2014年02月17日

ショー・カー的な展開を見せる「アテンザ」その行く末は?

  「走って画になるクルマ」から「停まって画になるクルマ」への転換。GH系アテンザからGJ系アテンザへのFMCは、このヴィジュアル上の変化こそが最大のポイントなのだと、割と最近になってやっと気がつきました。車幅と全長がある程度の数字で大きくなり、単純に言うとレクサスISがレクサスGSになったくらいの変化です。しかし街行くレクサスにそれほど極端なサイズ差を感じるか?と言われると微妙だったりします。レクサスの2台にはどうやらアテンザのデザイナーが意図したポイントは織り込まれていないようです。

  GJ系発売当初、どうもこのクルマが気に入りませんでした。GH系のセールスポイントと言うべき特徴がことごとく失われ、衝動的に買う人も多かったようですが、とても熱狂するデザインのクルマにはとても思えなかったからです。しかし1年あまりが経過し、グローバル市場の動向もだいぶ様変わりしてきた現在に至って、やっとマツダがGJ系アテンザで意図したことが少しずつわかってきました。

  自動車雑誌のマツダ車評をみると、デザインから技術に至るまで「独自性」が行き渡っているといった言われ方をされています。しかし真の意味で独自性を発揮しているメーカーは、マツダではなくスズキじゃないかと思います。マツダのデザインに優越性を感じるのは、マツダ車にオリジナリティがあるのではなく、マツダ車が多くの人々が共有する「クルマ観」を上手く実現しているからです。これを「独自性」と呼ぶのは自由ですが、マツダのアドバンテージは第一義的には「分かりやすさ」です。

  マツダの自動車開発、とくにアテンザ・アクセラ・CX-5の主力3車に関しては、マツダの開発者がグローバルでの自動車シーンに敏感にアンテナを伸ばして、そのコンセプトを作り上げているのがわかります。初代・先代のアテンザは欧州や日本で一世を風靡したアルファ156を尖兵とするFFセダン革命の主役を張るべく開発されました。初代のデザインはカペラを発展させたものでしたが、先代では2000年代前半にデザイン面で注目を集めたプジョー407からアイディアをもらった(パクった)ようです。

  さらにこの延長線上に3代目(現行)が登場するのだろうと思っていましたが、アルファロメオやホンダと争った高性能セダン路線を、ライバルの脱落を見るやマツダもあっさり放棄して、その後登場したのがGJ系アテンザでした。アルファ156の後継159は高コスト体質が嫌われ短命に終わり、アコードも欧州路線での高コスト化を見直しました。プレミアムセダン以外はことごとく失墜する市場でマツダも苦境に立たされたようです。新型アテンザ=収益確保が大前提だったのも当然で私の中に「色眼鏡」もありました・・・。

  今改めてGJ系アテンザを見直すと、このFMCでマツダは従来のイメージ、つまり欧州車の底流に流れるデザインから、コンセプトを大きく切り替えてきたのがわかります。アルファロメオのようなワインディングを疾駆する中型GT車から、大きくジャンプしアメリカナイズされた大都市の中心部に、堂々と停められている、アメリカンなフルサイズセダンの筋肉質なイメージへと降り立ちました。

  何の為に?それは今後の世界中のD、Eセグのセダンは北米市場で人気を得るかどうかが最大の焦点だからです。北米市場でのセダンは、日本のように中高年の地味なクルマではなく、若者のカスタムベース車として好まれる素材としての価値が重要になります。メルセデス、BMW、アウディのカスタムを専門に扱う雑誌が日本にも幾つかありますが、現在のところアテンザがそれらの仲間になっているという形跡はありません。

  GJ系アテンザに込められたマツダデザイナーの秘めたる想いは、日本のVIPカーに近い、こういったシーンの定番車としてアテンザを送り込むことなんだと思います。GJアテンザを至近距離で見ると、強く受ける印象は「骨太」です。サイドには力強い骨格のようなラインが入り、ボンネットもアメリカ車を彷彿とさせるロングノーズスタイルと言ってもいいくらいです。広いボンネットはアクセラも同じですが、「痛車」のベース車としての使い勝手を少なからず意識しているはずです。

