2013年10月01日

アクセラの世界向けプロモーションがアウディ的(自信満々)なこと

  欧州では日本車というだけで一定のステータスがあり、「MAZDA3」はやや贅沢なコンパクトカーという位置づけのようです。意欲的なホットハッチモデルが設定されていることからも、どういう売り方をされているかは想像できます。MAZDA3のライバルであるゴルフ・フォーカス・メガーヌは欧州ではそれぞれにグレードの幅があり、欧州主要各国の販売数ランキングで上位を占めます。

  そこに参戦するMAZDA3は、イメージでいえば、アクア・フィット・ノートが激しく争う中にGMのソニックが参戦するみたいなものでしょうか。日本人にとってはソニックって何?どこで買えるの?くらいの珍車ですが・・・。

  欧州でのマツダの地位は、日本でのGMの立場とはだいぶ違ってはいますが、ローバーやサーブのように消滅するブランドも珍しくない中で、ブランドイメージも短い時間で大きく変わってしまう時代です。厳密にいうとイメージを向上させるにはとても時間がかかりますが、下がるのは「すぐ」です。

  マツダとしては1年にたった1台の新型車に全力投球するしかチャンスがないということもあり、近年ではプロモーションにとても力が入ってきました。もちろん「派手」にやればやるほど、いわゆる「プレミアム・ブランド」に近づいていくようで、MAZDA3の日本に先駆けておこなわれたワールド・プレミアでは、まるでアウディの新車発表会のような演出が行われたのだとか。

  新型アクセラの内装がすでに公開されています。一目見て思ったのは、日本人の輸入車プレミアムブランドへのコンプレックスっぷりが遺憾なく発揮されていることです。あのユーノス・コスモを作ったマツダが、こんな没個性に収まってしまって良いのだろうかと、違和感とともに余計な心配をしてしまいます。

  先日オイル交換でディーラーに行ったら、担当者がアクセラの試乗研修での印象を語ってくれました。研修ではアクセラの他に、プリウス、レクサスCT、BMW1、ゴルフZハイラインといったところが乗り比べに用意されていたそうです。マツダとしては今回は完全に目線が上を向いているようで、特にこの4台を喰ってしまおうという主旨らしいです。

  担当者自身もこのアクセラには相当に手応えがあったようで、饒舌に語ってくれました。大方の予想の通り、1.5と2.0のガソリン、2.2ディーゼルターボ、2.0のハイブリッドの4本立てで決定していて、価格はまだわからないと言っておきながら、ポロッとハイブリッドの本体価格が約260万円と飛び出しました。ハイブリッドの燃費に関してはプリウスに0.6km/L劣る数字に抑えられていて、この辺は技術供与を受けているという「大人の事情」なのだとか。

  プリウスに価格では負けるものの、アクセルとブレーキの感触が劣悪なプリウスの弱点を徹底的に意識して開発がされたようで、プリウスはもはや「眼中に無い」と言ってもいいほどに、アクセラHVの乗り味と絶賛していました。プリウスのアクセルを調整して違和感を無くした上級モデルのレクサスCTは、加速に関してはなかなかの出来だったようですが、ブレーキはまだまだフニャフニャでなんじゃこりゃというお粗末な出来で総合的にアクセラHVが絶対的に優勢だとか。まあトヨタからマツダに乗り換えたらブレーキに慣れるのに1年近くはかかるほど「違う味」をしてるので無理もないですが・・・。

  レクサスCTはアクセラHVよりも100万円高いことを考えると、内装・外装・基本性能の全てでアクセラHVに軍配が上がるので、正直なところ買う意味があるのか?といったところのようです。レクサス料金100万円だとしてもアクセラがいい!と断言できるレベルのようです。

  一方でVWゴルフの「ハイライン」については一番「手強い」と評していました。このライバルの中では断トツに良く出来ているのは、歴史がある「ブランド車種」ということで成熟度の差が大きいかもしれません。特にハイラインに関しては後輪サスにアクセラと同じマルチリンクを使っていて、ブレーキング時の姿勢変化にも強い上、車重も日本車並みに軽くして来たことが大きいようです。

  雑誌の評価ではハイラインはオーバースペック(笑)とかいった提灯記事がありますが、アクセラは全グレードでオーバー?ということでしょうか。具体的に感心があるのは、ハイライン(299万円)に燃費で絶対に負けないアクセラHV(260万円)が、乗り味の面でどの程度の位置関係にあるか?という点です。これで互角となれば、アクセラの完勝になりそうです。このCセグはノンターボの日本勢の方が静粛性で圧倒しているというデータもあり、メルセデスAクラスは静粛性では最低レベルという結果が出ています。マツダの静粛性への取り組みは本来もっと強調されてもいい気がしますが・・・。

  BMW1シリーズに関しては、右ハンドル車のコクピットの向きが変な方を向いていて、なんじゃこりゃ・・・だったそうです。このクルマに関してはFRということで、フロントヘビーになる6気筒やディーゼルも搭載可能な点が最大の売りです。ただ販売の主体は4気筒の116のようで、これを買うくらいならFFの方が安定性が高く、しかも車内のスペースも広く確保されるので、FRにする理由はないなと思います。BMWもその辺は十分に認識しているようで、次期モデルはFFになるようです。

