2013年10月05日

クラウンとアテンザはコンセプトの練り直しが必要だ!

  新型クラウンの個人タクシーをよく目にするようになりました。ロイヤルもアスリートもなかなか様になっていて、落ち着いたデザインと大きく見せるボディが商用車としての適正の高さを感じます。去年のクリスマス頃の発売時にはトヨタのプロモーションで話題になりましたが、引き上げも早くて、せっかくのFMCなのに?といった印象もあります。

  自動車のプロモーションは「ティザー戦略」と言って、発売前の宣伝の情報を意図的に「限定」する多くなっているようです。アテンザとクラウンは去年のFMCでこの手法を使いました。実車に乗ってもらっても大した感動を与えられない(解ってもらえない)だろうから、クルマが出来る前からデザインをチラっと見せて目一杯に気分を盛り上げて、やって来た人々に早く契約(予約)しないと半年待ちですよ!なんて煽り倒して試乗なしで手付金を貰う。

  出来上がったクルマが予想通りならいいですが、気に入らなかったら3年我慢してもらって、おとぼりが冷めた頃に次のビジネスへ誘導しようということでしょうか。クラウンやアテンザならばそれほど大きな欠点が露呈するとは考え難いのですが、マツダはアクセラでも同様の戦略を取っており、さらに広がりを見せれば、粗悪なクルマを騙して売るなんてことも起こりそうです。そうなれば特商法(前受金規定)にでもひっかかりそうな気がします。当たり前ですが「クーリングオフ」って業界の慣習にないですよね・・・。

  このティザー戦略はそのメーカーとブランドにそれなりの求心力がなければ成立しないので、クラウンやアテンザといった歴代モデルがそれなりに支持を受けてファンが多いクルマでしか成立しません。ヒュンダイ・ソナタが日本でいきなり仕掛けても上手くはいかないでしょう。今のところこれを多用しているのは、マツダとレクサスの2ブランドです。おそらく輸入車ブランド全てを見渡しても、この2ブランドほど効果的なプロモーションができるブランドはないでしょう。日本でほかにこの戦略が通用するのはクラウンやフェアレディZなどの有名車種だけでしょう。

  ただ実車を良く見せずに雰囲気だけでクルマを売りつける戦略にはやはり裏があるのでは?という想いもあります。バブル期のクラウンやアテンザの前身のカペラは、最先端の技術を惜しみなく使って、機能の充実ぶりでホンダや日産のライバル車と激しい競争を繰り広げていました。現在のポルシェ991が装備する自慢の電制サスはトヨタの特許切れで20年前のクラウンに使われていた技術ですし、カペラにも4WSが付いていたほどでした。

  トヨタやマツダのセダンは当時も今も世界最高の水準にあると思いますが、右肩上がりの開発競争時代と比べれば、大きなアドバンテージがある「個性」は減っています。実車に乗ってもらっても期待通りに静かでよく走るけど、それ以上でもそれ以下でもないという印象しか与えられないです。ティザー戦略はそういうメーカーの事情に合致していると言えるかもしれません。トヨタもマツダも「デザイン」という性能を追いかけてはいるので、その延長の戦略という意見も当然あるでしょうが・・・。

  確かにFMC直後に買っておけば、1回目か2回目の車検まで乗って買い替えても、まだ現行モデルということで下取りは良くなります。しかしアテンザもクラウンも3年や5年で買い替える前提のクルマではなく、本来は深い愛情でユーザーが心を通わせる類いのクルマだと思うのです。よってFMC時にはブランドのフラッグシップ車として、全ての機能(デザインも含む)を20年間は十分に通用するという前提で設計を見直して、万全のクルマとして自信を持って発売してもらいたいです。

  アメリカ市場でもドイツ市場でも「年次モデル販売」が主流です。国内専売のクラウンはともかく、国際モデルのマツダ全車はアメリカでは郷に入りては郷に従え」とばかりに年次モデルとして販売しています。日本でも輸入車のプレミアムブランドではこの商習慣を採っています。モデル末期でも毎年のブラッシュアップが行われていて製品寿命は伸びます。最近では年次改良でフルサイズセダンの搭載エンジンがいきなり直4ターボになったりと過激すぎる気もしますが・・・。それでも前年モデルの在庫は大幅値引きで安く買う事ができるなど、とても合理的で明らかにメリットが多いように感じます。

  チラッと見せて初動で記録を作って、あとは野となれ山となれという日本の悪しき商習慣を象徴するようなティザー戦略は必ずしもクルマ文化の理想とは違うのではないかと思います・・・。恥を知れ!


↓マツダはクルマだけでなく、日よけなどのメンテナンスグッズもクールに作ってくれれば買うのにな・・・。

posted by cardrivegogo at 14:51| Comment(0) | トヨタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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