やはり街中を走っている姿を見るとクルマの印象が掴みやすくなり「欲しいな」という動機につながるので、まずは街で見かけるようになってからが勝負だろと思ったりするのですが、この「使い捨て高級車」の流れはいつまで続くのでしょうか。話は変わりますが、アクセラのスポーツHBを夜間に後ろから眺めると、なんだかエスティマみたいに見えることがあったりして、先代アクセラとは予想外なところで大きくイメージが変わっているのに気づきます。まあそんなことを購入前に気がつく人は多くないかもしれませんが・・・。またスバルのインプレッサXVは雑誌で見る限りそれほど写真映えはしないのですが、街中で走る姿はとても洗練されたスマートさを醸しています。街での見た目がインプレッサ好調の大きな原動力になっているようです。
最近ではホンダ・ヴェゼルが凄いことになっています。ここ数年ホンダのデザイン力を疑問視する向きがクルマ好きの間ではあったようですが、そんな声を一掃するような快作でした。何と言っても街中での立ち振る舞いが素晴らしいです。スーパーの駐車場でもかなり立派な存在感を誇っていて、近くで見てもとてもフィットの派生SUVとは思えないです。マツダCX5やBMW・X1なんかが近所ではなかなか人気で多く見られますが、どちらもヴェゼルの隣りに停まれば完全に見栄え負けしてしまうほどです。これだけのデザインならば売れるのも頷けますね! マツダとしてはまさか他の日本メーカーに「デザイン」で負けるなんて考えてもなかったかもしれません。まあ復讐のCX3が楽しみではありますが・・・。
ヴェゼルといえども乗り出し価格は軽く200万円台後半から300万円オーバーになりますから、少なくともCX5から見てヴェゼルが「安い」ということは無いわけです。フィットベースのクルマで、燃費もベースのフィットよりもかなり悪くなっていて、価格はアクセラベースのCX5とほぼ同等にもかかわらず売れてしまうというのはちょっとした「事件」です。実際にあれだけ話題になったCX5の最盛期の2倍のペースでヴェゼルが売れているのは、まぎれもなく「デザイン」でホンダがマツダを打ち破ったということだと思います。余談ですがCX5をレクサス化したようなデザインのレクサスNXよりもヴェゼルの方が断然に格好よくないですか?
しかし、最近は日本での売上が冴えないアテンザみていると、デザインだけではやはり限界があるのかなとも思います。いくら伸びやかなデザインでエレガントであっても、中身はアクセラと共通のシャシーなんだよなと考えると、あまり積極的に買いたい気分も萎えてしまいます。その一方で発売日が前倒しされることになったジャガーの新型Dセグセダン「XE」が気になって仕方ありません。ジャガーのDセグと言えば初代アテンザと共通シャシーを使っていたFFの「Xタイプ」があって日本でも相当に売れたことがありましたが、それ以来のDセグとなる今回の「XE」は新型シャシーを使ったFRです。しかもクラス最高性能を狙う!というジャガーの声明を裏付けるように、レクサスISやスカイラインにも匹敵する贅沢な設計になっています。
初代アテンザ設計時のマツダは、最高の乗り味を演出できる「足回り」を使ってブランド・アイデンティティを構築しようとしました。当時およそ400万円で発売されていた同じシャシーを使う「Xタイプ」や「ボルボS60」がストラットを採用しているのに対し、200万円のアテンザにはダブル・ウィッシュボーン(DWB)が使われました。その後はご存知のようにドイツなどでアテンザは大絶賛され、ビルシュタイン、コニ、クアンタムといったワールドワイドな顔ぶれのショックアブソーバー・メーカーがそれぞれにアテンザ専用のダンパーを特別に発売するほどで、日本車としては異例の大ヒットとなりました。一方で「Xタイプ」や「ボルボS60」「フォードモンデオ」といった同じ設計を持つクルマは大きなインパクトを残すことはできませんでした。
確かに当時とはあらゆる意味で状況は変わってきてはいますが、ジャガーが衰退して、マツダが甦えるという対称的な奇跡を描いた2000年代が過ぎ去り、今度はジャガーXEがDWBを装備し、アテンザは現行モデルからアクセラと共通設計に変更になりストラットに変わっていて、全く逆の立場になりました。必ずしも歴史は繰り返すとは言い切れませんが、ジャガーは2000年代のマツダの成功を同じフォードグループとして目撃してきたわけで、2000年代初頭の逼迫しつつも野心的であり続けたマツダの改革をお手本に、セダンからスポーツカーに至るまで高性能なラインナップに拘ったクルマ作りをしています。新型ジャガーのどれもこれもが、マツダの上級ラインナップにピッタリな素晴らしいクルマばかりなんですよね・・・、とても羨ましくてとても眩しい存在です。
