2014年08月08日

コスパのマツダから極上のマツダへ

 ちょっと前までは「マツダを選んでおけばとりあえず後悔しない!」というくらいに、クオリティカー市場におけるマツダ車のコスパには絶対的な信頼感がありました。しかし年々高性能車の市場が縮小して次々と名門ブランドがフェードアウトしていく中で、たとえ有名ブランドであっても生き残りを賭けてなかなか魅力的までに価格を下げてきたりしています。もっともその手のクルマは、失礼ですが大抵はマツダ車よりもお粗末な造りなので、とりあえずはまだまだマツダの優位性は揺らがないですし、本質的な脅威にはならないかもしれません。

  しかし、近年は少々出しゃばり過ぎた感のあるマツダ車は、これまでのようにBMWやアルファロメオを追いかける側から、逆に他のブランドによって追いかけられる側になりつつあるようです。「アクセラXD」は豪華装備を標準装備とはいえ300万円という「セット価格」で販売されていますが、これに勝るとも劣らないコスパを発揮しているのが「ルノー・メガーヌ・ハッチバックGT220」で何と!新たに「317万円」で発売されます。ゴルフやAクラスのベースグレードが買える価格でルノーなら220psも出力が付いてくるわけですから、これはなかなか良さげです。強いて弱点を言うならば、一般的な内装の好みではドイツ勢やアクセラが優勢かもしれませんが・・・。

  現在「マツダスピードアクセラ(MSアクセラ)」は公式サイト上から削除されています。MSアクセラと同じように、系列のチューニングメーカーが作る高性能化した改造乗用車であるレクサスIS-FはベースモデルがFMCした後も、小変更を施したイヤーモデルが登場していて、どうやらRC-Fにバトンタッチするまで400psオーバーのハイスペックモデルは常設されるようです。マツダも2017年に予定されているらしい新型MSアクセラの発売まで、マツダ唯一と言える200psオーバーのモデルを残しておくべきだったのでは?

  MSアクセラのやたらと早い「店じまい」の理由としては、エンジン生産の合理化を推し進めるマツダ全体としての事情があると思われます。そしてマツダが「スカイアクティブ」と商標を打つほどに特殊性を強調する新世代ガソリン=レシプロエンジンはどうやら過給器が付くことを全く想定していないようです。そもそもマツダのエンジン開発部門のボス的存在の人見光男・執行役員の本によれば、「ガソリンターボは低次元な技術」と完全に切り捨てています。「オレは真のエンジニアとしてそんなくだらないもの(ターボ)は作りたくない!」みたいなことを仰られています。

  なんというプライドの高さ・・・「マツダはもはやBMW、メルセデス、アウディなんか眼中にない!フェラーリやポルシェでも作れないくらいの超絶エンジンのブランドになる!」という意志表示みたいなものですかね。なんか凄過ぎてマツダ好きの私にもなんだか付いて行けないのですが、とりあえず鳥肌が立つような興奮を覚えますし!スカイアクティブ車を買って陰ながら応援したいと思います。「ダウンサイジングを掲げたブランドは終了!」だからマツダは決してやらない!ということだそうです。フォード、ジャガー、ボルボが三者三様にダウンサイジング技術を競っていますが、かつての盟友はどうやら堕落していったようです・・・。

  とにかくマツダのガソリンエンジンは「ターボの否定」に始まり、とりあえず「HV」も試してはいますが、基本はどこまで行っても「NA」になりそうです。トヨタ・日産の上級モデルが全てHV専用車になり、スバル車が全てターボになっても、マツダだけはフェラーリ、ポルシェ、ランボルギーニと同じ「NA」に拘る!という心意気がいいですね。基本的な考え方は「レクサスLFA」を当然のようにNAに拘って作ったトヨタの設計者の気高さを思わせます。余談ですがトヨタというメーカーは、そのハイエンドモデルを見ると絶対に踏み外さない「王道のストイックさ」がよくわかります。

  なぜマツダは海外市場がメインなのにターボを導入しないのか? ホンダも海外市場向けにダウンサイジングターボの採用に踏み切ったわけですが、まあフォードやホンダと同じことやっていても、とりあえず勝ち目はないでしょう。そして今のまま推移するならば、人見さんの言うようにメルセデス、BMW、アウディはどこかで行き詰まって自滅を迎えることでしょう。大変失礼ですが、乗っていて少しも楽しくないクルマが「プレミアムカー」だなんて笑わせてくれます。もちろんこれらのブランドには「AMG」「M」「アルピナ」「S」といった高性能グレードの部門があって、今でもなんとか面目を保ってはいますが。

  しかし残念なことに、マツダのクルマから人見さんの発言を裏付けるような「何か」が十分に発信されているか?といえばまだまだです。ここは一つ高圧縮スカイアクティブガソリンのV10エンジンでも作って、ラグジュアリーなミッドシップ(つまりスーパーカー)を作ってみてはいかがでしょうか? ダウンサイジングに堕ちていったブランドを批判するのならば、ぜひ「マツダは日本のフェラーリだ!」と高らかと宣言するマシンを期待したいです。
  


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2014年08月01日

マツダのさらなる躍動は欧州ブランドの復活がカギ?

