グローバルではスバルと並んで「2人勝ち」状態のマツダにしては、この700億円はやや数字が小さいかなという気がします。例えばトヨタやVWはグループ全体で約900万台を販売し、連結での営業利益はおよそ1兆円です。つまりマツダの6~7倍の販売台数で10倍以上の利益を出しています。
世界トップ3に位置するトヨタ・VWクラスのメーカーと、トップ10までまだまだ差があるマツダを比較するのはすこし難しい部分があります。生産規模が大きければ生産に於いては圧倒的に有利ですし、現地生産比率も比べ物になりません。それでもメイド・イン・ジャパン印のマツダ車とスバル車が世界のマーケットで好調という事実も見逃せませんが・・・。
トヨタとVWはあくまでグループ全体の平均であって、おそらくレクサスやアウディといった部門はBMWやメルセデスと同等の利益率(どちらも約150万台で約1兆円)に達していると思われます。トヨタとVWの1兆円に迫る利益に貢献しているのは、レクサスとアウディの成長分といえるでしょう。
これら「プレミアムブランド」の水準から見れば、マツダやスバルのクルマ作りは儲かっているとはいえ、まだまだ非常に手が掛かっている割に販売価格が安く抑えられているのが良くわかります。正直なところ、これだけ好調なのに1000億円超えないの?と経営にまったくの門外漢の私でも思ってしまいます。まだまだ高性能なクルマをリーズナブルな価格で提供するという両社のスタンスを大きく崩せない実情もあるようです。
スバルもマツダも国内外のファンは口を揃えて「マジメなクルマ作りが魅力」と言います。その一方でこの両社のファンは既存の「プレミアムブランド」に対して厳しい意見の人が多いような気がします。確かにスバルやマツダのクオリティを知ってしまった人にとってはジャーマンプレミアムやレクサスは「儲けの権化」にしか見えない部分もあります。
結局のところメルセデスやBMWが、実際にべらぼうに儲けていることを考えれば、この見方は的外れではないと思います。「プレミアムブランド」の商売にはどこか日本を騒がせている「阪急ホテル」的な臭いがある気がします。別に「偽装」をしているわけではないですが、成金趣味の人が集まる場所での「商習慣」に懐疑的なんですね。一方でスバルやマツダはとりあえず今まではそういう商売には無関係だったと「イメージ」で勝手に思っています。実はお世話になっているマツダ系ディーラーは数年前に保険金水増し請求をやらかしていたりするのですが・・・。
そんな「清貧」で「誠実」なマツダやスバルが「プレミアムブランド」として生き残るべく、なかなか「きめ細かい」仕事をするようになってきました。先日もインプレッサのMCが有りましたが、変更点の目玉は「防音材を詰め込んで遮音性を向上」だそうです。どうしたスバル!いつからそんな小綺麗なことをするメーカーになったんだ! ちょっと前まで看板モデルのボディカラーが1色しかないという色気のまったくないメーカーだったのに・・・。
対するマツダは・・・、アテンザを出せばセダンもワゴンもよいデザイン。アクセラを出せば、これまたセダンもハッチバックもよいデザイン。なかなかここまで100発100中のメーカー世界中見回してもないですよ。BMWだってポルシェだってマセラティだって最新型が次々に「ハズレ」てしまっているのに・・・。つまりこれが大当たりで利益はたった700億円というメーカーの「丁寧な仕事」ということでしょう。
どちらもメルセデスやBMWに暗黙の内に期待してしまうようなクルマ作りをさらりとやるようになっています。とりあえず「儲かってないプレミアムブランド」ということで、今のところはどちらのクルマもとてもお買い得です。10年後には500万円台のクルマを売って「1兆円」稼ぐメーカーになっているのでしょうか?
関連記事「やはり86/BRZは安っぽくて、アテンザは垢抜けなかったようだ・・・」
↓マツダ専用マガジンがそろそろ創刊されるか!年間1台の新車じゃ誌面が埋まらないな・・・。
【関連する記事】
- フォルクスワーゲン と マツダ の価値
- なぜドイツ人はマツダ車を買うのか!?
- 「東洋のジャガー」の意味を知っていますか!?
- マツダの知名度は実は低い!? アテンザのモデルチェンジはいつになる!?
- マツダブランドが他より優れているところは!?
- マツダとは・・・フロッシュでありグンゼでもある。
- 結構まじめにマツダ愛を訴えてみる・・・。
- マツダの危うさ。SUV以外のラインナップはどうなる!?
- マツダの使命は・・・欧州ブランドにアイディアを提供すること!?
- マツダ車の購入を検討されている方へ・・・現行モデルにひとこと
- 「魂動」になって狙い通りマツダ車の激走が激減した!!!
- 今のマツダにドグマはあるか?
- 輸入車に大ダメージを与えてるのは、レクサス?日産?マツダ?スバル?
- そろそろ限界領域に差し掛かったマツダ・バブル?