アメリカ市場からの撤退を余儀なくされたアルファロメオも、世界最大市場への再上陸を果たすために、従来のラインナップを大幅に刷新するプランを実行しつつあるようです。アメリカ市場で再び販路を切り開き、ブランドの存在を認識させるために打ち込む「楔」として作られたのが、驚愕のライトウエイトスポーツカー「4C」です。かつてアメリカ市場にこのジャンルを武器に切り込みをかけたブランドといえば・・・そうマツダです。ロードスターとRX7はアメリカでも欧州でも愛される伝説のモデルになっています。
アルファロメオの親会社フィアットとマツダの間には業務提携が結ばれていて、アルファロメオは「4C」に加えて、新型ロードスターと共通設計のシャシーに北米でウケるであろうハイパフォーマンスの独自のエンジンを積んだ「スパイダー」を投入するプランがあるようです。さらに北米の中型車市場で人気が高まっているFRサルーンのトレンドに合わせて、新型FRシャシーを使うジュリアというDセグセダンと、クライスラー傘下のブランドでも多用されるようになっているジュリエッタベースのFFモデルを揃えて、北米におけるクオリティカーブランドとして「新生アルファロメオ」になります。
ジャガーとアルファロメオが目論見通りに成功するかどうかは全くわかりませんが、どちらもかつてのマツダの成功にヒントを得て戦略を練っているように考えるのが自然です。かつて幾度となく、自らの掲げる理想を貫き通して、それが正しいと世界を納得させてきたマツダの栄光・・・「RX7」「ロードスター」「アテンザ」。これらに注ぎ込まれた情熱を考えると今のマツダはだいぶ体温が低くなってしまっている気がしないでもないです。「足回り」を極めたセダンとして登場したアテンザの経緯を考えると、現行モデルは「もはやアテンザでは無い!」と愚痴を言いたくもなるんですよね・・・。
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「最新投稿まとめブログ」
私はヴェゼルがかっこいいとは思えないですね。
凡庸で流麗さが足りない。ただ一般受けはすると思います。
エクステリアデザインは流麗でオーガニックなCX-5が好みです。
90年代の“ときめきのデザイン”時代のマツダデザインファンからすると、魂動デザインは当時のマツダ車を想起させます。
かくいう私は、ユーノス500から始まり、他社に流れたあと、魂動デザインに再びときめいて今はCX-5乗りです。
マツダが5チャンネルで傾いて、流麗なときめきのデザインを辞めたあと出てきたカペラのショーケン(萩原健一)のCMにガッカリしたものです。なんだ、こんなつまらないデザインの車出しやがって!てね。
古い話で恐縮です。
アテンザのブログでカペラをディスるとは
なかなか大胆なご意見ですね・・・。
大変勉強になりました。
ひとつお詫びをさせて頂きますと、
ヴェゼルのデザインを絶賛しましたが、
私自身はSUVには全く興味がないので、
あまり安易なことは書くべきでなかったかもしれません。
アコードのマスクがあんなにSUVにハマるとは思いませんでした。
CX5が出たときは新ジャンルであっさり結果を出す
マツダのデザイン力に驚嘆しましたが、
ヴェゼルもCX5に対抗する
ホンダの執念が感じられていいですね。
いつも楽しく拝見させていただいてますので、決して挑戦的な書き込みをした訳じゃないんですね。
私の車に対する知識なんざスレ主さんの足下にも及びませんから(笑)なので、見てくれ、つまりデザインに絞ってしか語れません(汗)
80後半〜90年代初めにかけての多車種生産によるチャレンジングなデザイン展開をリアルタイムで見てきた者(所有もしてますが)ですので、ちょっとは面白いことが書けるのかなと思って書き込んでみました。
あの当時の当たりハズレはあるにせよ、マツダは相当に頑張ったデザインの車が多かったと思います。
当時の雑誌にはよくオーガニックデザインと書いてあったと記憶しております。
オーガニック、つまり“生物の”ということですから、魂動デザインを想起するのも偶然ではなく必然かと思うんですね。
私は最高にかっこいいと思ったマツダデザインですが、世間の注目を浴びるまでには程遠い状況だったと思います。少なくとも日本では。その一般受けしないが、分かる奴には分かる的なところが私にとってのマツダ車の魅力だったんですがね。(ユーノスロードスターとアンフィニRX-7は別格でしたが)
バブルはじけて経営が傾いて、一般受けを狙った味気ないデザインのカペラが登場するんです。再びカペラを名乗ってね。ショーケンのCM見るとショックでしたね。
コメントありがとうございます。
私は最もクルマの知識がないブログ主だと自覚していまして、
