絶好調
いよいよマツダのグローバル拡大路線がうまく回り始めているようだ。北米販売も好調で、5月販売が約3万台。現地生産が始まる前に目標の40万台/年を達成しそうな勢いだ。CX-5だけで約半分の1万5000台規模。しかし北米の虎・スバルはアウトバック、フォレスター、XVをそれぞれ1万5000台売っている。スバルとマツダの「SUV屋同士の対決」は、日本市場ではマツダSUVが優位に立ちつつあるようです。新型フォレスターが出てきましたが、CX-8のような他車ユーザーを惹きつけるタイプのクルマじゃなさそう。
北米向けとの整合
日本市場では15万台がやっと。それに対して北米は40万台。グローバル全体で165万台という規模のマツダにとって日本市場の依存度はわずか10%足らずです。先代アテンザはフォードとのアライアンスを使って、サイズ違いの北米専用モデルを現地生産し、V6搭載モデルもありました。北米市場だけに2.5Lターボが投入されたのも、旧型のV6ユーザーの乗り換えや、ライバルモデルのハイスペックバージョンに対応するため。トヨタ、ホンダ、日産のように北米で月に10万台以上売ってしまうメーカーならまだしも、4000台/月程度の販売モデルに無理してハイスペックバージョンを加えたのは、いよいよ35,000ドルクラスの北米プレミアム価格(レクサスIS、インフィニティQ50、BMW3シリーズ、メルセデスCクラス、ジャガーXEなどと同等)に名乗りを挙げるため。
MAZDAの転換
今までは1に欧州、2に日本でクルマ作りをしていたマツダが、今では1に北米、2に中国なんですね・・・どこのメーカーも同じですけど。そりゃクルマはどんどんトヨタやホンダに似てくるのも無理ない。CX-8のインテリアを見ても、トヨタやホンダの3列車をよく研究しているし、マツダなりにセンス良くまとめた結果高い評価を得ている。アテンザもインパネの作りが欧州から北米へ、アウディからレクサス/テスラへと内装のベンチマークが変わったようだ。
NDロードスターのドタバタ
旧型アテンザだけじゃない、すでに先代のNCロードスターも主力となっている北米市場の影響を大きく受けていた。北米のトレンドをNDロードスターにも受け継ぐべきか!?という議論があったらしい。2Lエンジンをさらにパワーアップさせ、ボデーもポルシェ911サイズまで大きくするってアイディアすらあったのだとか。最終的にはフィアットがスポンサーに回り、小型のイタリアンスポーツカーへと設計が絞り込まれたのでしょうけど、日本では「NAへの回帰」が盛んにアピールされたNDロードスターはセールス的には目立った結果は出ていないです。アテンザがターボ化されて35,000ドル市場に参戦するなど、プレミアム路線を目指すマツダにとっては、コルベットに近いサイズのスーパースポーツが欲しいところ。
分断されたラインナップ
フィアットとの関係は今回限りになってしまうのかわかりませんけども、NDロードスターが端的に表しているように、フィアットとの提携、トヨタとの提携などで、マツダの方向性が各市場向けに分断されて、かなりブランドイメージが決めにくくなっているようだ。北米向けがCX-9とアテンザ。日本向けがCX-8とデミオ。欧州向けがCX-3とロードスター。中国向けがCX-4。40万台を超えているアクセラ&CX-5は全世界向け。「器用貧乏」と言うべきなのかどの市場向けも、ライバルに先んじて「勝負できる」モデルがちょっと足りない印象だ。
スバルとヒュンダイ/キア
6万台のスバルも10万台のヒュンダイ/キアも北米が最優先でクルマ作りをしている。スバルはSUV3車種で4万5000台を超えていて、RAV4やCR-Vといった北米のトップセールスSUVを超える数字を出している。ヒュンダイ/キアも高級セダンをこれでもか!!というくらいに投入。あまりのモデルの多さにびっくりですが、「アゼーラ(4930mm/FF)」「ジェネシスG90(5204mm/FR)」「ジェネシスG80(4991mm/FR)」「スティンガー(4830mm/FR)」「カデンツァ(4970mm/FF)」「K900(5120mm/FR)」・・・こんなにあるのかよ。北米と中国、中東でしか売れないし、どこも変動リスクが大きい市場なんだけども、とりあえず日本メーカーやドイツメーカーがビビっている内に勝負を決めてしまえ!!という勢いを感じる。
マツダが北米に集中したら・・・
マツダはマツダであり、スバルやヒュンダイ/キアとは根本的に違うわけですけども、もしマツダがどっかの市場(もうどこでもいいです)に向けて全力で開発をしたらどんな凄いことになるのか!?例えば北米市場に全力投球するならば、FFとFRの中型/大型セダン&ビッグクーぺが用意され、RX-VISIONのようなスーパースポーツが500~700psくらいのスペックで発売され、CX-9、CX-10、CX-11とSUVも大型&高性能化され、当然ながらポルシェ・カイエンやランドローバースポーツに肩を並べる。アクセラも2ドア&4ドアのクーぺが追加される。CX-5もAWD&ツインターボのモンスタースペックが・・・。ちょっと馬鹿馬鹿しい感じもするけども、マツダの本気が見たいよなー。
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