2014年06月20日

マツダが超一流のスポーツブランドだったという事実が風化する前に

  ホンダの新型NSXは本当に発売されるのでしょうか? 昨年の東京MSでの注目度もそれほど高くなく、ホンダブーズ内での主役は完全にS660でした。もしホンダが次期NSXを日本で800万円で売ります!と宣言するのなら、もっと注目を浴びるのでしょうが、やはり1000万円を超える価格帯のクルマは世間ではまったく「無視」されてしまいます。600psを突き破るGT-R・NISMOも日本ではそれほど話題にもならず「どうせ高いんでしょ?」という冷めた意見が大勢を占めているように感じます。

  デビュー当初こそ騒がれたGT-Rですが、ポルシェだかアストンマーティンだかの真似がしたいだけ!といったオリジナリティの欠如を批判する声が次第に大きくなり、開発者の水野さんは日産を去りプロジェクトこそ続いているようですが、開発者であり重要なスポークスマンでもあったキーマンの流失は「GT-R=スーパーカー」というビジネスモデルにおいては、致命的といえるほど大きな痛手になるかもしれません。

  水野さんの著書を読むと、日産という量産車メーカーでスーパーカーを作るために絶対に必要なことは、プロジェクトにかかる人員と予算を大幅に削り、絶えず「生産性」を意識する現場にすることだったそうです。メルセデス、BMW、アウディ、ポルシェといった名だたる有名ブランドでも開発へのハードルが恐ろしく高いと言われるスーパーカー作りですが、VWグループのバックアップを受けてポルシェが行っている他は、ランボルギーニのコンテンツを流用してアウディR8が作られる程度で、大排気量ターボ&AWDが基本の専用設計を極限までブラッシュアップするというプロジェクトを遂行する余裕はないのが現状です。

  マツダもかつては、「東洋のポルシェ」として世界に覇を唱える「ドリーミー」なメーカーだったことで、バブル崩壊後に倒産の危機を迎えたりもしたようですが、その反面自動車開発で自分の可能性を見出そうとする、日本中の優秀なエンジニアを集めることができたために、今日もなお世界屈指の「技術屋」として尊敬を集めることができているようです。先日もトヨタが万全の体制で臨んだ「ルマン24h耐久」で無念のリタイアを喫しましたが、日本勢初制覇を果たしたマツダの優勝からすでに20年以上が経過しつつあります。

  当時は雲霞の如く技術者が集まってきたでしょうが、現在もなおマツダに日本で最も優秀な人材を確保できるだけの求心力があるのか?という懸念があります。水野さんも元々は日産よりもマツダ入社を希望していたと述懐しておられましたが、いまもなお、ルマン参戦やラリー復帰?のトヨタあるいはF1に参戦するホンダよりもマツダを選択する明確な動機があるのでしょうか・・・ロードスター、ロータリースポーツ、スカイアクティブ・・・といった言葉は浮かんではきますが。

  RX7の最終型FD3Sは、小型スポーツの傑作として「走行性能」と「スタイリング」の両面で欧州からも高い評価を得ました。英国誌の選定によると、20世紀の自動車で第12位(日本車最高位)だそうです。先代のFC3Sがポルシェをキャッチアップ(パクる)していたのはほぼ間違いないですが、そのあとで軽々と本家を超えてしまったことで、マツダの名声は確固たるものになりました。既存ブランドをキャッチアップさせればマツダの右に出るメーカーはいないのではないか? ポルシェだけでなくその気になればレクサスだろうが、ジャガーだろうが、マセラティだろうがそのクオリティに近いものを生み出すことは可能なのではないかと思っています。

  ジャガーFタイプやマセラティ・クワトロポルテに対抗するようなモデルを手掛けて、マツダとは「カッコ良くて」「高級感」があって「高性能」で「スポーティ」なんだ!という主張(目立つこと)をやっていかないと、100万台規模のメーカーに長期的なビジョンなんて描けない時代なんじゃないかという気がします。トヨタに支えられているスバルはともかく、メルセデスやBMWを押し退けてでも登っていくのか? それともボルボやジャガーのように新興国資本を注入するか? ハッキリ言ってこれがマツダの現実です。400万台クラスのスズキやホンダなど世界トップ10グループがあって、その後ろにたった3つの中堅「マツダ・MB・BMW」がいて、後ろには中国メーカーの大群がひしめいています。

  MBもBMWもプライドもなにもかなぐり捨てて、ニッチなニーズも全て拾うべくラインナップを拡大しています。「横死」するわけにはいきませんから、日本メーカーに頭を下げて技術供与を受けて、「低価格路線」と揶揄されてもなり振り構わずに、死にもの狂いでかけずり回っています。MBやBMWがアクセラやデミオのシェアを獲りにきているのだから、マツダもSクラスや7シリーズを狙い撃ちにして“報復”する必要があるんじゃないの?と思うのです。自慢のディーゼルエンジンを6気筒ターボに作り替えて、中国で人気が出そうなアテンザのロングボディを用意して、ギブリやパナメーラを超えるDEサルーンを仕掛ければ、案外良い結果が出そうな気がするのですが・・・。

  
リンク
最新投稿まとめブログ


↓メルセデスの「攻め」の1台!アクセラを押し退けて日本COTY確定との声も・・・

posted by cardrivegogo at 13:35| Comment(0) | マツダへの雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]