  先日公開された新型デミオのプロトタイプには、車内を明るく照らすようなホワイトレザーのシートとコモディティがとても印象的でした。マツダは現在展開しているモデル群では、エクステリアだけでなくインテリアでも「マツダ」らしさの確立を目指しているようで、このホワイトレザーシートはそのコンセプトの根幹を担っているようです。よって新たにマツダ車を買うならば、多少の出費は覚悟でもこのインテリアをセレクトして、マツダの世界観をエクステリアからもインテリアからも感じておかなければ!という脅迫観念すら芽生えてきました。

  もちろんピアノブラックを多様したサイバー調のパネルに、レザーシートを選ぶ必要を感じさせないほどのマツダ自慢のファブリックシートの組み合わせたGHアテンザの標準インテリアで十分に快適ですし、今後もこの質感をキープしてくれればいいとl心から思います。実際にマツダが2007年の段階で確立していたシンプルでセンス溢れるインテリアは、レクサスやスバルをも魅了したようで、この3ブランドでそれぞれに「ピアノブラックの技法」を競っています。特に本質の追求に妥協がないレクサスの作り込みは凄まじいものがあり「IS」のコクピットには磨きぬかれた「錦」の質感を伴ってます。

  スバル「レヴォーグ」はマツダのコクピットデザインと差別化をするために、メタルやカーボンパネルを多様して「立体感」「剛性感」を前面に出して、レガシィやインプレッサの「マツダパクリ路線」から着実に脱却しています。そしてマツダはGJアテンザを例に挙げると、インパネよりも断然にハンドルとペダルが主役になるコクピットを目指しているようで、確実にそのコンセプトの「純度」が上がっています。評論家筋から寄せられるスカイアクティブ車の好評価は、おそらくどのブランドよりもクルマ操作の原点に根ざした設計のコクピットに秘密があるように思います。

  「IS」「レヴォーグ」「GJアテンザ」はそれぞれ三”車”三様でどれも素晴らしく良いと思うのですが、これらのコンセプトはシンプルながら、とても中毒性が強くて一度心酔してしまうと、クラウンやスカイラインのインパネが何だか仰々しくて「蛇足」に感じてしまいます。クラウンよりもカムリくらいの内装がしっくり来るという人には解ってもらえると思いますが・・・。

  さてレクサスやスバルだけでなくメルセデスやアウディといった一流ブランドとも肩を並べるような、世界中のアーバン・ストラクチャーにマッチした「ピアノブラック」のインテリアを確立しましたが、マツダの本拠・広島は日本で11番目の大都市とはいえ、瀬戸内海の燦々と輝く陽光を浴びる土地柄です。晴天の日が全国でも多い地域としてしられる瀬戸内海沿岸、そんな地域に根ざしたブランドの面目躍如となるモデルが「ロードスター」です。

  愛知や神奈川に本拠を構えるメーカーが、オープンモデルを作ったところで、「どうせアメリカ向けだろ・・・」と滑稽な視線を送られるだけなのに対して、マツダはその拠点がある地域の気候から鑑みて、唯一日本でオープンカーを作っても許されるブランドと言えるかもしれません。オープンカーはシートにホコリが積もりやすいので、レザーシートが必須と言われますが、地中海を思わせる瀬戸内海の日差しを跳ね返す「ホワイト」はマツダインテリアの魂が宿った色彩だと思います(無彩色ですが・・・)。

 地中海に面した地域であるフランス、イタリアといった国々の気候が育んだクルマがプジョーでありアルファロメオであるならば、2000年代のマツダがこの2つのブランドにあからさまに接近していった判断もなんとなく理解できます。同じような気候で作られるマツダのクルマもきっと地中海沿岸を走るのに向いているだろうと考えたかもしれません。デザインも見事に両ブランドをリスペクトしたものになりました。簡単に言えばパクリになるのかもしれませんが、そんなアクセラが欧州ではよく売れました。

  しかし2000年代後半の欧州危機でプジョーもアルファロメオも低迷し、今では欧州最大のドイツ市場を見ても、マツダがプジョーやアルファロメオよりも売れてしまっているほどです(ドイツ人はフランス車とイタリア車があまり好きではないようですが・・・)。マツダもプジョーやアルファロメオとシンクロするように業績が悪化したわけですが、いよいよ3ブランドともに低迷期を脱して「復活」を果たした印象がありますし、欧州を封鎖するVWグループの巨大な壁に挑み始めています。

  あくまで私感に過ぎないですが、マツダの世界観がさらに深みを増して、欧州や日本の「海辺の民」の人生に寄り添うような「官能的」なクルマを作るためには、プジョーやアルファロメオが再びグローバルで輝く存在に返り咲くことが重要なんじゃないかと思います。欧州COTYを獲った新型プジョー308のサイドやリアの肉体的な造形を見せつけられると、アクセラのデザインもまだまださらに伸び代がありそうだと思いますし、アルファ4Cの斬新すぎる設計とデザインは、まだまだロードスターには多くの可能性が残されているんじゃないか?と思わせてくれます。

  公開されたデミオのレザーによる内装は、アテンザやアクセラでおなじみの「Lパッケージ」がデミオにも設定されることを示しています。上級グレードのみに標準装備され、ベースグレードのメーカーオプションではホワイトレザーのシートは選べないのはおそらくデミオも同じでしょう。「Lパッケージ」はちょっと価格は高めになるかもしれないですが、マツダが目指した「極致」のクルマを体現したグレードを所有するのもロマンがあっていいと思います。マツダがひたすらにプレミアムブランドに追いつくために、メーカー目線の自己満足とは異質の「地域性」を重視したセルフブランディングでレクサスや日産を黙らせる「世界観」を築くためにも、プジョーやアルファロメオのさらなる興隆を期待したいです。


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2014年07月02日

いよいよVWの背中が見えてきた!

  発売当初から何度と無く比較されてきて、最終的に「どっちがいいの?」かよくわからないことになっている7代目ゴルフと3代目アクセラ。2013年下半期をゴルフは日本で月2000台ペースで快調に売り上げました。さすがは日本COTY受賞車といったところでしょうか。まだまだ閉鎖的な日本市場で輸入車にもかかわらずこれだけ売れてるのだから間違いなく快挙です。先代アクセラやオーリスの2倍以上の売れちゃってますし・・・。

  地元で負けるわけにはいかないアクセラは、ちょっと見ただけであれこれと無理しているのがわかるくらいのクオリティになりました。これは同業他社からはいろいろと嫌われているんだろうな〜と余計な心配も。もともとはVWが「売ってきた喧嘩」にマツダが全力で対抗しただけではあるんですが、ちょっとKYな感じが無きにしろあらず・・・。日本の自動車産業全体の威信にも関わる「クオリティ問題」に立ち上がったマツダに、トヨタも快くHVを提供するなど全力でアシスト?というのが舞台裏だったのかもしれません。あくまで想像ですが、トヨタと共同戦線を敷いて「やれ!」と背中を押してもらった部分は大きいと思いますね。「アメリカでデミオをヴィッツとして売ってやるから、心置きなくゴルフを倒せ!」くらいのことを言われているんじゃないでしょうか。

