近づいてみると、何と先代のレジェンドでした!近くに狭山工場がありますから、ホンダの社員か系列部品メーカーの社長かわかりませんが、まあこの辺では結構見かけるクルマではあります。歴代のレジェンドは国内外のカーメディアから「高級車としての風格がない・・・」みたいな辛辣な評価を受け続けていますが、やはりレジェンドの本当の姿は、日曜日の早朝に自動車専用道で、輸入車やスポーツカーをワイルドに蹴散らしながら我がもの顏に進むところじゃないですかね。それにしてもあまりの加速の強烈さで右車線を快走しているので、その下品な走りっぷりからは高級車の風格は全くなく、後ろから見る限りでは実際よりも小さく感じてしまうので、全くフルサイズセダンには見えません。
レジェンドがこれだけ元気に走ってくると(後ろにアテンザを従えて)、当然ながら「日本車の分際で生意気」とばかりに闘争心に火が付く挑戦者も出てきます。左車線の車列の中にひっそりとF10系528が走っていて、「おそらく出てくるだろうな〜」と思っていたら案の定・・・。2台が通過したあとに「我こそは!」と右車線に躍り出てきました。しかし1800kgを直4で引っ張るという少々貧乏くさいクルマに成り果ててしまった5シリーズには、299号線は無理ですよ!大人しく首都高で「直線番長ごっこ」でもしているべきです。レジェンドのさらなる凶暴な加速を見て勝負になるはずもないと瞬時に悟ったようで、僅か数秒で闘争心を失ってしまいました。
さて直進区間が終わり、さらに先導を続けてくれるレジェンドですが、このヘビーウエイトなAWDマシンはこの先の狭路をこのままのスピードで突き抜けるのか(そりゃ無茶だ)? コースは熟知していてこの先からタイトなコーナーが続くので、とりあえず不測の事態に備えて車間距離を2倍に広げます。後ろからみていてもかなりヤバい速度で突っ込んでいくレジェンドは、何と!なんの躊躇いもなく、対向車線にはみ出してのコーナーリングを敢行してきました。もちろんはみ出し禁止のオレンジラインがびっしりと引かれているわけで、もしホンダの関係者なら危険運転の社内規則で厳しく罰せられるくらいの横暴な走りですね・・・。2車線区間で一度サイドバイサイドになっていて、ドライバーを見ましたけど白髪の初老の男性でした、助手席には奥様をおぼしき方も。全くの偏見ですが日焼け肌に白髪のオッサンはどうもセダンで暴走するイメージがあります。
残念ながらレジェンドは秩父方面には行かず、299号線の絶妙なワインディングが連なる日高〜秩父間を朝の心地良い空気に包まれて自分のペースで楽しみました。いつも夜中に走っているコースですが、昼間だと意外に広く感じられ旋回時のハンドリングも狙った角度でイメージ通りに走れます。やっぱりマツダ車を楽しむならば「夜」じゃなくて「朝」ですね。飯能までの2車線区間には、ロードスター、307CC、MR-Sを楽しむ「露出系」オヤジが目立ちましたが、まだまだAM5時過ぎなので秩父から下りてくるクルマもまばらで地元車ばかりで、これといったクルマに出会うこともなかったのは残念でしたが、「クルマとの対話」みたいなドライブに十分満足です。秩父を超えて今日はさらに299号線を深く分け入るのですが、市内を大きく迂回する299号から一旦外れて、秩父ミューズパークのワインディングロードを突き進んで小鹿野方面へ向かいます。
飯能・日高から高麗川の渓谷沿いのルート(299号線)を抜けて秩父盆地に達すると、その想像以上に開けた展望に驚きます。秩父の市街よりもさらに西側の田園風景は、はるか向こうまで視界を遮るものもなく、バイパスの直線区間の先までずっと見渡せます。まるで北海道を走るかのように、遠くに見える対向車が間近に迫るまでの時間が想像以上に長く感じます。この盆地には長瀞や三峯神社など観光地が点在していて1日では全く足りないくらいに楽しめますし、埼玉県も一生懸命に道路を改良してくれているので、各地をつなぐバイパス的な気持ち良い道路をあちこち走っても楽しいです。そんなドライブにも最高な場所である早朝の秩父盆地に乗り込んで思い思いの走りを楽しむ人々(周辺地域のナンバー)が集っているようですが、なんと使用しているクルマが片っ端からマツダ・マツダ・マツダ! 特に人気なのはデミオです。都心からも関越道経由で1時間足らずで到達できますし、その距離感からしてデミオあたりで気軽に出掛けるのがなんとも絶妙なんですね。実際にこれだけの気持ち良い道ですからハンドリングを大事にしたクルマで出掛けたいですから、デミオというチョイスは唸ります!
