2013年06月13日

歴代アテンザのサクセスストーリーとドイツ車 その1

  初代アテンザ発売の当初から、マツダは「BMW3シリーズをライバルとして想定した」と公言してきた。多くのモータージャーナリストはこれを「BMW3シリーズをコピーした」と曲解して報じたりしてきた。従来からもBMW3シリーズを想定した日本車は存在したが(日産プリメーラなど)、実際に欧州でその足跡を残すことができなかった。欧州市場は北米市場とは違い、高性能車に関しては輸入車の参入障壁が高いと言われていて、安易に3シリーズをコピーしたところで、簡単に欧州で売れるわけではなく、バブル醒めやらぬ日本市場でも「亜流のコピー車」として蔑まれるなど、散々な目に遭う可能性が高かった。

  そもそもバブル期に「大量発生」して飽和状態のまま今に至っているモータージャーナリストのみなさんは、いまも「バブルの価値観」(輸入車の絶対的優位)をそのままに保持した上で、執筆・レビュー活動を盛んに行っているので、日本車による「欧州車のコピー」に対しては激しい「アレルギー」があるような気がする。アテンザに関しても、当初から「日本メーカーが作った雰囲気だけのクルマ」みたいな評価を下すジャーナリスト・素人が続出した。そんな人々を徐々に黙らせていったのが、アテンザとアクセラによるマツダ車の欧州における異例の大成功だった。

  アテンザ・アクセラ開発当時のマツダは倒産寸前で、フォードの支援を受け、アテンザもアクセラも「フォードの中核モデル」として開発されたいきさつがあった。外資系メーカーの一員として日本メーカーが作るクルマである、初代アテンザはおそらくそれなりの期待はされただろうが、そのデザインは先代のカペラに良く似ていて、その変化のなさにマツダファンも当初は失望し、日本市場では簡単には火がつかなかったようだ。さらにそれ以上に日本のユーザーの中でマツダ車への拒絶反応が強かったのが、足回りの硬さからくる乗り心地の悪さだ。初代(GG系)のMC前・MC後と2代目(GH系)のMC前の3世代に渡って、ユーザーからはやたらと評判が悪い。

  アテンザがBMW3シリーズをライバルとして開発された、最大のポイントが足回りをBMWのように固めたことだと言われている。これは日本市場においては、絶対的な王者のトヨタ車と比べるまでもなく、異質な感触でしかなく国内ユーザーが乗り比べられたら、一部の物好き以外はほとんどトヨタ車(クラウン・マークXなど)を選ぶほどのレベルだ。それでもトヨタの「脚」自体も高速旋回時には絶対的な安定性に欠け、ドイツ車に対してのドライバビリティの劣勢が際立っていた。そして驚く事に、アテンザの発売後のクラウン・マークXのFMCモデルでは、突如として足回りを欧州車やマツダ車のような硬めの足回りへと変更したのだ。アテンザはユーザー試乗レベルでは、日本の高性能車の水準を下回る乗り心地でしかなかったから、一概に「過小評価」というわけではなかった。しかし日本のミドルクラスとしては異例の欧州での好調な販売とまさかのトヨタ・日産・ホンダによるアテンザ追従の動きにより、モータージャーナリストも無視できない存在になっていった。

  アテンザの乗り心地が悪いのには理由がある。FF車でFR車に匹敵する「ハンドリング」を実現することで、FF本来の直進安定性をも享受した、抜群の操舵性能を得ているが、このためにはFF車にとって最大のネックになるフロント荷重を極力減らす努力が必要だった。フラッグシップにも関わらず軽量な直4エンジンを使い、車重を抑えた。初代(GG系)発売時は、当時の3シリーズE46の最廉価グレード(直4モデル)を下回る車重を実現した。しかし軽量なボディに硬いサスを使えば、ショックアブソーバーが吸収しきれない路面の凹凸に対してのバウンドも大きくなる。よって当然ながら乗り心地に大きな影響がでる。

  しかしながらアテンザが実現した「軽量化」はいままでにないスポーティな旋回性能を発揮した。日本のモータージャーナリストは盛んに伝えることはしなかったが、軽量な日本車と重量があるドイツ車で同等の足回りを使っていた場合、当然ながら旋回時の制動力に大きな実力差が存在した。日本ではBMW車は絶対的な存在だったが、ドイツのテストではその実力がより厳密に暴かれた。特に小型車ではその実力は歴然たる差があった。その結果、マツダや三菱のFF車は圧倒的な性能の良さが認められ、JDパワーの調査によると、ドイツ国内での「顧客満足度」では1位MB2位トヨタ3位マツダ4位三菱5位BMW・・・12位アウディという結果に反映されている。FR車主体のドイツのプレミアムブランドのクルマでは、安定走行性能を確保するために「横滑り防止装置」の普及が急速に進んだ。

(次回に続く)


↓この本の発売の頃まではBMWは最強の「登り竜」でしたが・・・


 
  

