2代前のV35スカイラインは日産車が従来抱えていた、コンサバティブなイメージを打破するために、やや「未来的」なデザインを取り入れた「ポップ」な仕上がりでした。その後V36になり、ややポップさは影を潜め、かわりに「日産らしいヤンキーさ」が加えられ、色気のあるデザインになりました。この2台と比較するならば、「硬派」「真面目」そして「武骨」といったところがV37のポイントでしょうか。
それに比べて、ティアナは「アメリカンなフロントデザイン」などと言われていますが、カラーがブラックだとグリルのデザインの奇抜さもだいぶ抑えられて遠目には先代クラウンに見えたりします。全体のバランスとしても変な腰高感もなく、同クラスの日本車セダンの中で最も「古典的」な様式美を尊重したデザインといってもいいかもしれません。日産のラインナップではフーガとスカイラインが2枚看板であり、ティアナは主張の少ない控えめなデザインが意図的に採用されていて、目立つのが好きな人には物足りないかもしれませんが。
スカイラインもティアナもなんだかよくわからないけど、やたらと評論家筋から批判されてるんですよね。よく読んでみると、クルマの基本性能に関してはどちらも抜群で、クラスで最高レベルなんだという事実はある程度は認識しているのに、あえて批判してくる理由がまったくわからないです。価格にしてもどちらも内容を考えれば最高のコスパを誇っているといえますし、少なくともスバルのレヴォーグなんかよりは断然におすすめできるクルマだと思うんですよね。
この2台がムカつく人々というのは、価格・性能で完全敗北を喫している国内最大手のメーカーの首脳部の方々くらいじゃないでしょうか? そういった人々の悔しさを雑誌メディアのライターが必死になって代弁する必要なんてないと思うんですよ。アテンザ発売直後にも、どこからともなく「輸入車のパクリ・デザイン」とか、「部品はほとんど中国製」とか「前後輪でダンパーメーカーが違うって変じゃない?」みたいな、本質的じゃない意見が湧きました。
もちろん「マツダがパクったんじゃなくてジャガーがパクった」わけですし、トヨタもホンダも中国製部品なんてたくさん使っていますし、ゴルフ(全VW車)なんて「メイド・イン・チャイナ」と言っていいくらいに、中国でほとんどの部品を調達しています(日本製もありますけど・・・)。ダンパー供給元についてはよくわかりませんが、前後輪で異なるクルマは他にもあるんじゃないですか? とまあ自分で調べれば評論家の意見でクルマのイメージが大きく変わるなんてことはないわけです。
アテンザは発売後、半年くらいしたころから、海外メディアでの反応がとても良かったこともあり、日本のメディアも突然のように「掌を返し」始めました。カー・オブ・ザ・イヤーのデザイン賞でアストンマーティンとジャガーのスーパースポーツと並んでベスト3に選ばれたあたりから、デザインを批判する人はほとんどいなくなったように思います。
スカイラインとティアナも現状では複数のメディアが徒党を組んでネガティブ・キャンペーンを張っていますが、あと数ヶ月もすればおそらく評価が180度変わると思います。新型レガシィのデザインが公開されていましたが、車高が高すぎの1550mmというアヴァンギャルドな設計を見て、スカイラインやティアナを止めてレガシィなんていう選択肢は「絶対にないな・・・」と思いました。さらに1000万円すると言われるホンダのレジェンドが登場したときには、「スカイラインHVってやっぱりスゴかったな!」という評価に落ち着きそうです。
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