2014年06月26日

マツダにまだ新型スポーツカーを期待してもいいものか?

  スポーツカーに乗りたい!という人は今もまだまだ多いようですが、スポーツカーにはまったく興味が無い!という人も同数かそれ以上います。そういう人々の多くはそもそもクルマに興味が無かったりするわけですが、中にはクルマはとても好きなんだけど「スポーツカーは終わった」と考えている人もいるように思います。彼らの意見を要約すると、一般のクルマの性能が上がり過ぎてしまって、最近のスポーツカーはスタイル以外で主張できるポイントに乏しくなってしまった・・・といったものです。

  マツダにもロードスターが脈々と残っていますが、このクルマは「セカンドカー」という割り切りを貫き通したからこそ、世界の余裕のある有閑層の支持を受け続けることができました。このコンセプトを維持し続けるならばまだまだ次期モデル以降もスポーツカーとして存在できる余地はありそうです。その一方でトヨタ86が目指したような「スポーツカーをファーストカーに!」というコンセプトには疑問があります。以前このブログでもロードスターを2+2座に!みたいな愚かな提言をしたことがありますが、そんな「マイルド・ロードスター」なんて何の価値もないと今は思っています。

  ヴィッツRS-G’sというコンパクトカーを改造したスポーツモデルが、先日改良を受けてインプレが幾つか出ていましたが、そのドライビングフィールの軽快さからなんと「トヨタ86と同じくらいに楽しい!」といった評価が多かったように思います。それはあくまで幾人かの評論家のやや「盛った」意見に過ぎないのですが、FRスポーツ専用シャシーをわざわざ使った86でも、トヨタのFF小型車汎用シャシーを使ったヴィッツRS-G’sと比べて大きな差がない水準なんだということを示しています。

  もちろんトヨタ86の魅力は多くのチューナーが存在していて、それぞれにパーツを設計したり、専用チューンを提案してくれたりと、自分の好みにあわせてクルマを仕上げる選択の範囲が他のクルマよりも広く整備されていることにあります。86を買ってさらにお金をかければ、シャシーの限界が高い分だけ幅広いクルマ作りが可能という点ではヴィッツRS-G’sとは大きく異なるクルマと言えます。しかしせいぜいタイヤ&ホイールを交換するくらいしかしない人にとっては、86もヴィッツRS-G’sも大きな差はないわけです。

  トヨタはこの新型スポーツカーを立ち上げるに際して、アフターパーツメーカーへの協力要請をしているようですが、さらに多くのユーザーに応えるならば「コンプリートカー」を作るチューナーを育てるなどの姿勢があっても良いように思います。どうやらトヨタ本体がそこまでの投資価値を見出していない様子で、そんな「中途半端」な点が見ていてヤキモキさせるところではあります。確かにポルシェやメルセデスのように複数のチューナーからコンプリートモデルが出るような伝統はありません。しかしトヨタにはそういう伝統を作ろうとする気もないのです。

  ポルシェやVWの役員がポルシェのチューナーとして知られる「RUF」のクルマに乗っているのは、わりと自然なことに思います。同じようにメルセデスの役員が「ブラバス」のAMG車に乗っていることも多いでしょう。しかしトヨタの役員の愛車が「86」なんてことはまず想像できませんし、おそらくあり得ないことでしょう。かれこれ10年ほど前に、トヨタの役員がアリストターボで70km/hだか80km/hだかのメチャクチャなスピード超過で捕まった事件があったと思いますが、あの頃のトヨタなら役員が喜んでブランドで一番スポーティなクルマを愛車にしていました。

  「86に乗るトヨタの役員はいない・・・」悲しいことですが、これが今のスポーツカーの現実なんだと思います。マツダの社長だったマーク=フィールズは在任時には自らRX7FD3Sのハンドルを握って出社していたそうです。おそらく日産GT-Rを愛車にする日産の役員はいるでしょうし、ランエボに乗る三菱役員も、WRX STIに乗るスバル役員もいるでしょう。その会社の役員も乗らないようなスポーツカーなんてのは売れそうでもやがては廃れていきます。おそらく最終型セリカに乗るトヨタ役員はいなかったと思いますし、CR-Zに乗るホンダ役員もいないのでしょう。