  もはやアテンザとのヒエラルキーなんて考えている余裕はなく、アテンザの売上が下がることなど全く恐れずに作り上げてしまったアクセラ。その甲斐あってか最初の半年ではなんとかゴルフの2倍程度の月4000台は確保することができました。もしマツダがこれほど全力で取り組まなかったら、完全に「やられて」いたかもしれません・・・日本市場では。

  そんなアクセラですが敵地ドイツではかなりの大健闘を見せているようで、マツダシェアも年明け以来衰えることなく120%台をキープしています。全体的にSUVが好調のアメリカでは、アクセラの伸びは限定的で、マツダの底上げを担っているのはもっぱらCX5のようです。アテンザとアクセラが昨年をいくらか上回る水準なのに対し、CX5は発売2年で1万台規模の「注目車種」に躍り出ました。北米での日本製SUVのロングヒット車といえば、トヨタRAV4とホンダCR-Vですが、FMCが遅れているこの2台を尻目に「快進撃」を続けています。

  日本ではアクセラを危機に陥れていたVWはSUVモデルの投入の遅れが響き、前年比80%とシェアが大幅に下がっています。去年までダブルスコアだったVWとマツダですが、80%に下がったVWと120%に伸びたマツダの差がみるみる縮まってきました。マツダのすぐ背後にはメルセデスとBMWそして復活を期すレクサスが続いていて、毎月のように順位が目まぐるしく変わっています。今後の展開で一番見通しがあるのが名門メルセデスでしょうか。新型「Cクラス」と期待のSUV「GLA」の強力コンビの投入でマツダ、BMW、レクサスを一気に突き放す体勢に入っているようです。

  今後の展開はどうなるかわかりませんが、世界最高クラスの中型車をそれぞれ持つ超一流ブランドが大決戦を繰り広げる中で、遅れをとるどころか力強く躍進する「マツダ・スピリッツ」はもっと日本で大々的に報じられてもいい気がするのですが・・・。もう何度もこのブログで触れてますが、「Car and Driver」も「Motor Trend」もテストをすれば、ナンバー1はいつも「MAZDA」です。アテンザもアクセラもCX5もまるで日本における「ゴルフ7」みたいな「世界トップ」という評価を受けています。ただアメリカ人の自動車ファンからしてみたら、「MAZDAって何なの?」みたいな複雑な感情が渦巻く頃かもしれませんが。

  マツダが掲げる目標として、「クルマが良くて売れるのではなく、ブランド自体が評価されて売れる」ことを目指していると開発者インタビューでは度々言われています。競争力があって自信を持ってお勧めできる少数精鋭の「車種」、「エンジンユニット」だけに経営資源を集中し、全ての車種の全てのグレードを必ず満足できるモノにするという理念を、今のところは着実に実践できているようです。この流れを「CX3」と「デミオ」でも継続し、小型車に「新たな価値」を想像できたならば、北米のまだまだ手薄なコンパクト市場を席巻する可能性があります。北米にはデミオクラス(Bセグ)の「雄」であるVWポロがいません。Bセグを制することができれば、いよいよマツダのVW越え!という快挙が達成されそうです。


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2014年06月13日

マツダはなぜ売れるようになったのか? その3

  前々回、前回とマツダの好調の要因についてあれこれ勝手なことを言ってきました。要約すると「ネットの力」と「ストロングポイント(マツダの得意分野Cセグでプレミアムブランドを返り討ち)」といったことなんですが、今回さらに付け加えたいのは、「マツダはちょっと頭オカシイ!」と言わせる諧謔性とでも言うべき面白さです。(今回もテメーはどこのコンサルじゃ!とちょっとイラッとくるかもしれませんが・・・まあネタなのでご容赦ください)

  自動車業界に限らず、様々な「成功譚」にはたいていは、タブーを無視して突き進む「非常識さ」が重要なポイントを占めているケースが多いです。「立ち読みできない本屋」アマゾンだったり、アメリカで成功している「試し履きできない靴屋」ザッポスだったり、小さい例をあげればそれこそ無数にあります。そしてここ最近もマツダについて検討すると、これまたビックリするくらいにやっていることはメチャクチャです。

  とりあえずツッコミを入れてみると、「なぜ最上級車のアテンザが“赤”なの?」「なぜこんなにサイズがデカいの?」「なぜAWDを廃止したの?」「なぜ売れ筋のスポーツHBを廃止したの?」「それなのになぜMT追加なの?」・・・最後のMT追加はともかく、ただでさえ少ないユーザーをさらに切り捨てるかのように「バッサリ」と割り切りをやっております。正直言ってアテンザは何色を買ってよいのかわからないという人は結構多いはずです。「赤」「白」「黒」以外はなんだか色味が単調で子供っぽいですし、「白」もボディがデカいのにさらに膨張色は違うと思いますし・・・。

  レクサスなどは必死で高級車を買わせる色を研究して作り出しているのに、マツダはショー・カー的な「赤」だけが突出していて、「赤」を本気で売る気があるのかどうかわかりませんが、やたらと気合入れてるんですよね。ハッキリ言って近所で「赤」のGJアテンザなんて一台も走ってないですよ(GGもGHもですが)!レクサスISの白とチタンはしばしば見かけますし、とても「決まっている」と思うんですけどね。たしかにマツダの「赤」はメルセデスよりもBMWよりもレクサスよりもキレイです!それは確かに認めます。けど関東マツダの店舗はどこも「赤」の試乗車なんて購入してないですよ。中古車として売る時に「赤」は50万円ほどマイナスになるから導入しないという「タブー」がまだまだ残っているわけです。