  カーメディアは今頃、作戦会議の真っ最中のようです。AUTOCARやLE VOLANTなどの「欧州車至上主義」の雑誌はアクセラをどのポジション置けばよいか決めかねています。どうやら欧州メディアの今後の反応や、欧州市場での売れ行きを踏まえて、単なる「典型的な日本車」として片付けるのか、「日本メーカーが作った最強の欧州車」とするのか、ちょっと待ってくれ!みたいな誌面が11月号で目立ちました。

  


posted by cardrivegogo at 10:13| Comment(2) | アクセラ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
CARDRIVEGOGOさん こんにちは

雑誌でしか、新型アクセラのスペックや装備・乗り心地について知ることができない者にとって、実際に試乗研修に行ってきた東京西部マツダ(?)の担当者の言葉は、新型アクセラの貴重な情報として大いに参考になりました。ある雑誌には、日本の発売日は10月9日だと記載してありましたが、発売日が10月にしろ11月2しろ、いずれにしても、もうすぐ新型アクセラの発売となりますね。

新型アクセラセダン・ハイブリッド(2.0)の販売価格が、260万円だとするとなかなか微妙な値段となりますね。「プリウスはもはや眼中にない」という言葉は、かつて、インサイトを189万円くらいからの値段で発売し、コストパフォーマンスの優位差でかなり強気な(自身のある)発現をしていた前ホンダ社長の藤井さん(確かそういう名前だったと思うのですが)を思い出します。

トヨタは、インサイトの発売にあたり、藤井社長のこの強気発言にカチンときて、遅れて発売した3代目・プリウスを当初予定の値段から15万円(私の記憶によります)ほど値下げして、ホンダのインサイトの売れ筋グレードにぶつけ、結果プリウスの完勝となりました。

そして、2年後ぐらいに、全国各地のデイーラーへのプリウスの値上(15万円くらいだったか)の説明が、この前の発売時の値段は、適正価格よりも大きく低い、いわゆる対抗的な戦略的価格であったから、プリウス本来の価格に戻しただけであるという内容の記事が、ある雑誌に出ていました。「これじゃ、お客さんになんといって説明すればいいんだろ。トヨタ本社のあまりにも正直過ぎる説明だ。せめて、嘘でもいいから、他の理由を言ってほしかった。このままの内容では、とてもじゃないがお客さんに言えない」、ということも併せて書かれていました。

当然のことですが、車の性能と販売台数は、正比例しません。マツダの社員が「マツダのビアンテの足回りは、前輪ストラット、後輪マルチリンクで、他社は前輪ストラット、後輪トーションビームで、マツダの方が断然よいですよ」といっても、お客のだれもそんなことに耳を貸そうとしない、というようことが良く雑誌にでています。CX−5やアテンザの好調に奢ることなく、
謙虚な気持ちで販売にあたり、好調マツダを維持し、その結果、世界一のスポーツカーメーカー(ロードスターの販売台数でギネス記録)の本来の姿とでも言うべき、ロータリーエンジンやショートストローク・スポーツエンジン(例えばVF−DS4気筒エンジン)搭載で、しかも足回りが四輪DWBか四輪マルチリンクのサスペンションのスポーツカーないしスポーティカーの発売にこぎつけてほしく思います。

話を元に戻して、クルマの購入者は、各社のブランドイメージ、デザイン、値段、装備、価格、値引き、担当者の人間性、今後のサービス・・・等、多様なファクターで、自ら購入する車を決定します。260万円では、CARDRIVEGOGOさんが言うように、すでにプリウスでは価格で負けています。単に性能や若干のスポーテイさで、トヨタを相手に戦おうというのは、あまりにトヨタのすごさを知らないような気がします。くれぐれも、トラの尾ならぬ「トヨタのしっぽ」を踏まないようにして、ジワーッと販売を伸ばし、結果として、新型アクセラ、最後にそれなりの販売台数でトヨタに「一矢(いっし)を報いて」ほしく思います。もちろん、日本はもとより海外でもメルセデスやVW等のメーカーに勝利することを願っています(特にオーストラリアでは現在の位置をキープしてほしく思います)。

多くの雑誌(『オートカー』『月刊自家用車』『CG』等)で、アクセラ1.5ハッチバックに高評価を与えています。1.5にはあまり強気でない適正価格をつけてほしいと思っています。
Posted by K.T at 2013年10月03日 23:30
K.Tさんこんにちは
コメントありがとうございます

私の地域には関東マツダと東京マツダがあって、店舗数では関東マツダが圧倒しています。クルマで10分の圏内に3店舗も関マツがありますが、東京マツダは30分くらいかかる日野市というところにあります。

関東マツダには10月27日に1.5Lの試乗車がやって来ると言ってました。パワーユニットが4種もあると試乗も大変ですね。

確かにトヨタを舐めてはいけないですよね。なんといっても営業力が違いますよね。プリウスPHVの新価格は285万円でさらに補助金で30万くらい下がると聞いたときは、母親に勧めるのはこっちかもと一瞬思ってしまいましたよ。

消費税増税でアクセラも年度末までは順調にいきそうですが、値引きが渋そうなので、増税後に買っても総額は一緒くらいになりそうですね(3%増えてもせいぜい10万円くらいしか変わりませんし)。

「カローラより断然楽しいアクセラ」などと報じられてますが、私やK.Tさんならまだしも、全ての人がマツダ車の乗り味がトヨタ車に勝っていると感じるとは限らないですよね。うちの母もトヨタや日産への信頼がやはり大きいみたいですね。アクセラを気に入ってくれれば良いのですが・・・。

Posted by CARDRIVEGOGO at 2013年10月05日 19:52
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