  マツダに新たなスポーツカーを求める声は少なくないです。300万円程度の「役員も乗らない」クルマになるのか、600万円を超える「役員が好んで乗る」クルマになるのか? もちろん価格が全てではないですが、願わくばトヨタ86のような、インサイダーに見放されてしまって、熟成すらされずに放置される「可哀相な」スポーツカーを作るのだけは、絶対にやめておいてほしいなと思います。まあマツダならそんな愚かなことはしないと思いますが・・・。

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2014年05月27日

新型ロードスターが「結論」になりうるのか?

  ロードスター発売に向けての最近のマツダ定番になりつつある「長期プロモーション」がスタートしたようです。なにやらよくわからないフレーム構造の図を出してきたり、ニュルブルックリンク耐久へのエントリーを発表したりと、相変わらず散発的ながらも今後に大きく期待を膨らませる演出を繰り出しています。比較するのは失礼かもしれませんが、いつ発売するか分らないスポーツカーのデザインを堂々と晒し、F1にも参戦を決めたホンダの戦略とは全く逆です。それにしてもターボになったシビックtypeRは本当に発売されるのでしょうか?

  現在ではフェラーリといった一部の例外を除き、ただ作って売るだけでは、全く商売にならない時代になりました。トヨタが86を売る時に仕掛けたシーンを盛り上げる数々の企画がどれほど有効だったかはわかりませんが、FRスポーツを復活させる!という段階ですでに大きな反響を呼んでいて、その後のミーハーな盛り上がりに購入を思いとどまった人もいたんじゃないですかね。ロードスターの場合は既存モデルのFMCなので、ただ刷新するだけでは少なくなった既存ユーザーにしか訴求できませんのでなにも変わりません。しかも2台以上続けてロードスターに乗る人はそこそこはいるでしょうけど、半数を超えることはないでしょう。

  トヨタは社長自らが86駆って国内ラリーに参戦するという、なかなかハイセンスなプロモーションを打ち出してきて、これは1人のクルマ好きとして見ていて「グッと」くるものがありました。それまではダートやスノー上でのドリフトをする絵面ばかりで、ドリ車として認識されていたクルマをラリーベース車としてもいけるよ!とアピールすることで、ワインディングでいろいろな乗り方が出来るクルマとしての利用価値を見出してほしいという単純な狙いでしょうけど、「これはいいかも?」と率直に感じました。

  先日の土曜日に夕食を外で食べたあとに、神奈川県のヤビツ峠を走ってきました。東名高速側からの登り口は夜景を見るクルマが登っていくので、ちょっと気持ちよく走るとすぐに前を塞がれてしまうわけですが、登りのコーナーでいちいちブレーキで減速しながら進むクルマの後ろは少々イライラいますね。煽らないようにと車間を開けるのですが、コーナーで鼻先まですぐに追いついてしまい、前のクルマがさらにもたつくとこちらもブレーキを踏む羽目になります。それなりに気を遣って車間をとっている後ろのクルマにブレーキを踏ませるなんて・・・、ムダなブレーキは「犯罪」だと思っているので、そういうクルマには初心者マークでも付けておいてほしいものです。

  帰りは反対側の「裏コース」を宮ヶ瀬湖まで30分程度で降りていくコースを進みましたが、こちらは「凶暴」なまでの”酷道”区間もあるので、利用者は少なく快適です。たまに行き違いのクルマに出会いますが、相手は大概はジムニーなどに乗った常連なので、上手く回避してくれます。途中で信号が全く無いというのが嬉しい限りで平均車速が・・・km/hくらいになります。アテンザを走らせるだけでも十分に楽しいのですが、これがロードスターだったら・・・。コーナーを抜けると、さらに早いテンポですっとリアが落ち着いて、自動的にクルマが沈み込んでさらに長い加速区間が得られるだろうなと思いますね。

