他の評論家が絶対に書けないレベルのことをドヤ顔で書いてくる沢村さんですから、いきなりマツダのディーゼルターボエンジンの変遷から話が進みます。これがなかなか難解ではあるのですが、マツダの技術をまとめた本にも載っていないような「ディーゼルエンジンの本音」みたいな部分が小気味良く盛り込まれ、メルセデスやBMWのディーゼルとの違いがとてもよくわかります。マツダの技術解説本ではさすがにメルセデスやBMWのエンジンを批判したりはしないですから、これはもう自分で思う存分乗り比べるか、沢村さんの評論を読まないと分らないことです。カーグラフィックにもこれに近いBMW320dとアテンザXDの批評が載っていたことはありましたが・・・。
この人は、クルマのメカニズムにとても精通した評論家として存在感を誇っているので、やや自意識過剰気味に「その情報必要か?」と思われる点にまで言及して、やたらと難しい事を言ってたりします。ただそれでも面白いと感じてしまうのは、絶対的に伝えたい部分だけはやたらと解り易く書くという確信犯なテクニックを用いるところです。難しい事を盛り込んでジャブを打ち込み「この人は只者ではない!」と思わせておいて、誰にでも分る明確で「勧善懲悪」的なカタルシスポイントを設定して「言いたいことはとてもよくわかる!」と初心者にも思わせてしまうほどの高度なレトリックを操ってきます。
今回は、マツダファンなら何度読んでも「スッキリ」するであろう、「メルセデスやBMWの4気筒ディーゼルなんてカスだ!」が最大のポイントになっています。マツダのスカイアクティブ=ディーゼルがどのように優れていて、どういうエンジン特性を持っているかの部分が分りやすく書かれていて、まあ簡単に言えば「メルセデスやBMWのディーゼルなんてマツダに比べれば・・・・」ということがよくわかります。以前別のブログのコメント欄で320dに乗っているというオッサンがいきなり文句を言ってきたことがあって、そのときはちょっと手数をかけて自分の投稿記事の真意を説明したのですが、沢村さんのこの評論にもう少し早く出会っていれば、もっと説得力のある返事ができましたね・・・。
日本でもちょっとしたセンセーションを起こした新型アテンザ。多くの評論家がこれまで持っていたマツダへの考えを180度改めるきっかけとなったようで、ほとんどの評論家の論調が明らかに変わりました。しかしさすがに「掌返し」と思われるのも癪みたいで、ちょっとした欠点に難癖を付けたがる人も多いように感じます(福野礼一郎氏・西川淳氏など)。さて沢村氏はどうするのか?なんて穿った見方をしていたのですが、いや〜この人はマツダ車をよく知っておられます!昔を知らないので何ともいえませんが、これを読む限りでは「マツダは20年前からすでにディーゼルの猛者だったし!その頃からオレは最大限に評価していた!」くらいの書きっぷりです。そう沢村さんだけは「掌返し」ではなくて「一貫」しているということです。しかし書いてある内容は自動車評論の限界を余裕で突き抜ける凄まじいもので、ここまでマツダユーザーの想いを汲んでくれるライターはまずいないんじゃないですか。「オレは初代からアテンザに乗っている!」くらいの書きっぷりです!お見事!
自動車雑誌ではアテンザやレヴォーグが欧州車と比べてどうか?みたいな欧州車ユーザー目線で書かれることが多いので、読んでいて「だからどうした?」と思うような屁理屈がどんどん出て来て、「コイツはわかってないな」と感じることが多ったりします。沢村さんのこの評論はそういう欧州vsマツダ・スバルみたいな「アホ全開フィルター」を完全に排除したところに「新しさ」を感じます。そして特にマツダユーザーやスバリストに媚びた書き方とも思いません。「欧州車と比べてどうか?」なんてのは実はユーザーにとっては本当にどうでも話ですけど、沢村さんの主張ではマツダやスバルと価格面で少しは競合するであろうメルセデスやBMWの廉価グレードは、真面目なクルマ作りをするマツダやスバルの前では「比較対象にすらならない!」という真実を淡々と述べられています。
メルセデスやBMWも当たり前ですが、ちゃんとやれば出来るメーカーです。しかしマツダの6MTとBMW320iに設定がある6MTの操作性一つ比べただけでも、BMWが廉価グレードでいかに雑な仕事をしているかというのがわかる!と仰られるわけです。マツダ好きとしては涙を流して喜びそうなことが延々と書き連ねてあります。しかもアテンザXDの6MTがとても「満足できる」佳作と褒め称えられているだけでなく、初代アテンザから沢村さんがアテンザの機能性を高く評価していたことが伺える内容になっています。いやむしろGGやGHのユーザーの心が躍ってしまう内容なんですよ!