一口にデミオといっても、すでに4代目を数え今年でデビュー20周年を迎えます。そして秩父盆地に集うデミオも2代目(DY)・3代目(DE)・現行(DJ)とバラエティに富んでいます。ワインディング路で見かける各世代のデミオは、それぞれにデザインでの自己主張が引き立っていて、都会で見せる顔とは違って見えます。クルマ好きがそれぞれのデミオを楽しそうに走っているのを目の当たりにしてとっても幸せな気分になりました! ここは信号もほとんど無い道ばかりですから、ストップ&ゴーで燃費を稼ぐアクアやフィットHVなんて走らせてもあまり意味がないです。一方でデミオはやはりどの世代でもMT/ATがしっかりラインナップされている点が、走りを楽しみたい人々の心を見事に捉えています。ライバルのスイフトもなかなかですが、こちらにはATが無い世代(現行)が存在します。私的にはパドル付きCVTでも十分に楽しいですけど、マツダのミッションに宿る「楽しいクルマにしたい!」という情熱に触れると、マツダを走らせることにプライスレスな価値を感じるんです!スバルのCVTではダメだ!って言いたくなっちゃいます。そしてやはり現実的に選択するとなればスイフトよりもデミオかな?という気がします。
歴代のスイフトもデザインは素晴らしく、ポロ、207、ルーテシア(新型はマツダのデザイナー起用)の歴代モデルと比べても全く劣っていないですが、デミオは前田育男・広報担当の出世作と言える先代(DE)のデザインが出色(もちろんWCOTYの大賞受賞!)ですし、「前田イズム」を体現した魂動デザインの現行(DJ)モデルは、遠目にも存在感が際立っていて、遠景から対向車が見える秩父では「何だあれは?」って強烈な印象を与えることができますよ! そしてさらにこの2台の傑作デザインと比べても素晴らしいのが、「コンパクトMPV」という新ジャンルを目指した2代目(DY)です。その立派な車体と高い質感を誇る各部の造形の優雅さは、最新のデザインにも全く引けをとらなかったりします。これならば中古車市場で2代目デミオの指名買いも全然アリだと思いますね(無理して3代目や現行にする必要ないです!)。10年過ぎると自動車税が上がるという税制は、確かに自動車メーカーにとっては買い換えが誘発されて恩恵があるのでしょうけど、スイフトやデミオのような美しいデザインのものは除外という規定がほしいです。
某雑誌によると東京・青山通りのマツダ車シェアはわずかに2.7%だそうです(MBが9%、BMが6.3%)。しかし休日の早朝時間帯の秩父のワインディングは笑っちゃうくらいにマツダ・マツダ・マツダでした!50%越えか?
これまでこのブログを通じて「アテンザこそがマツダ」という固定観念を発信してきた自分を思わず恥じました。それにしてもデミオは愛されているな〜。デミオだけでなく3世代のアクセラも多いです!これまた世代ごとにそれぞれ個性を発揮するデザインです。旧型のカローラやインプレッサを見かけると、あまりの素っ気なさに「無味乾燥」な印象を受けますが、初代のBKアクセラは経年を感じさせないどころか、このクラスではあり得ないほどの「セクシー」さを持ち合わせています。ジュリエッタがセクシーだって?それはBKアクセラを見た後でも言えますか?
そんなマツダの小型車の魅力を再発見しつつも秩父盆地を西へと進みます。このまま行くと299号線は埼玉・群馬県境の志賀坂峠に差し掛かります。峠の向こうには日航ジャンボ墜落事故で有名な上野村があり、ここではキャンプ場や史跡・鍾乳洞などなど全村挙げてのテーマパーク化が進んでいて、そこへと向かう家族連れのクルマがそこそこ走ります。これに引っ掛かって志賀坂峠をノロノロ走るのもツマラナイので、ちょっと遠回りになりますが北上して、頭文字Dにも登場した土坂峠を超えて国道462号線に渡るルートを取りました。どこに行くにも近道にはならず、こちらをわざわざ進む一般車両は当然に皆無で、丁寧にも各所にミラーが設置されたブラインドコーナー連続の峠道なのですが、なんと全区間で対向車が0台!という最高に楽しい時間を過ごせました。ここは埼玉・群馬両県が適度に整備してくれていて路面も荒れておらず、地上高が低いクルマでも気持ちよく走れます。マツダのラインナップではやはりロードスターがピッタリのルートだと思います。NDロードスターがいよいよ発売になりましたが、この土坂峠は秩父の中心地からも30分程度ですし、関越の本庄児玉ICからも30分の距離なので、夏頃にはロードスターの峠になるのでしょうか?それともS660の峠になる?
国道462号沿線には自治体ごとに競うように「道の駅」を作っていて、地場野菜(深谷ねぎ)やこんにゃくを買いにいくついでに、峠最速ラップを刻むなんてのもいいかもしれません。上野村には複数の「道の駅」もあって、観光案内所も立派に併設されていたりします。駐車場に掲げられている巨大マップを見るとグーグルマップや市販のマップルでは目立たない林道コースがいくつも紹介されています。一度見てしまうと行きたくなるコースが目一杯あって、中には御巣鷹山へ分け入るコースもあります。御荷鉾(みかほ)スーパー林道という関東でも最長クラスの尾根道を走破する林道コースがあるのですが、いかんせん未舗装路も多く動画で見るとSUVじゃないとヤバそうです。しかし国道や県道とは全く異次元の展望が見られるのが尾根を行く林道の良い点で、この景色が見たいからジムニーでも買おうかな?という考えがしばしば浮かびます。実際にジムニーがあれば、埼玉から直接に長野に乗り入れる三国峠ルートも通れますし、上武甲信の県境付近にはそれこそ無数に林道があるので十分に楽しめそうです。マツダのCX3の走破性は一体いかほどなのか?と調べたくなりますね・・・。
アテンザファンとしては少々残念ですが、GJアテンザを買ったはいいものの週末ごとに都会や高速道路の渋滞にハマって僻僻するなんて人生の無駄遣いかもしれません。マツダのいろいろなラインナップが、日本のいろいろな道路で、あるいは使い方に応じて見事に輝いているのを目撃した1日でしたが、アテンザ(GJ)とCX5とミニバンはちょっと「蚊帳の外」だったかもしれません。マツダはジムニーとアルトターボRSもスズキに供給してもらえば、日本の風光明媚なドライブシーンを全て楽しめる「偉大なドライバーズ・ブランド」になれそうです。もちろん自社開発のラインナップのさらなる拡大も期待したいですね。
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