2017年08月10日

『マツダに嫉妬』した社長の複雑な事情。

「マツダとの提携で得た一番大きな果実は、「クルマを愛する仲間」を得たことです。そして、「マツダに負けたくない」というトヨタの「負け嫌い」に火をつけていただいたことだと思っています。本提携は、クルマを愛するもの同志が「もっといいクルマをつくる」ための提携であり、「未来のクルマを決してコモディティにはしたくない」という想いを形にしたものだということです」(トヨタ・豊田章男社長のコメント)

マツダとトヨタのより大規模で包括的な提携が発表されましたが・・・そもそもの中身は自動車好きが身を乗り出して大興奮するような話ではなさそうです。無機質なステートメントから見えてくるのは、
@トヨタ、マツダがカリフォルニア州などでの販売を継続するために義務付けられるEVの開発。 
Aアメリカ市場でのトヨタのやや弾力的な需要に応えるために、スバルの工場に続いてメキシコにあるマツダの北米拠点をトヨタブランド向けの生産ラインとして活用する。 ・・・ある程度は想定の範囲内でのことで、何ら新しいものではないです。この合意の本当の意義は、トランプ政権の初動を見極めつつ、今後の米国議会でのロビー活動において、トヨタがマツダのケツ持ちになりますよ!!といったところなのかも。

一部のカーメディアでは、「マツダの独自性が失われるのでは?」などと、やや過敏なまでの問題提起をしていますが、そもそもトヨタに取り込まれて独自性が失われたメーカーなんてあったの!? M&Aにあまり積極的ではないトヨタに対して、VW、ルノー、メルセデスそしてひと昔前のフォードやGMは、他国の経営難なメーカーを買い漁ってました。特に欧州中心主義を振りかざすVWやルノーはやりすぎとしか言いようがない虐待を加えて、スズキ、日産とそれぞれモメる羽目になりました。それに対してトヨタは自らが成長するためというよりも、業界全体の安定的な成長と発展を考えて、スバル、ダイハツ、ロータス、BMW、マツダ、スズキとの資本や技術の提携を進めてきました。果たしてこの6メーカーは独自性を失っているのか!?・・・1つだけやや怪しい?トヨタ路線の合理主義&燃費向上に励んでいるようですけど、他の5つのメーカーはまだまだ十分にキャラが立ってます。

マツダが経営合理化を測って、トヨタとシャシーを共通化したところで、それが自らの存在意義の否定であることは誰の目にも自明。そういうどーでもいい次元の話を永遠にこじらせるのがカーメディアさんのお仕事なんでしょうけども、ちょっと面白いのは・・・トヨタとの協業発表!!というタイミングに至って、何やら『マツダの独自性』とかいう神秘的なものの存在を肯定し始める。初代アテンザが世界で150以上ものCOTYを受賞した意味すらわかってないし、その事実を報道すらしないし、ちょっと違う局面になるとマツダの『吹けば飛びそう』な経営だと失笑しているのに・・・。

より前向きにトヨタとマツダの技術提携を評価するならば、マツダにとっては喉から手が出るほど欲しい『開発用リソース』を、あまり乗用車向けに振り分けなくても開発可能になることで、よりエンスー向けなモデルの開発へとリソースを回せるってことになるなーって思いますよね。でもマツダがNSXやGT-Rみたいな『メカ全開』のクルマを作る!!っていう想像は絶対に間違っていると思います。NSXは『飛行機』や『スーパーカー』を作るというホンダの筋道を構成する1台ですし、GT-Rもルノー日産グループを代表する『スーパーカー』への飛躍を意図して作られてます。あくまで『スーパーカー』というイディアを現実化する・・・という段取りのクルマづくりがされています。レクサスLFAなんかも全く同じ構図。

世界のマツダファンが求めているものは、そーではない!!マツダには存分に『変なクルマ』を作ってくれ!!って思っているんです。フェラーリ的な何か!?あるいはポルシェ911的な何か!?を作ることは、どんな無能なメーカーにだってできる!!(決してレクサス、メルセデス、BMWとは言ってませんよ!!) 新興国にだってそんなメーカーは腐るほどあるし、中国やアメリカでモーターショーが開かれれば、フェラーリやポルシェの『そっくりさん』があちこちに登場します。もはやそんなブランドに存在価値なんてないって!!(決してレクサス、メルセデス、BMWとは言ってませんよ!!)

世界に不足しているのは『山師』。かつて『初代MPV』、『5代目ファミリア』、『ユーノス・ロードスター』などを掘り当てて、日本を軽く飛び越えて、創業100年とかの歴史を誇る欧州ブランドにまで多大な影響を与えた、『バカ全開』なモデルを本当に作ってしまうメーカーが足りないんじゃないの!? ちょっとマツダに苦言を呈すると、CX8みたいにそこらじゅうでモロ被りするような地味なクルマに期待しちゃいかんのです。すっかり地味になったアクセラのエクステリアに、個性的かつ機能的な大掛かりなパーツでも付けてみてよ。ガルウイングとかさ。

豊田章男社長が「マツダに嫉妬する」と表現したものは・・・。C-HRとカムリの件でしょうか。マツダのシェアを露骨に取りに行ってしまいましたけど、バックアップするから心配しないでね!!世界にその名を轟かす巨大企業のトップともなれば、同業他社からもしっかりと尊敬される行動をしなければならない。トヨタだけが儲かればいい!!という時代でもない。トヨタの独占によってマツダ、三菱、スズキが次々と消滅する可能性は結構高い。トヨタだけが生き残ったところで自動車産業は終わり。倒産した日本メーカーの残骸をどっかの国の資本が買いあさってしまえば、トヨタ単独ではもうどうにもならない。中国リーグの連合軍を名古屋グランパス(J2)で迎え撃つみたいなもの・・・。

絶妙なパワーバランスの中で生きながらえることがちょっと保証されたマツダ。果たしてこのチャンスで『最後にひと花』咲かせてくれるのかな!? マツダの奇跡は得てしてこういう時に起こる!!初代アテンザ、初代CX5と同じ状況になってきたかな・・・!? 魅惑のFRサルーンでも作るのか!?




最新投稿まとめブログ

ラベル:マツダ トヨタ
posted by cardrivegogo at 21:37| Comment(0) | トヨタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]