トヨタで国内50万台/年程度の生産がある車種はプリウスとランクルのみで、この2台は派生車種こそありますが、基本的に専用設計です。残りの国内向けカローラや各種ミニバンをまとめて同一設計とし合計で50万台/年以上の生産としています。この努力によってクルマの基本設計のコストを低減し、ミニバンの居住性を高めるための費用に回しています。これはこれで極めて合理的な経営判断ではないかと思います。
VWの狙いは基本的にこれに近いのですが、トヨタよりもさらに一歩進んでいて、市場環境の変化に柔軟に対応するために、FMCを待たずにMCや年度モデルの発表時にパワーユニットやボディ形状の大規模な変更にも耐えうるというのが最大のメリットのようです。さらに細かいニーズを汲み取るために、より少ない台数しか生産しない「スペシャル=モデル」の発売のハードルを下げるという効果もあるようです。
VWやトヨタの取り組みは、「コスト削減」という不文律によって自動車ユーザーにとって否定的に捉えられていましたが、VWの掲げる「生産過程の価値の再定義」が新たな常識として徐々に広まっているようです。単に他のメーカーが同様の手法を取り入れるというのではなく、ユーザーがその取り組みの「価値」を積極的に評価する時代へと「転換」が起こっています。
基本設計を共通化することで、削減したコストで別の部品の質を上げるわけですが、ここの部分のコストの掛け具合で大きく乗り味を変えることが出来るようになりました。小型車向けのプラットフォームでもダンパーやブッシュの部分に目一杯コストをかければ十分に高い水準の乗り味を持つクルマを作ることは可能です。現実にMCやイヤーモデルによって、プラットフォームの変更なしに大きく乗り味が変わったクルマも多くなっています。
こういった製造面での変化が、クルマ造りの新たな常識として、ユーザーの間にも十分に認知されることで、VWのように不必要なコストの「削減」をアピールすることが商品価値の向上につながる時代になってきたようです。
さてマツダもVWやトヨタといった巨大なライバルを追っていて、グローバルでの成長を今後のカギとして掲げている以上、車種間の「共通化」は避けて通れない道です。マツダが新たに生産ラインを見直して、打ち出した「車台の共通化」として、従来は異なるプラットフォームを使っていたアテンザとアクセラを、第三世代から統合し、どちらにもCX-5に用いられた「スカイアクティブ・プラットフォーム」が採用されています。
中型のセダン・SUV・HBの3車種を統合する動きは、ホンダやBMWなどスポーティな乗用車をグローバルでの中核に据えるブランドで見られます。さらにアルファロメオ=ランチア=クライスラー=ダッジのフィアット連合にも同様の動きがあります。VWやPSAグループで見られる、全ラインナップ共通&同一ライン製造ではなく、中型の高性能モデルに特化した統合に留めたことで、プレミアムブランドに対抗したクルマ造りを無理なく行えるようになります。
具体的にはデミオにはオーバースペックな足回りを盛り込むことができるということです。このような設計をするメーカーの中で、マツダがグルーバルな販売で結果を出しつつあります。 (次回につづく)
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プリウスもランクルも年間50万台も作ってないし、カローラとミニバンは共通の設計じゃないし……
そもそもアテンザとアクセラは初代から同じプラットフォームだったわけで……
カローラ→間違いないです。
アテンザとアクセラ→間違いないです。
以上
そうですか……残念ですね、いろいろと。
今後も楽しみにしています。
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