MAZDAの増収は100%コストダウンと円安が要因と分析されている
今月の上旬に発表された「第3四半期決算報告」の市場レビューにおいて出てくる文言が「CX5などクロスオーバー系は好調」ばかりで、いよいよSUV屋以外の何物でもなくなってきたMAZDA。日本市場はデミオ、アクセラ、CX3、CX5、CX8の5車種がそこそこバランス良く売れていますが、アテンザとロードスターの評価がイマイチなのが残念無念。アテンザやロードスターに憧れるユーザーをどれだけ増やせるかにMAZDAの今後のプレミアム化の成否はかかっているわけですが、もうちょっと色々と勿体ぶって売ったらどうですかね。
山田弘樹の暴挙
先日も山田弘樹とかいう若手のライターが、VWのアップGTのレビューで、「これはFFのNDロードスターだ!!」みたいなこと書いてましたよ。ハンドリングの良いクルマの代名詞としてNDが使われた!!と喜んでる場合じゃないですよ。スポーティ版とはいえVWの3K車(原価が3000ユーロ)と、コストかけて作っている専用設計のスポーツカーを同じ目線で語るなんて、MAZDAを完全にナメきっている。もはやこのにーちゃんは専用設計スポーツカーのありがたみなんて何もわかってないんじゃねーの!?
VW新型up! GTIはまるでFWD版NDロードスターのようなハンドリングが楽しい(carview!) - 試乗レポート - carview! - 自動車 https://t.co/lPhSIK7KqD
− CARDRIVEGOGO (@cardrive55) 2018年2月20日
MAZDAを知った上での暴挙だったのか?
NDロードスターは僅差ですが北米市場では最も売れている日本メーカーのスポーツカーになっています。フェアレディZ、86、BRZより売れているのは立派。しかしMAZDAがこれだけでスポーツカーメーカーの面目を保っているとは言い難いです。コスモスポーツ、サバンナ、RX7/8の系譜を受け継いでなお専用設計シャシーにこだわり続けて50年のMAZDAなのだからもっと堂々と主張していいのでは!?現在はSUV屋になってますけども、50年ほぼ休みなく専用設計スポーツカーを作ってきた総合自動車メーカーなんて、世界でもMAZDA、ポルシェ、ジャガーの3つだけですし・・・。
スポーツカーブランド と 乗用車ブランド は全然違う
その辺の感覚が全く理解できてない自動車ライターばっかりだよな(S村、F野含めて)。MAZDA、ポルシェ、ジャガーに加えてシボレーとホンダは『別格』だろ。メルセデスやBMWなんて単なる乗用車メーカーに過ぎないから、現行モデルを見ていても、やっぱり「乗用車」だなってことが多い。アウトバーンを安定走行するために、ボデーやシャシーの剛性に一定の基準こそ設けているけど、そこから先の作り込みの要素が非常に乏しく、AWDなどの基幹技術も全て外注で済まして平気な顔しています。世界のどこの工場で生産してもへっちゃら。まあこれこそが「乗用車」メーカーの純然たる姿であり、これで満足というユーザーが喜んで買っているのだから否定するつもりはないですけど。
スケールダウンしたMAZDAのアイディアに問題がある?
