マツダの人見さんが最近また新しい本を発売していて、その中でまさに「自動車評論家」に対するストレートで強烈な怒りを露わにする部分が何度もありました。ベストカーなどの大手雑誌が、自らの誌面で自動車メーカーを読者に対してどのように紹介するのも自由なんですけど、人見さんが長年抱えてきたイライラを目の当たりにすると、ベストカー編集部に対する憎悪がフツフツを湧いてきます。マツダは2年くらい前からカーメディアで語られることが増えたメーカーですが、一部の雑誌ではマツダの実質的な「広報」である人見さんのコメントをつらつらと掲載しつつも、マツダを昔から下に見ているクソな編集部はあれこれと「情報操作」を加えていることが多いです。特に私のようなスカイアクティブ前のマツダ車のフィールを全面的に肯定するタイプは、この人見さんの本に綴られた筆者の主張に触れて、ドライブフィールへの考え方がそのままマツダ車の美点として見事に成立していることを、瞬時にそして立体的・体験的に理解できてしまいます。そして思わずガッツポーズが出てしまったりします。
人見さんの今回の著書発売のきっかけは、おそらくマツダの伝えたい情報がメディアではいまいち伝わらないことへの義憤が根底にあったと思います。マツダとしてはユーザーにさえ分ってもらえばそれでいいのですが、メディアがマツダを「瑣末な国産ブランド」という偏見の殻を破れずに、従来の慣習あるいは流儀に基づいてマツダに対するネガティブキャンペーンを展開されるとせっかくの経営努力が水泡に帰してしまうことを危惧していると思います。しかし人見さんが著書で明らかにしているマツダ視点のクルマ作りの主張は、ハッキリ言ってあまりにも「ラディカル過ぎる」ということもあり、とてもそのままの「表現」ではマツダの宣伝には使えるものではありません。「ダウンサイジングターボなんて中国やマレーシアのメーカーでも簡単にできる技術をマツダでやる意味はない!」といったライバル会社が片っ端から激怒してしまいそうな強烈過ぎる「ドグマ」がやたらと渦巻いています。
他にも「人見・語録」はたくさんあって、「BMWのような4気筒で2L、3気筒で1.5L、6気筒で3Lのようなシリンダ設計上での工夫の基礎アイディアとしてはマツダでも25年前にとっくに研究が終わっていた!」とBMWを礼賛するメディアを大きく牽制する内容のものから、「ガソリンエンジンを極限まで改良した上でHV化しないと意味がない!」など完全に上から目線の「技術屋気質」に溢れるものもあります。確かにベストカーが説明する「マツダはコストをかけたくないからターボ化しない」という文面自体はその通りなのですが、なぜかベストカーのニュアンスは「マツダはクルマにお金をかけない=悪い」という主旨のネガティブキャンペーンになっています。しかしそれと全く同じ文面を人見さんは著書の中で明確にポジティブに発しています。ターボなんかにコストを持っていかれるクルマなんてマツダ的には全く魅力がないようです。また経営効率への貢献の他に「マツダ車にはガソリンターボのレスポンスはダル過ぎる(から使いたくない)」という別の説明も行っています。
もちろんターボチャージャーが、今では欧州車を中心に非スポーツモデルにも使える技術へと立ち位置が変わっているという主張もあるでしょう。しかしマツダはターボのメリット・デメリットを見極めた上で、マツダの非スポーツには不要な機構(ディーゼルは除く)だと判断したわけです。それをなぜベストカーは執拗に「マツダの弱点」のように煽りたてるのでしょうか? ほとんどのモデルがガソリン自然吸気とディーゼルターボの2本立てになったマツダですが、従来の軽快でスポーティなフィールが持ち味のガソリンモデルと、トヨタやホンダのHVに迫る経済性を示したディーゼルモデルで、様々なユーザーをカバーしています。ここにレスポンスが鈍くそれほど経済的でもないガソリンターボは結局のところ、日本でも欧州でも北米でもどの市場でも不要なんだと思います。ターボ付けるくらいならHVにするほうがはるかに根拠がありますし、マツダとしては可能な限り自然吸気にこだわりたい!これはとても自然なことだと思うのです。