  マツダの「赤」は素晴らしいわけですから、素直に「赤」を買ってとなりにメルセデスやBMWやレクサスの「赤」が来た時に、優越感に浸ればいいじゃん!と言われても・・・そもそもカタログ以外で「赤」のSクラスとかLSとか見た事ないですよ。トヨタSAIや日産ティアナも「赤」がテーマカラーになっていたようですが、街中では全くといっていいほど見かけないです。そもそもマツダがブチ上げた「中大型セダンの赤」に他社もあわてて便乗した感がありますが、全部が全部「タブー」でしかないです。トヨタなんてピンクのクラウンを期間限定で発売しましたが、あんなの大失敗するのは誰の目にも明らかでした。(メディアは当然トヨタが恐いので報じませんが・・・)

 クラウンの「ピンク」は誰が見ても「無し」ですし、レクサスやメルセデスの「赤」も軽薄この上ない色で「無し」です。LSやSクラスを赤くする前に、CTやAクラスで人気がでるような「赤」をつくって見ろ!と言いたい。それに比べればマツダの「赤」はたとえアテンザのサイズだとしても完全に「アリ」だと思います、もちろんマツダの努力の結晶ですが、極めて常識的な人にでも受け入れられる深みを持った抜群のセンスを誇っています。けれどもそれは依然として買おうとする人やディーラーを大きく悩ませる「タブー」なんですけどね。しかしマツダだけは「赤」を違う次元に持ち込んだのは確かです。完全に飽きられていた旧態依然のセダン市場で求められていたパラダイムの転換をマツダが起こしたわけです。

  「タブー」をやらかして注目を集めておいて、洗練された塗装技術で「黒」を「白」に変えてしまおうとした孤高の世界観は、大衆車でありながらも人々に自動車作りの醍醐味を感じさせましたし、フェラーリやランボルギーニといったスーパーカーブランドに通じるようなクルマ作りの「スピリッツ」を見事に見せつけました。BMWが去年の正月に見せつけた「4シリーズ」の新しい塗装色で新しい世界感を演出しつつ、量販モデルにはこれまでと変わらない冴えないカラーを「べた塗り」して持ってきたことには、まったくもって失望しました。マツダの情熱が今回は完全にBMWを上回ったなと思います。今年のWCOTYデザイン賞では、アクセラは「i3」に負けてしまいましたが、欧州人は色彩を見分ける力がないのか?

  今回はこの辺で一旦終わりにしておきます。また他の件についても調べが付いたら追って、このブログでブチ上げて行きたいと思います。


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↓マツダのデザイナーの頭には、こんなイメージがあったのでは?

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2014年06月12日

マツダはなぜ売れるようになったか? その2

  前回は、トヨタ、VW、GMを相手にして、マツダが生き残っているだけでもスゴいのに、売上を伸ばしつつあるということの「理由」として、インターネットの普及でクルマにあまり関心が無い層にも自宅に居ながら、手軽に、「無料で」、詳しい情報が手に入るようになったことを挙げました。インターネットの普及は経営規模の格差において発生する、マスメディアを使った「広告宣伝費」の差を大きく縮めるパラダイム変化と言っていいと思います。

  マツダ、スバル、メルセデス、BMWといった中堅メーカーだけでなく、一旦は破綻したジャガーやボルボが瞬く間に復活を果たした「ストーリー」の裏にも「ネット」の力が多分にあるはずです。これら6社の共通点を考えると、生産規模では大手に全く及ばなくても、「大手メーカーの同クラス車よりも性能に勝るクルマ」を作り、「自社サイトでその優越性をわかりやすくアピール」できるならば、経営規模のハンデは十分に克服できるという世の中へと変わったと言えます。

  トヨタ・VW・GMがさらに「ネット」を駆使すれば、さらに効率が良い販売につなげられるのではないか?という疑問があると思いますが、例えば年間800万台超の生産・販売を誇るVWグループを調べると、グループの利益の大半を稼ぎ出しているのはアウディで、低価格車を担当するシュコダの収益性は低く、セアトに至っては赤字を計上しています。また高級ブランドのベントレーやポルシェもほぼ赤字すれすれであり、VW本体にしても販売台数の割にアウディを大きく下回る収益しかあげられていません。VWの屋台骨は完全にアウディが背負っています。つまり800万台や1000万台規模のメガグループが、同一のクオリティで存在することは不可能で、結局のところは株価対策の「寄せ集め」に過ぎません。「パレートの原則」がここでも適用できて、2割のアウディが全体の8割の収益を稼ぎ出す構図に近いと言えます。メガグループはディーラー網の構築などには一定の効果はあるでしょうが、ネットを使っての「宣伝」、そしてメルセデスは早くも着手しましたが「販売」までが始まったら、そのメリットさえも弱点に変わる可能性があります。

  VWの稼ぎ頭アウディのグローバルでの販売はBMWやメルセデスとほぼ同数であり、BMWやメルセデスはいうならばVWの稼ぎ頭の部門だけが独立して1つのメーカーになっているわけです。2004年頃からのアウディの躍進は世界の高級車市場を席巻する勢いがありましたが、この頃はまだBMWやメルセデスにとっては不利なマスメディア広告が一般的な時代でした。両者は広告宣伝費を捻出するために、クルマの利益率をさらに高め生産ラインを次々に海外に移すなど、なり振り構わない構造改変(改悪)を行い、結果的に品質低下が指摘されるようになりアウディやレクサスの驚異的な短期間での成功を許す結果になりました。

  確かに「VWとアウディ」、「トヨタとレクサス」、「オペルとキャデラック」というグループによる「シナジー効果」は非常に高いです。アウディのCセグ車はゴルフの基本コンポーネンツを使えるので、Aクラスや1シリーズでは対抗できませんし、レクサスの武器となっている静粛性&HVの技術はトヨタの研鑽の成果です。またグローバル展開が始まったキャデラックが、欧州や日本で十分に勝負できるスポーティなセダンを短期間で作り上げたのも、GMが破綻しても手放さないドイツが誇る実力メーカー・オペル(ドイツ版日産?)の開発力が大きいと言われています。

