2014年11月19日

アテンザ 第3のボディはどうやらクロスオーバーらしい・・・

  CX5を見よう見まねで作ってみたら、日本でもアメリカでもあっさりと大ヒットしてしまい、少なからずSUVでも自信をつけた様子のマツダです。アメリカ市場では現在、老舗ブランド・ジープを始めSUVが価格を問わずに絶好調で、トヨタRAV4やホンダCR-VといったFMCからだいぶ時間が経過したモデルもここにきて売上が大幅に伸びています。マツダとしてもこの”波”に遅れずにしっかりと乗るべく、さらなる上級SUVモデルとして位置づけたアテンザ・クロスオーバーの開発が行われているようです。

  トヨタがちょっと前に手掛けて、あまり上手く行かなかったモデルが数年後にブレイクすること・・・という現象がしばしばあるようですが、アテンザ・クロスオーバーと聞いて即座に連想してしまうのが、「マークX・ジオ」というFFのDセグサイズのクロスオーバーモデルです。何と言ってもこのクルマの売りは「3列シート」なので、FRよりもスペースを有効に使えるFFになっています。マークXとは違ってトヨタMCプラットフォームを使っているのだから、「マークXジオ」ではなく「アベンシス・ジオ」が適当だと思いますが、日本市場の知名度を考えてマークXの名前を使ったようです。

  現在ではこの「3列ツアラー」は同じプラットフォームを使うプリウスαに完全に市場を奪われてしまい、去年の内に販売が終了してしまいましたが、このコンセプト自体は今後の中型車において大きな可能性を持っているアイディアと言えます。そしてこのマークXジオのボディサイズが4715×1785mmというほぼセダンのマークXと同じ(=GHアテンザ)ものなので、GJアテンザ(4860×1840mm)がベースとなれば、ホイールベースは2830mmもありマークXジオよりもさらに50mmも長いので、最強のパッケージメーカーであるトヨタでも苦労した3列シートのスペース確保も有利かもしれません。

  マツダとしては、これ以上は車種が増やせないという中で、アクセラやデミオには見向きもしない「アッパーなユーザー」を、アテンザの派生車種を使ってどう上手くキープしていくかが、今後の戦略の重要なポイントになるはずです。そう考えるとカッコ良さだけを求めてラグジュアリークーペを作るよりも、先に3列シートも使えるクロスオーバーの開発を優先する意図もよく分ります。そしておそらく「マツダだったらもっとエモーショナルでスタイリッシュな提案が出来る!」という自信もかなりあるはずです。

  Dセグ3列シートを作るにあたってFF車を長年作ってきたという実績は大きなアドバンテージです。さらにFFの中でも至高のドライビング性能と高性能なガソリン4気筒で世界に認められているマツダのキャラクターを考えると、「アテンザ・クロスオーバー」という選択は極めて妥当で有効な戦略になりそうです。他にもホンダやアルファロメオといったブランドにも似たような実績こそありますが、HVに大きく傾倒するホンダと、次世代DセグはFRになると言われるアルファロメオですから、特に強力なライバルになることは無さそうです。VWやスバル(トヨタグループ)のような巨大グループは、後から参入しても勝てるので、その手のニッチ市場は一般的に軽視するでしょうし、マツダと同じ設計を使ってきたボルボには資金面でやや荷が重いはずです。

  意外に強力なライバルになりそうなのが、プレミアムブランドながらも「ニッチ」を求め続けるBMWで、次世代3シリーズをFF化したのちに、改めて車内の効率の良いFF版の3シリーズ・クロスオーバーを企画してくるかもしれません。いずれにしてもBMWがFFで技術を確立するまで、時間がかかるはずなので、マツダの方が現時点では優位だと言えます。2017年にFFの3シリーズが出たとしても、そこから数年に渡る改良・作り込みが必要になるでしょうから、2015年中にアテンザ・クロスオーバーを出してセンセーションを起こしてしまえば、マツダがこのジャンルの覇者になる可能性が高いです。

