2013年09月11日

マツダ・フラッグシップ論:中型車の理想型は?

  マツダのディーラーがなぜか歯切れの悪いセールス・トークでスカイアクティブDを奨めてくる。私自身がそう思っているからかもしれないが、ディーゼル・ターボは本来マツダ車に相応しいエンジンではないけど、良い点もたくさんありますよといった調子だ。ディーゼルの本場である欧州のメーカーを喰ってしまうほどのエンジンだということは重々承知しているが、ガソリンエンジンと比べればすべての土台は崩れてしまう。

  「選ばれるクルマ」を作る能力の高さにおいてマツダを凌ぐメーカーは世界中を探してもほとんどないと言えるほど、マツダは「志」の高いメーカーだ。RX-7、RX-8、アテンザといずれの代表モデルも、究極にクルマライフを楽しむ為に考え尽くされた設計が施された不朽の名車ばかりだ。最高に幸せなライフスタイルの為に作られた、最高のクルマ。そのデザインは10年経っても朽ち果てることはなく、今なお現役バリバリで新車で十分に売れるほどのスタイルを誇る。10年前のマセラティやBMWのデザインはとっくの昔に寿命が尽きていることを考えると、これは「奇跡的」ですらある。

  マツダの絶対的な能力に惹かれてユーザーになったファンにとって、新型アテンザが果たしてその系譜に相応しいクルマなのか? デザインはともかく、一番気に入らないと感じる点が、とりあえず「ディーゼル載せました」というブレきった姿勢だ。CX-5がヒットしたので、アテンザのキャラクターを無視してそのまま載せましたという「思考停止」っぷりを見せつけられては、疑心暗鬼になるのも無理はない。さらに決算発表の質問にいつもイライラしながら答弁する「小者」の山内前社長が「マツダの歴史で間違いなく最高の1台」と軽々しく吠えるのを聞いて、「こりゃダメかも・・・」と懐疑の想いを強くしたファンも多いのではないか。

  ただ「失敗作」と罵られる類いのクルマではないとは思う。実際にマツダの業績を押し上げる原動力になっているし、先代よりもあらゆる部分が「解りやすい」ので、ライバルとの比較という意味での競争力は確実に高まっている。しかし競争力が高いということは、裏返せばライバルと比較可能な要素が多いということである。現実にスペースに優れたFFセダンとしても、ディーゼルで加速力に優れたセダンとしても、他社のセダンで代用可能だ。

  一方で先代アテンザは、代えが効かない「特別なクルマ」だった。FFで直噴のショートストロークエンジンで、前輪サスにダブルウィッシュボーンを使い、車重を1400kgに抑えたDセグセダンなんて世界中探しても無かった。その存在意義はポルシェのRRのスポーツカーと同じと言っていいほどの孤高のスピリットに包まれていた。ポルシェだって赤字になったのだから、こんなクルマをフラッグシップにしていたらマツダも赤字になって当然だったかもしれない。だけどその狂気に包まれた設計こそが歴史的名車の条件だと私は思う。

  現行のCX-5やアテンザの好調に湧くマツダは、やがて時間の経過とともに「カラカラ」に乾いていくだろう。マツダが切望している「プレミアム・ブランド」とはBMWやアウディを指すのだろうが、これらのブランドも今ではもはや「カッサカサ」で、クルマとしての至高の価値を持つモデルはほとんど無くなってきている。もはや富裕層のクルママニアが振り向くようなブランドではなく、とてもじゃないが1000万円の価値があるクルマを作る(作れる)ブランドでもないのだ。

  モジュラー化の最先端をひた走るBMWやアウディと、旧態依然の自社開発に固執する「化石企業」マツダのクルマ作りに置ける基本的なポジションは対極といえる。「開発力」という経営資源を本質的には必要としないモジュラーなクルマ作りは誰の目にも「技術」のマツダが採るべきスタイルではないのは明らかだ。ましてや同じ土俵で相撲を取ったところでBMWやアウディとは収益力に大きな違いがあるのだから、永遠に差がつまらない不利を抱えてしまう。

