2014年10月14日

デミオが日本カーオブザイヤーに輝きました!

  13日に今年の日本COTYの最終受賞車が決定し、最高の栄誉である「イヤーカー」にマツダ・デミオが選ばれました!近年稀に見るハイレベルな陣容になった最終エントリー「10ベストカー」の面々をみると、これは2年前に86/BRZと3シリーズをねじ伏せてイヤーカーに輝いたCX5の時よりもさらに価値がある気と思います。メルセデスが発表当初からその自信を隠さなかったCクラスと、BMWがさらりとセンスを爆発させたi3の超強力な輸入車2台に加えて、日産とスバルがそれぞれドイツ車をあざ笑うように高い次元を目指したスカイラインとレヴォーグもいます。欧州COTY を引っさげてノミネートされたプジョー308が完全に脇に追いやられてしまうほどのクオリティの高さです。

  CX5の時も感じたのですが、「クリーンディーゼル」を掲げて戦うマツダ車は、他社からみるとちょっと卑怯な気がします。約60人の自動車評論家が審査に参加されて決めれられるわけですが、なんか「ディーゼル」という言葉の前にやや思考停止になってないですか? マツダは必死で欧州市場で売るためにディーゼルを開発し、トヨタはそれほど欧州市場に魅力を感じないから、欧州で販売する分だけをBMWからの調達で済ませています。トヨタやホンダがHVをやめて日本でディーゼルや直噴ターボばっかり売り出したら、大都市の人々はみんな気管支炎になってしまいますし・・・。

  その辺の事情は自動車評論家ならば当然に分っているはずで、なんでディーゼル(が売りの)車をわざわざ日本COTYに選ぶ必要があるんですかね・・・。マツダが受賞して嬉しい反面、どうもやり切れない複雑な想いもあります。同様の理由でターボ専用車のレヴォーグとCクラスも勘弁してくれって思いますし、スカイラインかi3を選出するのが今回は妥当な線かなと思っていました。スカイラインが選ばれれば、ソアラやセルシオが選ばれてきた古き良き日本COTYの復活が印象づけられるかな・・・i3だったらCR-Z、リーフ、iQに連なって珍車を選んでしまう近年ありがちなセンスの無い日本COTYだなと。

  それにしても評論家筋におけるスカイラインの人気の無さはおぞましいですね。クルマ雑誌愛読者に多いスカG原理主義者の方々に嫌われるのを意図的に避けているかのようです。ピストン西沢さんがスカイラインに10点を付けていて男を上げたなと感じましたが・・・。まあ選考委員やっている人のほとんどが「やや拗らせ気味のバブル世代」でしょうから、スカイラインに男気を感じるフランクで爽快な性格の人はピストン西沢さんくらいしかいなかったってことですね。ここからはあくまで想像ですが、他の男性評論家はみんさんかつてスカGに煽られた苦い思い出がトラウマ的経験になって、深層心理でスカイラインという名を嫌っているのかもしれません。女性評論家に関しては「スカイライン=イモ・ダサい」という90年代的思考のまま価値観が止まっているのかも・・・。

  そういう意味ではデミオは逆に”愛されキャラ”になるのかもしれません。マツダのクルマ作りの根底には「欧州車への憧れ」というのが色濃くみえますし、さらに欧州テイスト満点なディーゼル搭載ともなれば、もはや国産コンパクトという概念を飛び出し、VW・ルノー・PSAといった欧州大衆メーカー車と見做されるはずです。ベストカーで主筆を務める評論家も審査員に複数名を連ねていますが、その中でコイツは評論家ではなくただの「欧州車好きの一般人」だろ・・・という軽蔑の感情を感じずにはいられないアクの強い人がいるのですが、その方の審査はまったく事前の予想通りで輸入車4台+デミオの計5台を選択しています。軽自動車2台とミニバンは論外で、輸入車の威厳を脅かすスカイラインとレヴォーグは一切評価しない!という解り易い選考です。まあ本人にしかわからない意図もあるのでしょうが、ベストカー読んでる人ならだれでも分ってしまう結論って一体・・・?

  今回の10台を俯瞰すると、やはりスカイラインとレヴォーグの2台には「これからの社会を担う高性能車」という強い自負と、その目標に十分に適う設計上の意図が感じられます。失礼を承知で言いますが、プジョー308とメルセデスCクラスから感じられるのは、欧州自動車産業における創造性の枯渇だけです。とりあえず必要してくれる人がいるから新しく作り直したというだけで、何ら直面する問題に取り組もうという意志はないです。セダンでもワゴンでもHBでも必要な分だけ派生モデルつくりますよ・・・というクラウンにワゴンが存在した20世紀的な発想のままです。

  その一方で、スカイラインは「スポーティな高級セダン」として、レヴォーグは「ワゴン専用車」として従来にはなかった新たな価値を想像しようと、それぞれに創意工夫を重ねた痕がしっかりと見られます。「ハイウェイGTカーセダン」としてトヨタで主流になっている直4HVのように高速道路での燃費もしっかりと計算に入れた設計自体は、BMWによってすでに実用化されていますが、BMWアクティブハイブリッドを完全に上回るスペックにもかかわらず、それを比較的手頃な価格まで引き下げてヒットにつなげたという意味は非常に大きいと思います。さらにBMWではHVに重量増加がそのまま自慢のハンドリングにも深刻な影響をもたらしていましたが、日産はライバルの苦悩を受けて持ち前の技術力を発揮した新ステアリングシステムを導入して解決を図りました。それが好みかどうかの問題はあるでしょうが、硬直したクルマ業界でここまで真剣に考えるメーカーには手放しで最敬礼をしたいです。

  またレヴォーグですが、確かになんでいまさら「ワゴン専用車」なんだろうという違和感はあります。マツダがマツダらしさを追求するように、スバルもスバルらしさを追求する上で、「AWDのスバル」を最大限に生かせるボディタイプがワゴンだと思います。荷室容量がスペック上でも大きく意識されるワゴンですが、ある程度の積載を前提にクルマを考えると、総重量を増えれば増えるほど「トラクション」と「初動トルク」を最大限に確保できる設計に行き着きます。その結果出てくる必然的なコンセプトが全モデル「AWD&ターボ」です。欧州車ではしばしばAWDは50万円以上するオプションで、ターボチャージャーもプログラミングを上手く使って、やはり50万円程度のオプション料金を引き出す手段となっていますが、そうするとFFで低速トルクがスカスカの安っぽいワゴンが出来上がります。

  全グレードで信頼のクオリティを掲げるレヴォーグのコンセプトは、これからの高性能車の販売手法に大きな影響を与えるはずです。レヴォーグに先行したアテンザワゴンもホイールベースを縮めた専用設計にしたまでは良かったですが、ここでディーゼルエンジンのみの設定にしてマツダの高い理想を具現化したコンセプト!ということを強調してもよかったかもしれません。今後のアテンザの作り込みのポイントとして、セダンとして、ワゴンとしての存在意義を明確に示す必要があると思います。余談ですが、たまに近所で見かけるトヨタ・ウィンダムの雄大な車体から、現行アテンザの新しい立ち位置がなんとなく連想できたりします。なるほど。日本市場ではエアポケットのように開いていて、非HVだと日産ティアナくらいしかライバルいないですね。
  


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posted by cardrivegogo at 07:26| Comment(0) | デミオ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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