2014年09月10日

新型ロードスターが発表されました!

  新型のスポーツカーのデザインを予想するなんてのは、雲を掴むようなもので発表されてみないとなかなか解らないものです。ブランドの一般モデルと同じデザインで堂々と発売する不粋なドイツメーカーならば予想はできそうですけど。いよいよベールを脱いだマツダの新型ロードスターも各雑誌で軒並みドイツ流の「ブランド共通顔」で登場すると予想されていたようですが、やはりマツダはただの「ドイツかぶれ」の"へなちょこ"メーカーでは無かったようです。

  そもそもポルシェを除けば、ドイツメーカーで真剣にスポーツカーに取り組んでいるブランドはなく、日本で大々的に展開している大手ブランドのモデルでは、せいぜいアウディR8くらいしか見当たらないです。R8にしてもランボルギーニをGTカー調に仕上げた「亜種」であって、しばしば走行安定性を最も優先させた味付けなどと書かれてますから、ピュアスポーツなんてものでは決してないようです。ドイツのクルマ産業はそもそもスポーツカーへの情熱がほぼ無い!と言ってもいいかもしれません。あれだけの競争力を持つ自動車大国なのに国内市場でスポーツカーといえばイタリア製というのは日本とほぼ同じ状況です。

  日本の自動車産業には、ポルシェに相当するようなスポーツカー・ブランドすらとりあえずは見当たらないので、ドイツよりもさらに実用車寄りなのが日本メーカー群となってしまうかもしれません。ただしBMWが最もスポーティなモデルとして展開するM3/M4は日産GT-R的な設計を明確に志向していますし、メルセデスが新たに展開するホットハッチのA45AMGなども、スバルや三菱のハイパワー直4ターボAWDというフォーマットを採用している点を考えると、イタリアにも負けないスポーツカー先進国・日本の姿が浮かび上がります。日本では想像もつかないですが、欧州においてはマツダやスバルは「スポーツカー・ブランド」として認識されているようで、クルマ好きが好む変わり種ブランドにカウントされるようです、そしてファンも日本以上に多かったりします。

  日本のカーメディアは「日本車は実用性以外で全て負けてる!」みたいな結論が好きみたいですが、アメリカやドイツのカーメディアでは「感覚的な部分でこそ日本車は最高だ!」という評価をかなり頻繁に見かけます。日本車っていいクルマはこの上なく気持ちいいですし、ドイツ車だろうがイタリア車だろうが侵せない究極のレベルに達しているかも!なんて決めてかかってしまうほどいい乗り味に感じることが結構あります。常々思う事ですが、日本メーカーは海外メーカーよりも良い素材を低コストで使える地盤を持っていますし、日本人の感覚がドイツ人に劣っているとも思いませんから、本気でスポーツカー作らせれば日本メーカーが負ける訳ない気がします。クルマに詳しくない人にマツダの良さを訊かれたら、「BMWに全く負けないドライバビリティを発揮する上、日本人の繊細な感性で設計されている点がとても心地よい」と答えるようにしています。スポーティなクルマ同士を比べれば、ドイツ人よりも日本人が設計したクルマの方がしっくりくるものじゃないでしょうか。

  高速道路の制限速度の関係で、「直進安定性」や「最高速度」を単純に比べればドイツ車が有利になる部分はあるでしょうが、総合的に見ると日本車がドイツ車に負けているケースは非常に少ないです。ドイツのGTカーを作る伝統は尊重しますが、高度経済成長期以来日本の方がGNI(国民一人当たりの所得)は高く、クルマの所有コストはこれでも欧州よりは低い水準ですから、高級車に関しても日本の方がたくさん売れています。日本の高級車や趣味のクルマはドイツメーカーよりも常々高い目標を持って作られています。日本メーカーが国内市場にあまり目を向けなくなったのは事実かもしれないですが、それでもイタリア車やドイツ車と海外市場で張り合うクルマを作っていて、トヨタを始めスズキ、マツダ、スバルに至るまでかなり上手くやっています。

  さて話をマツダ・ロードスターに戻しますが、このクルマはアメリカが最大の市場であり、「日本よりもドイツの方が4倍以上たくさん売れる」というなかなか珍しい日本車です。単純に雨が少ないドイツの気候がオープンモデルに適しているという理由ではありますが・・・。ドイツのユーザーのあまりにも熱心なロードスターへの傾倒を見て、メルセデスとBMWがロードスターをドイツ流にGTカー化したモデルを用意していますが、Cクラスや3シリーズをベースにしているので車重1600kgオーバーという、スポーツカーとしては完全にアウトなふざけた設計になってしまっています。

  3代目ロードスターの開発主査を務めた貴島孝雄氏によると、マツダの内部にあってもロードスターは4割が女性ユーザーのお買い物車であるから、グリップが出るタイヤを履いた時に過度のオーバーステア特性が発生するような過激な設計は控えるべきという意見もあったようです。しかし3代目に関してはそういうメルセデスやBMW的なマインドを持った役員を睨みつけて貴島さんはスポーツカーとしての設計を守ったんだとか・・・。それでも安全上の観点からどうしても大型化、重量増加の方向性は止められないみたいです。しかし一転して新型は小型・軽量化を実現させて登場しました。

