ただその走る様を見ると、LSやSクラスよりも軽く作られているのがわかります。LSやSクラスだと発進時にタイヤが地面をガッチリ掴みズルズルと重いモノが動き出す印象ですが、XJはタイヤが摩擦できしむ音が想像よりもずっと少ないです。レクサスGSと同じくらいの軽さに抑えられているV6モデルということもあるのでしょうか。
重厚さと引き換えに得たドライバーズカーとしてのドキドキ感が見ている側にも伝わってきます。これまでになかったような新しいイメージのクルマと言えるかもしれません。さらにこれは私の思い込みの部分もあるかもしれないですが、どうも新型アテンザよりも繊細で軽快に動くイメージすらあるのです。キャラクター以上の重厚さを求めたアテンザと、逆に軽快さをデザインの中に追求したXJが見事に入れ替わったかのような錯覚に陥るほどです。
ジャガーに限らず欧州ブランドは軽快なドライバーズカーを志向する流れが強まっている気がします。この背景には日本の大都市のように鉄道などの交通機関が十分に発達し、クルマを所有しなくても済む人々の数が飛躍的に増えているということがあると思います。生活必需品ではなくなり、趣味あるいは贅沢品になったクルマの選択基準は大きく変わり、スポーツカー1台を所有するというパターンも増えつつあります。欧州でも大人気のトヨタ86は堂々のファーストカーとして受け入れられつつあります。
そんなモテモテのスポーツカーに対抗するために、セダンも実用性はもちろんですが、従来よりも運転の楽しさを追求する姿勢が強まってきたと言えます。今のところジャガーが先陣を切る恰好になっていますが、来年に登場するBMW M3/4が1500kgに車重を抑えて登場するとアナウンスされ、メルセデスCクラスの新型も100kg以上の軽量化を図った上で、Sクラスと共通の高性能サスで足回りを固めるといわれています。
北米・中国ばかりを視野に入れて大型化した上、ハイブリッドやディーゼルで重量増ばかりが続く日本のセダンの動きは、欧州とはまったく逆行している感すらあります。私がこのブログで再三嘆いている、2代目アテンザから3代目アテンザへの様々なコンセプト変更の中で行われた「改悪」といえるFMCとは、メルセデスCなどは、ほぼ逆の展開のFMCを行うのではないかと思われます。いよいよ「マツダ・アテンザ」ブログ改め「メルセデス・Cクラス」ブログを旗揚げしなければいけない事態になっていくのでしょうか?
マツダに限らず日本車セダン全体が、ドイツ車の標準「体重」へと接近する中で、ドイツ車セダンは日本車のような身軽さを追求していて、皮肉なことに入れ替わりつつあります。従来からドイツ車並みだったスカイラインに加えてレクサスISやRCも1600~1700kg台の重量へと安易に設計されているようですが、1400kg程度の新しいドイツセダンが大挙して押し寄せたときに、果たして対抗する余力があるのでしょうか?と不安に感じてしまいます。アテンザXDよりも軽いM3/4がまもなくやってきます・・・。
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