これまでのマツダデザインの名車は、一台一台がキレイに作り込まれていて、ひたすらに「クール」でした。ヘンに暑苦しいこともないですし、とにかく1991年以降(ユーノス、アンフィニ以降)は特に、大衆に後ろ指さされることを恐れるかのように、神経質なまでの無欠なデザインを緻密に作るメーカーだったなーと思います。実際10年経っても20年経ってもありえないくらいにカッコいい!!それでもポルシェやMINIのような熱狂的マニアをデザインによって集められているか?っていうとそれほどでもないです。・・・つまりもっと「ガキっぽい」デザインの方がむしろブランドのステータスは高まるってことなんじゃないか?
「マツダのSUVデザインはどこかイっちゃってるよね!?」そう呼ばれることをむしろ望んでいるかのような、アクの強さみたいなものを新型CX5から感じます。相変わらずというか、もはやマツダらしさの一部になりつつある「ソウルレッド」(他のブランドも挙って真似してるけど)をイメージカラーとしたままに、よりエモーショナルでスポーティな外観スタイルを選んだことで、初代CX5の「ファミリーカー」っぽいとっても幸せな世界観が一気に吹き飛んだ感じがします。誤解を恐れずに言ってしまうと、2010年以降から急速に魅力を失いつつあるアウディの大失敗に終わった「スカしたSUV路線」を、マツダがやや盲目的に後追いしている感すらあります。アウディのようにキレイに作ればとりあえず人気が出ると思っている節がある?余談ですがアウディは相変わらずダメですね。和田智氏がいなくなってからもうずっとダメです。
初代CX5はとにかく大成功でした。アメリカでも中国でもデビューから燻ることなく売れましたし、何より日本でミドルクラスSUVがここまで売れるのか?ってくらいに予想を良い意味で裏切って快進撃を続けました。日本を代表する一流の重工メーカーの傘下にある三菱自動車の得意なジャンルにおいてアウトランダーに完勝したのは素晴らしいですし、あの日産がエクストレイルにアレコレと手数を加えてくるなど、完全に本気にさせています!!そもそもこのクルマが売れなかったら・・・日本向けのアテンザやアクセラにディーゼルが搭載されることもなかったですし、もしそんな消極的な展開だったならば、GJアテンザは全く売れなかった可能性もあります。まだマツダが日本市場に踏みとどまっているのも初代CX5のおかげです。
これだけ偉大なモデルが先代だとすると、2代目を開発するのは相当に大変だったろうと思います。境遇はまさにGHアテンザデビュー当時と同じじゃないですか!?基本シャシーやエンジンなどは先代モデルからの引き継ぎ。ボデーサイズやデザイン面での意匠変更などはあるものの、スペック面での大きな変動はなし。ただしGHアテンザがGGアテンザの荒削りなところを洗練させて、あらゆる路面でより高い次元の乗り味が引き出せるように徹底的に弱点の強化に励みましたが、それと同じような意味合いのフルモデルチェンジと言えるかもしれません。良いクルマが欲しい、あるいは長く使うクルマが欲しいなら「買い」のタイミングだとは思います(少なくとも試す価値はあると思います)。
トヨタのC-HRが圧倒的な乗り込みによって相当に完成度の高いクルマになった!!と盛んに宣伝していますが、CX5がデビューしたての新型SUVに乗り味であっさりと負けるとは考えにくいです。C-HR自慢のドイツメーカーのダンパーを使ったから一気に走りがよくなるとも思えないですけども、試乗レビューではハッキリと「乗りやすい」と書かれていますので、あまり断定的なことを書くとあとで大恥かもしれないですが、CX5とはマツダの「信念」ともいえる「世界一の操縦性」をSUVというパッケージに全力でぶつけた結果による、ある意味では「必然的」なヒットです。
初代CX5をさらなる高みへ微調整して来たであろう2代目CX5を、あっさり越えて来るモデルを、ポルシェならまだしもトヨタ(のクルマ文化)がいきなり作れるはずがない!!もしそれが簡単に出来るというなら86はロードスターを軽く越えたハンドリングマシンになっていたでしょうし・・・。もっともトヨタのC-HRをここまで真剣にさせた一因はCX5の成功にあるのでしょうけど。
予定通りに2017年の上旬にも登場するならば、モデルサイクルはわずか5年という最近のマツダでは異例の短さとんります。SUVは今がまさに旬であり、勝負の時だと考えているんでしょうね。フルモデルチェンジがあと1年2年と遅くなれば、もしかしたらトヨタの本気の設計と本気のプロモーション(これは脅威過ぎる!!)によって、日本のスポーティ路線のSUV市場は完全に占拠されてしまう!!という脅迫観念に追われているかのようです。
確かにSUVは良く売れています。トヨタやVWも慌てて新型モデルを仕立ててきました。初代CX5はエクストレイル、ハリアー、CR-Vがちょうどモデル末期を迎えて存在感を無くしている抜群のタイミングで投入され、日本市場では瞬く間にミドルクラスSUVの頂点に立ちました。その後に次々と発売されたアテンザ、アクセラ、デミオはマツダの気合いがやや空回りしたのか案外な結果でしたけど、CX5に関しては完全に嬉しい誤算だったと思います。前にも書いたことがありましたが、「魂動」デザインはCX5の為だと言っていいくらいに、端正なデザインとSUVの良い意味でのラフさがよく調和しつつも、日本車らしい気取ったところが無いスマートな雰囲気が見事です。
冒頭にも初代から2代目になって、エクステリアから伝わってくるものが変わったと書きました。2012年の発売後に様々なSUVが次々と発売されましたが、CX5に続いて出て来たモデルで特に日本で反響が大きかったのがホンダ・ヴェゼルとポルシェ・マカンです。特に後者のスタイルはどうやら2代目CX5のスタイリングに大きな影響を与えているのは間違いなさそうです。
マツダ以外にも2017年を目処に新型SUVの投入を予定しているブランドがいくつもありますが、そのほとんどが「マカン」の影響下にあるといっていいかもしれません。アウディQ2、BMW・X2、プジョー3008、アルファロメオ・ステルヴィオ(FR車です!!)などなど・・・。この中に混じっても新型CX5は光ることができるのか?想定価格は270〜400万円の範囲だと思われますが、利益率と販売台数を考えたら今やCX5が完全にやマツダの屋台骨ですから、これでコケたらマツダ終焉?の可能性すらあります。さて今月15日発売の四季報には何と書かれるのか?とてもマツダ株に手を出せるタイミングではないですけど・・・。
そしていよいよ北米でもディーゼル搭載モデルの販売が始まるらしいです。先行報道によるとメルセデスやPSAが使用する尿素SCRを搭載して排ガスを浄化することになったようで、日本向けも同じとなると本体価格に跳ね返ってきそうです。ベースモデルで300万円〜ともなると、日本ではさすがに売り上げが激減しそうです。あの豪華装備のトヨタ・ハリアーですら大苦戦だったのに(ハリアーはちょっとズレていた気もしたけど)。
GHアテンザと同じ2代目のスピリッツを十分に感じさせるモデルであったなら、人生初のSUV購入も考えてみようかな?なんて感傷的な気分にもなっている今日この頃です。日本仕様にはコスト削減で尿素SCR付けないのかな!?まあガソリンモデルにすればいいわけですが・・・。あとは何といっても「色」ですかね。重厚感をしっかり感じさせてくれるアテンザの新色「メタリック」が使われるとは思いますが、ピラー回りの配色とのマッチングなどでイメージもだいぶ変わるので、その辺で徹底して「絵」になるデザインへと、ショーカーモデルから市販デザインへと作り込んでほしいと思います。
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