  しかしいくら技術的に優れているとはいえ、大衆ブランド車との技術の共有を好ましく思わないユーザーが多いのが、プレミアムブランドだったりするので、一長一短があるように思います。ちなみにメルセデスはユーザーに悟られないように、三菱やルノー=日産の技術をブランドに取込んで開発力の後進性を補っていますし、BMWも小型車のノウハウを英国の名門ブランド・ミニを傘下に収めることで、その技術を貪欲に吸収しているので、まもなく発売されるFF車(2シリーズMPVとX1)はなかなかの走りになるのではないかと予想されます。

  さてそんな権謀術数が飛び交う、怪しげな「プレミアム・セグメント」に向かって不気味なまでに「接近」してきているのがマツダです。前々回の記事でも触れましたが、作るクルマは次々と「クラスナンバー1」の評価を獲得していて、従来のライバルである大衆ブランドの中では完全に頭一つ抜け出した存在になっています。アメリカではすでに「フォーカス&ゴルフに圧勝!」というテスト結果が次々に出ているわけですが、倒したゴルフだって日本で発売されているAクラスやV40、1シリーズといった輸入車Cセグに完全勝利した実力車ですから、アクセラに関してはプレミアムブランドも完全に「喰った」といっていいかもしれません。元々Cセグはファミリア以来のマツダの「テリトリー」であって、新参の「プレミアムなんちゃら」に負ける訳にはいかないという意地もあったでしょう。そしてそもそも遡ってみれば「マツダ→フォード→VW」という技術伝播があるわけですし・・・(VWはフォードの開発責任者を引き抜いてゴルフVを設計しました)。


またまた長いので次回に続けます。

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↓データのみですが、参考文献です。内容は酷いです・・・トヨタを過小評価してないですか?といった感じ。はやくも現実は本書とは別の方向へと進み始めている気がします。

posted by cardrivegogo at 14:03| Comment(0) | マツダの戦略 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月11日

マツダはなぜ売れるようになったのか?

  今日はちょっと小難しいテーマに挑んでみたいと思います。ズバリ・・・「なぜマツダが売れるようになったのか?」です。2000年頃のマツダはどん底だったと言われていますが、マツダはそこからどのような道を辿って今のマツダに至ったのでしょうか?2000年代の成功部分については以前も何度か書いていますし、たくさんの本も出てますので、それとは違った角度で考えてみたいと思います。(学者風のもの言いが鼻につくかもしれませんが、軽く笑って受け流していただければ幸いです)

  右肩上がりの日本の自動車業界の「悪夢」といえばバブル崩壊ですが、これが「冷戦終結」とシンクロしたのは偶然ではありません。冷戦終結により比較的安心して投資できる市場が世界中に出現しました。それまで日本の不動産に投資されていた資金が、突如として韓国や東南アジアへと流れ出しました。さらに金融政策の未熟なタイで1997年の暮れにデフォルトが起こると、さらに周辺の東南アジア諸国へと資金は瞬く間に移動し、世界各地の新興国である日突然に失業者が街に溢れるという"ストレスフル”な世界へと変わっていきました。

  この背景には成熟しきったアメリカ・日本・欧州などの行き場を失った資金が、ハイエナのように世界中のあらゆる投資対象を嗅ぎ回り、その水先案内人として”ヘッジファンド”と呼ばれる投資銀行が乱立しました。成長著しい新興市場には投機目的で資金が投下され、タイのようにリスクが高まると一斉に引き上げるという素早い投資を可能にしたのもまさに「冷戦崩壊」です。さらに有り余る資金はかつて先進国の成長の原動力となった「安定優良企業」のよりもアメリカの新興企業や落ちぶれた企業の方が債権利回りが高いことから、これら「ジャンク債」を専門に扱うファンドすら多数出現しました。

  自動車業界でも「投資価値」が厳しく値踏みされるようになり、日本やドイツのメーカーへのコンプレックス?を抱える米国ビッグ3は、そのプレッシャーから逃れるようにM&Aを繰り返し、瞬く間に世界の自動車業界を再編成していきました。マツダ、スズキ、三菱、いすずそして日産が海外資本の傘下となりました。

  その後、「投資銀行の破綻」が世界を揺るがすなどの混乱期を経て、ご存知のように今では日産以外の4社は資本提携を解消されています。トヨタ傘下になったものもありますが、現在では友好関係にあるメーカー同士でも安易な合併はしなくなりました。M&Aの結果統合された開発部では両陣営のエンジニアによる軋轢が生まれることが、2000年代を経て経験されたため、日産と三菱、トヨタとマツダはもちろん統合のメリットもあるのですが、今後も付かず離れずの関係を続けていくといわれています。トヨタのスバル支配に関してもクルマ作りの面では一切の統合が行われていません。

  時価総額で業界トップになることが、経営の最優先課題と捕えられていた時代がありましたが、今ではそれほど重要視されなくなってきたように感じます。もちろん市場から認識されないほどの規模ではお話になりませんが、かつては「この規模では絶対に生き残れない」と言われていたマツダやスバル、メルセデスやBMWといった世界で10位以内に入れない生産規模に過ぎないメーカーが、世界の主要市場で主導権を握り続けることに成功しています。

  トヨタ・VW・GM・ルノー日産といった年産約1000万台を伺う「メガグループ」を相手に、マツダ・スバル・BMW・メルセデスの4社合計で500万台にも満たない「弱小メーカー」がなぜ優位に立っていられるのか? これがビールやお菓子のメーカーだったならば絶対にあり得ないことだと思います。「メガグループ」は部品の納入単価も下げられるし、生産コストを下げる余地も大きいし、販売店網を構築する際にも「規模」があれば有利ですし、広告宣伝費も桁違いです。そして研究開発にも潤沢な資金を使うことができます。