  たとえマツダが自社開発を縮小し、部品メーカーに開発を丸投げするBMWやアウディのスタイルへと変化したところで、ブランド力にまだまだ差があることは明白なので、勝負にならないし、その方針ではおそらくマツダは生き残れない宿命にある。ほんの2年前までは経営破綻の危機の真っただ中にいたマツダは、フォードやトヨタが一目置くほどの先端技術を蓄積していたことで「破綻」を免れた。

  アテンザのフロントサスがストラットに代わり、エンジンがロングストローク化され、気がつけばカムリやティアナと変わらない設計になってしまった。カムリやティアナは世界販売で年間30万台以上を売り上げる大ヒット車だ。年産12万台が目標のアテンザが全く相手にならないとはいわないが、生産効率で考えた時にアテンザが不利なことは明らかだ。マツダの首脳部はデザインとディーゼルエンジンで差別化を図っているので勝算ありと考えているようだが、その差異は決定的といえるものではない。これだけで北米シェアを大きく切り取ることは至難の技だ。

  なんでこんな「博打」のような販売戦略になっているのか? あくまで推測だが、マツダが従来の主戦場としてディーゼルを投下する予定の欧州がなかなか危機から抜け出せず、自動車需要は明らかな下降線を辿っていて回復の兆しがまったく見えない。よってその埋め合わせに日本と北米にディーゼルを強引に持ち込むという、破れかぶれの販売戦略が策定されてしまったように思う。つまり設計段階から遭えなく頓挫した欧州戦略車としての設計のクルマを、その場凌ぎのキャッチを付けて日本や北米に投入し、減収減益が間違いない欧州市場の失敗を取り返そうという浅はかな計画にすぎない。そんなブレブレになかから生まれた新型アテンザがここまで売れているということは、予想外の健闘ともいえるのだけど・・・。

  
↓最高のマツダ車に乗って聴きたい。「狂気的」な美しさの名曲ぞろいです。このテンションでクルマ設計してくれ・・・。


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2013年06月05日

マツダのWEBプロモーションが冴え渡っている

  マツダのWEB広告の動画がとてもよく出来ている。「マツダは自分で乗ってつまらないと思うクルマは絶対につくりません!」という非常に明快なメッセージがよく伝わってくる。コピーも素晴らしいし、具体的なことや小難しいことを全て投げ捨てて、「クルマに馴染みがない人々」に特に強く訴えているように思う。それでいて今 のクルマが抱える欠点を具体的に指摘しているわけではないのに、そのメッセージへの共感には、他社のクルマへの不満の感情が入り込んでくる。つくづく広告の奥深さを感じられる非常に良い広告動画だと思う。

  そういえば新型アテンザのプロモーションにも、かなり綿密な「ブランディング」戦略が採られていた。テレビCMも「セダンが退屈なんて誰が言った?」というコピーとともに、人々の意識を「変える」という広告の原点に忠実でとても秀逸だった。他社のCMと比べるとその違いは歴然としている。トヨタが同時期に流していた「マークX」や「オーリス」のCMは有名俳優を起用したり、奇抜な演出を使ったりで、注目を集めることには成功したが、あれを見てなんらかの「意識の変化」が人々に起こるとは考えずらい。マツダはさらに新型アテンザの雑誌メディアへの展開も、常にシチュエーションにこだわった写真を多用していて、常に消費者に「イメージ」を湧かせる視点が豊富だったように思う。オーリスのプロモーションを見て「自分のクルマ」として豊かに想像できるような演出が1つでもあっただろうか?

  実はマツダは先代アテンザのプロモーションにもかなりのこだわりを見せてはいた。WEBの発達と時期的にシンクロしていて、車体を被写体にして「アート」を強調した「写真集」をウェブ上で展開していたが、そういう広告手法がまだまだ自動車業界では浸透していない部分もあり、「実験的」なもので終わっていたような気がする。それでも2代目アテンザはマツダ社内でも「アート」なクルマという評価が強かったのだろうなと思わせる、とても美しいプロモーション動画だった。その動画を見た、私のような「少数派」?は確実のその世界観に惹き込まれたのではないだろうか?