  走らなければその価値がわからないと言われたマツダ車が、停まっているだけで十分に価値を発揮する時代がやってきたということでしょうか。北米の最大のカスタム車イベントであるSEMAショーにも積極的な展開を図ったマツダ。次の一手はやはり「RX-7の復活」になりそうだなと考えるのが自然のようです。


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↓マツダがこの雑誌の対象に今後なるの?にわかには信じがたいが

posted by cardrivegogo at 06:24| Comment(4) | アテンザ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは。またまたお邪魔します。

大雪の影響で我が家のアテンザは
約2週間自宅待機となっております(涙)。

GHアテンザがプジョー407を参考にしていたとは
知りませんでした。
しかし…改めてGHを良く見てみると
本家本元をはるかに凌いでしまいましたね(笑)。

ロータリーエンジン車、私も1度乗ってみたかった。
もしもロータリーの発するあの膨大な熱エネルギーを
全て運動エネルギーに変換することが出来たら
きっと燃費もバッチリですね。
(文系なのでトンチンカンな意見ですが)

スバルの水平対向4気筒エンジンも
独自性があって好きです。
特徴のあるメーカーはおもしろい。

独断と偏見ですが

日産…CVT
ホンダ…低床技術、昔はNSX等スポーツカーも
マツダ…ロータリーエンジン
スバル…AWD、水平対向4気筒エンジン
三菱…ラリー、昔はGDIエンジンも
トヨタ… ???? ん、私の勉強不足かな?

Posted by 馬蹄形リフレクター at 2014年02月18日 22:59
馬蹄形リフレクターさんこんにちは

プジョー407はセダンよりクーペの方が
GH系アテンザのイメージに近いかもしれません。
ディーラーの人も認めていたのでそう思っていましたが
改めて見てみるとプジョー407はだいぶ風化してますね・・・。

最近特に注目しているのが
日産・・・V6HV&アテーサ&ステアバイワイア
ホンダ・・・V6HV&SH-AWD
マツダ・・・RE復活?
スバル・・・北米好調でボクサー6の復活?
三菱・・・新型GDI搭載のAWDホットハッチ登場
トヨタ・・・V8NAの王道GTカー

日産とホンダ以外はあまり進歩が感じられない気が・・・。
リアルでの知り合いとの会話はもっぱらRX-7復活?です。
出たら絶対買うという人が既に2人もいます。
Posted by CARDRIVEGOGO at 2014年02月19日 13:05
おお、RX−7復活ですか。
3代目のデザインは20年以上たった今でも
全く色あせませんね。
(2代目のサバンナも好きでしたが)

私もかつてはロータリー車購入を考えましたが・・・
覚悟が足りず却下となりました。

寂しいから現在、自分の部屋にスクラップになった
本物のロータリーエンジンを飾っています(笑)。

あ、因みに私、最初からトヨタが嫌いだった
わけではありません。
かつてはプログレとかヴェロッサとか
魅力的なセダンがあったのに最近は・・・
あらゆる車種の「手抜き」が露骨なので
嫌になって来ちゃったんです。
Posted by 馬蹄形リフレクター at 2014年02月19日 23:27
馬蹄形リフレクターさんこんにちは

FDのデザインいいですよね!
ご存知かもしれませんが、FDとGHアテンザのデザイナーが同じだそうです。

ヴェロッサはマツダ好きなら刺さるデザインしてますよね!
プログレも5ナンバーサイズなのに堂々の直6縦置きで、
良いクルマでしたね。
田舎で病院の院長やってる大叔父がいまでも気に入って乗ってます。

以前はカローラランクスZエアロに乗ってました。
6MTで190psしかもFFというなかなか過激なクルマでした。
このクルマとアルテッツァが200万円台前半で買えた時代のトヨタは良かったのですが・・・。
Posted by CARDRIVEGOGO at 2014年02月20日 22:09
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