なんと今回はフェルディナント・ヤマグチさんが、マツダのキーマンを喋らせまくった!ということで、届く前から面白いだろうな〜!!!と期待でいっぱいでしたが、その高いハードルを軽々越えていったのだから、この「素人」さんなかなかとんでもないインタビュアーです。「日産」ではゴーン氏による経営論を口語で読めるという貴重さに加えて、やはり「あの人」が登場して禅問答のような「水野節」が読めます。さらにクルマ好きがもっと知りたいポイントを絶妙に押えてあって、ポルシェやBMWすら撃破できる日産の技術力を支えるエンジニアの話が詰まっています。ヤマグチ氏が相当なクルマ好きだというのが良くわかる構成・・・無駄がない!
マツダにも最近カーメディアで良く知られるようになった「スカイアクティブ三銃士」がいます。いずれもキャラが立っていて雑誌のインタビューでも心に残るような言葉で、マツダ車の魅力を伝える「藤原・人見・前田」の3者です。この3人全員にロングインタビューしたら、1冊の本にまとめ上げるのは無理でしょうし、3人の個性が暴走して・・・マツダのアイデンティティが逆にわかりにくくなりそうな気がします。この本では、藤原さんが中心になっていますが(人見さん・前田さんも登場します)、この1人の面白いオッサンだけで十分に元が採れる本です。雑誌の1〜2ページのインタビューとは全然違って、本質的なことにまでツッコミますから、マツダのエンジン製造工程では、複数の種類のエンジンを流すから汎用のマシニングセンタを使っていると暴露してます! え?マツダのエンジンてその辺の町工場にあるような旋盤機で作ってんの?大丈夫か?・・・ちょっとどっきりさせられます。
他にもいろいろ「え?」という話が出てくるんですよ。果たしてこの藤原さんという人はマツダのスポークスマンとして相応しいのだろうか? と余計な心配をしてしまうほどです。しかも藤原さんが「際どい」話をしているのが一般の読者(私のようなクルマに興味があるマツダ好き)にも確実にわかるように、フェルディナント・ヤマグチさんが絶妙なツッコミを入れます。「マニシングセンタでは工作精度が大幅に落ちるのでは?」とすかさずぶっ込む・・・お〜〜〜〜!!!どうする藤原常務?
他にも・・・アクセラが年産40万台、あとはアテンザとデミオがそれぞれ10万台という規模なので、プラットフォームを「縦」に共通化させているというマツダの説明に対しても、「それだと上のクラスのユーザーは、下のクラスと同じ部品に満足しないのでは?」と鋭いツッコミが・・・どうするFUJIWARA常務? もうハラハラしちゃって・・・このまま藤原さんが喋っているとだんだんとボロが出てくるのでは?と老婆心ながらも心配してしまいます。・・・少なくとも、私がスカイアクティブ以降のマツダ車に乗って感じた「腑に落ちない」ところは、この本の技術的な話を読んでだいたい原因を掴むことができました。「マツダの弱点」と言っていいかわかりませんが、これからマツダ車を購入するとしたら、これらの点とどう付き合えるか?でしょうね。しかし200万円台で売られているクルマの中ではやはり優秀な部類に入るとは思いますが・・・。
藤原インタビューがメインコンテンツだとばかり思ってましたが、続くエンジニア陣へのインタビューが実はもっと面白かった!!!・・・ハンドリングに関していうと「W124とE39」でメルセデスとBMWは終わった!!!とか平気で言ってしまってます。これに対してヤマグチさんが「最新のベンツは30年前のクルマに負けているってことですか?」と詰め寄る・・・すると「はい!」と断言しておられる! マツダの研究職員が、今をときめくメルセデスやBMWを捕まえて「乱暴狼藉」と同等くらいの暴言を吐くなんて・・・これがマツダの現場の声なのか? それともヤマグチさんの脚色なのか? まあ・・・ハンドリングに関するこれまでのマツダのこだわりを考えればそれくらいの「意見」を持ってても不思議じゃないですし、マツダユーザーにとってもそれくらい気合いが入ったエンジニアが開発したクルマに乗っているのは気分がいいですけどね。まあメルセデスとBMWの件は暗黙の了解です。ただ事実だからといって、それを素直に言ってしまうマツダの社員は「ちょっとヘン」なのかもしれません。(上司もヤバければ部下もヤバい)
巻末には「三銃士」が登場しますが、もっとも上の地位?の藤原さんが主導権を執って、さんざんに想いのたけを吐露します。・・・NDロードスターに文句があるやつは出てこい! こんなスゴいクルマは日本メーカーしか作れませんよ! ポルシェでもBMWでも真似してますけど、共通シャシーだからボデーがデカ過ぎてただのゴ◯にしかなっていない・・・。いくらでも言ってやりますよ!ゴ◯!ゴ◯!ゴ◯! くやしかったら専用設計でライトウエイトを作ってみろ! フィアットの銀行出身のCEOはマツダを指名しましたけど、どう頑張ってもヤツらの合理主義の中からは出てこないクルマなんですよ! そんなこともわからないヤツがエラそうに「ロードスター」をとやかく語るな!合理主義のフェラーリがそんなに楽しいですか!パワー足りないからターボで・・・そんなア◯なクルマ作りしかしなくなった欧州なんて残念すぎる!もうマツダの敵ですらないです・・・。
とは書いてありませんけども・・・藤原さんはおそらくこういう事が言いたかったのかな?ということが伝わってくる臨場感のあるインタビュー集になっています。最近はマツダ関連の本が出版ラッシュですけども、私の知る限りでは本書が圧倒的に「読みやすく」「内容が深い」です。宮本喜一さんの「ロマンのソロバン」には期待しましたが、前作の「マツダはなぜ甦ったか?」ほどには感動はなかったですし、人見さんの本はスカイアクティブ信者には面白いですけども、あまり人にオススメできるものではなかったです。マツダ以外のファンにも楽しんでもらえる点でもとってもよい本ですね・・・さてもう一回読もう。
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今回はおもしろい本をご紹介頂き、本当にありがとうございました! いやー、この本はすごいですね。ほとんど一気読みしてしまいました。スバル派ですが、デミオでも1台買ってみようかなと思ったほどです(笑)。
これからも、おもしろい記事を期待しています!
本を喜んでいただけたようで、とてもうれしいです。
私の拙文ではとても伝え切れないくらいに
面白い過ぎる本ですよね。
次はスバルの本をぜひ期待したいですね。