日産の国内の中型車ラインナップは相変わらず北米モデルの併売が基本です(栃木県組み立てですが・・・)。スカイラインの2.5LのV6が今回のFMCで無くなるのも、そのグレードが北米には設定されておらずグローバルではほとんど需要がないからです。V6HVの新ユニットがあれば燃費面では2.5Lを補えますが、パワーを両立させた分が素直に価格に跳ね返ってきてしまいます。日産としては「のんびり走る手軽なモデルがほしいならティアナ買え!」という意思表明といえます。
じゃあティアナでいいや!となればいいですけど、これまでは2.5Lでもスポーティさを求めてスカイラインを選んでいた人もいたと思います。そういう人々もシルビアやプリメーラユーザーのように「カー難民」予備軍です。いくら日産の主旨に合わないからといっても、これらの日産ファンに「Z or others?」の選択を突きつけ続けるのはやはり不条理過ぎるので、当然ながら日産も対応を考えているでしょう。
トヨタは抜け目なくその潜在ユーザーを根こそぎ持って行くために、新たに4ドア版の86を開発中と言われています。ここでホンダや日産にもライバル車を開発してほしい気持ちもありますが、実際にはどちらもトヨタに対してはどこか及び腰のところがあり、トヨタがあまり興味を示さないスーパースポーツや小型SUVなどばかり熱心に開発している印象です。
日本メーカーにとって日本市場の中型車は、国内メーカー同士での戦いというより外国メーカーの進撃をどれだけ食い止めるかが一番の関心事なのだと思います。国産車同士でコスト競争したところで共に疲弊し、弊害として作りが安っぽくなりますから、結果的に輸入車にシェアを持って行かれてしまいます。これはスバルやマツダが一時期陥っていた状況といえます。
競争を避けて中型車を作る日本メーカーを一つのブランドと見做せば相当に強力なラインナップになります。もはや性能&価格面で輸入車に付け入る隙はほとんどなく、現実には輸入車勢はVWゴルフが孤軍奮闘している程度です。ほかにもいろいろ輸入車が発売されていますが、長い目で見れば日本車と張り合うレベルには無く、いずれは淘汰されていくのではないかと思います。VWも世界販売首位を見据えて拡大を続けていますが、かつてのトヨタのように頂点に到達した瞬間からクルマの質が・・・ということになるかもしれません。
メルセデスやBMWもまた中型車での影響力の拡大を狙っているようですが、あまりにブランド力に頼り過ぎていて、特に右ハンドル車の作りの???なところは閉口ものです。メルセデスの幹部がゴルフ7を前に「白旗宣言」をしたとか・・・。メルセデスもBMWも「8気筒のハイパワーエンジンなら自信があるけど・・・」が建前のブランドなので、直4専業のVW、マツダ、スバルと本気で張り合う気はさらさらないようです。もともとCセグなどの技術はなく、どちらも今後の開発は日産とトヨタの技術を頼みにしないとVWに大きく差をつけられてしまう難点を抱えたメーカーです。
ボルボは中国資本ということもあり、経済成長の上昇気流を受けて、新たに自社でのエンジン開発を進めているようです。落日の欧州に固執して身動きが取れないメルセデスやBMWとはだいぶ立場が違うようで、それぞれ背負っているものも違います。メルセデスやBMWの抱える苦悩は、日本での生産維持を掲げるトヨタやマツダの苦悩に近いものがあるのかもしれません。人々を魅了するブランドにはそれなりの大義名分があるのでしょう。
さて日産の日本市場での展開には大義名分が・・・。スバルはBRZだけでなく、レヴォーグを発売し日本重視の姿勢を打ち出してきましたが、いよいよ日産にも日本のクルマ好きを唸らせるような1台を期待したいものです。
↓ゴーン氏が引退すれば風通しが良くなるとぼやく日産ファンが多いようです。