  おそらく10年前ならば「弱小メーカー」はどこかの「メガグループ」の傘下に入らなければ生き残れなかったでしょう。何がこの状況を変えたのか? 一番大きいと思われるのが、インターネットの力かもしれません。従来では自動車専門誌を読む人やディーラーに足を運んだ人くらいしか、マツダやスバルの全ラインナップを知っている人はいませんでした。しかし今ではネットの情報で自宅にいながらほとんど時間もかからずに、全社の全ラインナップ全グレード全オプションを知る事ができます。

  さらに各クルマのユーザーからの情報(口コミ)も、中立的な立場からたくさん発信されているので、従来は「トヨタが安心」と思っていた層が、ネットで手軽に情報を調べて「マツダとスバルがなんだか良さそう」という印象を持つことが多いのではないでしょうか。マツダのディーラーの人が言っていましたが、以前よりも商談の時間が断然に短くなったそうです。「みんな買う気満々でくるからですか?」と質問すると、「それだと有り難いのですが、そうではなくて来店する人がマツダについて良くご存知で、みんな”スカイアクティブ”って言葉を知ってますし説明する時間が短くなりました」と。そこで短くなっちゃダメじゃない?という気もしますが・・・。いくらでも引き出しがあるのだから、「絶対にマツダだ」と思わせて帰らせないと。と余計なおせっかいが頭を過ります。

  ちょっと長いので次回に続けます。
  
  

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↓最近のドライブ愛用CD。ひとりドライブとオシャレでシュールなデートドライブにオススメです。

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2014年06月10日

米雑誌"3万ドル以下のベストカー30"にマツダ車が貫禄のランクイン

  あくまで3万ドル以下限定なので、「VW、フォード、トヨタ、ホンダ、日産、シボレー、クライスラー、ヒュンダイ、キア、スバル、マツダ、三菱、スズキ、フィアット、ミニ」の15ブランドが対象なんですが、この程度といっては失礼ですが、いまのマツダ車の勢いを考えれば、ラインナップの中核を占める「アテンザ」「アクセラ」「CX5」「ロードスター」の4台が全て選ばれていても特に驚かないです・・・。アメリカではメルセデスAクラスやBMW1シリーズといったハッチバックのプレミアムカーが発売されていないために登場しないのが残念でした。とりあえずアクセラはまったく負けていないと思います。

  4台について短評を紹介します。まずはアクセラですが、「これまでも素晴らしかったが、今では我々のテストにおいてはスモールカー部門の完全なる王者になった」という最大級の評価をされています。その脇に歴代のテスト結果が記されていて、2011年段階の先代アクセラはフォードフォーカスに遅れをとっていますが、新型になってからはフォード、VW、ホンダ、トヨタを相手に常に1位を獲得していて、他を寄せ付けない圧倒的な強さを発揮しています。ちなみに日本ではアクセラはゴルフには及ばないという評価が主流ですが、アメリカ誌はゴルフはアクセル・ブレーキのフィーリングとハンドリングの悪さに致命的な欠陥があると断じています。

  アテンザは「好き嫌いがハッキリしていた先代に比べて、新型になって顔つきが精悍になり、うねるようなボディラインは最高だ。家庭的な生活を美しく魅力的なものへと変えるだろう」だそうです。先代のGHアテンザの穏やかな表情はやはり北米ではかなりの違和感があったみたいですね。その一方で「鼓動」デザインはアメリカ人からみても、ミドルセダンとして非常に「説得力」がある造形になっているようです。マツダの北米シェア拡大に向けて、ボリュームゾーンのこのDセグが最大の勝負どころで、アテンザの拡販なしには宿敵VW&アウディやスバルを超えるのは難しいでしょう。しかしこれだけの絶賛を受けているならば、今後の展開はかなり期待ができそうで「北米第8位」も現実味を帯びているようです。米BIG3と日BIG3そしてヒュンダイ/キアの7大グループ越えは至難の技ですが・・・。

  CX5は「マツダはホームランを打った。2度のSUVの比較テストでも見事に勝利した。全てのグレードは30000米ドル以下だし、乗り味はミニ・ピックアップトラック(mini ute)よりも、マツダロードスター(MX-5)の特徴がよく出ている! 2.5Lガソリンがオススメだ。」です。アメリカでは小型SUVと言えば「ミニ・ピックアップトラック(mini ute)」になるようです。そして小型車ブランドとなるとminiが真っ先に上がるみたいです。そして「ロードスターに近い」が意味しているところは、アメリカで市販されるモデルの中では相当にハンドルがクイックだといいたいようですね。褒めているのかどうかはよくわかりませんが・・・。

  続いて、ロードスターです。「”ポピュラー”は必ずしも偉大ではない、たとえばトヨタカムリのように。だけどロードスター(MX5)はビートルズのような自動車の王道だ。ある人はオープンカーはちょくちょくよく売れるというが、またある人は累計38万5千台をアメリカで売り上げたロードスターに対し愛着の念をもつだろう。」 カムリがさりげなくディスられていますね。文章全体のニュアンスからロードスターの悩ましい現在地がなんとなく伝わってきます。スポーツカーの累計売上のグラフも付けられていて、ロードスターよりも多いのはシボレー・コルベットのみ。BMW Z3/Z4やメルセデスSLK、ポルシェボクスターといったロードスターをパクったモデルとも比較されていますが、ロードスターはここ近年においてもこの3台に販売ペースが負けていません。

  アクセラはクラス最強。アテンザもクラス最強。CX5もクラス最強。ロードスターは「アメリカのアイデンティティ」だそうですが、マツダのアメリカでの最大の弱点は、昨年始め頃から「100%日本からの輸出」=「現地生産比率0%」なことでしょうか。貿易摩擦にやたらと敏感な国アメリカでは、たとえアクセラがシビックを大差で引き離さそうが、アテンザがアコードに影さえ踏ませないレベルの違いを見せつけようが、CX5がいきなりベストセラーのCR-Vに全面的に勝利しようが、「現地生産比率95%」のホンダには絶対に勝てないと言われています。まあそれでもロードスターを除く3車種の売れ行きは発売から時間が経過しても尚、順調に伸びています。今後の北米でのマツダにも期待したいですね。


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2014年03月13日

”マーケティングしか能がない”と罵倒されたマツダが、なんと!ドイツの新車販売を牽引!