  
  

  
【関連する記事】
posted by cardrivegogo at 07:50| Comment(2) | アテンザ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
CARDRIVEGOGOさん、こんにちわ。

 久しぶりに、コメントします。

 いくつものブログ(私の知る限り4つ)に精力的かつ明確に自分自身の意見を述べられていることに関心すると同時に深く敬意を表します。とかく、一般的に言って日本人は、様々な理由で、自らの意見を曖昧にする事が多いのですが、ことクルマに関する限り広い分野にわたっていつも自分の意見を端的に述べられていますね。このままの調子で、わたくしたちに、深く識見のある考えを発表して言ってください。応援しています。

 さて、私の2代目アテンザセダンも、6年目に入り、走行距離も9万1700qに達しました。3月の車検時(8万8千q)にベルトを交換しました。タイヤは、確か7万5千qまで新車時のタイヤが保ったように覚えています(昨年の夏交換・銘柄は自分の乗ったマツダ車で初めてのBSだった)。その前に乗っていた、ミレーニアの時に一回目の車検の前の3万q走った時点で交換したことを思えば、良く走ったなと思っています。肝心の足回りについてですが、私の車は前期(それも後期にはカタログ落ちした車種)ですので、当初ミレーニアから乗り換えた時は、特に高速道路のつなぎ目でよくはねて困ったのですが(ショックが大きくて)、最近ではあれほど硬かった足回りも、「サスペンションがとてもよく仕事をしている」、「しっかり道路をタイヤが踏みしめている」と感じるようになりました(数々のマツダ車に乗ったが、足回りで不満を感じたのはこのアテンザだけ。ファミリア、カペラ、クロノスのSSサスも良かったが一番良かったのは、ミレーニアの、前後ともマルチリンクの足まわり)。かつて、初代FFファミリアを購入したとき、3万qを過ぎた途端、足回りが地面をしっかりトレースしなくなったことを思うと、「ひょっとしたらこの硬い足回りは7万qあたりを過ぎた時点から、調子が出てくるような仕上げをしてあったのかな」、と思ったりしました。

 確か、最近のデータでは、個人が新車を購入して平均7.××万q乗って買い換え、その後、そのクルマは平均12.××万qまで乗り継がれて廃車になるといったことが新聞(日経)に出ていたように覚えていますが、ひょっとしたら、足回りのチューニングもこれまでと変わってきているのかも知れません。何しろ、最近のクルマは7万qを超えてから、絶好調となるという意見もどこかで目にしたような気がしますから。

 ところで、今回のアテンザに関する文章(その1)を読んで、私がかねてから抱いている不安について書きたいと思います。2013年6月11日(火)の我が家で購読してている「北国新聞」に初めてアテンザの広告(夫れも私の記憶する限りでは初めての見開き両面) である「Be a driver」の記事が掲載されていました。「朝日新聞(これも購読)」には掲載されず、「北陸中日新聞」(東京新聞の地方版)と「日経」に掲載されていました。これまでは、「日経」ときには「朝日」(デザインカーオブザイアーの3台の内の一つで有るとの広告)の一面に掲載されていた宣伝がとうとう日本の代表的地方紙の一つである「北国新聞」(日本で最初に新聞紙でカラー印刷を取り入れたのでそう思っています。読者数も多い)に掲載された、それも見開き両面で、ということで、マツダの今後のクルマの販売に賭ける大いなる意気込みを感じた記事でした。いわば、マツダはある意味で「勝負に出た」わけで、そこに私は、ある種の危惧を感じます。理由は、マツダの「フラツグシップカー」に対する考え(コンセプト・哲学)に「甘さ」があるからです

発売前や発売後の「インターネット」の記事では、開発者等が「上からマツダのフラッグシップカーを開発せよといわれて真剣に取り組んだ。その結果、充分(それなりに)満足した結果となった」、という内容が良くでていました。しかし、私は、アテンザはフラッグシップカーというにはあまりにおこがましいクルマだと思います。普通にフラッグシップカーというと、トヨタでは「センチュリー」そして日産では「プレジデント」、ホンダでは「レジェンド」、かつてのマツダでは「センティア」かつての三菱では「デボネア」が該当すると思います。それらのクルマに、旧カペラから成り上がった「アテンザ」は遠く及びません。私は、フラッグシップカーとは、その会社の役員が移動する際に乗る車だと思っています。例えば、三菱の初代デボネアは、三菱グループの役員の乗るクルマとして20年間ほどモデルチェンジされず、クルマの「シーラーカンス」と揶揄されたりしましたが、とにかく自動車会社のそれなりの風格を持ったクルマを呼称すべき名称だと思うのです(かつて書いたが、アテンザにはミレーニアに合った後ろドアのドアカーテシランプが無い。これは、後ろに人を乗せるフラッグシップカーとしては失格)。