今のMAZDAに果たしてポルシェ、ジャガー、シボレー、ホンダと並び立つが資格が本当にあるのだろうか!?メルセデスやBMWのようにクルマを企画して、ボデーとシャシーの性能を決めたらあとは汎用エンジンを積んでグレード相応の内装を整えて終わり・・・みたいなやっつけ仕事のクルマ作りは、デミオ、アクセラ、CX3/5/8だけにしておいて欲しい。つまりアテンザとロードスターだけは、ど素人にもわかるくらいにこだわり抜いて作って欲しいと思うのです。とりあえず専用設計シャシーを用意し、7500rpmをピークにした非日常な専用ユニットまで用意したNDロードスターは、MAZDAの意地がしっかり示せたと思う(ど素人にも十分伝わるはず)。手動になった幌はちょっと意見が分かれるかもしれないけど、道中で故障して雨なのに閉まらなくなったらちょっと嫌だな。ちょっと不謹慎だけど、それが冬の福井県で例の渋滞に巻き込まれたら・・・。
300万円で4輪DWBのスポーツカーが買えるのは素晴らしいことです。アウディみたいに前輪の制御に矛盾を抱えてしまう複雑なリンクではなくて、昔ながらにただただジオメトリー変化に機敏に対応できる器用なアシを持つNDロードスターの設計は至高です。それに対してただただハネるしかできない突っ張ったストラット&トレーリングアームに汎用ターボユニットを積んだだけのドイツの「軽自動車」が同じ次元って・・・もう乗る前からスペック表だけで十分に違うってわかるくらいなんだけど。もはやここまで設計思想が違っている2台を同じ次元で語るなんて愚挙だ。BMWi8を評して『FR版の488GTBだ!!』とか行っちゃうくらいにメチャクチャなことだと思いますよ。
スポーツカーの難しさ
山田という若手ライターに不本意なところで引用されてしまったNDロードスター。やっぱり内装の質感と1.5Lエンジンのスペックから来る印象が・・・アップGTに近かったのだろーね。このライターの資質にも問題があるとは思うけど、ロードスター・シリーズに興味はあるけどNDの購入は見送っているという潜在的なニーズを持つ人々にも同じように理解されているんじゃないかと思う。最もロードスターだけが敬遠されているわけではなくて、86、フェアレディZ、アウディTT、718ケイマン/ボクスターなどどれも同じように渋い評価をされているのは一緒ではあるけど。つまりスポーツカー自体がユーザーを呼び込む魅力を確立できていないです。
落とし所は・・・
MAZDAもスポーツカーで利益を上げることは最初から考えていないはず。あくまでMAZDA50年の伝統だったり、ブランドイメージの牽引役として作っているのだと思う(フィアットとの協業関係がND開発の決定打だったかもしれない)。MAZDAが本気でプレミアムブランドになるつもりならば、やはりジャガーFタイプのような、ちょっと仰け反るくらいのフル規格スポーツカーが必要なんじゃないかなー。718ケイマン/ボクスターよりもさらにハイスペックで高価なスポーツカーをトヨタ、日産、ホンダ以外が作るなんて無謀と非難する人もいるだろうが、それが不可能ならば・・・プジョーやスズキのようにCセグをフラッグシップにした小型車&SUV専門のブランドに成り下がるしかないと思う。
欧州から消えたMAZDA6
GJアテンザに関しては完全にタイミングを逸した、かわいそうなモデルだったと思う。グローバルで月間1万台という当初の見通しは脆くも崩れた。決算発表会でもコメントがあったけど、アテンザとアクセラセダンが北米でここまで大コケするとは思っていなかったらしい。1ドル=100円で大赤字になった先代アテンザに対して、1ドル=70円でも採算が採れるGJアテンザってことを考えると、よくぞここまで頑張って売ってきたと思う。しかしアメリカとドイツで大コケしちゃうモデルでは、とてもじゃないけどブランドイメージは牽引できないと思う。英オートエクスプレスでも独オート・ビルドでもMAZDA6の話題なんてもう1年以上見かけてないけど、こんなに無視されるフラッグシップでいいのか!?
復活はとりあえず来年以降・・・
MAZDAがSUV商売だけで満足ならそれでもいいと思う。もしかしたらCX8が新しいMAZDAのイメージを牽引するかもしれないし。そしてしばらくは中古車とはいえRX8やGG/GHアテンザが手にはいるだろうし。それでも喪失感は日に日に失望に変わって来るだろう。果たして2012年で止まってしまったMAZDAの時計がまた動き出す時はやって来るのか!?2012年以来MAZDAに背中を向け始めたドイツ市場やイギリス市場も、「東洋のジャガー」が復活する日を待っていると思う。あれだけのコンセプトカーを見せておいて中身がないってことは・・・。
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あと、自分の愛車がDJだから言えるんですが、やっぱどう作りこんでも「Dセグ」の大型車だと、車重と車体の大きさからスポーティーにはなりえないと思います。峠の下りを走るなら、むしろ親父の20年落ちのカローラUの方が普通に軽快ですし。次の新型アテンザがまた「Dセグ」で勝負するのなら、完全に海外金持ち向けにプレミアム路線で行く(「人馬一体よりもラグジュアリー&コンフォート重視)に行かなければまた同じ失敗を繰り返すのではないかと。個人的にはアテンザは以前同様にサイズをCDセグメントに戻してアクセラとの差別化を明確にコンセプトとして打ち立てるのが本筋ではないかと思います。極論を言うなら、例えばアクセラセダンは廃止するとか。