アテンザの主張は「プレミアムカーって本当にカッコいいですか?」といったところでしょうか?プレミアムカーというくらいだがらスタイリングがさぞかし良いはずなのですが、実際はそれほどでもなかったりするものもあります。いや、そんなのばっかりじゃないか?という気が・・・。「デザインの時代」と言われる中で、マツダが「それじゃいっちょやってやるか!」と気合いを入れて作ったのがこのクルマです。
実際のところは、日本でも欧州でも販売が伸び悩み、2011年頃から再び倒産が頭をちらつき始めたマツダが、「窮鼠猫を噛む」かの如くプレミアムブランドへ襲いかかったわけです。経営危機に瀕したマツダはいつも「良い仕事」をすると言われていますが、今回は特に「即効性」を重視したコンセプトです。簡単に言うと「プレミアムカーを納得の価格で提供する」ってことなんですけども、実際のその仕上がりは目を見張るものがあり、大衆ブランドのマツダにここまでやられてしまったら、メルセデスやBMWはもはやお手上げです。
「即効性」とは分かりやすさです。GHアテンザは「高速ツアラー」という、新しいコンセプトでシーンを作ろうとしていましたが、高速料金が恐ろしく高い日本ではイマイチ浸透しませんでした。GJアテンザは最初からそんなことは考えずに、「3シリーズやCクラス」と同等以上の走り・乗り心地・デザインを100万円以上安くで提供します!という直球勝負で、クルマの細かい矛盾点にいちいち気を止めていません。「車内が広くて、高級感があって、カッコいい」が揃っていれば間違いなく売れる!そんなことはどのメーカーにも解りきっていることなんですが、その3点を貪欲に追いかけることでバランスが損なわれるといった弊害が起こります。マークXがクラウンより「広くて、高級で、カッコいい」としたらトヨタにとってはややこしい問題になります。
スカイラインはそんな状況の中でも、レクサスとドイツ3ブランドを追い落とすために、「広くて、高級で、カッコいい」ではなく、ひたすらに「高性能」を追求したようです。大排気量のエンジンでは燃費が悪いからその代替案として、排気量を下げて性能を下げるか、ターボで誤魔化すといった、大衆ブランドが使う方法をそのままプレミアムカーに当てはめるなんて根本的に間違っている!というのが新型スカイラインにおける日産からのメッセージです。
BMW3シリーズのベースグレードが乗り出しでおよそ500万円。同じ金額でスカイラインを買えば・・・。300万円のアテンザでも十分に互換できます。なので3シリーズもアメリカ価格とは言わないですけど、400万円で十分足りるくらいまで値引きされてちょうど良いくらいです。去年、販売が好調だったモデル末期のメルセデスCクラスは400万円をかなり下回っていたそうです。アテンザの上位モデルは400万円に近いですから・・・まあ日本市場で何が起こっていたかは薄々は想像が付くと思います。
値引きされたCクラスや3シリーズとほぼ同じ価格だとしたら、アテンザに勝ち目があるのか? これはかなり微妙な点で、やはり日本における一般的な視点ではCや3を選びたくなる心情は何となくわかります。しかしこれは着眼点の問題でもあり、Cや3をそれぞれメルセデスやBMWとして「アリ」だと思うか「ナシ」だと思うかという個人の判断に寄る所が大きいです。とりあえずアテンザと価格帯が競合する直4ターボのベースモデルは「ナシ」だと思うんですよね・・・。
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