高速道路を静かに走れる静音性&高速安定性を持っていて、ワインディングを気持ちよく走れるハンドリングが備わっていれば十分に購入対象になるわけですが、実用燃費としてレギュラー/ハイオク問わずに10km/Lは無理なく確保できるクルマとなると、みるみる内に候補が少なくなってしまいます。高速道路を快適にクルーズするにはやはりNA/ターボに関わらず最低でも1.8Lは必要だと思っているので、最近のBMWやメルセデスといった高級ブランドのモデルが次々と対象から外れていってしまいます。
とりあえず、条件に当てはまる良さそうなクルマに乗ってみて最新のクルマの仕上がり具合を味わってみようと思い、「VWゴルフGTI」「日産スカイライン350GT」「スバルWRX S4」の3台を試してみました。ちなみに見積もりもちゃっかりと貰いましたが、GTIが480万円、スカイラインが550万円(AWDです)、S4が420万円でした・・・まあマツダ基準からしたらアテンザXD-Lパケが余裕で買える価格帯です。3台乗ってみて改めて感じたことは「GH(後期)アテンザは間違いなく名車だ・・・」ということでした。マツダが300万円程度でショートストロークの2LのGHアテンザを再発売してくれるなら間違いなくもう一度買います。
まず3台ともに共通して良かったのがシートですね。全てアルカンターラのファブリックシートだったのですが、スポーティなモデルばかりだったのでサイドサポートがしっかりした固めのシートが用意されていて、どのシートも「合格」といっていい出来でとても満足しました。シートにはかなりこだわりがあると伝えたら、各セールスマンともに説明に力がこもってきて「特にこのモデルはシートが良くできてます!」と異口同音に仰ってましたね。まあもちろん出来は素晴らしいのですけど、マツダならどのモデルでもこれに匹敵するくらいの良いシート付いてますよ・・・と思わず心の中で叫びました。それでもマツダの得意技であった「シート」はいよいよライバルメーカーに追いつかれつつあるとは感じましたが・・・。
シートは良いのですが、乗り込んで一番気になったのはコクピットの狭さですね。まずゴルフGTIは論外。昔乗っていたカローラランクスで感じていた圧迫感が瞬時に甦りました。分厚いドアは好印象ですが、1800mmの全幅に期待したのに、キャビンの居住性はまるで国産5ナンバーと同等でした。しかも右ハンドル仕様車における左足スペースの狭さはもう輸入車の”不治の病”ですね。オーストラリア(右ハンドル市場)でVWがあまり売れずに、先代モデルでもアクセラがゴルフを圧倒して売れている理由がなんとなく分りました。ゴルフ7の最大の弱点は完全に”左足スペース”のようで、これは長時間だととても我慢できないレベルです。もちろん国産5ナンバーの多くの車種でこの問題は顕著に見られ、それと比べればそこまで酷いものではないのですが、それでも基準車がGHアテンザとなると、GTIはこの時点で残念ながら”終了”です。
ただしVWの名誉の為に言っておくと、GTIの2Lターボと6速DSGの相性はとても良い感触で、これで実燃費がおよそハイオク13km/Lらしいですから、これはこれでとても良くまとまっていると思います。アウディTT-Sで同じユニットが使われているようですが、もしかしたらTTのボディならば左足問題が解決されているかもしれません。VWにはこの3台で最もマツダらしい輸入車調の質感を期待していたのですが、ドイツ車らしさというよりトヨタ車らしいなと感じました。エンジンのキビキビ感だけがやたらと印象に残りました。オーリスやレクサスCTにVWの2Lターボを仕込んだらGTIに近くなりそうです。
GHアテンザのコクピットの広さや、ハンドリングを高く評価するならば、もっともすんなりと受け入れられるのが、意外なことにスカイライン350GTでした。スカイラインは高級車調のインパネが豪華過ぎて、なかなか圧迫感があるので、GHアテンザの開放感あふれるコクピットが恋しい気もするのですが、ゴルフGTIやWRX S4で感じた絶望的な狭さは感じませんでした。この絶妙なサイズを決めてきただけでも私にとっての日産株は急上昇しました。
さらに話題沸騰のステアバイワイアですが・・・これはビックリですね。これぞまさに「GHアテンザのハンドリング!」でした。1800kgの巨体をスパスパ曲げてしまうのは、FRという設計も多少はあるでしょうが、ステアリングの軽さとクルマの挙動がGHアテンザのフィーリングにかなり似ています。GJアテンザXDは二の腕がパンパンになりそうな重ハンになってしまったこともありますが、現状ではスカイラインのステアバイワイアの方がGHアテンザユーザーにはしっくりくると思います。日産はよくぞこのシステムを導入してくれたと思います。