  そんな下地があったことで、新型アテンザのプロモーションはさらに完成度が高かった。今やクルマの情報はWEBの検索で必要なことはほぼ全て分かってしまう時代になってきて、2代目アテンザの頃よりも格段にWEBでのプロモーションの効率性が高まっているのではないかと感じる。さらにテレビCMより割安で、手軽に多くのバリエーションの動画を「時間的な制約」もなく作ることができるので、より大掛かりで「壮大な世界観」を呈示することも可能になった。テレビCMではとても取込めなかった「潜在的購入者」に向けて、とてもリアリティがある世界観を動画で示すことで、比較的容易に新たなファンを獲得してしまうことも可能になったように思う。

  「WEBマーケティング時代」の到来に日本メーカーで一番早く対応していたのは、間違いなくマツダだと思う。ヴィジュアルで無限にアプローチしていける「WEB広告」では、なによりも「見た目」(デザイン)が重要視される。マツダは恐らく「プロモーションの形態」の変化がクルマ作りの前提になっていて、それに基づいて製品の企画が行われたのではないか?と思わせるほど「デザイン」に力を入れてきている。「カッコイイ車と人と世界」を破綻無く映し出すことに成功すれば、クルマなんていくらでも売れる時代になってきているとも言える。

  もちろんマツダだけでなく、ライバルメーカーもそんなことは十分に分かっているはずだ。トヨタも「レクサスIS」で、日産も「インフィニティQ50」で同様のプロモーションを仕掛けて来ている。その一方でホンダもカッコイイWEB動画を作ってはいるが、その動画には肝心なものが欠けている。今のところホンダのラインナップにはWEBのプロモーションに耐えうる(適した)デザインのクルマが見当たらないのだ。ホンダの動画を見ると、とてもホンダというブランドは好きになるのだが、「肝心のクルマは?」という素朴な疑問が巻き起こってしまう・・・。

↓これに使われている写真にも徹底したマツダのこだわりを感じる。

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2013年05月31日

アクセラとの違いが明確ではないアテンザはアクセラFMCとともに「新グレード」設定の噂が・・・

  日本でもかつては不人気と言われていたハッチバックが、いつの間にか時とともに日本人の嗜好も変わり、完全に主力車種になった印象があります。トヨタが「日本にハッチバックを根付かせる」と意気込んだ10年前には、ハッチバックは日本人の感性には合わないと言われていたものだったですが、予想外の早さで状況は変わっていきました。トヨタの意図はかなり空転しましたが、結果的には日本にしっかりと根付きました。しかしCセグハッチバックに関していえば、完全に輸入車によって日本でのハッチバック人気は決定付けられたと言えます。

  VWのゴルフに続いて、アウディとBMWが「プレミアムCセグハッチ」を投入した辺りがターニングポイントになりました。今ではメルセデスやボルボといった保守的イメージが先行するメーカーも今年辺りからこのジャンルに鼻息荒く参入して来ました。インプレッサなどの国産Cセグハッチも今でこそ高く評価されていますが、以前はハッチバックのWRXが不人気になるなど、なかなかすんなりと受け入れられなかったのも事実です。ドイツ車のハッチバックが複数ラインナップされるようになり、そのドイツ車と同等以上の性能があり本場の欧州でも好評のインプッレッサとアクセラに関しては日本での評価もかなり変わってきました。以前はそれこそ「コンパクトカー」の一種のような扱いでしたが、今では「クオリティカー」として認知されるようになってきました。

  スバルもマツダもこのCセグの日本車を盛り上げるために、ハイパワー・ターボモデルを比較的低価格で設定していて、これは今では一番お手軽に買える「スポーツモデル」となっています(ギャランフォルティス・ラリーアートというのもあります)。しかしどういうわけか、これらのモデルが欧州の「ホットハッチ」の文脈で語られることは、以外に少なかったりします(パワーがあり過ぎるからなのか?)。