一つ紹介すると、GHアテンザに乗る私がもっとも悶絶したのは・・・「先代アテンザのような和製アルファロメオを狙ったスポーティさが看板ではないが」の一節。初めてGHアテンザに乗ったときからずっと頭に描いていた私の「朧げなイメージ」が、そのまま著名な評論家によって見事に「言語化」されています!さまざまな自動車評論を読んでいてここまで鳥肌が立つような体験をしたことはないです! 仕事から帰ってきて22時手前、月末で有効期限が切れるコーヒーチケットとパソコン、そして届いたばかりのこの本を持っていつものスタバへとアテンザを走らせ、コーヒーを受け取ると店内のソファーに腰掛けて読み始めました。フェラーリの小難しい話を二本読んで三話目がアテンザでしたが、完全に時間が止まりましたね。気がついたら空いていたとなりの席に見知らぬ若い女性が座ってました・・・。沢村ワールドに取込れている間、一体どういう顔して読んでいたのか?想像するとちょっと恥ずかしいですね。でもこの日は最高に気分が良かったです。
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「午前零時の自動車評論」の第7巻
私も読んでみたくなりました。
コメントありがとうございます。
今回ばかりは全マツダファンに伝えたいな!と思いましたね。
マツダディーラーにも雑誌棚の片隅に置くように勧めてみたいです。
沢村氏、三栄書房が昨年12月に出したムック「MAZDAのすべて」では
「おれたちの80年代を作ったのはトヨタでも日産でもなくマツダだった」と
熱く語っておられますね。その中でも最後のこの一節が痛快です。
「赤いファミリアXGサンルーフ仕様153万円は、ドロドロした70年代を
吹き飛ばす乾いた一陣の風だったのだ。トヨタにも日産にも吹かせることが
できなかったその風。それをマツダはあのときやってみせたのだ。」
そこいらの自動車評論家とはまったく比較対象外、というか小説家そこのけ
の生涯通算読書量なのでは、と思わせる言い回しの味わいと、専門用語・商品名
などの羅列そして理屈っぽさが想起させるミスター梅介的な高IQ感が私に
とっても魅力的です沢村氏は。
あの5代目ファミリアのコラムもそうですが、読み始めてすぐに「これ沢村さんじゃないか?」って解るくらいに文章の質感が違いますよね。クレジット確認するとやっぱりそうで、他の人だったことは1度もないです。
5代目ファミリアや初代ロードスターのような「初期マツダ独立」時代のクルマを絶賛する文章は見た事あるんですけど、「フォード傘下(ZOOMZOOM」時代や現在のモデルに対しての評論を見た事がなかったので、今回は特にテンションが上がってしまいました。
試乗して次の日ハンコを着いたと 言うことをネットで見ます 他のメーカーの倍くらい良いと思わない限り このような行動はとらないと思います
これからも楽しみにして居ります
このブログでマツダをオススメしていると、
たまに「いい加減にしろ!」とか言われて反省するんですが、
やっぱりマツダ車に乗ってBMWとかに試乗に行くとですね、
せっかくのBMWが霞みますね・・・。
レクサスなんか・・・でした。
ドア閉めた質感だけで完全に、
アテンザ>>>レクサスIS、3シリーズなんですけどね。