しかし雑誌発売の直前までは情報統制を図って、デミオについて一切漏れないようにしていたようで、雑誌本編にはデミオについての記述はなく、全て別冊付録にまとめられています。これがマツダのディーラーでもらえるカタログそのままの「紙質」で「装丁」なので、マツダ内部で大部分が作られているのかなと思われます。カタログと同じ印刷所に発注したようです。
ドライバーという雑誌は発売日が毎月20日に設定されていて、他の月刊誌が26日発売が多いためこれが最も早く書店に並ぶので、とりあえず26日まではデミオが全国の書店やコンビニの自動車雑誌売り場で目立つことになりそうです。しかし世界的にもデザインの評価が高いマツダでも、そう毎回毎回「度肝」を抜くようなデザインを発表できるわけではなく、今回の新型デミオはメルセデスやアウディが小型モデル発表した時のような「へぇ〜」くらいの印象でした。なんだかんだで一歩一歩プレミアムブランドらしくなってきているのかもしれません。もはやこれくらいの想定の範囲内のインパクトでは驚かないですね。
プレミアムブランド調(ドイツ車調)のフェイスで統一された「鼓動」デザインですが、アテンザもデミオも同じ顔だ!とか騒いでいるのは、ドイツ車デザインが至高とか思っているセンスの欠片もない連中だと思います。GJアテンザセダンの実車を見てフロントマスクに目がいってしまう!なんてことはまず無いです。フロントデザインはあくまで「おまけ」でしかないです。圧倒的に気持ちを鷲摑みにされるのはマセラティを思わせるようなグラマラスなサイドの造形であって、そのスケール感にあった「顔」を作ったらあんな感じだったというのが実際のところだと思います。やはりシナリ、タケリ、GJアテンザに共通して感じられるのはサイドデザインの力強さじゃないですか? デミオやアクセラそしてCX5では絶対に出せない質感の表現が見事です。
「顔」だけ見てれば、メルセデスの「CLA」も「Sクラスクーペ」もほぼ同じに見えますが、やはりSクラスクーペには「選ばれた高級車」にしか与えられない「スペシャルなシルエット」がどの方向から見ても見事に収められています。そしてマツダのフラッグシップであるアテンザのデザインもまた同じこだわりがあります。ミレーニアが廃止されてから作られたGHアテンザセダン、そして現行のGJアテンザセダンと2代に渡ってマツダの「トータル」デザインは冴え渡っています。この2台はどちらも、フロントマスクよりもむしろサイドやリアに回り込んだシルエットの素晴らしさで、同クラスのライバルサルーンを完全に置き去りにしてきました。
メルセデスSクラスクーペやBMW6/7をよく見れば解ると思いますが、360度どの方向から見られてもいいように計算されて作られています。これが下位グレードになればなるほど、ちょっとガッカリしてしまう角度が増えていきます。ドライバー5月号ではレクサスIS、スカイライン、BMW3シリーズ、GJアテンザの4台の真横から見た写真が並べられていましたが、贔屓目なしにアテンザが断然に優れていて、レクサスIS・スカイラインの2台を大きく凌いでいて、3シリーズに至ってはあまりにサイドデザインがブサイク過ぎで、まるで「公開処刑」としか言いようがないものでした。
さて他ブランドへの”下司”なコメントはこれくらいにして、マツダの「鼓動」デザインのヒエラルキーに話を戻します。新型デミオは「顔」こそアテンザと同じスタイルに「コード」されていますが、サイドやリアのアングルからみれば、マツダが自らのプロダクツに対して完全に自信を取り戻しているのがなんとなく伝わってきます。「鼓動」デザインに取りかかった当初は、マツダの「火の車」というべき切迫した台所事情がデザインに迫力を加えていたように思います。やはりデザインとは「生もの」なんだなと・・・。
同じ「鼓動」デザインでもアテンザだけは「ラストチャンス」に賭けるマツダの運命や刹那をゾクゾクと感じるエロさがあります。もう「最期」なのだから世界の有名ブランドを全部喰ってしまおう!みたいな「潔さ」がいいですね。それなのでアテンザのデザインが今でも一番好きです。これがアクセラになるとなんだか「確信犯」っぽくなってきます。アテンザ登場で「プレミアムブランドって何?」とばかりにレクサスもメルセデスもBMWもアウディもメッキがボロボロと剥げました。そんな有名ブランドの傷口にさらに「塩を塗込む」かのように登場したアクセラは確かに素晴らしいデザインですけど、完全にマツダの立場が変わってしまったなとも感じました。
これまでグローバルで100万台そこそこの弱小メーカーだったマツダが、健気に作る「楽しい」クルマに共感していました。「がんばれ」と応援したい気持ちも多分にあって誇りを持ってマツダ車に乗ってましたが、気がついたら有名ブランドのクルマを片っ端から燃やし尽くす「デザイン大魔王・マツダ」になっている気が・・・。400万円近く払ってレクサスCTやBMW1シリーズに楽しく乗っていた人々をあっという間に「憂鬱」にする悪魔のクルマがアクセラじゃないですか?
そして新型デミオに至っては、もはや何も狙ってないし、新しいこともしてないですね。フィットやヴィッツと比べてほぼ同じ価格とは思えないくらいにハッキリと差をつけていますけど、その差の付け方からして自信満々です。アウディA1の挙げ足を取るかのような、インパネのエアコン噴き出し口の配置だったり・・・もはやこのクラスはライバル不在とでも言いたそうです。
頑張れ!と応援していたメーカーがあっという間に世界最強クラスの開発力を獲得して「スーパーブランド」に成長していくのを目撃しているわけですが、そんなに溢れる創作意欲があるならば、プライベートサルーンの頂点を目指してBMW5シリーズを本気で倒しにいってほしいですね。
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『サイドのデザインこそが!』まったくもって共感できる部分です。
いつも自分のアテンザを見てうっとりするのはやはり断然サイドのうねった有機的なデザインです。隣にレクサス、BMW、アウディ、メルセデス、どんな車がいようが贔屓目なしでアテンザが優れていると思います。
さて、一つだけ質問なのですがSoul of Motionの【魂動】を何故【鼓動】と表記されるのですか?
様々なことにお詳しいので何かしらの意味を込めてあえて鼓動とされているのですか?
コメントありがとうございます
お恥ずかしい話ですが、ガチで勘違いしてました。
次からは「魂動」と書くようにします!
もう何度も「鼓動」と書き続けてきたので、
時間があったら少しずつ直していきますね。
ご指摘頂いてありがとうございます。