2018年01月16日

「東洋のジャガー」の意味を知っていますか!?




マツダデザインの深淵を知る


  「マツダファンブックNO.5」が届いた。マツダが東京MSで世界を震撼させた超絶コンセプトカーを発表したことを受けて、歴代マツダデザインの中で特にショーモデルを中心とした特集が組まれていて、これがここ数年いろいろなカーメディアで増えた様々なマツダ特集が出てますけども、群を抜くくらいに秀逸でした。1960年代からマツダが発表してきたレアなモデルを時系列に沿って紹介しています。


バブル期の日本メーカーはカオス


  特に日本車が熱かった1980年代のマツダ車はスケールがデカイ。これに比べれば「魁コンセプト」や「ビジョンクーペクンセプト」くらいでガタガタ大騒ぎするものでもない!? マツダだったらこれくらいの秀麗なショーモデルは「平常運転」で作れちゃう!?ってことがよくわかります。そしてなぜ欧州でマツダが「東洋のジャガー」と呼ばれるのか!?の意味も・・・。


このデザインは凄い!!


  その中でも一番衝撃を受けたのが『MX-03』という、2シーターのスーパースポーツです。これ「初代NSX」かと思いましたよ。デビュー当初のNSXはリトラクタブルヘッドライトですけども、それが廃止された後期のNSXにそっくりです。しかも初代NSXのデザインの最大の美点とも言えるリアデザインは、ほぼそのまま!!ホンダの幹部が「フェラーリは博物館へ」と言い放った、性能でもデザインでもフェラーリのV8ミッドシップを叩きのめした初代NSXは、マツダデザインから生まれたのか・・・。




ホンダが作ったにしてはうまくできてるよな・・・


  これは・・・言いがかりとかのレベルではなく、もうそのままですよ。当時の日本車なんてスカイラインとマーク2がそっくりすぎてまるで見分けがつかないくらいでも、誰も異議を唱えない時代ですから・・・、いやいや似てるのは日本車だけじゃない!!輸入車だってそこらじゅうが似た者どうしで、BMWは三菱やホンダをパクるし、アストンマーティンはトヨタをパクるし、まあ今では考えられないことが当たり前に起きていたのが20世紀です。日本メーカー同士が似ていても特に何も珍しいことではなく、ましてや片方は市販車でもなく、話題にもならなかったんでしょうね。それがスーパースポーツであったとしても・・・。


バブル期から日本人のメンタリティに変化なし!?


  デザインはどこも同じだったからこそ、クルマ選びはストイックなまでにスペック勝負だったのかもしれません。今ではデザイン抜きでどうやってライバルと違いを作るなんてなかなか難しいですけども、30年前はデザインは同じ!!それが当たり前だったからこそ、作る側も選ぶ側も「走り」に対する感性が今よりもずっと豊かだったのかもしれません。当時の状況を書籍などで垣間見ることができますが、例えば下野康史さんの「カルトカーがぜったい!」を読むと、


『NSXの中の一節・・・デビューから4年がすぎて、NSXの評価は国内外ですでに定着した感がある。面白いことに、海外では概して絶賛なのに、肝心の日本では必ずしもそうではない。曰く、これだけの高級スポーツカーでありながら、外国車のようなアジがない。曰く、フェラーリを仮想敵にしたにしては、刺激や官能性に欠けて面白くない。』


・・・とあります。まあこの評論はシニカルで、クルマの評価ではなく、日本人の国民性の評価であって、このあと20年以上にわたって同じことを繰り返しているという意味でも慧眼。後から出てくるGT-Rも二代目NSXにもそのまま当てはまる優秀なレビューです。ホンダは「走り」も「デザイン」もフェラーリに完勝した!!元々328GTに勝つために作ったと言っていて、世界もホンダの「判定勝ち」を認めた!!しかしその「デザイン」の部分は・・・実はマツダが作ったコンセプトカーだったってこと。




マツダは市販化する勇気を持たなかった・・・


前と後ろはそっくりですが、サイドから見るとキャビンが長いのでまるで別物ですね。NSXはここからの眺めも素晴らし買った。マツダはこのMX-03をユーノスコスモというソアラに対抗したハイスペッククーペに帰着させますが、おそらくMX-03に大きなヒントを得たホンダは、より世界にアピールできる市販車デザインへと昇華させました。オールアルミボデーゆえに造形の精度に優れていたという事情もあったようですけど、ユーノスコスモよりも圧倒的に非日常なスタイルを獲得しました。




FD3Sは英国人が選ぶ20世紀の日本車のベストデザインらしい。


マツダも1991年に負けじと「RX7FD3S」を作り、デザイン面で欧州車を圧倒したバブル期の一連の日本のスペシャルティカーの中でも代表的なモデルになりました。スープラ(80系)、三菱GTOなど突き抜けたデザインが多かったし、マセラティやアストンマーティンは日本車デザインをナゾるだけのグランドツアラーブランドでしかなかったし、1998年アウディが全てを突き破るまでドイツ車も地味なモデルばかり・・・。


「東洋のジャガー」ではなく「西洋のマツダ」だったのでは!?


その中でも世界に大きなインパクトを残したNSXとRX7FD3Sの二台は、マツダの意欲的なデザインから生まれた!!と断定しても良さそうだ!!今ではメルセデスやアウディから中国メーカーまでデザイン時代を謳歌していますけども、1980年代に革新的であったのは、マツダそして英国のジャガー。ちなみにMX-03は・・・ジャガーが作ったスーパーカーとして知られるXJ220にも似ている。このクルマの企画が始まったのはMX-03が発表された翌年のことだそうだ。実はマツダはすでに本家を超えていたのかもしれない。







【関連する記事】
posted by cardrivegogo at 02:58| Comment(0) | マツダへの雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]