もちろんピアノブラックを多様したサイバー調のパネルに、レザーシートを選ぶ必要を感じさせないほどのマツダ自慢のファブリックシートの組み合わせたGHアテンザの標準インテリアで十分に快適ですし、今後もこの質感をキープしてくれればいいとl心から思います。実際にマツダが2007年の段階で確立していたシンプルでセンス溢れるインテリアは、レクサスやスバルをも魅了したようで、この3ブランドでそれぞれに「ピアノブラックの技法」を競っています。特に本質の追求に妥協がないレクサスの作り込みは凄まじいものがあり「IS」のコクピットには磨きぬかれた「錦」の質感を伴ってます。
スバル「レヴォーグ」はマツダのコクピットデザインと差別化をするために、メタルやカーボンパネルを多様して「立体感」「剛性感」を前面に出して、レガシィやインプレッサの「マツダパクリ路線」から着実に脱却しています。そしてマツダはGJアテンザを例に挙げると、インパネよりも断然にハンドルとペダルが主役になるコクピットを目指しているようで、確実にそのコンセプトの「純度」が上がっています。評論家筋から寄せられるスカイアクティブ車の好評価は、おそらくどのブランドよりもクルマ操作の原点に根ざした設計のコクピットに秘密があるように思います。
「IS」「レヴォーグ」「GJアテンザ」はそれぞれ三”車”三様でどれも素晴らしく良いと思うのですが、これらのコンセプトはシンプルながら、とても中毒性が強くて一度心酔してしまうと、クラウンやスカイラインのインパネが何だか仰々しくて「蛇足」に感じてしまいます。クラウンよりもカムリくらいの内装がしっくり来るという人には解ってもらえると思いますが・・・。
さてレクサスやスバルだけでなくメルセデスやアウディといった一流ブランドとも肩を並べるような、世界中のアーバン・ストラクチャーにマッチした「ピアノブラック」のインテリアを確立しましたが、マツダの本拠・広島は日本で11番目の大都市とはいえ、瀬戸内海の燦々と輝く陽光を浴びる土地柄です。晴天の日が全国でも多い地域としてしられる瀬戸内海沿岸、そんな地域に根ざしたブランドの面目躍如となるモデルが「ロードスター」です。
愛知や神奈川に本拠を構えるメーカーが、オープンモデルを作ったところで、「どうせアメリカ向けだろ・・・」と滑稽な視線を送られるだけなのに対して、マツダはその拠点がある地域の気候から鑑みて、唯一日本でオープンカーを作っても許されるブランドと言えるかもしれません。オープンカーはシートにホコリが積もりやすいので、レザーシートが必須と言われますが、地中海を思わせる瀬戸内海の日差しを跳ね返す「ホワイト」はマツダインテリアの魂が宿った色彩だと思います(無彩色ですが・・・)。
地中海に面した地域であるフランス、イタリアといった国々の気候が育んだクルマがプジョーでありアルファロメオであるならば、2000年代のマツダがこの2つのブランドにあからさまに接近していった判断もなんとなく理解できます。同じような気候で作られるマツダのクルマもきっと地中海沿岸を走るのに向いているだろうと考えたかもしれません。デザインも見事に両ブランドをリスペクトしたものになりました。簡単に言えばパクリになるのかもしれませんが、そんなアクセラが欧州ではよく売れました。
しかし2000年代後半の欧州危機でプジョーもアルファロメオも低迷し、今では欧州最大のドイツ市場を見ても、マツダがプジョーやアルファロメオよりも売れてしまっているほどです(ドイツ人はフランス車とイタリア車があまり好きではないようですが・・・)。マツダもプジョーやアルファロメオとシンクロするように業績が悪化したわけですが、いよいよ3ブランドともに低迷期を脱して「復活」を果たした印象がありますし、欧州を封鎖するVWグループの巨大な壁に挑み始めています。
あくまで私感に過ぎないですが、マツダの世界観がさらに深みを増して、欧州や日本の「海辺の民」の人生に寄り添うような「官能的」なクルマを作るためには、プジョーやアルファロメオが再びグローバルで輝く存在に返り咲くことが重要なんじゃないかと思います。欧州COTYを獲った新型プジョー308のサイドやリアの肉体的な造形を見せつけられると、アクセラのデザインもまだまださらに伸び代がありそうだと思いますし、アルファ4Cの斬新すぎる設計とデザインは、まだまだロードスターには多くの可能性が残されているんじゃないか?と思わせてくれます。
公開されたデミオのレザーによる内装は、アテンザやアクセラでおなじみの「Lパッケージ」がデミオにも設定されることを示しています。上級グレードのみに標準装備され、ベースグレードのメーカーオプションではホワイトレザーのシートは選べないのはおそらくデミオも同じでしょう。「Lパッケージ」はちょっと価格は高めになるかもしれないですが、マツダが目指した「極致」のクルマを体現したグレードを所有するのもロマンがあっていいと思います。マツダがひたすらにプレミアムブランドに追いつくために、メーカー目線の自己満足とは異質の「地域性」を重視したセルフブランディングでレクサスや日産を黙らせる「世界観」を築くためにも、プジョーやアルファロメオのさらなる興隆を期待したいです。
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全部読んでいますよ。
蛇足を言っていいですか?
プロ野球球団広島東洋カープの球場が、2009年に、それまでの広島市民球場から、マツダZoom-Zoomスタジアムへと新しく変わりました。
計画段階で、新球場をドームにしようかという案が出ていたそうです。
しかし検討した結果、広島は降水量が少なめであることから、雨天中止も少ないだろうということで、屋外の球場になったそうです。
その土地の気候風土って、ありますよね〜。
蛇足蛇足。
コメントありがとうございます。
遠慮なさらずに何でも書いてくださいね。
「蛇足」なんて謙遜なさらなくていいですよ!
日本は「渋滞大国」なのだから、ターボなど売らずに
もっと堂々と「HV車が最高!」と売り込めばいいと思います。
東北にもAWDが得意なメーカーとかあると面白いですよね。
「トヨタ自動車東日本」も単なる下請けではなく、
昔みたいに自社製品をどんどん企画してほしいですね。