さてスバルWRX S4ですが、このクルマは一言で言うとGHアテンザユーザーとは相容れない独自のコンセプトを持ったクルマでした。ニューモデルマガジンXの覆面座談会でレヴォーグのバネ係数が高すぎると、声を揃えて大合唱していましたが、確かにキャビンが剛性感の高いバネの上に浮いている感触を感じます。ビルシュタインダンパーを仕込んだモデルでしたが、確かに足回りが固い・・・。マツダユーザーからしてみたら、何のためのハイスペックなのか全く意図がわかりません。
戸惑いながら味見を続ける私に対して、さらにセールスマンの自信に溢れるトークが追い打ちをかけます。「先代のA-lineと比べて乗り心地は格段に良くなって、とっても静かになりました!」と言われても、確かにそうなんだろうけど、GHアテンザやスカイラインの水準からみれば、まだまだヤンチャでスポーティ過ぎる感覚しかしません。セールスマンが推奨するタイトなハンドリングコーナーが連続する試乗コースを進みますが、やはりAWDなので日産やマツダのような上質なハンドリングフィールには及びません。GHアテンザやスカイラインだとややオーバーステア気味に行けてしまうところが、マイルドでニュートラルになった感触で、ハンドリング自体は可もなく不可もなくといったところですが、そこに「片手でスイスイ行けちゃいますよね!」とハンドリングの良さをアピールする声が・・・。
スバルの気迫のこもった一台だと思ったのですが、感じ入った点は、オーディオに優れるカロッツェリアの「サイバーナビ」が選べる点と、比較的廉価で内外装がカスタマイズできるオプションパーツが豊富に用意されている点でした。40kg・mトルク&300psを街中で味わうのは難しいとは思いますが、ゴルフGTIと単純に比べてしまうと、150kg重い車体とCVTのフィールの悪さがたたって、全開走行が可能な「S#モード」も切り替わりまでのラグがVWよりもだいぶ長くて、実際にはタイミング良くスマートに繰り出すことが難しいかもしれません。CVTと”トレードオフ”の関係として装着される、追従クルコンと車線キープのステアリングシステムは魅力を感じましたけども、あと数年もすればトヨタの全モデルに標準装備されるようなので、この機能だけで420万円はちょっと払えないですね・・・。
スバルに関しては正直いって間もなく発売されるレガシィに期待すべきだと思います。GJアテンザサイズになってコクピットの閉塞感もないでしょうし、乗り心地はどうやらWRXよりも数段上を行くようです。2.5LのNAのみの設定で、もちろんAWDですから実燃費で10km/L(レギュラー仕様)は怪しい気がしますが、CVTを駆使してなんとかクリアしてくれそうです。しかしCVTには今回でちょっと懲りましたね・・・。特にハイスペック車ほどレスポンスの悪さが顕著になりストレスを感じてしまう点がスバルにとっては悩みのタネだと思われます。
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久々にコメントします。
・3台とも高額なクルマですね(T_T)。
車両価格300万オーバーなクルマ
私には購入できません。
・GHアテンザ、しっかり試乗しておけば良かったな。
お久しぶりです。
どれも何だかんだで500万ですか・・・
車って高いですよね。
500万ならGS350の高年式はどうです?
先日NXの内覧行ったときに久々乗ったんですが
かなり良かったんですよね。イヤーモデル制に快哉を。
スポーツ S+時のエンジンレスポンスはまあ前から
良かったんですが、どうにも違和感のあった操舵レスが
格段に良くなってました。
VGRSと電制ダンパーとの統制を上手く調整してきたのかなと。
燃費はよくて7〜8てトコでしょうか。
こいつならマルチロールに対応できるかと。
S4は乗ってませんが(レヴォーグは済)、まあ
3台とも「高い」と思います。
これで?ってトコが多かったですし。
なんかどれもあざとくないですか?
GJのXD−Lは「安!」と思いましたが(笑)
コメントありがとうございます。
正直言って価格以上の価値があると思った3台でしたが、
GHアテンザの良さを引き立てるだけでしたよ。
各セールスマンに「オレのクルマ運転してみな!」
と言いたいくらいでした。
思い切ってロードスターでも買った方が満足できそうです。
コメントありがとうございます。
私ごときが、レクサスGSなんてyatsmeさんクラスのクルマは
恐れ多くてとても購入候補に出せませんでしたよ。
レクサスはCPO車を買うと
ディーラーで露骨に差別されるそうなので、
気の弱い私にはとても無理ですね・・・。
GTI、スカイライン、S4あたりを買っておけば、
気分良くディーラーを使えそうだな
なんて思ってるシミッタレです・・・。
この3台に満足出来なかったら、
いよいよプレミアムブランドしか無くなるわけですね。
「あざとい」って言われるとたしかにそうですね。
3台ともなんとなく良さげな要素を適度に詰め込んだ感があって、
クルマのキャパ(コスト配分)が足りないから、
各部の釣り合いに違和感がありました。
スカイラインも加速時のエンジン音と、
後席とラゲッジの狭さにはガッカリさせられました。
のっちさん、こんばんは!