  FFのコペンでは車幅の点でしかアドバンテージがないですし、むしろ安定感が欲しい跳ねるコースなのでトレッドがある方が有利な気がします。あとはロードスターを後ろから見ているとよく分るのですが、あのデザインやサイズが全て、クルマを制御するために最良を追求したものであり、車重の軽さを生かしてリアの収まりの良さはレクサス車みたいに、しなやかに素早く制震するサスの仕事っぷりを見せつけられて、以前猛烈に欲しくなったことがあります(ロードスターもレクサスGSも・・・あとS2000も)。

結局クルマ好きの本質なんて何かに特化した「フェチ」に過ぎません。ヤビツ峠に向かう途中のR246で、左折専用レーンから発信加速で強引に追い越しをかける「E63AMG-4MATIC」 の一瞬で置いていかれる加速を見せつけられました。となりに停まっていて「お!かっこいいな!」と思って見ていたら、グイーン!と行かれました・・・。21インチ履いて、センス良くエアロを配して、色彩もセンス良かったなし、何より存在感がありました。Eクラスはダサいと思ってましたけど、オーナー次第だなと考えを改めました。その後に前方のクルマに引っ掛かりセンターラインをまたいで走っている姿を見て、そういう走りが許される(許されないですけど)のは、大金かけてますよ!という自信の表れでしょうか?

  おそらく2000万円を超える金額がかかっていると思いますが、このクルマもR246を降りれば何もできないE250と大差ないと思います。R246のような自動車専用道ならズバッといけるでしょうけど、ヤビツ峠ではおそらく何もできないでしょうし。「裏ヤビツ」を走れば、崖から転落するか、壁に刺さるか、切り返してコーナー曲るのがオチでしょう。R246走っていて面白いと思うならメルセデスにお金を費やすのもいいと思いますけど、少なくとも私にはそれだけでは満足できないですね。私に限らずマツダに乗る人の本音はそんなところじゃないでしょうか。

  マツダが新型ロードスターの出力を抑えて、2Lから1.5Lにするらしいですけども、FRの軽量なスポーツカーに拘るならば非常に賢明な判断じゃないでしょうか。アクセラ用の横置き1.5Lよりもパワーが出しやすい縦置き(FR用)のスカイアクティブGを使っていて、さらにフロントミッドシップが強調されていますから、「S2000の復活」といってもいいかもしれません。BMW2シリーズなど「間接的」なライバルが増えてきていますが、NAエンジンの良さにこだわったクルマ作りで「レベルの違い」を見せつけてくれることを期待しております。


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2014年04月08日

ロードスターのプロトタイプがいよいよ公開されるらしい!

  平日はなかなかいいお天気なのに、週末になる度に天気が崩れていて、ドライブの予定がなかなか実行できずいます。小春日和で桜が咲き誇っているのを見ると、オープンカーが欲しいなんて極めて短絡的な思考で、ちょっとその気になっていろいろ調べたくなります。

  いよいよマツダの新型ロードスターのコンセプトモデルが発表になるようです。今のマツダの内外装の水準をそのまま当てはめると、これまた「日本メーカーの枠を超えた」とか言われかねない出来になりそう。まあデミオコンセプトですらあの力の入れようですから・・・と散々にハードルが上がっていますがどうなるでしょう。

  いくら個性的な設計だといっても、グローバルでは前後左右にライバルが溢れていて、ロードスターの長所といえば「スポーツカーとしての正統性(正当性)」と「手頃な価格」しかない状況。メイン市場の北米マツダからは「もっと大きくして出力をアップ」という強い要望があったそうですが、マツダはその提案を却下。フェアレディZみたいなクルマを作ったところで、日産メルセデス連合の高性能車向けエンジンと勝負するのは、トヨタですらシンドイですから(BMWに委託)、当然の決断だとは思います。

  まあ負け惜しみではないですが、マツダが日産メルセデスに敵わないという意味ではないです。フェアレディZを本気で倒すのなら、極秘に開発中と言われる「アレ」を復活させればいいわけです。スカイラインベースのZなんて!といったら失礼ですが、オバさん向けのスペシャリティカーに過ぎません・・・。そもそもスカイラインあってのZであって、最初からそれを目的として作るクルマじゃなかったわけです。こんなのもあったら欲しい人いるんじゃない?くらいの「軽いノリ」があのクルマには全体に滲んでいます。「ピュアスポーツ」を掲げるマツダがそのままパクって作るようなクルマじゃないです。もし登場したらズッコケちゃうレベル。

