2018年05月07日

マツダがBMWを超える日

北米マツダ驚愕の昨年同月比35.7%増

  北米市場でマツダがちょっとした旋風を巻き起こしている。昨年3月の段階では11位のメルセデスに約8000台の差をつけられていたが、2018年3月では見事にメルセデスを超えて11位へステップアップ。さらに10位の『BMW/MINI/ロールスロイス連合』との差も2000台にまで縮まり、ブランド単体で測定するならばBMWを上回っている。今後はBMWも『X2』の北米投入が予定されていて、それなりに巻き返してくるだろうけども、マツダもかなり強気な『北米40万台計画』(BMW、メルセデス、VWに対する完全勝利予告?)を発表し、2018年度に前倒しで実現を狙うらしい。


不調のドイツ勢を食い尽くす

マツダの主力は3月に16,138台を売り上げたCX5で、価格は約25000ドル〜。一方でBMWも売れ筋は完全にSUVになっていて主力の『X1・28i』が約34000ドル〜となっている。価格で比較すればCX5が売れて当然の気もするけど、Lパケに相当するCX5『グランドツーリング』なら約30000ドルまで上がり、さらに今後は『X1・28i(250psガソリンターボ)』のスペックに相当するガソリンターボのユニットが搭載されれば価格差はほとんどなくなるだろうし、SCRを搭載していよいよ北米に上陸するディーゼルも35000ドル以上での販売が濃厚。いよいよ『マツダがBMWを食い殺すXデー』がやってくる!? 余談だがそんなタイトルの本が今月発売されるらしい。


スバルの背中はまだ遠い!?

北米で展開されているマツダ車は6車種。MAZDA6(アテンザ)、MAZDA3(アクセラ)、CX3、CX5、CX9、そしてMX-5(ロードスター)の6車種合計で2018年3月に33,302台を販売した。これに対して北米市場をわがもの顔で闊歩するスバルの勢いは止まらず、レガシィ、インプレッサ、WRX、BRZ、XV、フォレスター、アウトバックの7車種が用意され、同じく2018年3月に過去最高の58,097台を販売しています。BMW15車種(X1〜6、2〜7、Z4、i3、i8)、MINI3車種(MINI、クラブマン、カントリーマン)にロールスを合わせてやっと35,954台を売り上げる苦労を考えたら、マツダもスバルも非常に効率的な商売してやがる・・・。マツダ、スバルの両社は利益率でも余裕のBMW超えらしいが、『効率』で稼いでますね。


個々のモデルではスバルに勝利

ちなみにマツダとスバルの車種別『局地戦』においては、アテンザはレガシィに、ロードスターはBRZに、CX5はフォレスターに対して、それぞれ販売台数で勝利(いずれも最近になって上回った!!)。アクセラも、インプレッサには勝っているし、WRXを合わせた2車種を相手にしてもかなり善戦している。『6つ』の局地戦はマツダの3勝1分2敗なのだが、ギリギリの『3勝』に対して絶望的な差の『2敗』喫している。とりあえずCX3ではXVを、CX9ではアウトバックを全く捕捉できていない。さらにスバルは8車種目としてさらにフルサイズSUVの『アセント』がスタンバイしている。


負けないスカイアクティブ

北米で先行するスバルに対して、マツダが比較的早期に『3勝』をもぎ取ったことは非常に素晴らしいと思う。その3勝を挙げたアテンザ、CX5、ロードスターは、それぞれ乗用車、SUV(トラック)、スポーツカーにおいてブランドの『顔』だ。マツダとしても、個々のモデルがそれぞれ狙った「ジャンル」の中においては、世界のどこのメーカーにも『局地戦』で負けないという自負はあるはず。スバルに限らず相手がVW、BMW、ホンダ、プジョー、ボルボであっても、アテンザ、CX5、ロードスターに「被った」テリトリーでマツダに勝つのは至難の技ではないかと思います。マツダ車に「絶対的」な性能を求める筋金入りのマツダ好きには「スカイアクティブ」の現行モデル達に不満がないわけではないですが、他社との比較で「相対的」にみるならば、アテンザ、CX5、ロードスターは確かに手強い。失礼ですが対面するスバル車とは比べるまでもないくらいに。


