年明けにもサプライズのフルモデルチェンジがあるのか!?と思ってましたが、ちょっと様子が変わってきました。なんの前触れもなかったですが、GJアテンザの北米モデルにビッグマイナーチェンジが施されたようです。インパネにはひと昔前の高級乗用車に使われるようなウッドパネルが配置され、写真で見たところCX8Lパケに使われている素材をアテンザにも拡大するみたいです。国内専売のCX8Lパケだけに使うには、凝ったインテリアだとは思っていましたが、なるほどGJアテンザでも使うのか。
そしてビッグマイナーのもう一つの目玉が「アテンザ2.5スカイアクティブGターボ」の追加らしい。これ日本にも入ってくるのか!? マツダのガソリンターボは、北米向けCX9用に導入されていて、2.5Lの250psくらいです。アウディ、BMW、メルセデスがおよそ2トンもある重量級SUVにも2Lターボをあてがっていますが、さすがに1.5トンクラスの乗用車用とは違い、低速トルク重視のチューンがされています。マツダはさらなる1000rpm以下のターボ過給が滞りがちな領域でもスムーズに走れるように、排気量に余裕を持たせています。しかしスペック表では5000rpmで頭打ち・・・そこはドイツ車と差別化して欲しかった。typeRのような回るターボにしてくれー。
しかしMAZDAですからねー。やるんじゃないですか!?いや・・・絶対にやるはず。馬鹿なことを。初代に設定があった2.3Lターボを使った「マツダスピード・アテンザ」に肩を並べるスペックはすでにあるわけですが、北米せいぜい月に2000台しか売れない(そんなに売れてんのか!!)CX9の為だけに、ターボエンジンを作ったりしないはず。その程度の需要ならば外部から調達した方が合理的でしょうし。メキシコ工場でピックアップトラックを作るのかなー!?フォード傘下ならいざ知らず、今のMAZDAはそんな柄じゃないです。狙いは間違いなく中国とアメリカで400ps級の高性能セダン&SUVを売ることじゃないですか!?
マツダのアテンザ進化計画は!?
しかしハードルも高いです。50kg・m級のトルクを支えられるミッションはマツダではまだ実用化されていないです。北米マツダが参戦しているレース用マシンで使っているミッションは、MZR2.0ターボを英国のAERがチューンした600ps級ユニットのトルクを捌く容量がありますけど、このミッドシップ用が市販車向けになるとは考えにくいです。NDロードスターのようにアイシンAWから供給してもらうのが現実的ですが、横置き用だと8ATが50kg・mに足りないくらい、6ATが45kg・m程度です。アイシンAWを使うボルボ、PSA、BMW(FFモデル)の限界はこの辺ですけど、メルセデスAMGとアウディRSには60kg・mを可能にしたDCTがあります。
日本メーカーとして純粋にクルマ作りをする上では絶対に必要ないですし、横置きFF車に使うにはあまりにも無謀。AMGもRSもAWDにLSD、横滑り防止でガチガチに囲い込んでいて、要するに「無駄に無駄を重ねた」だけのヘブンリー&バブリーなクルマなんですけども、アメリカ、中国の二大市場で知られた存在になるためには必要な装備と考えられています。テスラが爆発的に存在感を増しているのも、「ゼロエミッション」のインパクトだけでなく「ヘブンリー&バブリー」でオーソドックスに人々の欲望に訴えたからなのは誰の目にも明らか。リーフやiミーブとは受け止められ方が違うし。
手前勝手な予想で恐縮ですけども、東京MSに出品された「ビジョン・クーぺ」が次期アテンザの原型だとするなら、マツダもいよいよ「テスラありきの世界市場」を見据えて次世代商品群を開発しているのは間違いないでしょう。EVとしてテスラと張り合うのではなく、テスラのもう一つの本質である「人が憧れるカーライフの実現」。たった1台のクルマを手にした瞬間に世界の景色がガラリと変わる。そんな乗用車/サルーンをEVとは別のアプローチで模索しているはずです。
マツダとレクサスの対比
メルセデスがいて、テスラがいて、もう一つの選択肢に入り込むのはポルシェなのかインフィニティなのか、それともマツダが滑り込むのか。この5ブランドに共通するのはブランドが積み上げてきたヒストリー/伝統を全て破壊してでも、「今求められている理想」を手繰り寄せることへの「徹底」「集中」だけが高級車の売れ行きを決めるファクターになっているという現実を受け止めていること。新型レク⭕️スL⭕️を見て、「つまらねー」とどれくらいの人が感じたかわかりませんけども、あの仕事ぶりではレク⭕️スの命運はいよいよ尽きたかも。
マツダの魂動デザインも結局のところは日本でも、アメリカでも、欧州でも勝てなかった。メルセデスCクラスに3つ全ての市場で負けた。相手がメルセデスだろうがポルシェだろうがマセラティだろうが負けたらもう終わり。そんな出来損ないはさっさとスクラップにして、もっといい仕事をするしかない。東京MSを見る限りでは「負けた」と認識したマツダと、全く思っていない(であろう)レク⭕️スの対比は滑稽に感じました。
インフィニティとアキュラの技術は北米で爆発している!!
レク⭕️スは置いといて、北米版MAZDA6は22000ドル〜という価格帯にもかかわらず、35000ドル〜の価格になっているインフィニティQ50(スカイライン)、アキュラTLX(アコードベース)に販売台数で負けてます。MAZDA3とほぼ変わらない装備しか持たないMAZDA6に対して、北米専用の3.0LのV6ターボを用意するQ50や、世界初?のトルコンDCTを採用し、ベース車のアコード(CVT)と差別化を狙ったアキュラTLXに負けたということは、マツダが「完全に技術で負けた」ことを意味します。
今回のビッグマイナーチェンジは「応急処置」といったところでしょうか。V6ターボなのに6400rpmにピークがあるという日産のVR30DETT。そしてV6自然吸気&Vテックのホンダユニットに対抗するには、ドイツメーカーの猿真似みたいな低速トルクの貧相なターボでは話にならない。Cクラスのベースモデルは250psを発揮するC300(40000ドル)なので、マツダのターボがやっとCクラスのボトムグレードに肩を並べるくらいでしか無いです。ガソリンターボをチューンアップしつつ、Cクラスを完全に凌駕できるような「ビジョンクーぺ」のデザインをそのまま量販モデルに取り入れられれば、メルセデス、インフィニティ、アキュラを相手に戦えるようになるわけですが・・・果たしてマツダにそこまでの覚悟があるのだろうか!?
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