現在ではフェラーリといった一部の例外を除き、ただ作って売るだけでは、全く商売にならない時代になりました。トヨタが86を売る時に仕掛けたシーンを盛り上げる数々の企画がどれほど有効だったかはわかりませんが、FRスポーツを復活させる!という段階ですでに大きな反響を呼んでいて、その後のミーハーな盛り上がりに購入を思いとどまった人もいたんじゃないですかね。ロードスターの場合は既存モデルのFMCなので、ただ刷新するだけでは少なくなった既存ユーザーにしか訴求できませんのでなにも変わりません。しかも2台以上続けてロードスターに乗る人はそこそこはいるでしょうけど、半数を超えることはないでしょう。
トヨタは社長自らが86駆って国内ラリーに参戦するという、なかなかハイセンスなプロモーションを打ち出してきて、これは1人のクルマ好きとして見ていて「グッと」くるものがありました。それまではダートやスノー上でのドリフトをする絵面ばかりで、ドリ車として認識されていたクルマをラリーベース車としてもいけるよ!とアピールすることで、ワインディングでいろいろな乗り方が出来るクルマとしての利用価値を見出してほしいという単純な狙いでしょうけど、「これはいいかも?」と率直に感じました。
先日の土曜日に夕食を外で食べたあとに、神奈川県のヤビツ峠を走ってきました。東名高速側からの登り口は夜景を見るクルマが登っていくので、ちょっと気持ちよく走るとすぐに前を塞がれてしまうわけですが、登りのコーナーでいちいちブレーキで減速しながら進むクルマの後ろは少々イライラいますね。煽らないようにと車間を開けるのですが、コーナーで鼻先まですぐに追いついてしまい、前のクルマがさらにもたつくとこちらもブレーキを踏む羽目になります。それなりに気を遣って車間をとっている後ろのクルマにブレーキを踏ませるなんて・・・、ムダなブレーキは「犯罪」だと思っているので、そういうクルマには初心者マークでも付けておいてほしいものです。
帰りは反対側の「裏コース」を宮ヶ瀬湖まで30分程度で降りていくコースを進みましたが、こちらは「凶暴」なまでの”酷道”区間もあるので、利用者は少なく快適です。たまに行き違いのクルマに出会いますが、相手は大概はジムニーなどに乗った常連なので、上手く回避してくれます。途中で信号が全く無いというのが嬉しい限りで平均車速が・・・km/hくらいになります。アテンザを走らせるだけでも十分に楽しいのですが、これがロードスターだったら・・・。コーナーを抜けると、さらに早いテンポですっとリアが落ち着いて、自動的にクルマが沈み込んでさらに長い加速区間が得られるだろうなと思いますね。
FFのコペンでは車幅の点でしかアドバンテージがないですし、むしろ安定感が欲しい跳ねるコースなのでトレッドがある方が有利な気がします。あとはロードスターを後ろから見ているとよく分るのですが、あのデザインやサイズが全て、クルマを制御するために最良を追求したものであり、車重の軽さを生かしてリアの収まりの良さはレクサス車みたいに、しなやかに素早く制震するサスの仕事っぷりを見せつけられて、以前猛烈に欲しくなったことがあります(ロードスターもレクサスGSも・・・あとS2000も)。
結局クルマ好きの本質なんて何かに特化した「フェチ」に過ぎません。ヤビツ峠に向かう途中のR246で、左折専用レーンから発信加速で強引に追い越しをかける「E63AMG-4MATIC」 の一瞬で置いていかれる加速を見せつけられました。となりに停まっていて「お!かっこいいな!」と思って見ていたら、グイーン!と行かれました・・・。21インチ履いて、センス良くエアロを配して、色彩もセンス良かったなし、何より存在感がありました。Eクラスはダサいと思ってましたけど、オーナー次第だなと考えを改めました。その後に前方のクルマに引っ掛かりセンターラインをまたいで走っている姿を見て、そういう走りが許される(許されないですけど)のは、大金かけてますよ!という自信の表れでしょうか?
おそらく2000万円を超える金額がかかっていると思いますが、このクルマもR246を降りれば何もできないE250と大差ないと思います。R246のような自動車専用道ならズバッといけるでしょうけど、ヤビツ峠ではおそらく何もできないでしょうし。「裏ヤビツ」を走れば、崖から転落するか、壁に刺さるか、切り返してコーナー曲るのがオチでしょう。R246走っていて面白いと思うならメルセデスにお金を費やすのもいいと思いますけど、少なくとも私にはそれだけでは満足できないですね。私に限らずマツダに乗る人の本音はそんなところじゃないでしょうか。
マツダが新型ロードスターの出力を抑えて、2Lから1.5Lにするらしいですけども、FRの軽量なスポーツカーに拘るならば非常に賢明な判断じゃないでしょうか。アクセラ用の横置き1.5Lよりもパワーが出しやすい縦置き(FR用)のスカイアクティブGを使っていて、さらにフロントミッドシップが強調されていますから、「S2000の復活」といってもいいかもしれません。BMW2シリーズなど「間接的」なライバルが増えてきていますが、NAエンジンの良さにこだわったクルマ作りで「レベルの違い」を見せつけてくれることを期待しております。
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