  欧州では「ハッチバック」は「セダン」に比べて車体重量がかなり軽く、出力を少し上げれば軽快な加速に特徴があるクルマになります。欧州ではこの「軽快さ」が多くの人々の支持を受け、セダンよりもドライビングを楽しめるクルマとして「ホットハッチ」と呼ばれているようです。しかし日本車では元々ハッチバックよりも「スポーツセダン」の発達の方が先行してしまいました。欧州のセダンよりも軽量で運転が楽しいミドルクラスセダンが次々と生まれ、長い間3BOXカーが圧倒的な人気を誇りました。その後に広まったハッチバックは日本ではあくまでコンパクトカーであり、高性能なものもセダンと同等の車重があったりして、極めて近似したクルマでしかなかったので、「異形のスポーツセダン」あるいは「スポーツカー」に分類されてしまった印象があります。つまり日本車ではセダンとハッチバックの境目が欧州車ほどはっきりしてはいないということです。

  マツダの「アテンザ」と「アクセラ」もこの状況からもわかるように、車重やスペックにおいてかなり似たり寄ったりな状態です。さらに新型アテンザのフロントサスの変更もあって、さらにこの2台の距離は縮まり、似たようなクルマになりつつあります。FFゆえに高出力化が難しいアテンザと、欧州では「ホットハッチ」と認識されるアクセラは必要とされるスペックはほとんど同じと言ってもいいくらいです。キャビンの大きさもほぼ一緒なので居住性にも大きな差はなく、インパネなどの内装もほぼ同じものが使われています。

  マツダとしては、今後より一層のアテンザのブランド化を図るためにも、世界中で人気を博すアクセラとの差別化を真剣に考えている時期なのだと思います。その一端はすでにいろいろなところで見られていて、東京オートサロンでも展示されたような「超高級オーディオ」を備えた「快適なアテンザ」であるとか、某雑誌のスクープによると、アテンザをアクセラよりも先にHV化し、高出力でのチューンナップが難しい代わりに低燃費を図るための工夫をアテンザに新グレードとして持ち込む可能性もあるだろう。さらにイギリスメディア(BBC)が報じるところによれば、アテンザの「ターボ」モデルとクーペの商品化が決定的だと言われています。今後のマツダのアテンザ&アクセラの差別化戦略がいろいろと楽しみですね・・・。




  
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2013年05月25日

世界的に良質なセダンが不足しているようで、アテンザの現地生産拡大が止まらない・・・

  マツダというメーカーはバブル後に経営危機に陥り、フォードの支援のもと2000年代に再スタートを切ったことが広く知られているが、今もなお世界では「過去の栄光」を遺産として販売を維持している。ヨーロッパにおけるマツダのイメージを、日本人の感覚に置き換えると、英国スポーツカーメーカー「ロータス」がスポーツカーに加えてハッチバックやセダンを売っている感じに近いようだ。もしロータスが日本で突然セダンを売り出したら、相当の注目を浴びるのではないかと思う。ロータス・エリーゼのような「軽さ」を武器にしたスポーツセダンをロータスが本気で作ったらさぞ楽しいクルマじゃないかと想像してしまう。

  ヨーロッパ人にとって「東洋のロータス」くらいのイメージがマツダだったりします。RX-7やロードスターはスポーツカーの定番と言えるほど確固たる地位を得ているわけですが、そんなマツダが2002年に送り込んできた「スポーツセダン」が初代アテンザでした。このクルマはマツダの想像を遥かに上回るの大ヒットを遂げますが、欧州でのスポーツイメージそのままに仕上げたセダンということで、売れて当然だったのかなという気がします。欧州のセダンよりも軽いボディと極上のハンドリングで「スポーツ走行」向けにこだわって作ったことが功を奏したようです。

  そんな「初代アテンザ」はまだまだ人気なようで、中国の「第一汽車」では今でもノックダウン生産が続けられています(2代目も作っています)。日本のメディアでは「VW」に差をつけられている「トヨタ」が苦戦する中国市場くらいしか伝わっていませんが、日本車の人気は決して低くはなく、トップシェアを誇るVWグループよりもクルマ自体は人気だったりします。余談ですが、中国市場におけるVWグループは実はかなり「闇に包まれている」ようで、先日も日本ではほとんど聞かれないVW車に対する苦情が中国の主要メディアで激しく報じられ、とうとうVWがリコールを発表する自体になった。そこでこともあろうかVWはほぼ全車で使っている「2ペダルMT」のリコールについて、東アジアの高い湿度では耐久性に問題があることを認め、大気汚染がひどい中国ではさらに劣化が早まると発表した。

