2018年07月23日

マツダ車の 本音 と 建前 その3

アテンザのシート

  バカのオウム返しで恐縮だけども、現状のマツダ車は「ハード面」での完成度は低い。例えばマツダアテンザとレクサスISを比べてアテンザが絶対的に劣っている点は、シートの取り付け剛性だったり、吸音材に頼り過ぎて異質な音響になりつつあるキャビンの違和感だったり、まあ5分も乗れば色々と気がつくことは多い。シートの溶接をじっくり検分したわけじゃないけども、とりあえず腰掛けた瞬間に、シートとフロアがまるで一体形成されているかのようなレクサスと、キャビンの中にシートをくっつけました感が拭えないアテンザ。・・・とは言ってもレクサスがやたらと剛性感があるだけで、VW、BMW、メルセデスも「後付椅子な感じ」なんですけども。


クラウンとアテンザはエンジンを替えた方がいい

  そもそもレクサスのメインストリームを担うFR用シャシーと、マツダの中型車種汎用のスカイアクティブシャシーのマッチアップは、ややピントがずれていて、車重1800kgが当たり前のレクサスシャシーに対して、1500kg前後に収めるマツダでは、理想とすべきクルマは変わる。クラウンの直4ガソリンターボ(比較的に高回転)とアテンザの直4ディーゼルターボ(ハイトルク)を交換したらいいんじゃない!?って気がしないでもない。最近の欧州プレミアムブランドでは、アメリカや中国などで拡販するために、ガソリンターボとディーゼルターボの出力特性を寄せて、トルク容量などで制限が出るミッションをできる限り統一しようとしている。マツダの2.5Lガソリンターボも5000rpmに出力ピークがあり、欧州ブランドの戦略を愚直に踏襲している(これは見直しを・・・)。


トヨタに負けるエンジンでいいのか!?

  一方トヨタ/レクサスではFRの乗用車へのディーゼルユニット積載は行っていないので、ガソリンターボはトルクよりも出力側に振っていて5800rpmにピークが置かれている。単純に考えて4500~5000rpmの範囲にピークが集中する欧州ブランド&マツダに比べて、エンジンベースではトヨタの方がスポーティな仕様になっている。もちろんHONDAシビックtypeRのように「全車MT」と割り切ってしまえば、直4ガソリンターボで6500rpmというチューニングも可能なんだろうけど(欧州ホンダはディーゼルも多い)。


エンジン屋グループから孤立するマツダ

  スバルやポルシェのような水平対向ターボなら構造上回転数も上げやすい。しかしスバルのFBエンジンはプラットフォーム&エンジン形式を定型化しつつも、(今では常識的なことだけども)トルク&エコ化を求めてロングストローク化してしまった。これは「SUBARUの軛」として、これから10年くらいこのブランドを呪い続けることになりそうだ。そしてフェラーリはV8、V12のショートストロークかつ、高回転が商品力(エンジン以外はおまけ)と考えるエンツォ=フェラーリの理想にも叶っていて7000rpmを実現。そのフェラーリから読んできた技術者が作ったというアルファロメオの2.9L・V6の6500rpm。これらと互角以上に渡り合っている日産(VR30DETTが6400rpm、VR38DETTが6800rpm)とホンダ(K20C・6500rpm)のガソリンターボはレベルが高い。日産はVR30DETTを日本でも売ればいいのに・・・。


ディーゼルでトップになったが・・・

  マツダにとっては悩ましいところですねー。日産やホンダに追従したいのはヤマヤマなんだけども、フォード時代にディーゼルに熱心に取り組んで、3000rpmでトルクが急激に萎むBMWや1800rpmでギブアップのメルセデスのユニットの間隙を縫って、5000rpmまで使える稀有なディーゼルターボを作り上げてしまった。沢村慎太朗著「午前零時の自動車討論7」にも書かれているけども、BMWもメルセデスも4000rpmより上は全く使う気にならない(壊れちゃうよー)のに対して、マツダディーゼルは5000rpmまで伸びる。この事実は大谷達也さんもカーグラフィックで2013年にすでに書いている。・・・そして清水和夫は320dを「5400rpmまで気持ちよく回した!!」という都市伝説を持つ(錯覚か大ボラでないならば、彼は魔法の腕を持っているってことか!?)。


泥沼から抜けられるのか!?

  ディーゼルエンジンであっさりとメルセデス、BMWを蹴散らしてしまった・・・。この成功が経営危機のマツダを支えたという意見もあるだろうけども、北米から展開が始まり日本にもCX-8などで導入が予定されているマツダの5000rpm「しか」回らないガソリンターボもまた、どっかのメーカーのように「MAZDAディーゼルの軛」を背負って次の10年を進んでいくしかないのだろうか!?目の前でBMWという名の「泥船」が日本市場でズブズブと沈んでいっているけども、そりゃ5000rpmしか回らない(M3でも5500rpm)なんてユニットが主力では、欧州、アメリカ、日本といった成熟市場では沈むしかない・・・。


飛車角落ち

  以前にこのブログで「マツダとBMWのエンジンは終わっている!!」といった批判を書いたことがある。あれから早くも数年が経過したけども、マツダもBMWもあまり状況は変わっていない。とにかくエンジンがいいから欲しい!!と思わせてくれるモデルは特にない。「マツダもBMWも砂型鋳造を使った高品質エンジンだぞ!!」という反論もありそうだけども、結局のところは世間のイメージとは裏腹に、マツダもBMWも「ボルボより低級なシャシー」と「トヨタより低級なエンジン」を使い続けての「ハンデ戦」を行い続けている。そもそもアテンザやBMW3シリーズが、レクサスISと並び立つなんてことは、スペック上は不可能なことだ。


予測通りにはいかない・・・

  「レクサスIS開発のスタート地点は3シリーズを捉えることではなかったか!?」と反論が来そうだ。レクサスの開発者は北米で年間10万台を超えるシェアを持つ3シリーズの進化を予測し、今後の数世代で3シリーズと互角以上に戦える設計をして待ち構えたけども、3シリーズの頭打ちをすでに予想していたBMWは、セダンよりもSUVやEVモデルの開発に邁進したため、レクサスISとBMW3シリーズの間は、大きな「スペックの谷」で隔てられている。レクサスだけでなく、メルセデス、ジャガー、アルファロメオが3シリーズ包囲網を構える中で、肩透かしを喰らわせたBMWの機転は素晴らしいのかもしれない。


次の覇『車』は!?

  BMWが全く注力しなかったF30は、アメリカでも日本でも先代のE90型からいくらかシェアを落とした。しかしハイスペックモデルで待ち構えたレクサス(IS)、ジャガー(XE)、アルファロメオ(ジュリア)は大きなインパクトを残すこともなく見事に共倒れし、結果的に、アメリカでも日本でも、CクラスとCLAを両方用意した用意周到なメルセデスがシェアを伸ばした。日本のユーザーにとってはスペックよりデザインってことが残念ながら肯定されてしまった・・・。


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posted by cardrivegogo at 23:49| Comment(0) | GJアテンザ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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