  よって新型ロードスターではそんな北米スタイルの真逆を突き進むようで、現行のNCロードスターよりも「小型」!しかも出力も下がる(2L⇒1.5L)ことに落ち着いたようです。ところで特別にチューンした1.5L(120ps程度)は市場でどう受け止められるのか。スポーツカー文化が未発達な日本市場では、「これだったらコペンでいいや・・・」という人も出てくるだろうし、トヨタ86のオープンが出れば200psの魅力に引っ張られていくでしょう。マツダとしては、いかに楽しさが伝わるか? そして内装の質感でどれだけ突き放すことができるか?で頑張る必要がありそう。

  日本での販売はマツダもそれほど期待してないでしょうけど、以前よりもロードスターに注目している人は多くなっているのは確かです。86/BRZがこれほど日本の街で多く見られるようになっていて、スポーツカー全体への理解(偏見が無くなっている?)も進んでいます。300万円で小粋な欧州ハッチバックを買っていた引退世代が、「こんなクルマじゃつまらない」と日本のスポーツカーを選ぶことも多いみたいですね。それとは別にアクセラも自慢の好デザインで上手く引退世代の懐に潜り込みつつあります。

  マツダのさらなる野望は、2L→1.5Lに加えてボディを小型化することで、おそらく価格上昇を最大限にとどめ、「値下げ」にまで踏み込める設計に持ち込んだところでしょうか。現状では日本市場に過剰な期待はしていないけど、日本向けのサイズに持ち込むのがベスト!という「レヴォーグ的」な判断がマツダでもかなり主流なようです。ぜひこれをセダンへも適用して貰えると有り難いのですが・・・。


  
「NCロードスター動画」(マツダとBMWの闘いです)へのリンク


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posted by cardrivegogo at 11:51| Comment(2) | ロードスター/RX7/RX8 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年12月13日

例えばこんなロードスターの楽しみはどうですか

  「ロードスターを買うならMTに限る」そう一般的には言われています。それほど高出力ではないロードスターのエンジンをフルに使い切るためにはMTが必須でしょうし、確かにモーガン3ホイーラーにも使われているほど、世界的にも評価の高いマツダの精巧なMTをむざむざパスする手はないのかもしれません。

  しかしそれだけでATの選択が却下され、ATのロードスターに乗っている男性ユーザーがバカにされるのはちょっと早計だと思います。最近気がついたのですが、マツダ車に関してはATにはATの楽しみ方があると思います。ミッションが主に威力を発揮するのは、登り坂での加速時が多いと思います。MTを駆使してスウィートスポットが狭いマツダのショートストロークエンジンのピークをうまく維持できれば最高に楽しいと感じます。これと同じくらいの快感がATでもペダルの加減のコントロールで感じることができます。

  やり方としてはシフトをDにしたまま、とりあえず坂を駆け上がります。この時最初から2速で固定して上がった方が速いかもしれませんが、あえてDにしておきます。簡単に言うとコンピューターにギアを選ばせる状況にしておいて、ペダル操作でギアをスウィートスポットに釘づけにします。

  マツダのATは一般に燃費が悪いと言われていますが、それは他のメーカーにくらべてDで走行時のシフトタイミングが絶妙でかつクイックにプログラムされているのが大きく影響しているようです。このシフトタイミングのクイックさと、エンジンレスポンスの良さがこの乗り方の肝となります。他のメーカーでは上手く行かないかもしれません。ちなみにマツダはこのクイックな設定故に踏み過ぎによる燃料消費を抑えるために「エコランプ」を装備しています。

  エコランプを光らせながらでも不快なく立ち上がることができますが、登り坂発進となるとさすがにややダルく感じてしまいます。よってスムーズに上がる為にエンジンの美味しいところにペダルを合わせていきます。そのピークに達した瞬間にペダルが少し振動しますが、たいていはそれを感じたと思ったら、次の瞬間には状況が変わり刻々と変わる路面斜度も影響して、オーバーレブ気味になったり、ギアがアップしてパワーが抜けたりしてしまいます。