  「アテンザの商品力」という意味ではクロスオーバーモデルが必ずプラスにはならないかもしれませんが、マツダの「魂動」ラインナップが増えるに従って、アテンザは下位のモデルに顧客を奪われる動きが目立っていることを考えると、セダンとワゴンでは維持できない販売規模を保つためにも必要性が増してきています。マツダはアテンザ・クロスオーバーを日本にも投入して、従来のビアンテやMPVといった上級ミニバンを廃止し、そのユーザーを誘導する狙いがあるようですが、400万円に迫ることが予想される本体価格は、アルファード/ヴェルファイアに肩を並べる水準なので、これらの”ブランド・ミニバン”とファミリーカーとして比べられると、なかなか日本では厳しいかもしれません。もちろんディーゼルというカードがありますが・・・。

  セダンのホイールベースを使ってクロスオーバーを作ると同時に、逆にワゴンのホイールベースで、よりスポーティな2ドアクーペもしくは5ドアハッチバックを仕立て、「アテンザ」のスポーツドライブ面でのイメージを向上させていければ、アルファード/ヴェルファイアに対抗できる新たな”高級ファミリーカー・アイコン”が出来上がるかもしれません。ポルシェの例をみてもスポーツカーブランドとしてのイメージを上手く使って、高級セダンや高級SUVを売っています。もちろんアテンザ・クロスオーバーを必死で開発して、良いクルマとして認めさせることも大切ですが、それだけではホンダ・オデッセイ(先代までのスポーツタイプ)の二の舞に終わってしまうかもしれません。

  「マツダ」という全体のブランド力ではなく、「アテンザ」というブランドでどれだけのステータスが作れるかが、今後のマツダの存続にも大きく影響してくるでしょう。マイバッハを廃止したダイムラーが、メルセデスブランド内から「マイバッハ」と名付けられた高級サルーンを出すそうです。メルセデスでさえブランド全体を一つの単位としていたら、上級モデルが売りにくいと感じるわけですから、「マツダ」ブランドの向上を目指すのと同じく、「アテンザ」というブランドにもっと特別な意味を込めてほしいと思います(つまりアテンザ・ラグジュアリークーペみたいなモデルを!ってことです)。


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posted by cardrivegogo at 22:42| Comment(10) | GJアテンザ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ついに次期CX-9始動ですね
Posted by TK at 2014年11月21日 21:54
やっぱりCX9のような本格SUV調のゴツいボディになってしまうのでしょうか。
Posted by CARDRIVEGOGO at 2014年11月24日 00:29
CX-9でしたら全長が5100mmなのでアテンザより一回り大きいサイズですね
中国で専売のCX-7は好調なのでCX-7を3列クロスオーバーとしてフルモデルチェンジ&国内・他地域導入って感じじゃないですかね?
来年、アテンザベースのスポーツセダンが中国戦略新型車として投入されると公式で発表しています
Posted by 通りすがり at 2014年11月24日 00:56
マツダは「欧州バカ」なイメージでしたが、着々と"グローバルメーカー"への王道を歩んでいるようですね。トヨタやホンダみたいなクルマは作らないと幹部は言ってるくせに、戦略自体はホンダをかなりお手本としている気が・・・。いろいろ教えて頂きありがとうございます。
Posted by CARDRIVEGOGO at 2014年11月24日 22:35
CARDRIVEGOGOさん、こんにちは。
ショートストロークエンジンのマツダMZR好きなCARDRIVEGOGOさんに質問です。
GHアテンザの2500ccエンジンは好きですか?
4WDは2500ccのみなんですよね。
ボアストロークの差が1cmしかありませんが、それでもフィーリングは変わるものなのでしょうか。
Posted by まか at 2014年11月27日 07:17
まかさんこんにちは
コメントありがとうございます

