かつて3シリーズとアテンザの比較の記事を書いたときに、厳しいコメントをいくつか頂きましたが、私もアテンザ好きですから、もちろん3シリーズのコンセプトは基本的には好きです。BMWブランド内で微妙な立ち位置さえ考えなければ、なかなかいいクルマだと思います。トヨタやダイハツにOEMされて発売されれば買ってもいい気がします・・・。その一方でアテンザはマツダのフラッグシップという地位にあって、3シリーズの甘美なコンセプトを全力でコピーし、それをある部分では3シリーズを上回るほどの技術力を見せ続けてきました。そして今後も「BMWvsMAZDA」として高いレベルで争ってほしかったのですが、どうやら3シリーズとアテンザはディーゼルという共通項こそあるものの、いよいよ袂を分ち始めたように感じます。
F30型BMW3シリーズは、2015年モデルに移行してさらに大きく洗練度を増しているようでなかなか評判のようです。それでも実際に非Mスポ車に乗ってみると、BMWからイメージされるダイレクト感は意外にも乏しく、アクセルフィールやハンドリングは、失礼ですが「スバル(売り出し中のWRX-S4)よりはいくらかマシ」というレベルであることは変わらないです(FRなのだから当然ですが)。マツダのハンドリング、日産スカイラインのハンドリング(ステアバイワイア)、そしてレクサスのハンドリング(レクサスダイナミックハンドリングシステム:LDH)は、現段階ではスポーツカーでも無い限りは簡単には超えられない水準に達していて、輸入車を全く寄せ付けない出来になっています。大雑把な推測ですが、日本人技術者の繊細な感覚とストイックな姿勢が最も良く出ている部分だと思います。
BMWがE36型3シリーズなどでこのクラスでは早い段階から、全世界で結果を出したことは認めますが、アテンザ、スカイライン、レクサスISの到達点から見ると、現行のF30は残念ながら「エンジンがまともで8速ATが小気味良い」だけの平凡な印象しかないです。アテンザユーザー(GH/GJ問わず)がF30に乗れば、ボディ・シャシー・サスの剛性感こそ感じるでしょうが、発進加速におけるダイレクト感は乏しく、ステアリングの微小舵角ではなんだか滑るようなニュルっとした感覚に違和感を感じるはずです。ブレーキも高性能車にしては効きが甘く、甘々のスバルのようなフィーリングです。この程度でブレーキダストがたくさん出るとかいわれても困ってしまいます・・・。
スカイラインユーザー(V37の350GT)からしてみたら、まずエンジンのポテンシャルの差で3シリーズの直4ターボはかなり安っぽく感じられます。直4同士ならばかなり良くできたと言えますが、6気筒で世界を制した日産ですから、その重厚感の前には大きな格差があります。そしてそれ以上にBMWのアイドリングストップ時のショックとギクシャク感が相当にうっとうしくてイライラするでしょう。日産はこの辺りの技術をしっかり確立して、それは他の高級車メーカーを突き放しています。このようなユーザーにとってとても大切なことをプロの自動車ライターはもっと真剣に書くべきだと思うのです。まあ乗り比べればすぐにわかることですが・・・。BMWの立場では欧州の走行環境がストップ&ゴーを日本ほど要求しないという弁明があるのかもしれないですが、グローバル車として要求される技術水準はマツダや日産に比べて低いと言わざるをえません。
レクサスISは、最初から日本市場での乗り心地に悪影響を与えるアイドリングストップをHV以外には搭載していないです。これをレクサスのこだわりと見るべきか、トヨタの脇の甘さと見るべきかは意見が分かれます。しかし少なくとも国沢光宏とかいうライターがBMWを引き合いに出して、「高級車でアイドリングストップをやらないのはレクサスだけ」とレクサスISをボロクソに言うのは理解不能で、乗り比べた上での印象で冷静に判断すればこれは完全に筋違いです。3シリーズを高級車というには疑問がありますが、本体価格で約500万円するクルマなのにアイドリングストップ時の挙動に関してはあまりにもお粗末な出来です。