日本で5番目という宿命

いくら『局地戦』が強くても、北米で展開する日本メーカーグループでは最下位なのも事実。それは伝統的にマツダのクルマ造りが「局地戦闘」ありきになっていて、『過当競争』に貴重な資本を使ってしまっている部分もあると思います。黙々とMPVや初代デミオみたいな独創的なクルマを作り続けて、シェアを掘り起こして築き上げることが苦手です。中国・四国の9県で人口が200万人いるのは広島県だけ。二番目に多い岡山県は三菱の支配下ですから、わずか1000万人足らずの日本の1地域をバックボーンに展開するマツダに、安定経営なんてのは望外のことなのかも。


『世界一』こだわる限りは日本5位のまま!?

乗用車を作っているのだけども、マインドは「スーパーカーブランド」もしくは「プレミアムブランド」に近い。世界で一番いいクルマを作ることだけが生き残る戦略。これ勝手なイメージではないです。マツダ関連の経営本を読めば、しょっちゅう出てくる文言です。「世界一のエンジン」「世界一のサスペンション」「世界一のスポーツカー」「世界一のグランドツアラー」・・・。その結果出てくるクルマは当然ですが、日産マイクラに対抗した三代目デミオや、E46の3シリーズを潰しに行った初代GGアテンザ、そして7代目ゴルフとガチンコ勝負に走った現行アクセラ。BMWミニのシェアを奪いにいった現行デミオ。21世紀に入ってからのマツダは常に闘争本能全開。そこがブランドの魅力ではあるのですが・・・。


北米市場は刻々と進化している

北米市場でスバルがマツダと決定的な差をつけているのが『XV』と『アウトバック』です。マツダで対抗するとしたら、『アクセラ・クロスオーバー』と『アテンザワゴン・クロスオーバー』なるモデルを新開発する必要があるのですが、そこにデミオベースの『CX3』と、ヘビーな車重の『CX9』がそれぞれ対応していて、惨敗しています。CX9は新しいアセントと同じ車格で、スバルもヘビーな車体向けに2.4Lのフラット4ターボを新開発したとか。『アウトバック』は日本では2.5L自然吸気のみで販売されていますが、車重もそこまでヘビーではない。インフィニティにも『スカイラインクロスオーバー』がありますが、操縦感覚を意識した「ミドル・クロスオーバー」が米国の標準車として機能しつつある状況にマツダは乗り遅れています。


スバルとBMWにとどめを刺すモデルを作る!?

SUVとクロスオーバーの差別化は、BMWが先行していて『X1』と『X2』の作り分けに見られます。X1はCX5のようなSUVであり、X2はそれよりも車高を下げていて『アクセラ・クロスオーバー』というモデルがもしあったなら尊重されるであろうフラットな乗り味が追求されます。他にもX1にはディーゼルがあるけど、走りを重視するX2はガソリンのみといった区分もあるようです。同じことが『X3』と『X4』、あるいは『X5』と『X6』にも当てはまります。必ずしもBMWの戦略が正しいという根拠はないですけど、乗用車(アクセラ)とSUV(CX5)の中間領域が北米市場では活性化しています。中国でCX4を売っているマツダもそれは十分に認識しているとは思いますが・・・。


来年の『スカイアクティブ』はどこまで上昇するのか!?

BMW/MINI/ロールス連合は昨年よりも販売台数を減らしているし、ドイツ自動車産業全体に疑惑の目が向けられている中で、マツダが計画どおり2018年の北米販売を伸ばせばトップ10入りはほぼ確実でしょう。それでも北米で活躍する5つの日本メーカー群(トヨタ/レクサス、ホンダ/アキュラ、日産/インフィニティ/三菱連合、スバル、マツダ)の中では最下位には変わらないです。さらなる飛躍のためには、『CX4』(アクセラ・クロスオーバー)と『CX6』(アテンザワゴン・クロスオーバー)を仕立てて、マツダ本来の『闘争本能』で上に位置するメーカーを一つずつ引きずり下ろすしかないのかも。





posted by cardrivegogo at 01:43| Comment(0) | BMW | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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