  急拡大する中国・ロシア・東南アジアといった市場に投入される、トヨタや日産、VW、GMのクルマは「巨大ブランドの安心感」を武器に販売を伸ばしていますが、現実に投入されているクルマの中には本来のブランドを象徴するようなモデル(素晴らしいモデル)とはかけ離れているものが多いように感じます。一方でプレミアムブランドも中国などでは大人気のようですが、こちらもスポーツセダンのホイールベースを無理矢理引き延ばしたような設計の「中国向けプレミアム」が横行していて、まだまだクルマ文化に馴染みが無い人々を手玉に取るような商売が多いようです。そんな市場に「全世界型」セダンのアテンザを投入すれば人気が出ないわけがないわけで、同然ながら現地生産&ライセンスが大人気です。中国市場のライバルで実力派のクルマは「カムリ」などの北米向けセダンばかりなので、「アテンザ」ならちょっと走れば抜群のハンドリングで運転の楽しさを感じられるクルマだと解るはずです。

  中国のクルマの生産台数は日本やアメリカを3年前に追い抜かし、年産1000万台を超えています。GM・VW・フォード・トヨタ・日産のライセンス車種ばかりではなく、BMWのライセンス車(BMなのにV6エンジンです!)もあります。マツダ車はアテンザのみが「一汽」でライセンス生産が行われ、他の車種がフォードの合弁工場で作られていました。2010年頃のフォードの合弁解消に伴って、「中国長安」がマツダベースの独自ブランド車(いわゆるパクリ車)を作っているようです。2000年頃には中国メーカーは雲霞のごとく多数のメーカーが生まれましたが、いまはだいぶ淘汰が進み「三大メーカー」(一汽・東風・上海汽車)を中心に絞られてきています。

  日中間の関係の悪化以来、連日のように日本車の販売が鈍いという報道が続いています。確かに日本メーカーの輸出車よりもVWやGMが販売面でリードしている状況は事実ですが、一方で中国最大級のメーカーのラインナップの中心は日本車をベースにしたモデルばかりなので、それを加えた「日系メーカー技術車」という括りならば、断然に日本車が多く売れています。販売面では「中国のトヨタ」といった地位にある「第一汽車グループ」(政府系最古参メーカー)のラインナップを見ると、高級車のほとんどが日本車ベース(クラウンマジェスタとアテンザ)です。大衆車も日本車ベース(デミオとシャレード)が多いですがドイツ車ベース(ゴルフ)も見られます。

  ちなみに2番手の「東風汽車」は日産のライセンスを受けていて、日産の廉価モデルをベースにしたクルマが多いですが、そこにホンダやPSA(シトロエン)が加わり3つ巴のライセンス体制へ移行しています。主力は小型車とミニバンばかりで高級車の設定はほとんどないようです。3番手の「上海汽車」は英国のローバーを買収して再建に乗り出しているほか、GMからの技術供与を受けていて、一番日本メーカーに縁がないメーカーです。「ローバー」や「ビュイック」などのブランドイメージを前面に出して現在躍進中だと言われています。

  マツダが製造するクルマの中国でのシェアは、まだまだ少ないのですが、中国人はもうすでにマツダの「ハンドリング」はライセンスの「一汽」の主力セダンで体感しています。もしマツダよりもヒュンダイやオペル(GM)の技術が上ならば、「一汽」の主力の座は移っていくでしょう。いまやメルセデスやキャデラックといった有名ブランドも参入したくてしょうがない「中国市場」の頂点(一汽の主力)は、今なお「マジェスタ」と「アテンザ」が占めています。結局は日本で売れに売れている「クラウン」と「アテンザ」は世界で見ても間違いないクルマなのだということがわかります。日本車と輸入車の実力差を考えても、おそらく今後もトヨタ&マツダの「一汽」と日産&ホンダの「東風」における日本ライセンスの「地位」は決してなくならないと思います。


↓中国に見向きもしない「右翼メーカー」スバル(中島飛行機)・・・。「歴史的」に参入できません!


