2014年06月13日

マツダはなぜ売れるようになったのか? その3

  前々回、前回とマツダの好調の要因についてあれこれ勝手なことを言ってきました。要約すると「ネットの力」と「ストロングポイント(マツダの得意分野Cセグでプレミアムブランドを返り討ち)」といったことなんですが、今回さらに付け加えたいのは、「マツダはちょっと頭オカシイ!」と言わせる諧謔性とでも言うべき面白さです。(今回もテメーはどこのコンサルじゃ!とちょっとイラッとくるかもしれませんが・・・まあネタなのでご容赦ください)

  自動車業界に限らず、様々な「成功譚」にはたいていは、タブーを無視して突き進む「非常識さ」が重要なポイントを占めているケースが多いです。「立ち読みできない本屋」アマゾンだったり、アメリカで成功している「試し履きできない靴屋」ザッポスだったり、小さい例をあげればそれこそ無数にあります。そしてここ最近もマツダについて検討すると、これまたビックリするくらいにやっていることはメチャクチャです。

  とりあえずツッコミを入れてみると、「なぜ最上級車のアテンザが“赤”なの?」「なぜこんなにサイズがデカいの?」「なぜAWDを廃止したの?」「なぜ売れ筋のスポーツHBを廃止したの?」「それなのになぜMT追加なの?」・・・最後のMT追加はともかく、ただでさえ少ないユーザーをさらに切り捨てるかのように「バッサリ」と割り切りをやっております。正直言ってアテンザは何色を買ってよいのかわからないという人は結構多いはずです。「赤」「白」「黒」以外はなんだか色味が単調で子供っぽいですし、「白」もボディがデカいのにさらに膨張色は違うと思いますし・・・。

  レクサスなどは必死で高級車を買わせる色を研究して作り出しているのに、マツダはショー・カー的な「赤」だけが突出していて、「赤」を本気で売る気があるのかどうかわかりませんが、やたらと気合入れてるんですよね。ハッキリ言って近所で「赤」のGJアテンザなんて一台も走ってないですよ(GGもGHもですが)!レクサスISの白とチタンはしばしば見かけますし、とても「決まっている」と思うんですけどね。たしかにマツダの「赤」はメルセデスよりもBMWよりもレクサスよりもキレイです!それは確かに認めます。けど関東マツダの店舗はどこも「赤」の試乗車なんて購入してないですよ。中古車として売る時に「赤」は50万円ほどマイナスになるから導入しないという「タブー」がまだまだ残っているわけです。

  マツダの「赤」は素晴らしいわけですから、素直に「赤」を買ってとなりにメルセデスやBMWやレクサスの「赤」が来た時に、優越感に浸ればいいじゃん!と言われても・・・そもそもカタログ以外で「赤」のSクラスとかLSとか見た事ないですよ。トヨタSAIや日産ティアナも「赤」がテーマカラーになっていたようですが、街中では全くといっていいほど見かけないです。そもそもマツダがブチ上げた「中大型セダンの赤」に他社もあわてて便乗した感がありますが、全部が全部「タブー」でしかないです。トヨタなんてピンクのクラウンを期間限定で発売しましたが、あんなの大失敗するのは誰の目にも明らかでした。(メディアは当然トヨタが恐いので報じませんが・・・)

 クラウンの「ピンク」は誰が見ても「無し」ですし、レクサスやメルセデスの「赤」も軽薄この上ない色で「無し」です。LSやSクラスを赤くする前に、CTやAクラスで人気がでるような「赤」をつくって見ろ!と言いたい。それに比べればマツダの「赤」はたとえアテンザのサイズだとしても完全に「アリ」だと思います、もちろんマツダの努力の結晶ですが、極めて常識的な人にでも受け入れられる深みを持った抜群のセンスを誇っています。けれどもそれは依然として買おうとする人やディーラーを大きく悩ませる「タブー」なんですけどね。しかしマツダだけは「赤」を違う次元に持ち込んだのは確かです。完全に飽きられていた旧態依然のセダン市場で求められていたパラダイムの転換をマツダが起こしたわけです。

  「タブー」をやらかして注目を集めておいて、洗練された塗装技術で「黒」を「白」に変えてしまおうとした孤高の世界観は、大衆車でありながらも人々に自動車作りの醍醐味を感じさせましたし、フェラーリやランボルギーニといったスーパーカーブランドに通じるようなクルマ作りの「スピリッツ」を見事に見せつけました。BMWが去年の正月に見せつけた「4シリーズ」の新しい塗装色で新しい世界感を演出しつつ、量販モデルにはこれまでと変わらない冴えないカラーを「べた塗り」して持ってきたことには、まったくもって失望しました。マツダの情熱が今回は完全にBMWを上回ったなと思います。今年のWCOTYデザイン賞では、アクセラは「i3」に負けてしまいましたが、欧州人は色彩を見分ける力がないのか?

  今回はこの辺で一旦終わりにしておきます。また他の件についても調べが付いたら追って、このブログでブチ上げて行きたいと思います。


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posted by cardrivegogo at 13:08| Comment(0) | マツダの戦略 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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