつつも、後からBMWに切り替えて今も供給を受けています。

  トヨタがBMWのディーゼルを選んだ理由は不明ですが、様々な分析によるとコスト面でのメリットが指摘されています。メルセデスやプジョー、シトロエンのような尿素処理が、あっさりと省略されているBWMの直4ディーゼルターボは、その簡易的な設計から北米で大問題に発展した旧型のVWディーゼルと同じく排ガス規制に違反しているのではないか?という疑惑がかけられていました。ちょっと前に国産メーカーを対象に行われたディーゼルの排ガス抜き打ちチェックでは、マツダのみが規制の範囲内に収まっていましたが、日本でディーゼルを展開する輸入車にも行ったらどういう結果が出たでしょうか?尿素処理を行うメルセデスやプジョー、シトロエンは大丈夫なようですが、BMW、ボルボ、ジャガーはちょっと怪しいです。

  一度はトヨタにフラれた格好になったマツダのディーゼルですが、トヨタの研究所が独自に将来性などを審査した結果でしょうが、再びトヨタとの包括的な技術提携に合意して、その際に大々的にマツダ・ディーゼルの供給が盛り込まれたようです。ランクルやレクサスGSに遅くとも次のFMCまでにはマツダのディーゼルが載ることになりそうです。

  アテンザが組み立てられるマツダの防府工場は、世界中のマツダファンが巡礼に訪れる日がやってくる時に備えて近代的な装いになっているそうです。世界中のポルシェのファンがヴァイザッハにやってくるように、マツダの防府工場が世界的に有名な観光スポットになる日は来るのか?・・・いや皮肉ではなくて、マツダはアテンザをもっともっと「人を惹き付ける」クルマに育てないとイカンと思うんです。ウイスキーの聖地スコットランドのアイラ島に村上春樹氏のようなマニアがやってくるように、上三川(栃木)、田原、太田と並んで防府も、もっともっとマニアを集められる可能性があると思うのです。

  GT-R、レクサスLS、WRX-STI。どれもメイドインジャパンにこだわって作られてきました。アテンザはすでに中国や米国で生産実績がありますけども、そんなことはあまり気にしなくてもいいと思います。それよりも、もっとアテンザに「日本だから生まれた」ことをダイレクトに感じられる要素を、付加していくことが大事ではないかと思うのです。初代アテンザは日本人の視点からはそれほど目立ったものでは無かったですけども、世界からみれば「これこそが繊細でプレジャーな日本車の理想型だ!」という讃辞が寄せられました。日本という地域の風味を良い意味で持っていたクルマだったと思います。もちろん「GT-R」も「スカイライン」も「LS」も「WRX-STI」も良いオーラを持ってますけどね・・・。それはちょうど日本人が「フォード・マスタング」や「ダッジ・チャレンジャー」にアメリカのライフスタイルを強く感じ取るのに近いんじゃないかと思います

  世界の主要メーカーは、ジャンルごとにサイズ・スペック・価格をある程度は横並びで設定しています。1万キロの彼方であるアメリカ東海岸や、西ヨーロッパのユーザーがわざわざ「防府」で製造されるクルマを選ぶ理由なんてあるのか? そう考えると、とてつもないハードルがそびえるかもしれませんが、これこそがマツダが自ら望んだ「ビジネスの形態」であり「事業ドメイン」であって、当然にその覚悟を持って経営陣は突き進んでいるはずです。例えば遥か1万キロ彼方のロンドンで予想以上の人気となり、あのトップギア(雑誌版)でもとにかく絶賛されているNDロードスターとCX3。これはマツダの近作では実に「日本らしい」要素の詰まった、成功して然るべき「選ばれる」2台なのだと思います。

  初代のGGアテンザはある種の理想を貫いたことが世界中で支持されました。もちろんフォードという勝ち馬に乗っていた部分もあります。フォードによる「非ドイツ連合」の一員として「ポジション」が与えられ、フォード直系のプレミアムブランド「リンカーン」「マーキュリー(2011年廃止)」、さらに外様の「ジャガー」「ランドローバー」「アストンマーティン」「ボルボ」そして「マツダ」の7ブランドが本体の「フォード」&「欧州フォード」の魅力を高める「衛星ブランド」としてクラスター的に輝いていました。注目度も高くマツダの技術力が世界に発信しやすい時でもありました。フォードグループがVWやBMWを徹底的に追い込む欧州戦略モデルの中核にあったのが「マツダGGプラットフォーム」を転用した「フォードCDプラットフォーム」であり、「MZRエンジン」でした。