GHアテンザの2.5Lエンジンは試乗車で乗っただけですが、
1400kgのボディにはかなりパワフルで、
アクセルを踏み切ったら一体どうなるんだろう?
といったスケール感がとても印象的でした。
とりあえずBMWの2Lターボ(これもなかなかですが)よりは
断然に気持ちよい滑らかさだった気がします。

ただレスポンスに関しては2Lとはかなり違います。
アクセルでの操作感に関しては2Lが断然に上で、
2.5Lはメルセデス・BMWのターボのように
アクセルはよりON/OFF的な感じです。
XDほど極端ではないですけど。
でもXDに乗ってからはON/OFFでも結構いいなと思うんですよね。
Posted by CARDRIVEGOGO at 2014年11月28日 02:59
CARDRIVEGOGOさん、こんばんは。お返事ありがとうございます。嬉しいです。
私、先日レンタカーで、先代アクセラ20 4WDと、現行マークX25 4WDに乗りました。
高速道路から幹線道路そして峠と、350km走ってきました。
なんと言っても驚愕したのはアクセラです。
あのエンジン!滑らか!静か!レスポンス!そして回る!
LF-VE!
これなら、V6エンジンもいらないと思いました!
もう惚れました!次の相棒候補に決定です。
実は、高校3年の息子の愛車を見つけるために、前日仙台へ嫁の車で行き、往復600km走りました。
決まらなかったので、翌日レンタカーでアクセラを借りたのです。(私は現在車がありません)
翌日は息子と2人で岩手県に行きました。
その日も350km走りまして、疲れ切っていたのですが、車を返しに行くときに、峠を攻めてしまいました(照)
それくらいこのアクセラで走りたい!と思ったのです。
CARDRIVEGOGOさん。あなたの言っていることは真実でした。
いやあ〜アテンザ20のLF-VDも味わいたい!でももうレンタカーには置いていないのです(泣)
Posted by まか at 2014年11月29日 19:39
まかさんこんにちは
コメントありがとうございます。

アクセラのエンジンはあまりよく解ってなかったんですけど、
AWDモデルだけはLF-VEが使われているんですね。
やっぱりNCロードスターとほぼ同じエンジンだと
レスポンスも格別だと思いますね。
私も非直噴のMZRが欲しくなりました。
直噴だとエンジン洗浄剤とか使わなきゃいけないかな
なんて考えています。
BLアクセラの軽量を取るか、
GHアテンザのダブルウィッシュボーンを取るか、
なかなか悩ましいですね。
まかさんに私の主張を肯定して頂いて大変嬉しいです!
Posted by CARDRIVEGOGO at 2014年11月30日 21:26
CARDRIVEGOGOさん、こんにちは。
アクセラの走りに感動した、まかです。
ただ、後席は狭いですね。
燃費は14km/lでした。
後日、ネットで中古車検索をしました。
アクセラとアテンザです。写真をよく見てみました。
この両車、外装もですが、内装で、かなりの差がでています。
そうすると…やはり…アテンザですね…
今、私はGHアテンザの4WDに心傾いています。やはり雪国。ショートストロークエンジンも素晴らしいのですが、何よりもアテンザを所有できるということのほうが、喜びは大きいかと思います。
ただし、いつ所有できるのかという問題はありますが。
Posted by まか at 2014年12月12日 22:18
まかさんこんにちは
コメントありがとうございます。

そうなんですよね。センターコンソールのドリンクホルダーのフタに気がついてしまったら、BLアクセラはちょっとな・・・
と思ってしまいますよね。

タマ数は多くはないですがGHアテンザの後期(フォグの丸いヤツ)で、
掘り出し物があるといいですね。
ご存知だと思いますが買うなら絶対に後期ですね。
乗り心地が別次元です。

アテンザMC発売の来年1月以降にかなり出てくると思います。
最近ではGJアテンザも試乗落ちが200万円以下だったりするので、
低走行だと150万円くらいするGHアテンザは、
ちょっと割高感がある気がします。
Posted by CARDRIVEGOGO at 2014年12月13日 11:22
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