 ドイツの新車販売が5年以上に渡る低迷期の終結を予感させる回復をみせています。まるでこの展開を予測していたかのように、圧倒的な新車攻勢をかけるBMW陣営の慧眼には改めて恐れ入ります。それでもドイツ市場の回復を牽引しているのは間違いなくマツダ!さすが”マーケティングだけ”と言われるだけあって、究極のグローバルカーに仕上げた新型アクセラが狙い通りの大ヒットの序章を歩み始めました。

  ドイツ市場において大きなシェアを占めるのは、もちろんVW。このブランドはまさにドイツ版のトヨタで、ゴルフの変わり映えしないデザインから連想されるイメージはカローラです。ついでに言うと下級モデルのパーツをことごとくパクって誤魔化す手法も全く同じ。トヨタはプリウス&アクアという新機軸で一足早くカローラの幕引きをしましたが、ゴルフは今もVWの主役です。今では「ドイツ版プリウス」みたいなセルフプロデュースが目に付きます。

  日本でゴルフが健闘しているように、ドイツではトヨタの屋台骨を背負うのはカローラ(オーリス)です。日本ではCMがちょこっと話題になっただけのオーリスですが、ドイツには着実に根付いています。ドイツでの日本メーカーの評価はトヨタ、マツダ、三菱が優勢でしたが、ここ1年ではトヨタが一歩抜け出していました。

  三菱は欧州シェアをスマートとPSAに売却(OEM)したため、ブランドのシェアは大きく低下し、マツダもトヨタに水を開けられる展開だったわけですが、ここにきて一時はダブルスコアの差があったトヨタとマツダの販売がほぼ同数になりました。マツダが4000台/月の規模を持つメーカーとしては異例の前年比150%の成長をみせています。

  ここ数年のドイツ市場で不死鳥のように復活したのが欧州GMとして機能するオペルです。Bセグの「アダム」、Cセグの「アストラ」、Dセグの「インシグニア」という好デザインの3ラインを中心に人気が爆発していて、特に高性能なディーゼルエンジンが好評です。あれどっかのメーカーに似ている気が・・・。

  イギリスでは「ボクスホール」というブランド名で堂々のトップシェアを誇るオペルに強烈な敵愾心を示すのが欧州フォードで、こちらもドイツ、イギリス、フランス、イタリアといった「自動車先進国」市場ですべてシェア上位(まあVWも同じですけど・・・)。ドイツではBMWを超える勢いで4番手目前!イタリアでもVWと2番手を争うほどの実力です。米国ビッグ3の欧州での影響力は客観的に見ても日本車より完全に上ですかね。

  マツダはフォードの盟友であり、技術力は欧州でも十分に認められていて、さらに今回はドイツ市場に旋風を巻き起こしているオペルを彷彿とさせるキャッチーなデザインを引っさげて欧州へ殴り込みを掛けました・・・あれれ、完全に“マーケティング”ですね。“だけ”ということはないですが。フォードが「エコ=ブースト」というエンジンのブランディング戦略で成功しているのにあやかって、「スカイ=アクティブ」の名称をグローバルでも使用しています。

  そんなマツダですが、欧州市場の本丸のドイツ市場ではブランド別販売の順位をかなり上げていて現在12位。この順位は決して低くありません。世界中のメーカーが結集して大競争を展開するドイツでは1000台/月以上クラスのブランドがなんと27もあります!(日本は15) そしてこの勢いが続けば8位のルノーまではもはや射程圏内なので一息で達成可能。そこから上のVW・メルセデス・アウディ・BMW・フォード・オペル・シュコダ(VW陣営)の1万台/月以上クラスに突入するのはちょっと厳しいでしょうが・・・。

  「技術力」も「マーケティング」も最高レベルの自称・超一流ブランド「スバル」様のドイツでの地位は・・・さすがと言うべきか、英国の一流ブランド「ジャガー」と第29位を争う余裕の展開!そういえばドイツのレガシィはBMW3シリーズなんかよりもずっと高額の設定。やはり“マーケティングだけ”の三流メーカーのマツダとはやる事の次元が違いすぎるのか・・・。マツダ頑張れ! (スバルはドイツでまともに相手にされてないんだから、「ヴァージョン・ニュル」とか言ってるの恥ずかしくないですか?)






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posted by cardrivegogo at 06:04| Comment(2) | マツダの戦略 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月22日

マツダが中型車の覇者になる!?

  前回のつづきです

  中型車に照準を絞ったプラットフォームの統一はホンダを先頭に、中堅メーカーやプレミアムブランドで進んでいます。結局のところは中型車ユーザーのニーズにどれだけ適ったものを作れるかがカギになります。「コスト削減」した結果としてクルマにどれだけの付加価値を付けられるか?に関しては各社とも手探りの状況が続いています。

  スバルがアイサイトを実用化して注目されると、その波紋はどんどん広がり2年足らずで最後方のBMWまで伝わっていきました。正直言ってなんという「ヘタレ」な体質なんだろうと思います。いままで誰も使っていなかったブレーキがそんなに大事なのでしょうか? それともブレーキ一つで価値が大きく下がってしまうほど、自ブランドのクルマに自信がないのでしょうか?(まあ自信はないでしょうね、どこも・・・) 

  そもそ、そんなブレーキシステムは一体「誰得」なんでしょう。これで安心してテレビ見ながら運転しても事故は防げるとでも思っているのでしょうか? さらに気になるのがアウディとMAZDAが競うように採用した「車内wi-fi」です。まったくメリットが解りません。クルマでしか使えないwi-fiの接続料3年分をオプション料金として前納って・・・。自動車メーカーってバカなの?