いやいや、クルマ好きに「格」なんてないですよ!
人生の活力とご褒美に500万、いいじゃないですか(笑)
CPOってそうなんですか?
少なくとも私はそんなディーラーさんに遭ったこと無いですよ。
私のようなオーナーでも何でもない若造にでもちゃんと対応してくれますし、
噂程度での認識なら是非改めてやってください・・・。
ただ、こんなことがあってから少し対応が変わったというのは聞いています。
変えざるを得なかったというか。
数年前まではオーナーやオーナー予備軍を対象に内覧会を
季節ごとそこそこの頻度でやってたんです。
ディーラーだけでなくホテルやイベント会場で実施されることも多く、
ビュッフェスタイルで軽食やスイーツなど、ランチ跨ぎで催されることもあり、
子供ができてからは両親等に預けられない限り行けなくなりましたが、
レクサスは顧客とそのイメージの獲得に躍起になっていた時期でした。
ただ、まあ中には品の無い人がいたりして、
ノベルティを1人で何個も何種類も持っていってしまったり、
スイーツを持参したドギーバックに詰めまくって平気な顔してたり、
子供や両親ならまだしも友人知人親類縁者まで連れてきて騒ぐだけ騒いで食い散らかしたりと、
そういったことが多発し、そうでない大半の顧客から
「もう止めたほうがいいのでは」という声を頂くようになり、
本当に一部の顧客のみをターゲットとした内覧会に変わったと聞いています。
まあ、金さえあればいいって事にはならないことの証左ですよね。
私もそういう方に遭遇したことありますが、
その方々のせいで昼過ぎに到着したビジターには
ドリンクしか提供できず、担当さんが平謝りしてましたよ。
その人たちはそういう状況を尻目に声高にちまちましたもんばかりだして量が全然足りない、
って文句言ってましたよ(笑)
エルメやマイアーニのショコラは腹を満たすもんじゃねぇ!
とそんなこんなで一見さんやターゲットじゃないような人にはそういった対応をする
ディーラーさんも出てきて、
そういった対応に敏感な方々(さっきの人たちですよ)が
悪し様に色んなところで発信して困ってる、と聞いたんですよ。
どこにでもモンスターはいるし、民度低いですよね。
今でもジャガー・ランドローバーは派手な内覧やってまして
去年ヒルズでFタイプの内覧行った時は圧倒されました!やっぱ場違いな人いましたけどね。
気つかってスキュータムくらい着てこいよ、と。
マセラティエクスペリエンス、結局行けなかった。
そろそろ東京戻りたいです(笑)
あざといと感じたのはまさにのっちさんのおっしゃるとおりで、
いい要素の寄せ集めに感じさせるといいますか、
セールスもクルマも「どや顔」してますでしょ?
いい部分は確かに多いんでしょうが。
Q50のエンジン音ですか・・・。
サウンドジェネレータ使ってるGSも褒められた音では無いかもしれませんが、
まあエンジン自体は悪くないんですけどね。乗ったときは特に気づかなかったです。
やっぱVQ37VHRとは違いますかね?
長文失礼いたしました。
コメントありがとうございます。
とても面白い話をありがとうございます。
まったく経験したことないことばかりなので、
食い入るように読んでしまいました。
ドレスコードってやっぱりありますよね・・・。
けどプレミアムブランドのディーラーには
訪問専用に揃えたカラーパンツ(赤)とパーカー(アメカジキャラの柄)
着ていってます。普段着ではないのでやたらキレイです。
レクサスは私が聞いた話だとCPOオーナーは、
ディーラーのラウンジが使えないとかなんとか・・・
結構前の話なので今は違うのかもしれませんが。
レクサスに関しては維持・修理代が
ポルシェやアルピナみたいに高い!
という都市伝説が気になります・・・。
まあ日産もいろいろ聞いてみると費用がかかりそうで、
なんとスカイラインにはランフラットのスタッドレスが
まだ用意されて無いそうで、
パンク修理キット込みで25万円くらいかかるとか。
ってことはBMWやメルセデスはどうなってんの?
あれこれ考え出すと際限ないですね。
スカイラインのエンジンは、
モーターアシストからの加速時がやや情けない音でした。
3.7Lの頃は余裕のある低速トルク走行から、
息継ぎこそあるものの滑らかな噴け上がりは、
「世界最強のシックス」のオーラがあった気がします。
HVになってからは、慌てて回転を合わせに行くようなモードが
NA好きにとっては許せない点だと思います。
まあ踏み方の問題なのかもしれませんが・・・。