アテンザ、スカイライン、レクサスISのユーザーには全くと言っていいほどにインパクトを残せないクルマ・・・大変失礼ですが、それがF30型3シリーズの現在位置だと思います。まだスカイラインが細身のボディを纏い直6を積み、レクサスISがアルテッツァと呼ばれていた頃の3シリーズは日本車にナメられるようなクルマでは無かったはずです。当時は3シリーズを目指してドイツ・日本・イタリア・イギリス・フランス・アメリカ・スウェーデンといった地域の幾多のメーカーから同じようなコンセプトのクルマが出てきて、その中の1台にアテンザがありました。過当競争気味だったせいか、名車の誉れ高いモデルをたくさん輩出しつつも、欧州経済不安を背景にものスゴい勢いで淘汰されていきました。
プジョー406/407とアルファ156/159はそれぞれ二世代にわたって、ブランド史上もっともセンセーショナルなモデルでした。どちらもモデル廃止の最大の理由は製造コストの高さが挙げられています。3シリーズをFFモデルでキャッチアップしようとすると大怪我をしてしまう、これはアテンザGG/GHにとっても例外ではなかったようです。3シリーズにこだわりすぎてはいけない!とマツダの幹部は自戒し、中長期的予測で3シリーズも内部崩壊を起こすであろうという見通し通りになっていると思います。さらにクリーンディーゼルにおいて日本市場でBMWとガチンコになるという見通しもあったのでしょうか?
「F30・3シリーズ」と「GJ・アテンザ」ですが、現状では両車には想定される役割は大きく異なってきています。BMWにはヒエラルキーがあり、3シリーズのサイズには制約があります。「5シリーズからがBMWだ!」という意見を無視できるくらいの超絶なイケメンならば、3シリーズで楽しいカーライフを送ることもできるでしょう。レクサスもBMWもメルセデスもデカいモデルを好むのは背が低くて貧相なオッサンが多い気がします。「3シリーズはオバさんのクルマだ・・・」という意識が捨てられない人にとっては、GJ・アテンザはとても都合が良いクルマだと思います。サイズは5シリーズやレクサスGSに迫りますが、車重はFFの利点を生かして400kg近くも軽く、ハンドリングは5シリーズやGSよりも間違いなくクイックで冴え渡っています。
3シリーズは4600mm台を守ることに意味があり、アテンザは4800mm台を誇ることに意味があり、そこにはライバル関係というよりもむしろ相互補完関係にあるといってもいいかもしれません。ワインディングでのドライブを愛するドライバーの為にもBMWとマツダには今後も一定の距離を保ちつつも、「FRのBMW」と「FFのマツダ」と絶対視されるようなクルマを作っていって欲しいと思います。決してレクサスとインフィニティが繰り広げるエゴ丸出しの高級車競争には引き摺りこまれないで欲しいです。
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お久しぶりです。
私もこのスクープを聞いて
驚いていたところです。
ただ、ブログに書かれているように
アテンザと3シリーズは企業の思惑の中での
存在位置が変化したことは言うまでもありません。
だんだんとアクセラがその位置に近づいてきているのではないかという気もしています。
私の個人的意見からすれば、私のようなアナログ的世代はやはり足を踏み分けるよりは左右の足と左右の手を使って動かした方が安心で、サイドブレーキがやはり手元にある方が安心です。
そのような車もだんだんと減っていくのが残念です。
私が今のプレマシーを選んだのもオートマでありながらミッションのようにギアを変えられるのと
サイドブレーキがミニバンでありながら装着されているのも一つ理由でした。
できれば、マツダは最後までサイドブレーキにこだわってほしいと思っていましたが、時代がそうはさせてくれないのでしょう・・・。
あわよくば私が乗り換えたいと思っているアクセラは
サイドブレーキを残してほしいと思っているところです。
コメントありがとうございます。
やはりマツダ好きとしてははサイドブレーキレバー廃止には、
複雑な想いがしますよね。
クリューさんは気が気じゃないかもしれないですが、
アクセラも来年のMCで同様の処置がありそうな気がします。
MCで2.5LのNAが追加されるけど、サイドブレーキは電気式に!
みたいな微妙なMCになったりするんでしょうか・・・。