なんでオマエはそこまでターボを嫌うのか? その理由としてはアクセルのレスポンスに悪影響を及ぼすといった一般的な意見に加えて、2000年代後半から広まりつつある「ターボ商法」というクルマ文化をナメた商習慣が嫌いだからです。「ターボ商法」とは同じスペックのエンジンとターボチャージャーを載せつつも、コンピューターのプログラミンングだけで、ずば抜けて廉価のベースグレードだけを特別にデチューンしてディーラーに足を運んでもらい、その上で同じスペックのユニットを積んだ上級モデルを見せつけて買わせてしまおうという、新手のキャッチセールスです。なぜ320iと328iではマフラーの本数が違うのか? さらに左右合計で4本出ししている435iなどを見せつけられると、1本しかマフラーが出ない320iなんて情けないくらいに貧相に見えます。最大出力が大きく変化すればその分クルマのバランスは中途半端なものにもなります。
BMWもメルセデスも一体いつからこんなに「みっともない」販売を考えるようになったのでしょうか? 幸いなことにトヨタ(レクサス)も日産もそのような「姑息」な販売では日本ではまず生き残っていけないと悟っているかのように、ターボは廉価グレード、HVは上級グレードといったシンプルなグレード設定をおこなっています。そんな中でマツダのグレード設定は・・・人見さんの主張通りに「清々しく」どのグレードにも面白みがあって捨てグレード一切なしで全てがマツダの自信作ということになりそうです。
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↓マツダ本はやや大胆さに欠けるものが多いですが、これは激アツです!BMWを相当に意識しているのがわかる(笑)
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なるほど、ガソリンターボ否定ですか・・・
確かに、あれはまかり間違っても「エコ」ではないでしょうね(少なくとも走行時のエネルギー消費に関しては)
0と1の並びがちょっと違うだけでウン十万円値段が変わるというのも馬鹿馬鹿しい話ですし・・・
ただ、あれはあれで全くの無価値だとは思いませんけどね
私が思うに、いわゆるダウンサイジングターボの強みは「出力重量比」ではないかと
いかに軽く、小さく、そしてパワフルなエンジンに仕上げるか、ということを念頭に置いた場合、あれほど素晴らしいおもちゃもそうそう無いでしょう
結果として、ランエボだとか、インプレッサWRXのような方向性になるわけです
「えっ、このサイズでこんなにパワーが!?」なんてのは、機械好きとしちゃあ単純に興奮しますし(笑)
バイクだと最近出たカワサキのH2みたいなのが分かりやすいですかねぇ
ああいう頭イっちゃってるようなの、大好物なんですよ
そういうわけで、私としてはメーカーさんにはダウンサイジングターボ技術をどんどん磨いていっていただきたいところです
P.S.
加速時のもっさり感解消には、スズキのS-エネチャージのような技術が生かせるんじゃないかなぁなんて考えてます
どっかやってくれませんかねぇ
決してターボがダメって言ってるわけじゃないですけどね。
人見さんの本を読んで感動したことと、
その一方でカーメディアの偏狭な自動車観に
イライラして書いてしまいました。
マツダもいずれ出すであろうMSアクセラでは、
再びターボ&MTになるでしょうし、
スポーティなクルマを仕上げる要素としては
ターボという選択もアリだと思いますけど、
それには洗練されたAWDシステム(トラクションコントロールとトルクベクタリング)が必須だと思うのです。
未だにアテーサやAYCに比肩する技術を持たない「ド素人」メーカーがターボの出力だけをカタログで晒してもアホくさいですし・・・。
人見さんは決してターボが嫌いなわけではなく、
「ダウンサイジングターボにどこまで意味があるのか?」
「他と同じことをやっても意味がない」
というスタンスじゃないでしょうかね。
MSアテンザ/アクセラの復活を期待してます。
もちろん人見さんの主旨は仰る通りだと思います。
本がとても面白くて思わず興奮して書いてしまいましたので、
読みづらい部分が多々あったかと思います・・・。