  多くの人の予想とは違うものだったであろうデザインは、マツダがかなり前から掲げていたロードスターの「原点回帰」というコンセプトを考えると、見事にそれに整合したものに収まったように思います。擬装で登場したときにはサイドからリアにかけてのラインが凝っている?と感じたのですが、全貌が明らかになり、赤1色になるとそれほど目新しさは無かったです。しかし小さなボディに抑えるというイニシアティブが元々あったことを考慮すると、下手な華飾は裏目に出るだろうというマツダの達観が冴え渡っているデザインとも言えます(別にダイハツの某モデルをディスっているわけではありません)。

  アクセラやアテンザはドイツ車を想定しているモデルですが、ロードスターに課せられたミッションは、アメリカ、ドイツ、イギリス、豪州のゲルマン地域だけでなく、ラテン欧州やBRICSへマツダの「ファン・トゥ・ドライブ」の”信条”を拡大していくという壮大な構想に基づいているように感じます。最近とても気になっているのは、マツダが流すテレビやネットでの広告は、黒人やヒスパニックのモデルを意図的に多数起用して、レクサスやドイツプレミアムとは違った”ブランドイメージ”を構築しようとしている点です。ブランドの格が違うからと言ってしまえばそれまでですが、ヒュンダイやホンダ、スバルを見るとやはり背の高いアングロサクソンが喜んで愛用しているイメージを垂れ流しています。

  ドイツ車顔のアテンザやアクセラとは異なるフェイスで登場したロードスター。同じように”無国籍”なデザインで初代ロードスターが全世界へと広まっていきましたが、かつての「無邪気なまでのマツダの快進撃」を再び21世紀に再現するつもりなのかもしれません。マツダのデザインには意味があり、マツダのクルマにも1台1台意味があると開発者は訴え続けています。アクセラの発表会で「世界中でもがき苦しんでいる若者にこのクルマに乗ってほしい!」というメッセージが出された時は、マツダブランドの豊かな「人間味」に思わずほだされました。そして今回のロードスターも「まだマツダを知らない世界の人々へ・・・はじめまして!」といったメッセージが付いてくるのかもしれません。東欧、ラテンアメリカ、東南アジア、インドといったマツダが根付いていない地域でさらなる伝説を作っていってほしいと思います。


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posted by cardrivegogo at 01:23| Comment(4) | ロードスター | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
CARDRIVEGOGOさん、こんばんは。
新型マツダロードスター、ネットで見ました♪
ライトが小さめで、ちょっとインパクトが弱いかなと思いました。
サイドはキャビンが小っさと思いました。
お尻はボリュームがあって良いですね♪
後は乗り味です♪
ネットで記事を読みましたが、開発の責任者が、かなりぶっ飛んだ話をされていました。他のメーカーの方も、これくらい喋ったらいいのにと思いました……言ってますか……
Posted by まか at 2014年09月11日 00:09
まかさんこんにちは
コメントありがとうございます。

ほんとにキャビンが小っさ(笑)ですよね。
なんとなく違和感を感じてしまうのは、
世の中にミッドシップがありふれてるからでしょうか。
フロントはジャガーかアストンマーティンの英国風で、
リアはアルファ・スパイダーかフェラーリ・カルフォルニアのイタリア風ですね。

マツダの開発者はメディアに出たがりな人が多いようです。
今月のオートメカニックにも新顔が2人も出て来て
デミオのディーゼルエンジンについてやたらとスケール感のある話をしてました。「世界一以外に眼中にない!」だそうです。
でもマツダはこれでいいと思いますね。
Posted by CARDRIVEGOGO at 2014年09月12日 01:55
こんばんは

昨今のマツダのCM、私も他社と違っていろんな人たちが出ていたので面白いと思っていました。
おっしゃるように他社はいかにも高級感や日本人の憧れるようなタレントさん?を使う傾向がある中、マツダの起用の方法の方がより国際的だという気がします。ただ、日本国内向けのCMですので、これが他国でも流れているかどうか…。

さてロードスター、人それぞれに受け止め方があるので、このモデルのまとめ方は大変だったのではないかという気がします。
アメリカで販売が好調なのはオープンという土壌があるからでしょうし、またそういう使い方がよくできるという環境もあるでしょう。
さらには道路環境としてもハイパワーがほしいというのもわかります。

欧州ではやはり、初代のデビューの際にこぞって欧州メーカーがオープンを出したことを考えれば、それまでのオープンカーやカブリオレとの全く違う車だったことがうかがわれます。

仮にマツダがもし欧州で創立されていたらきっとアウトバーン等の影響からこの車は出てこなかったと思います。
日本と言う環境で且つ、マツダが大手のメーカーではなかったこと…だからロードスターが生まれたのだと思います。

もし大手のメーカーであれば主戦場たるアメリカにコンセプトをシフトしやはりGTカーになってしまったのではないか?マツダの大きさだからこのロードスターは続いているだと思います。
Posted by クリュー at 2014年09月13日 00:09
クリューさんこんにちは
コメントありがとうございます。

マツダのbe a driverはCar-and-driver[US]やmotor trend[US]の雑誌広告にもそのまま使われてますよ!
また北米マツダが毎週月曜日にyoutube配信してくる
プロモーション動画が実にシュールで、
黒人レゲエアーティストをアクセラのリアシートに乗せて
音響の良さをコメントさせたりしてましたよ。

これはあくまで推測ですが、
現在の北米マツダのモデルはほぼ全台数が日本製になっていて
あまり好調だと叩かれる恐れもあるんですが、
相手の懐に転がり込んでいくように
モータウン的なアーティストを起用してるのかな?
なんて思ってしまいます。
Posted by CARDRIVEGOGO at 2014年09月13日 00:46
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