  
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2013年02月26日

アテンザは「3万米ドルカー」にしてしまってOKじゃないの?

  日本では思いっきり値上げをした新型アテンザですが、北米市場ではお値段据え置きになっています。北米では消費者に分かりやすくするためか、同サイズのクルマはほぼ同じ値段で売られています。アテンザの「Dセグセダン」は普通の車種なら約2万ドル〜、プレミアムブランドだと約3万ドル〜で見事に横並びになっています。新型アテンザは「2万ドルグループ」になります。主なライバルは・・・、フォードフォーカス、VWパサート、GMシボレーマリブ、クライスラー200といった面々(あと日本勢とヒュンダイソナタ)です。一番のお買い得は2万ドルを切っているクライスラー200ですが、一番強気なトヨタカムリと比べてもほとんど差はないです。

  「3万ドルグループ」はいずれも日本でおなじみのクルマばかりです(400万円グループ?)。厳密に言うと「フルサイズセダン」(クライスラー300・日産マキシマ)と「プレミアムDセグ」に分かれます。アテンザのライバルのクルマはほとんどこっちのグループなので、北米アテンザも一気に値上げして「プレミアム」にすべきだと思うのですが、しなかったですね。クライスラー300が3万ドルを切る価格設定なので、マツダも2万8千ドルくらいに設定してもよかったのでは?ちなみに一番強気な価格設定をしてるのが、インフィニティG(スカイライン)です。3.7Lのみの設定なのでベースからとても高いようです。次にメルセデスC・レクサスIS・ヒュンダイジェネシスの3台が高価です。

  アテンザもイギリスメディアが伝えているように、「3万ドルグループ」に突入すべくマツダは作戦を練っているようです。有力な手段が「クーペ&4WD&ターボ/3.7Lエンジン」の設定のアテンザ・クーペを設定する方法のようです。そのためには「3万ドルグループ」にふさわしい高級感あるデザインのクーペボディを用意する必要があります。さらに4ドアセダンも内装をさらに高級に作り換えて、エンジンを大型にして、車名を変えて出す方法もあるようです。

  GMグループの高級ブランドの一つ「ビュイック」のリーガルというセダンは「3万ドルグループ」に属しているのですが、内外装の質感を比べてみるとどうやらアテンザとほぼ同じくらいクオリティに作られています。またホンダのプレミアムブランド「アキュラ」もTSXというアコードベースのセダンを同じく「3万ドルグループ」で売っています(アコードはホンダブランドで「2万ドルグル―プ」のもある)。新型アテンザはアコードよりむしろTSXに近い出来になっているとも思います。せっかくあれだけのクルマを作ったのだから、北米でも強気に出てほしかったと思います。日本のユーザーにだけ高価格を押し付けるマツダのやり方にはやや疑問ですね・・・。
  


↓本日発売です。セレブのクルマ選びをターゲットにした雑誌ですね(高級車中心)。「アテンザクーペ」もこの雑誌の表紙になれるようにがんばれ(相当ハードル高いですが)!


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2013年02月09日

アテンザクーペは必要か?

  アテンザクーペは作られることは決まっているらしい、ディーラーで聞いたので間違いないと思います。ただ日本で発売されるかどうかが微妙だそうです。並行輸入は可能ですが、右ハンドルモデルが作られるかどうかわからないです。ただオーストラリアやニュージーランドといった右ハンドルの国でマツダ車の人気が高まっているので、ここは一気に作ってしまった方がいいのではないかと思います。メルセデスやBMWの右ハンドル車は南アフリカ生産車が多いせいで、日本生産のマツダはイメージが良いらしく人気が上がっているようです。また右ハンドル市場は米・独の高級車が参入しなかったり(キャデラックATSは売る気あるのか?)、ホンダのアキュラも当面は左ハンドル国のみの展開のようなので、かなりライバルが手薄でマツダにとっては絶好のチャンスだと思います(そんなに市場は大きくないですが)。欧州全体で11万台/年なのに、豪州のみで10万台/年という実績は「右ハンドルの帝王」マツダらしいですね。