  このとき右足で感じる絶頂の時間はせいぜい1〜2秒なのですが、訓練と運次第でこれを15秒くらいまで伸ばすことが可能です(もしかしたらずっと可能なのかもしれません)。これは意図的というか足が反射的にやってしまうことなので、正確には表現できませんが、シフトアップやオーバーレブにならない方向に反射的にもしくは前もって変化を予測して、ペダルの開度を変えていきます。

  これが上手くいった時は右足の神経に全能感が宿り、「人馬一体」を感じます。ピーク時はエンジンがもっともハイレベルにレスポンスするので、まるで別のクルマのような挙動をします。右足一本で何かフワフワとしたものの上に立っているような感覚です。ペダルが小刻みに震えその振動が右足に心地よく伝わります。練習すれば登り坂じゃなくても出せるようになります。その時の感触はドライブを終えてもずっと残っているので、また同じコースで試したくなりますというかクセになってしまいますよ。あくまでロードスターでなくアテンザでやっていることですが・・・。
  


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2013年12月11日

次期ロードスターに課せられるもの

  マツダも中心になるラインナップの大刷新が終わって、いよいよロードスターにも「中興の祖」と言えるようなモデルが登場するのか?と期待が高まっています。メルセデスが認めた日産(インフィニティ)、BMWが認めたトヨタ(レクサス)と並んで、アルファロメオが対等のブランドパートナーにマツダが指名されたことは誇らしい限りですが、果たしてNC登場以来完全に”アウェー”になっている評論家との「化かし合い」を見事制するほどのクルマが作れるのか心配ではあります。

  アルファとの協業発表で軽く評論家にジャブを喰らわせ、やや怯ませた現在のところは至って順調です。しかし4座の86/BRZと軽ミッドシップ(KMR?)のホンダS660に完全に包囲されている状況は客観的に見て苦しいものがあります。先代のNCロードスターを総括すると、MR-SとS2000の世界的小型スポーツに比べて印象が薄く、この2台がラインナップ落ちした後も、デザインが低調のままフェイスリフトなどもなくモデル末期を迎えてしまいました。

  NC発売当時と比べて違う点は、現在はマツダのラインナップにロータリースポーツが無い点です。よってマツダファンの支持が集まりやすいので、新型の方が売れ行きは伸びそうな予感はあります。それでもRX-8を選択したユーザーの多くは4座であることをその理由としていたので、ロードスターにそのまま流れるとは限りませんし、むしろマツダであることは関係ないという意見もあります。

  現代のスポーツカーにとって実用性が高いことは、そのモデルの存続の上で必須なのですが、実用性を追求すればするほどにスポーツカーとは表現しにくいものへと変わって行きます。乱暴に言うと”ポルシェ”が”BMW”になり”アウディ”になり”レクサス”になっていくわけです。いくらメーカーがスポーツカーらしさを追求したところで、評価するユーザーにはそのままのニュアンスでは伝わりません。頭の中ではポルシェはすごいなと思いつつも、アウディやレクサスのディーラーに向かう人が日本でも世界でも多いわけです。

  同じことがロードスターにも起きています。ロードスターが楽しいクルマなのはよく分かっているけど、実用性を重視するとロードスターが86/BRZに換わり、さらにCR-Zになり、最終的にはジュークやXVになっていくようです。そしてジュークターボを走らせると「あれ?ロードスターよりも速いんじゃない?」みたいなことになって、何がスポーツカーなのか?という疑問がふつふつと湧いてきたりするのかもしれません。それに対する明確な答え(スポーツカーの定義)ができないのが、大手メーカーの実情なのだと思います。
 
  86/BRZもポルシェ991型911も、本来のスポーツカーを知る人に言わせれば、もはやラグジュアリーカー以外の何者でもないわけです。86に対する一番の不満は「もっと内装を豪華にしろ」だそうですし、991が先代の997から一番大きく変わった点は間違いなく「内装」が豪華になり、GT-Rのように誰でも安全に運転できるクルマになったことです。ユーザーの多くは高級車に匹敵する質感と他の高級車では味わえない「非日常」な乗り味のみを求めているわけです。