- アテンザを30秒で一般人にプレゼンするには
- アテンザ より アクセラ の方が良いという意見にとりあえず反論。
- マツダが超一流のスポーツブランドだったという事実が風化する前に
- "ZOOM-ZOOM"の生みの親・マーク=フィールズが・・・
- テンション上がらないとクルマなんてそうそう買えないです!
- マツダ車への批判がソフト面に集中してる?
私たちが、最も期待している「RX-8」の後継モデルは「ない」とのことですが、冷静に考えて、頭の中では理解しても、一マツダファンとしては、なかなか納得できないものです。
1991年、ロータリーエンジンを搭載し787Bの番号をつけたレーシングカーが、ルマン24時間耐久レースで優勝したことは、マツダにとって大きな金字塔となっていますが、そのロータリーエンジンを積んだクルマが現在発売されていないことは残念でなりません。加えて、しばらくは生産・発売されない(RX-8の後継の開発は無期限延期) とのことですが、水素使用エンジンとしてのロータリーの復活に期待したいと思います。
ハイブリッド並びに電気自動車の次のクルマとなる、水素と酸素を反応させて電気を作り出し、モーターを回して走る「燃料電池車」は“究極のエコカー”と呼ばれていますが、その普及はインフラとしての水素ステーションの建設にかかっているようです。トヨタ(BMWと提携)とホンダ(GMfと提携)は2015年に市販車を販売する計画を持っています。マツダも水素を燃料とするクルマを開発しているようですが(確か、デミオの燃料電池車を行政に貸し出したと記憶しています)、両社ほどの情報が発表されていません。とにかく、今後、燃料電池車でロータリーエンジン車が力強く復帰してくれることを願っています。
(1件あたり5億〜6億円かかる水素ステーションは全国100カ所目指しているようですが。また、承知だと思いますが、燃料電池車の安全基準では、日本、米欧、EU等の33カ国・地域は日本案が採用されることが決定しています。)
ところで、11月1日の「日経」に「マツダとダイハツ最高益へ」としいう見出しで、マツダの2014年3月期の連結業績が、2008年3月期の最高益(1621億円)を超える可能性があると報じています。トヨタの2兆2000億円には遙かに及ばないとしても、過去の利益を超えるということは、それなりに
良いことだと思います。ただ売上高では、スバルを上回っているのに(マツダ2兆6500億円、スバル2兆3000億円)に営業益ではスバルよりも少ない(マツダ1600億円、スバル2780億円)のには、若干驚かされますが、マツダの商売はまあ、いつもこんなようにものなのだと思います。けれど、スバルが思った以上に営業益がよいと感じます(冷静に考えてみると、スバルが普通で、マツダの要領が悪いのかもしれません)。
これも、マツダとスバルが共に大きな開発費を注ぎ込んでいる、ロータリーエンジンとボクサー(水平対向)エンジンの差なのだと思います。かたや現在、搭載市販車なし、かたや新型車の「レボォーグ」に1.6L直噴ターボと2.0L直噴ターボエンジンを搭載してさらなる販拡を目指しているメーカーとの勢いのさなのかもしれませんね。
しかしながら、この儲けが少ないということは、商売が下手ではなく、考えようによっては、良心的なメーカーであるということでもあります。
最新の『ベストカー』(2013/12.10号44頁)では、「ディーゼルに限らず新しいアテンザは全般的に装備内容が充実している。ハイブリッドもナビ標準装備。インテリアなんかもCセグメントなのにソフトパッドを使っている!・・・・(中略)・・・・ゴルフとほぼイーブンじゃなかろうか。
マツダというメーカー、少し収益に余裕ができるとクルマに使っちゃう。そのあたりが弱点であり、クルマ好きからすれば魅力なのだった」と述べていますが、一マツダファンとしては、国沢光宏氏のこのレポートには大いに納得できます(国沢氏は、普段マツダ車には辛口のようですが)。
あまり儲け過ぎず、良いクルマづくり(スポーティで充実装備の本格的なクルマ)に励むのがマツダの良いところもしれませんが、最近のアテンザのMCでLパッケージにボーズの音響装置が突然付けられ(標準装備)、値段が82500円〜83500円上がったのには納得できません(20Sの2万円アップには多少目をつむるとしても)。どうも、マツダはプレミアムカーの意味を間違えているような気がします。
それでは、また、投稿します。最近のベンツやBMWの記事など、とても貴重な情報がたくさん記されていました。これからも、健筆、よろしくお願いします。
コメントありがとうございます。
来週に東京モーターショーに行く予定なのですが、スバルの自信満々というレヴォーグを見てきたいと思います。ロサンゼルスでは次期WRXが出るらしいですが、2台ともアテンザにそっくりなグリルがチラ見せされていて、だいぶパクられているようです。
国沢さんの記事はなかなかツッコミどころが満載なので、以前にベストカーを読んでいたころはよくブログネタにさせてもらっていたのですが、現在自分が読んでいる雑誌からはいずれも出禁をくらっているようでネット記事しかお目にかかれません。
新型アテンザのときはサスがダメみたいなことを言っていましたが、マツダ車は1万キロ走らないとサスはダメなんて素人でも言えるコメントですよね。