  豪州メーカーのホールデン(豪州GM)は、イギリスのボクスホール(英国GM)にVXR8という大型セダンをOEMしていて、これがあのトップ・ギアにもウケていて人気が出ているらしい。MAZDA6(アテンザ)と並んで「右ハンドル」セダンのクオリティの良さがイギリスで人気のようです。マツダもここは負けずにディーゼルターボのクーペを右ハンドル国へ一気に展開して「帝王」の座を守らないとシェアを奪われるかも知れません。ちなみにボクスホールVXR8はトップ・ギアが出している「Fastest Car 100」という図鑑に載っています。日本車はトヨタ2(LFA・IS-F)、ホンダ2(シビックtype-R、NSX)、日産(GT-R)、三菱(エボX)、スバル(WRX)の7台のみです。マツダもアテンザもルマン参戦などでイメージの再構築を図ってはいますが・・・。

  モータースポーツもいいですが、市販車の性能の高さでも勝負してほしいですね。日本では「そんなの必要か?」と思われているレクサスのLFAやIS-Fがわざわざ作られているのは、欧州販売にはこういうモデルが必要だからです(実際、LFAやIS-Fが出た後からマツダは欧州シェアでトヨタに負けるようになりました)。そのためにもアテンザクーペにスペシャルエンジン積んで、マツダの自社製スポーツミッションと専用サス設計を盛り込んで発売して新しいマツダの「力強い」イメージを作り上げるべきだなと感じます。新型アテンザのセダン・ワゴンのストラットサスに不満な初代・先代のアテンザファンは喜んで買うと思いますよ。



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2013年01月25日

円安でマツダ時代がはじまるか?

  このブログでもあーだこーだ書いてますが、やはり新型アテンザはマツダにとってかけがえの無いクルマだ。せっかくなので「アテンザシリーズ」と呼ばれるほどの様々なラインナップを増やして一大ブランド車に育ててほしい。現在はセダンとワゴンの2形状・ベースとLパッケージの2グレード・エンジン3種類で12タイプ+MT設定ありくらいのバリエーションしかない。今後MSP(ターボ)とクーペが作られるそうだ。確かに必要十分ではあるのだけど、マツダが掲げるBMWやアウディといったライバルと比べると物足りない。まるで小型車専門のメーカーが新たな取り組みとして「Dセグ作ってみました」というくらいの控えめな印象だ。発売を前倒ししたせいで4WDの設定すらない。マツダはもともと4WDは門外漢かもしれないが・・・。
  円安で余裕が出てきたところで、ここはひとつアメリカ向けの3.7Lエンジンにターボを付けて400馬力オーバーのマツダ史上最高出力のクルマを作って、いまだにマツダ=RX-7だと思っている人々の度肝を抜いてみてはどうだろうか?マツダのかつての栄光はもちろん素晴らしいものだが、それが今のマツダにダイレクトに受け継がれていると考える人は少ない。マツダはこれからRX-7なんて知らない若い人に支持されるブランドになってゆくと思う。RX-7が生産中止になって10年以上が経過しているのに、そのクルマを超える評価を得られるクルマが作れていないのはブランドにとって致命傷だ。BMWにしろアウディにしろブランド史上最高と思われるくらいに魅力溢れるモデルを毎年のように発表している。確かに量産モデルのスポーツカーの中では世界最高とすら言われる伝説化したRX-7はBMWやアウディの歴代全モデルよりも遥かに偉大な存在だ。「ピュアスポーツカー」として同じクルマを作るのはもう不可能なほどだ。しかしブランドのアイコンである伝説の「直6エンジン」を排ガス基準でHVなしには使えなくなっているBMWは過去を乗り越えて、さらに良いクルマを作っているのだ。くやしいがこれこそが真のプレミアムブランドなのだと思う。マツダが今後、プレミアムミドルクラスを中心にやっていくならば、新たなブランドアイコンで過去の栄光を塗り替えることが必要だと思う。






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