  ロードスターにしても求められるものはほぼ同じものなはずです。マツダにとってはスポーツカーとしての基本性能以外何もないプレーンなクルマとしてロードスターを考えているでしょうが、スポーツカーそのものがマクラーレン12Cのように高度な工学技術の積み重ねによる「機械芸術」を指す言葉に変わりつつある中で、ホンダS660以上のインパクトのあるものが作れるのか?という大きな課題があります。
  


  
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2013年02月12日

いつまでもロードスターが売れると思わないほうが・・・

  SUV(CX-5)とミドルセダン(アテンザ)を大ヒットさせ、今年ハッチバック(アクセラ)もそこそこ成功するであろう、目下絶好調のマツダです。2014年以降にはなにが出てくるのか?も期待が膨らみますが、次の投入は新型ロードスターでしょうか。200万円台前半で買えて、クルマの運転技術を学ぶには最高のクルマだ!などと言われているマツダが誇るベストセラーモデルです。ただ日本車にも輸入車にもほとんどライバルがいないという貴重なクルマというのは重々承知しているのですが、近年の売れ行きの悪さを考えると抜本的な改革が必要じゃないかと思ったりもします。

  アメリカのクライスラーを傘下に収め、世界有数の自動車メーカーへと成長したイタリアメーカー・フィアットがマツダに新型の2シーターオープンスポーツ(アルファロメオスパイダー)の開発とOEM生産をオファーし、2015年から「日本製アルファロメオ」の生産が決まりました。これは歴史的快挙!とも言える素晴らしいことですが、マツダとしては巨大メーカーからのオファーで改革が棚上げされてしまったのかな?という気がしてなりません。そもそも今の日本の若者に「CX-5・アテンザ・アクセラ・ロードスターのどれが欲しい?」と訊いたらどうなるでしょうか?オモチャとしてほしいのはロードスターかもしれませんが、自分の人生設計の中で10年乗るクルマとして選ぶなら(新車で買うとしたら)、ロードスター以外の3車種に人気が集中するのではないかと思います。逆にロードスターだけは絶対にいらない(新車では買わない)という人(自分も)も結構多いのではないでしょうか?

  やはり今の日本で2シーターのクルマがまともに売れると考えるのは無理があると思います。トヨタ86が2シーターで発売されたら、一部のサーキット走行用以外にほとんど需要はないでしょう(絶対に年間2万台も売れない)。日産がフェアレディZの開発を放棄しているのも、このクルマの販売に全く魅力を感じないからだと思います(3.7Lエンジンでは完全に過去の遺物でしかないが)。フェアレディZもライバル不在の貴重な存在でありますが、日産はFMCを行う様子が全くなく、現行モデルの生産が終了したら(新型スカイライン開始のタイミング?)日本から姿を消しそうな予感です。世界累計800万台を誇る巨大メーカー(マツダとフィアット合わせても550万台程度)のルノー日産でも、開発を凍結しているのに、弱小(120万台)のマツダが四半世紀前とほぼ同じコンセプトで2シーターオープンを作り続けることに疑問を感じてしまいます。

  ロードスターもいいですが、もっとアテンザや新型アクセラの派生モデルを真剣に作ってくれたほうが、今後のブランドの発展にも良いのではと思います。例えばアウディを見るとミドルセダンA4の派生モデルでクーペのA5が設定され、このA5に5ドアハッチバッククーペのとてもスタイリッシュな設定がさらに追加されていたりします。これがマツダにあったら最高だろうなと思ったりします。アテンザセダンのスタイルにはもちろん文句はないが、さらに「スペシャリティ」にしたモデルがあってもいいんじゃないかと思ったりもします。とりあえず車高を1390mm程度に抑えた4ドアクーペモデルをアテンザとアクセラの両方に設定してみてはどうでしょうか・・・。ロードスターにアウディTTのような「ブランドコンセプト」を体現できるポテンシャルは、もはや無いと思います。RX-8の後継モデルを真っ先に作るべきではないでしょうか?

  
posted by cardrivegogo at 08:38| Comment(15) | ロードスター/RX7/RX8 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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