  日産、スバル、レクサスとは違って海外ブランドの屋台骨を担ったマツダですから、「グローバル」を感じさせるモデルであってしかるべきなんですけども、フォードと袂を分って「新しいマツダの設計で勝負する」と宣言したのちに、2010年の後期プレマシーと後期GHアテンザから始まる「改革」を経て、2012年から「スカイアクティブ」としてラインナップを刷新してきました。最初から全てがうまくいくとは思いませんけども、CX5、CX3、NDロードスターに関しては「マツダの味」がいい感じで発揮できた佳作だったと思います。難しいのはフォード時代から賞賛されてきたアテンザ、アクセラ、デミオの主軸を担ってきた3車です。

  いずれも世界にその名が轟いている名シリーズで、世界から大絶賛されてきたアテンザ(MAZDA6)、ゴルフ を叩き落とすことに成功したフォーカスの兄弟シリーズであるアクセラ(MAZDA3)、そしてWCOTY堂々受賞のデミオ(MAZDA2)。いずれも新たに「小さく」再出発をするマツダがそのまま抱えるには「怪物」過ぎる存在なのかもしれません。ちょっとわかりづらいかもしれませんが、スバルがトヨタから「86」の看板を預けられて、自力のみでシリーズを存続させるみたいなものだと思います。トヨタがいたから「FA20」という専用エンジンが作れてFRシャシーを用意できたけど、これをスバル単独でやるのはやっぱりしんどいと思います。経営面を考慮してインプレッサ用の「FB20」に統一しただけで一気に評判ガタ落ち?するかも。

  デミオやアクセラなら欧州はもとより、東南アジアでも北米でも売れますから「年間40万台」という採算ラインはなんとか越えるでしょう。40万台ってとんでもない数ですが、この台数で開発費を償却できるから、新たに多くの資本を開発に投下できますから、同じメーカーが作るなら、一般的にはよりたくさん売れた方が良いものが作れるはずです。しかしアテンザに関しては40万台の見通しは全く立ちません(20万台も無理)。同じ欧州型FFサルーンは欧州では売れなくなってきていて、北米でもVWパサートやプジョー508(すでに撤退)は大苦戦で、アテンザの兄弟車だったフュージョンもアコード、カムリ、ティアナの後塵を拝しています。もしかしたらアコードやカムリよりも上手くFFサルーンを作れば米国で勝負になる!!とマツダは意気込んだのかもしれません。しかしトップ2の後ろ髪どころか、レガシィB4にもなかなか勝てない・・・(最近ではアテンザが上回る月もあるようですが)。アコード、カムリが各30000台なのに対して、アテンザは4000~5000台程度で、グローバルでも10万台を越えるかどうか・・・。

  販売台数こそ上回っているものの時価総額でスバルの3分の1程度になっているマツダ。スモール&コンパクト(アクセラ、デミオ)と、SUV(CX3〜9)というコアコンピタンスに開発資源を集中させる一方で、アテンザ、ロードスター、RX9(発売未定)の各事業があり、それに加えて2019年のEV発売まで公表しました。世界の人々が「敢えて」マツダを買う理由の源流には、やはりロードスター、RX7、GGアテンザの威光が少なからずあると思うのです。世界中で広く認知されたクルマ。それはデザインはもとより、他にはない「アイディア」を持っています。それはマツダのようなメーカーと開発者がやや異質なメーカーだから出来る!!という説もあります。近作のマツダの停滞は「デザイン」の力を過信したのでは?という気もします。デザインに頼り過ぎると、当然ですがユーザーを掴むポイントは「トレンド」などに左右されやすくなり、マツダに対する評価が時間の経過とともに大きく「縦ブレ」してきているように感じます。

  「威光」の3台は素晴らしいデザインに加えて、「選ばれる」特殊性・機能性も十分に備わっていました。それに比べると、現在のGJアテンザには同時代の他を圧倒するようなスペクタクルがやや希薄に思えるのです。「GJアテンザはカッコいいな〜・・・でもサルーンの質ならアコードHVかな?コストパフォーマンスならマークUかな?」・・・GJというクルマの総合的な印象を考えると、アコードやマークUといった「オッサンセダン」との競合は避けられないですし、その域からハミ出す要素をほとんど持っていません。市場環境を見る限りでは、今後どんなモデルチェンジを経ても、アテンザ・シリーズの販売が劇的に伸びることは無いと思います。そしてマツダのビジネスにおいてもアテンザは「コア」な存在ではないのだから、もっともっと思い切って「目立つ存在」に仕立て上げればいいと思います。「普通」に作ろう(アコードをコピーしよう!)と思えば思うほど迷路に迷いこむ結果になると思うんですよ・・・。


リンク・最新投稿まとめブログ


  
posted by cardrivegogo at 01:15| Comment(0) | GJアテンザ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする