マツダ次世代スーパーカー「RX-9」ついに出現!450馬力の次世代ロータリー搭載で2019年発売へ https://t.co/Mjx4seIsDR #スパイダー7
− CARDRIVEGOGO (@cardrive55) 2017年12月11日
『安っぽい』ことが大っ嫌いらしい。
東京MS2017でマツダはロータリー技術の展示をしなかった。今年に入ってから国沢光宏さんがロータリー復活!?の怪情報を流したり、清水和夫さんがスカイアクティブX技術をべた褒めしたりなど、そういった売れっ子評論家との距離を一気に縮めてきたマツダに対して、現状では「売れっ子」とは言えない状況の沢村さんは、マツダに少々嫌気がさしたのかもしれない。2年前に書いたロータリーに関する文章に、最新の東京MSの状況を交えて痛烈な批判を展開している。60年代にロータリー実用化に尽力した技術者には最大限の敬意は払うけども、その技術を「出す出す詐欺」に使う今のマツダ経営陣や、それをネタにする『安っぽい』ヒョーロンカと、『安っぽい』知識で軽薄に盛り上がるファンに対しての憎しみをあらわにしている。
『ヴァンケル・ロータリーは20世紀最大の技術詐欺!!』とまで書いているし、それが『有識者』の間では常識だ!!とまで断言している。どんな輩がそんな常識を共有しているのか知らないけど、そいつらに訊いてみたい。なぜその『技術詐欺』はルマンから締め出されたのか!? 私のようなど素人でもすぐに思いつくことなので、沢村さんの読者の多くが感じているはずだが、それにについての言及はされてない。レギュレーションで縛っていたはずなのに、実際にレースをしてみるとあまりにも強過ぎるから、マツダが優勝した1991年を最後に参戦が認められなくなったロータリー。
なぜ技術詐欺はルマンを制覇できたのか!?
耐久性と速さで世界の頂点を極めたエンジンがなぜ「技術詐欺」なのか!?もし知っているなら暴露してくれないと納得しないですよ!!あのルマンは実は『ヤラセ』だったってことかぁ!? ごまかしがきかない世界最高峰のレースでその実力を存分に発揮したエンジンが「技術詐欺」ならば、それに勝てなかった他のレシプロエンジンは一体なんなんだ(ゴミか)!? 本末転倒だが、エネルギー効率がわずか30%程度しかないガソリンエンジン全般がそもそも「詐欺」みたいなもんじゃないの!? そんな状況を冷静に判断して書いているのかわからないけど、還暦近いライターが大学の先生の言葉を一言一句引用して、必死に「詐欺」と煽っている以上はそれなりの説明責任はあると思う。
トヨタやホンダが市販に漕ぎ着けたFCVも、元々は1台の価格が2億円という「技術詐欺」に過ぎなかったけども、10年かけてメーカーの努力の結果700万円台での販売にまで漕ぎ着けました。大手メーカーが真剣に取り組む技術のほとんどは、これと同じように2億円かければなんでも実用化できるけど、それを300万円のクルマに搭載して利益を挙げられるか!?という点でつまづくのだと思う。そりゃそうだ世界では無人兵器がたくさん作られているのに、クルマの自動運転なんて2億円かければ楽勝で実現するだろうよ。なぜ沢村さんは「技術詐欺」という言葉と使ったのか!?もしそれが妥当だとするならば、ロータリーエンジンにはレシプロエンジンに勝てる要素は何一つも残ってない『完全に無能』という意味なのか!? それとも『夢のエンジン』という表現には程遠いごくごくありふれた性能のエンジンという意味なのか!?
根は深いところにありそうだ。
とりあえず『完全に無能』という説は、ルマン制覇や、ロータリーエンジンの走りが60年代から90年代に渡って街中に与え続けてきたインパクトを考えると的外れだと思われる。沢村さん自体もこの文章の中でロータリーの美点はしっかりと記述している。なぜマツダがスポーツカー用ユニットとして最後まで使い続けたか!?についての「ごくごくありふれた」見解についてもわざわざ紙面を割いて書いている。「ロータリーは小型軽量で高性能!!」といったくだらない批判を防ぐためだろうけど。
沢村さんは大学教授の見解だけでなく、ある種のロータリーエンジンが持つ「ネガティブな面」から生まれる、ロータリー否定論ともいうべき世論を味方にこの文章を書いている。これは俺の意見(だけ)では無い!!ある種のポピュリズムを利用している。恐らく「ロータリー否定論」は、5年ほど前まで市販されていた、RX8という300万円そこそこで買える『みんなのスポーツカー』が、7km/L程度の実燃費で走るという受け入れがたい感覚的な『ズレ』が諸悪の根源ではないか!?と思われる。
7km/Lでもポルシェやフェラーリのエンジンならば「詐欺」とはまず言われないだろう。ポルシェの7km/Lは許せるけど、マツダの7km/Lは絶対に受け入れられないってことなんだと思う。なんかわかるような不条理なような・・・。そんなふわふわした世界共通?の『差別意識』を巧みに利用して、自説の正当性を主張するライターこそがよっぽど『詐欺』だと思うけども。
調子に乗っているヤツに冷や水をかけたい気持ちはわかるけど
「ロータリー発売します詐欺」だと断言されてしまったマツダ。「NSX出します詐欺」「S2000出します詐欺」「ヨタハチ出します詐欺」「シルビア出します詐欺」「ランエボ復活します詐欺」については不問ですか!? 2012年にラインナップから消えてまだ5年しか経っていないロータリーだけが叩かれるのか!?(何がそんなに気に入らないのか!?)
本文をじっくり読むと書いてあることは、ロータリーエンジンについて語りつくされてきたことの総集編。しかも厄介なことに『山のような宿痾』の新事実が全く見えてこない。「レシプロエンジンと本質的には同じ」って書いてあるけども、燃料を爆発させているという意味では同じなのは素人にもわかる。この点に関してはロータリーの信者たちもおそらく勘違いなんてしていないと思う。高校で物理を学んだ世代なら誰でも理解できる。・・・この辺から読んでてウズウズしたんですよ。どうもこの一編だけは、対象としている読者が違うんじゃないかって。
休日になると自慢のRX8でお台場辺りの愛車イベントに繰り出す連中を、ちょっくら茶化してやろう!?って意図があったんじゃないですか!?沢村さんが得意なはずの技術の説明のレベルが低くなっている。沢村さんの文章でここまで展開が稚拙でがっかりさせられたものは記憶にないです。皮肉なことにこの14巻に収録されているものの他の作品は、非常に質の高いものが多いです。巻頭に入っている現行Eクラスをボロクソに貶す話も、ちょっと無理やりな感じこそあったものの『他では絶対に読めない』希少さだけは十分に確保されていた。
逃げ道を用意してやった
しかしこのロータリーの話だけは完全にデジャブでしかなかった。失礼だが何も新しいものが構築できていない。さらにいうと、長文の中でいくつものロータリーエンジンの美点について触れておきながら、それを「詐欺」で「無用」と切り捨てる根拠がよくわからなかった。強いていうならばマツダには300万円に仕立てるだけの技術と資金は無い!!という「マツダ限界論」以外に納得できる論拠はどこにもなかった。ポルシェとマツダだけはエンジンに関する特許を今もたくさん取得しているのに。世界でたった2つだけ残ったエンジン屋を今更に叩いて何が楽しいのだろうか!?
もしかしたら、この14巻の半分以上のページを割いて書かれている「NSX」に関する総論に向けての、栄誉ある「前座」としてロータリーの話が選ばれたのかもしれない。ホンダの技術に脚光を当てる前に、国沢さんや清水さんといった売れっ子と仲良くしているマツダをボコボコにして、本論へと誘うために!?・・・・いやいや違う。絶対に別の理由であってほしい。
14巻に込められた沢村さんの意図はおそらく他にあると思う。ホンダが8年かけて復活させたNSXの大特集とともにロータリーの話を収録することで、マツダに一層の奮起を期待しているのかもしれない。「沢村何くそ!!」と言わせる。沸点が低そうなマツダの経営陣をあからさまに挑発しているのでは!? これ誰が読んでも「ロータリー出す出す詐欺」という表現にはやや疑問を持つはず。だってNSXも今まで散々にファンを振り回してきたじゃねーか!? 挙句の果てに2300万円かよ。同じコストをかければマツダはもっと凄いロータリーのスーパースポーツを作れると思うが!? そんな不満を承知の上で収録した本当の意図を是非本人に訊いてみたいものだ。
ラベル:沢村慎太朗