自分のクルマの正当性を主張するために、
必死で論理武装してる次第です。
雑然と見聞きした知識を体系化するために
ブログ書いてるみたいなものです。
楽しいカーライフを送るためにも
必死で勉強しなければと思ってます。
今も昔もマツダのデザインはもちろん最高だと思います。
何と言ってもデザインが風化しないです。
トヨタ86とRX8を比べると
どっちが古いクルマか分らないくらいです。
たしかにカペラの6代目7代目はフォード色が強すぎて
2000年頃の英国カーメディアにも「つまらん!」
と書かれてました・・・。
こんばんは
またまたお邪魔します。ちょっと私の感想ですが
もしご機嫌を損ねるようなコメントになっていましたらお許しください。
さて
ジャガーとアルファロメオは
私から見るとマツダとはまた購買層が違うように思います。アルファロメオはマツダと近いブランドとは思いますが、ジャガーは地元のイングランド以外では多分にどのモデルも高級志向の強い車と思います。以前FFのジャガーについても国内ではかなり高評価だったようですが、地元ではジャガーが安物のFFを作る必要があるのかと物議をかもしたという話を聞いたことがあります。つまり、購買層を広げるために価格を下げた車を販売することはブランドの価値を下げるという捉え方をした人もいたようです。
また
アルファはマツダと似て生産台数は少ないですが、車種を他のフィアットとコンポーネンツを共用しながらも、コストをかけられる土壌や強烈なファンや購入層がありそうです。マツダはどちらかというとデミオなどの薄利多売する車も開発生産をしないとやっていけないところもあるのでその辺もちょっと同じ土俵には上げにくいという気もしました。アルファはミニバンを作る必要性はありませんがマツダは、その市場でも輝かねばなりません。それだけマツダはまだ、車種を絞って会社の経営を成り立たせる状況ではないと思いましたが・・・いかがでしょう…的外れでしたら申し訳ありません。
さて、ヴェゼル、皆さんのとらえ方は様々ですね。
私は、昨今のホンダの中ではまとまっているなと思いました。いい悪いというよりもクーペライクなデザインは本流を外して注目されたジュークよりもまとまっているかなと思います。それだけわかりやすいデザインと思います。腰高を感じるフィット、値段の割に今一つ高級感を感じない(私だけ?)アコードに比べるとよく感じると思いました。
現行アテンザの伸び悩みはやはりセダンの購入層の激減ということも原因ではないかと思います。ましてやアテンザの値段とその同等のモデルとの比較ということも視野に入れると、デザインに力を入れている日産と比較しても検討していると思いました
コメントありがとうございます。
確かに一般的なイメージではマツダとジャガーは結び付かないですね。
まあそれを承知で書いている部分もあるのですが、
実際に最新モデルのジャガーに惹かれる人々は、
かなりお買い物上手だと思います。
同じスペックのBMWならば確実に数百万円は高いですし、
ベースグレードの2Lターボはともかく、
V6、V8のスパチャーを使ったエンジンはターボのような緩さがなく、
BMWよりもスポーティで洗練された乗り味が出せています。
BMWも1000万円を超える価格帯ならば、
満足できるクルマはいくらでもあるでしょうが、
700万円程度で抑えるとするならば、BMWよりもジャガーが賢い選択な気がします。
BMWより安くて良いものを作るブランドといえば・・・マツダとジャガー(と日産とレクサス)!なんてのは安易ですね。
この記事で意図していることは、マツダは弱者なのだから、
ジャガーやアルファロメオのような弱者の戦術を採るべき!といったところです。
アルファロメオはクライスラーとダッジにシャシーを提供してますが、今後はFRのオリジナル設計で再び米国市場に挑みます。
RX7の復活の動きを見る限り、マツダ内部でもジャガー、アルファロメオ路線の戦略が着々と進んでいるように思うのですが。
デミオもプレマシーも良いクルマですが、北米での販売は微々たるもので、現在ではアテンザ、アクセラ、CX5の3車種でマツダの北米売上の85%を占めています。
結局Cセグ、Dセグ、SUV、スポーツカーというラインナップがマツダのグローバルでの骨子であり、次世代アルファロメオもミトを廃止してこれと全く同じラインナップになるようです。
長文になってしまって失礼しました。
もはや単純に、ジャガーはドイツ車よりも、かっこいいと思います。
ああ、乗ってみたい
コメントありがとうございます(笑)
ジャガーXEのデザインが公開されました!
しかしあんまりサプライズは無かったです・・・
新型Cクラスと同じでセレブな奥さん向けみたいですね。