開発者の心境
マツダの開発者のインタビュー記事などを目にする機会が多くなった。各種ウェブメディアに露出することも増え、マツダ専門誌「MAZDA FAN BOOK」では毎号複数の開発者のインタビューが読めるし、MAZDAを「欧州メーカーを真似る・低コストメーカー」といった方向へ必死で印象操作したがるベストカーやニューモデルマガジンXの連中は、自分たちのプロパガンダに都合が良いところだけを切り取って「ターボがコストがかかるから使わない」などと書き立てたりすることに余念がない。それらの媒体からマツダ開発者の「本音と建前」が以前よりハッキリと見えてくるような気がする。
わかってないヤツのレビュー
MAZDAファンの多くがカーメディアに対して不満に思っていること・・・それは、書いてる連中が昨今のマツダ車が貫いている美点など全く理解しないままに執筆していると見受けられることだ。これは大いに不満。まずは自動車評論家たるもの、各メーカーがどのレベルで仕事ができているのか判断する力が必要だと思う。自慢じゃないが、私はBMWやメルセデス、レクサスのポテンシャルを十分にわかった上で批判記事を書く。だから『320i=トルコンが不良で論外』と書いても特に「反論」されることはない。そりゃ「バカ!!」とか「死ね!!」とか誹謗中傷コメントは山ほど来ますけども、「反論」はないですねー。中身のない誹謗中傷しかできない連中は、2015年のVW&BMWの排ガスの一件で、ウェブから姿を消しました。まるでS水k夫などが「手のひら返し」をしたように・・・。
例えば島下さんとか・・・
島下泰久が引き継いだ途端に「間違いだらけのクルマ選び」が絶望的に売れなくなったらしいが、失礼だがアイツのMAZDAレビューに関しては金を払うレベルにはない。そもそもクルマを見ていない。もちろんたっぷりと試乗はしているだろうけども、MAZDAほど開発者の意図を考えるのが楽しいブランドはないのに、それを期待する読者を置き去りにして、クルマのこと何もわかっていないオッサン・オバさん目線で良し悪しを語っている。「安全技術も高い、運転も楽しい、デザインも素敵だ」笑っちゃうくらいに呑気なもんだ・・・。
MAZDA車のベストレビューは!?
ここ数年でおそらくMAZDAファンを最高に狂喜乱舞させたレビューは、2013年に大谷達也さんが「アテンザXDは320dにエンジンレベルでは完勝!!」と力強く宣言したカーグラフィックのレビュー・・・ではなくて、やはり沢村慎太朗さんの「午前零時の自動車評論7」に収録されている「アテンザディーゼル試乗記」だ。GG/GHの時代から欧州ではディーゼルエンジンを導入していたアテンザが、その時点で既にメルセデスやBMWをディーゼルの性能で大きく上回るスポーティさを獲得していたことを説明し、それに続くスカイアクティブDが欧州メーカーにとっては悪夢としか言いようがない大きなブレークスルーを果たしていて、ディーゼルだけでなくMTの操作系など、MAZDAのドライブ環境が既に欧州プレミアム各ブランドと比較しても完全に傑出したレベルにあることを説いていた。
スーパーカーに乗る人ならわかるのか!?
さらにアルファロメオとMAZDAの走りの共通性にも軽く触れていて、ああこの人はフェラーリなどのスーパーカーを専門とするライターなのに、よくマツダのFF車にまで精通していると感心した。おそらくアルファロメオに関するレビューの多い人なので、GG/GHアテンザが156/159に大きく影響されていることを知っていたんだと思われる。完全に手前味噌な考えですけども、スカイアクティブ以前のMAZDAの走りの良さがわかる自動車評論家ってのはスーパーカーを語る人だけなんだろうな・・・。
例外もいる・・・
名著「福野礼一郎のクルマ論評2014」でも、アテンザ、アクセラがレビューされていて、MAZDA2車に40ページも割かれている!!この本は『全人類ほぼ敗北』の文句で有名で、その後に多くの人から福野氏へ「ゴルフ7のどこがすごいの!?」って質問が殺到したらしい。前回の投稿で「ヴォルフスブルク&広島」系なる主張をしたのですが、その理論の最大の「参考文献」がこの本と言ってもいい。とにかく豊富な知識でMAZDAを検分しています。決して沢村さんみたいに「アルファに似てる」みたいなことは言わないけども、MAZDAが欧州市場で認知される「実力派」であり、その市場のライバル車と比べてどれくらいの位置にあるのか冷静に伝えている。先ほど「MAZDAがわかってないライターはダメ」と書きましたけども、福野さんのようにフラットに検分できる人なら問題はないですね・・・。
マツダの実力とは!?
