2014年07月12日

マツダの虚構

  最近マツダ車を見る目がちょっと厳しくなったかもしれません。評論家に無視されてた頃のマツダに初めて乗った時には、それこそ鮮烈な印象を受けました。なんでこのクルマが売れずに、トヨタ車が売れるのか!?という疑問はさすがに今ではそれほど感じないですけど、当時はとっても不思議でしょうがなかったです。自分の感覚に自信を持ち過ぎる「自惚れ野郎」なのを差し引いても、私が乗った「GHアテンザセダン後期」はまさに究極のコスパを誇る「最強の1台」だったです・・・そして迷わずに買いました。

  その後GJアテンザへとFMCが行われ、ボディサイズも変わり、シャシーも変わり、エンジンも変わり、ミッションも変わり、サスも変わり、タイヤサイズも変わり・・・。これって34と35スカイラインくらいの大きな違いで、もう別のクルマといってもいいくらいです。従来の「アテンザ」のイメージが完全に破壊されるような変化には、当然ながら否定的でした。マツダには頑張ってもらいたい気持ちは当然あったのですが、自分のクルマ(GHアテンザ)を「至高」とするならば、GJアテンザはもう何から何までメチャクチャでした。素直に良くなったなと感じるのは「アクセルの踏みやすさ」「キャビンの広さ」「車体の剛性感」くらいです(これらはハッキリ良いです)。

  ハンドル、ブレーキ、アクセル操作が全て重く設定された影響で、クルマ自体が「繊細なフィール」から「メリハリの効いたフィール」へと大きく操作感の印象が変わりました。あくまでも想像の域を出ませんが、繊細なタッチが得意な日本人向けのフィールから、ガサツなまでにパワーで操作する欧州人向けのフィールに明確に変化しました。おそらく先代までは作り分けていたでしょうが、GJでは日本仕様も欧州風味です。

  特にディーゼルを積んだXDはその傾向が強いようで、先代のキレキレのフィールとはあらゆる点で真逆です。ここまで来ると「アテンザ」というフィルターを外して乗れば、それはそれで心地よいのでとても不思議な感じです。とりあえずGHアテンザ20SとGJアテンザXDを2台所有すればなかなか楽しいクルマライフが送れそうな予感はあります。

  じゃあさっさと2台目にXD買えよ!って話なのですが、まだGJアテンザに確信が持てない部分がいくつかあるんですよね。細かい点を挙げているとキリがないし意味も分らないと思うので、大筋の話をしますが、マツダとしてはある種の理想を追い求めて作り上げていて、GJも好きな点も多々ありますが、もっとも気になるのは最初の設計段階でドイツのプレミアムブランドを意識し過ぎたことが丸出しな点です。なんであんなつまらないクルマをコピーするのか?とはさすがに言いませんが、先代と比べると「凄いマツダ車を作る!」という理想を掲げ過ぎて小さくまとまってしまい、スケールダウンしてしまっています。

  マツダはBMWやらメルセデスといった有名だけれども、「クルマ作りに対しての意識が低い」ブランドを視野に入れるべきではなかったかもしれません。マツダの中でBMW風なコストダウンを盛り込むことが、当初から予定されていたのでは?と思われる箇所がGJアテンザには随所に見られます。BMWやメルセデスのユーザーになんとなくアピールできそうなモデルを、同じようにコストダウンで作ってしまおうというのがGJアテンザなのでは?なんて私の「推定」を軽々を打ち破ってくれる何かがあれば、是非買いたいと思うのですが。とりあえずMCに注目してます。

  BMWが停滞気味のブランドイメージを打ち破るべく出した新型M4の比較テストが雑誌に載っていましたが、発売して2年が経過するポルシェ911カレラにドライブフィールでは全く歯が立たない!なんて評価がされていました。確かに専用設計のスポーツカーである「991型」911に、下級モデル共通の汎用シャシー「L7プラットフォーム」で対抗するのはほぼ不可能ではあります。しかし2000年頃までのBMWならば、簡単にポルシェの独走を許してしまうことはなかったですし立場も今とは逆でした。このM4とほぼ同じ大きさだったM5(E39系)は、当時の「996型」911との比較で見事に「知性の勝利」「至高のグランドツアラー」とか言われていたわけですから。

  さてこの没落した現在のBMWをマツダファンは嗤ってよいものでしょうか?いやいやかつてのマツダは本気でポルシェを獲ろうとしていましたが、いまではBMWのように牙を抜かれて、レクサス、日産、スバルのハイパワーモデルの輝きをただ指をくわえて見てなければいけない立場に成り下がってしまいました(スバルもどうやらマイルド路線に転向のようですが・・・)。もっとスポーティなモデルを作りたいのはやまやまだけど、マツダ単独では全く手も足も出ないのが実情です。

  幸いにもロードスターにはフィアットから暖かい手が差し伸べられましたが、さらに「足回りのマツダ」「ZOOM-ZOOM」といった自信に満ちあふれたマツダの独自性を打ち出すモデルを今後に追加・発展させるためには友好関係にあるトヨタやフォードからの「ご指名」を待つよりほかはないみたいです。フォードがフュージョンとマスタングをマツダにやらせよう!なんて決断があれば、再びマツダの時間が動き出して、ポルシェに果敢に挑んでいくでしょうけども・・・。
  


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posted by cardrivegogo at 00:02| Comment(2) | クソな話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
走りを求める層なんて年々減少傾向で、作っても売れないからではないですかね?
Posted by セージ at 2014年07月14日 09:32
マツダクラスのメーカーにとっては、300ps超の「ガチ」モデルとなるとやはりその「壁」がありますよね。
Posted by CARDRIVEGOGO at 2014年07月15日 02:23
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