メルセデスやマツダのデザインをパクったという印象はそれほどはないですが、マツダ車のデザインにかなり刺激を受けているようで、スバル独自の洗練ながら従来のモデルから大きな進歩を遂げています。同時にスポーティに大きく振っているとはいえファミリーユースを前提としたパッケージングという立ち位置を冷静に見極めているようで、ホンダ車のようにデザインを工夫した上でノーズを短くしたロングデッキタイプのボディになっていることも大きな特徴です。
マツダもメルセデスもロングノーズというほどではないですが、フロントのエンジンハッチのデザインにかなり神経を使う一方でデッキが犠牲になる傾向にありますが、このレヴォーグのデザインを見る限りでは、スバルはその「流行」に関しては疑問を呈しているようです。良し悪しは個人の趣味による部分もあるでしょうが、スバルがエクステリアのデザインにおいて独自に提案する部分がしっかりと感じられて、「ブランド」としてはとても良いことだと思います。
その反面、真正面からと真後ろからのデザインがそれぞれややクルマから浮いて見えるのがやや気になります。どちらもよく出来たデザインなのですが、ワゴン先進地域の欧州車に似てなくもないです。前からみたらW176(フロント番長)で後ろからみればF31(日産レパードじゃないですよ!)といったところでしょうか・・・。
デザインに関してはメルセデスもBMWもパクったりしていますし、GJアテンザセダンのリアランプがヒュンダイソナタに酷似しているという思いも寄らない指摘が出て来たりします。東アジアのリアコンピ部品メーカーの供給を受けるトヨタ・マツダ・ヒュンダイ・一汽は嫌でも部分的に似てしまう宿命なのだとか・・・。今後はグローバルに中国メーカーが進出し、GMもVWも同じような部品を使うのだと思われます。
さて日本市場専用に投入されたレヴォーグですが、レガシィやインプレッサのFMCサイクルを無視して、スバルが肝いりで強引に開発を進められたようです。スバルが開発を急いだ背景には、日本市場で密かに中型車の人気が高まり、そこに全力投球をしているライバル・マツダの躍進があるようです。まるでマツダの新ラインナップの盲点を突くように作られた見事なパッケージングは、かつてホンダを密着マークして大きくシェアを伸ばしたトヨタのやり方を見ているようでもあります。
先進構造とデザインの良化でワゴンでも着実に販売を伸ばしたアテンザワゴンですが、1840mmの車幅は初めてクルマを買う人にはそれほど気にはならないかもしれませんが、5ナンバー時代のレガシィやカペラ、アコード時代を知る年配の方は数字を見るだけで尻込みしてしまいます。建て替えが進んでいない繁華街のリフトタイプの立体駐車場はほぼアウトの数字です。
車幅でアテンザを躊躇している人がアクセラで妥協しようかと思っていたところに、出て来たのがレヴォーグで1780mmと従来のレガシィワゴンの車幅を維持したまま、全長を少し詰めて、ルーフをアテンザワゴン並みに下げて不人気だった現行レガシィを改良したクルマはなかなか魅力的に映るはずです。ハッチバックには妥協できないけど、アテンザワゴンはちとデカいという人はスバルディーラー行くしかないですね・・・。
マツダとしても全長が思いっきり伸びたアテンザと先代と同じ長さのアクセラの間が空白のままというのは、さすがに日本市場軽視と取られても仕方ないです(ディーラーはハッキリ「軽視」と言ってますが・・・)。とりあえずアクセラ・ディーゼルをやや高級なスポーツハッチバックみたいな囲い方をするのではなく、アクセラ”ワゴン”ディーゼルといった派生車を拡充してBMWのようにディーゼルラインナップを増やして存在感をアピールした方がいいのではとないでしょうか?
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