  とりあえず関連部品メーカーの言いなりになって、トレンドに乗り遅れないようにすることが最優先になってしまっています。「プレミアムブランド」のくせになんというザマでしょうか。メルセデスもBMWもVW・ホンダ・フォード・スバル・マツダの動向にひたすら注目して追っかけます。その後ろからトヨタ・GM・ヒュンダイが追っかけてきます。

  先行ブランドが優位なのか後追いブランドが優位なのかは意見が分かれると思いますが、どちらにせよ個性を競ってほしい高級モデルもライバル車と同じ方向を向いてしまっています。やや極端な例ですが、お互いにメディアで中傷し合う険悪な歴史を持つポルシェ911と日産GT-Rが、採用しているブレーキやダンパーも同じメーカーが供給していたりするわけです。わざわざ2台の少量生産のスーパーカーの為に、末端部品をゼロから専用設計なんてするわけはないでしょうから・・・。

  レクサスとBMWのユーザーレビューで必ずと言っていいほど長所として挙がる「8速AT」にもそもそもブランドの個性(オリジナリティ)なんて備わってないわけです。ポルシェ996以来のデュプトロから何ら進歩もなく、まあ高級車といえばコレでしょみたいなノリでそのまま使われています。BMW・メルセデス・レクサスの3ブランドに共通して言えることですが、彼らはもはや開発という行為をネグレクトしていると言ってもいい気がします。

  この3ブランドのクルマ作りは、結局のところ「選択」して「バランスを取っている」だけです。どっかのメーカーで採用されて、評判の良いものだけを「選択」します。デュプトロいいね!電気式ブレーキいいね!電制ダンパーいいね!といった感じです。「Mスポ」とか「Fスポ」とかまるで自社開発のようなネーミングのグレードの中身は、ポルシェと日産のそのまんまパクリです。

  そんなBMW・メルセデス・レクサスの実情はとっくに自動車ファンには見抜かれていて、カーエンスーには徹底的に敬遠されるブランドになりつつあります。代わって台頭してきたのが、技術力・開発力のみを武器としてグローバルで戦い続ける中堅ブランドです。低価格なのに最高のシャシーとハンドリングを自前で開発できる「スバル」や「マツダ」。独自の高効率エンジンを使ったハイブリッドで世界最高の燃費を叩き出す「ホンダ」。プレミアムブランドには真似できないMQBプラットフォームで、他社が真似できない次元のクルマ作りを目指す「VW」。今やこの4社のクルマの方が完全にキャラが起っています。

  (次回に続く)




posted by cardrivegogo at 05:57| Comment(0) | マツダの戦略 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月18日

気がつけばライバル不在・・・、マツダの「無双」戦略

  これまでは意図的に「共通設計」であることをあまり積極的に公表しないことが多かったのですが、フォルクスワーゲンのフルラインナップ共通化という「アーキテクチャ革命」が次第に広まってきた気がします。実はこの手の製造方法はトヨタがとっくの昔から行っているようですが、トヨタは部品の共通化に主眼があり、VWは同一ラインでどのクルマも生産できるというのが狙いがあるようです。

  トヨタで国内50万台/年程度の生産がある車種はプリウスとランクルのみで、この2台は派生車種こそありますが、基本的に専用設計です。残りの国内向けカローラや各種ミニバンをまとめて同一設計とし合計で50万台/年以上の生産としています。この努力によってクルマの基本設計のコストを低減し、ミニバンの居住性を高めるための費用に回しています。これはこれで極めて合理的な経営判断ではないかと思います。

  VWの狙いは基本的にこれに近いのですが、トヨタよりもさらに一歩進んでいて、市場環境の変化に柔軟に対応するために、FMCを待たずにMCや年度モデルの発表時にパワーユニットやボディ形状の大規模な変更にも耐えうるというのが最大のメリットのようです。さらに細かいニーズを汲み取るために、より少ない台数しか生産しない「スペシャル=モデル」の発売のハードルを下げるという効果もあるようです。

  VWやトヨタの取り組みは、「コスト削減」という不文律によって自動車ユーザーにとって否定的に捉えられていましたが、VWの掲げる「生産過程の価値の再定義」が新たな常識として徐々に広まっているようです。単に他のメーカーが同様の手法を取り入れるというのではなく、ユーザーがその取り組みの「価値」を積極的に評価する時代へと「転換」が起こっています。

  基本設計を共通化することで、削減したコストで別の部品の質を上げるわけですが、ここの部分のコストの掛け具合で大きく乗り味を変えることが出来るようになりました。小型車向けのプラットフォームでもダンパーやブッシュの部分に目一杯コストをかければ十分に高い水準の乗り味を持つクルマを作ることは可能です。現実にMCやイヤーモデルによって、プラットフォームの変更なしに大きく乗り味が変わったクルマも多くなっています。

  こういった製造面での変化が、クルマ造りの新たな常識として、ユーザーの間にも十分に認知されることで、VWのように不必要なコストの「削減」をアピールすることが商品価値の向上につながる時代になってきたようです。

  さてマツダもVWやトヨタといった巨大なライバルを追っていて、グローバルでの成長を今後のカギとして掲げている以上、車種間の「共通化」は避けて通れない道です。マツダが新たに生産ラインを見直して、打ち出した「車台の共通化」として、従来は異なるプラットフォームを使っていたアテンザとアクセラを、第三世代から統合し、どちらにもCX-5に用いられた「スカイアクティブ・プラットフォーム」が採用されています。

  中型のセダン・SUV・HBの3車種を統合する動きは、ホンダやBMWなどスポーティな乗用車をグローバルでの中核に据えるブランドで見られます。さらにアルファロメオ=ランチア=クライスラー=ダッジのフィアット連合にも同様の動きがあります。VWやPSAグループで見られる、全ラインナップ共通&同一ライン製造ではなく、中型の高性能モデルに特化した統合に留めたことで、プレミアムブランドに対抗したクルマ造りを無理なく行えるようになります。

  具体的にはデミオにはオーバースペックな足回りを盛り込むことができるということです。このような設計をするメーカーの中で、マツダがグルーバルな販売で結果を出しつつあります。  (次回につづく)




posted by cardrivegogo at 07:09| Comment(4) | マツダの戦略 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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