さて最近のMAZDA車を「本音」で語るとしたら、一体何が最大の魅力なのか!?おそらくMAZDAファンの多くが感じていることとしては、他のメーカーのクルマよりも「仕上げ」で頑張っているってことだと思う。スカイアクティブ以降のMAZDAは、「日本のPSA」ってくらいにエンジンに困っている。ファンがいくら望んでいるからと言っても、経営の都合上、簡単にハイスペックなユニットを作ることができない。シャシーもボデータイプも増やすことができない。HONDAみたいにハイブリッドとターボをそれぞれ複数開発できる体力があれば・・・、メルセデスやBMWみたいに細かくボデータイプを分けた車種設定ができるならば・・・。
ボデーとエンジンは増えないけどさ・・・
MAZDAも本気で『攻め』に出るならば、ハイスペックエンジンも2ドア車もすぐに作れるだろうし作るべきだ!!という意見もあるだろう。それをやらないでご立派なプレミアム化を宣言する開発者たちに、厳しいツッコミをしたくなる人もいるだろう。しかしエンジンもボデーもないけども、MAZDAには他社を完全にはねのけるくらいに素晴らしい「仕上げ」がある。エンジンもボデーも増やせていないけども、一台一台に魂を入れるように「走り」のバランスが見事に調整されている。少ないボデータイプゆえにデザインの隙を作らない緻密さが発揮できている。MAZDAファンがトヨタ、ホンダ、BMW、メルセデスを検分すると、失礼だが笑っちゃうくらいに「隙だらけ」だと感じる。
トヨタを出し抜いた事件
はっきり言ってトヨタやホンダのCVTや、BMWやメルセデスのトルコンAT、DCTは、完全に躾が甘い。MAZDAがもしこれらのミッションを使うならば、もっとずっと上手く仕上げると思う。実際にアイシンAWから部品を購入しているMAZDAのトルコンATは見事に仕上がっている。ミッションに限った話ではない、トヨタの社長が「MAZDAさんを尊敬する!!」とやたらと持ち上げるようになったきっかけの事件ってのがある。なぜ豊田章男社長はあれほどトヨタのそれまでのクルマ作りを批判するのだろうか!?その理由は2つあって、レクサスGSが北米で発売された時に、米国ジャーナリストから面と向かって「つまらないデザインだ!!」と言われたこと、もう一つは主力ユニットのTHSをMAZDAに供与した時に、MAZDAのエンジニアがあまりの乗り味の悪さに回生ブレーキに手を入れて徹底的に改良したアクセラにマツダのテストコースで社長自ら試乗して衝撃を受けたことにあるらしい。
「仕上げ」のマツダ
その後プリウスは2013年の発売を1年あまり延期し、マツダと同じフィールの回生ブレーキを手にいれた・・・。つまりマツダの「仕上げ」にはあの酷評されていたプリウスのTHSの評価さえも変えてしまう力すらあったのだ。カーメディアがカローラスポーツやクラウンハイブリッドを絶賛しているけども、・・・あれってマツダの「仕上げ」の力があってこその産物だと思うんですよ。しかしそれに気がついている評論家がどれだけいるのだろうか!?カローラの乗り味を引き合いに出してCX-3をディスっていた「K口Mなぶ」とかいうライターもいたけど、正気か!?って思ったよ。 ・・・本題に入れなかったので次回から書き始めます。
続編はこちら
↓K口Mなぶ の愚行レビューはこちら!!
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仕事柄Auto業界のエンジニアの方とお話しすることが年に何回かあります。ミッションクリティカルな事業のため、他の製造業界と比べ、コンサバでディマンディング/コストセンシティブだったりするのがAuto業界の性質です。そんな中、巨人トヨタ/デンソーと比べ、マツダ は何というか人間的にいいヒトが多い印象です。印象的だったのは「いま世の中の一番良いものを使って実現できそうな理想の姿を定義して、そこから成立できる方法にブレイクダウンしていく、だからずっと先になるかもしれないけど研究開発では一番良いものを知りたいし、準備しておきたい」みたいなことをエンジニアの方が話すんです。この方がヘンに熱いのかと思ったら、全く違う時期に全く違う方もおんなじような事をいう。2度見てしまうと偶然じゃないとおもってしまう。
帰りの電車でシビれましたね。ふとマツダ 技報を開いてみると、冒頭に役員の指針みたいなのがあるんですが、さっき聞いたのと同じことがそこに書いてあるんです。普段ならBull S**tと読み飛ばすところですが、思わず読みかえしてしまいましたよ。お会いするのはもっぱら電気エンジニアなので、ユーザーには直接見えない分野だとは思います。でもエンドエンジニアにも企業トップのディレクションがちゃんと共有されているんだとしたら、こういう企業はそうないですよ。
経営危機に瀕するまでのマツダ は下請けや出入りの業者に対して高圧的で、取引先として嫌だったと聞きます。「マツダは変わった」の本質はヒトだったということなんでしょう。経営危機の影響は色濃く、キレイなのはおもてなしに使われる所だけ。一歩中に入ると、気の毒になる程ボロい昭和の建屋がまだまだ現役で使われています。今はちょっと成功しただけ、脆弱な経営基盤を安定化させないといけないという危機感がマツダを結束させているのではないか?それが本当なのであれば、そういう人たちが世に送り出す製品を見届けてみたい。そう思ったのが本社工場受付にあった赤いアテンザに興味を持ったきっかけでした。
そうなるとマツダとしては道半ば。理想と現実の狭間で本当に目指したかったビジョンは次期FF/FRで昇華される?と私、相当マツダバイアスがかかってしまったわけですが、ワクワクしてしまいますね。