マツダの2代目センティアは、かつてアメリカで立ち上げようとしたプレミアムブランド「アマテイ」の主力車種のデザインを受け継いだクルマで、当時の宣伝VHSテープを改めて見てみると、宣伝のメインパーソンに初代ジェームスボンド(007)のショーン・コネーリーを起用し、「センティア・・・ストライキング」と言わさしめています(当時アマテイにはV6×2の12気筒エンジンがのる予定で確かその開発が終了していた)。

注目すべきは、これまでホンダ、三菱、マツダのフラッグカーがことごとくその売り上げで失敗しているということです。販売状況で言うと、これら3社の競合車は、具体的には、トヨタのクラウンと日産のセドリック・グロリアになるわけですが、販売上でこれらに一時的にも勝つことが出来たクルマはかつてありません。

つまり、トヨタ、ニッサン以外でフラッグシップカーを名乗った場合、営業的には失敗するのです(過去の歴史を見てみると)。 ニッサンは、歴史あるセドリック・グロリアの名を捨て、フーガに車名を変更するや否や大きくその販売が落ち込みました。車名を変更しないクラウンは一人(性格には一車)勝ちしていますが、きちんとした車作りをしていかないと、そのうちメルセデス、BMW、アウディ等(ドイツ車)の外国の車にやられてしまうような気がします。

 なぜなら、日本人は、車の性能云々よりも、イメージやブランドステイタスに流されてしまう傾向が強いからです。今のクラウンにしても、ゼロクラウンからの車台(プラツトホーム)を三代にわたって使用しているからです。私の記憶では、かつてトヨタでは、マークUやカローラで二代にわたってプラットホームを使用するという原則があったように思います。また、外国工場の立ち上げでも、どこかで一工場立ち上げてそのノウハウを確保してから、まわり(その他)の工場を立ち上げていたのが、数年前、生産世界一を目前にして、世界数カ所(たしか4つだったか)の工場を同時立ち上げし、その結果、日本で、これまでなかったシートベルトの不具合など、これのでなかったリコールが数多く発生した(日本から優秀な技術者が多く外国に出向いたため) ということがある雑誌に出ていましたが、トヨタのかつての原則堅持の方針が薄れたように感じるからです(例のレクサスのスピンドルグラスの全車展開もそうだが、かつての車のデザインは控えめの原則が薄れている)。

話が少し横にそれましたが、マツダはアテンザを「マツダのフラッグシップカー」とあまり強調しない方が良いと思うのです。クラウン・セドリックには、長年の車作りの歴史の中で積み上げてきた「ベースとなる購買層」があると思うのです。その層の多くは、トヨタ・ニッサンという会社(ブランド)をいわば全面的に信頼するが故に、モデルチェンジを重ねても購入を継続してきたのです。だから、売れたのですが、残念ながら、マツダ、ホンダ、三菱はいわゆるLクラスの歴史が浅く、したがってベースとなる購買層が圧倒的に少なく、そうであるが故に、これまでラッグシップカーの販売が成功しなかったと思うのです。

アテンザの購買層にはかつてのカペラやセンティア、ミレーニアなどの購買層がいますが、新しく外国車や国産車などから流れてきた層(特にディーゼルに惹かれて)も多くいます。フラッグシップカーという心をくすぐるような言葉に酔いしれて、過去のカペラヤミレーニアでマツダファンとなった層を切り捨てるような車作りをしたら、かつてのセンティアのように販売台数が稼げなくなってしまう気がします(センテイアは初代2種類あったエンジンを1種類にしたのもその理由だと思う。2500ccを廃止し、上級エンジンにだけ乗りなさいとユーザーに押しつけを行った)。

 今度のゴルZのようにボタンパーキングブレーキ(電動PB)を採用し(つまりサイドブレーキの廃止)、内装も豪華にし、そしてやがて現(新型)アテンザの2000ccも廃止し(前の2代目アテンザはヨーロツパでは1800ccをも発売)、その内かつてのセンテイアのようにガソリンエンジンを2500cc一種類だけにしてどんどん値段を上げていって、悪い意味のプレミアムカー(つまり値段が高いだけのプレミアムカー。現在マツダが言っているのはそうではなくて、意味的価値があり、走ってたのしくこの次もぜひマツダ車を買いたいと思わすような車のことで、決して値段が高い車の意味ではない)にしたりすると、 あっという間にクルマが売れなくなり、熱狂的なマツダファンも少なくなってしまうと思うのです。

私自身は、今乗っている2代目アテンザも新型アテンザも大好きですが、マイナーチェンジや次のアテンザで、サイドパーキングブレーキを廃止し、スバルレガシィのように電動パーキングブレーキにしたりすると、40年近く乗ってきたマツダ車ですが、やめる事も考えようと思っています。初代プレマシーのように足踏みブレーキ、足踏み解除は方式は結構(イヤ)です。先日、インターネットでのアテンザの記事を読んでいたら、私と同じ意見の人がいました。サイドブレーキがついているからアテンザを買ったのだ、と。理由は、万が一坂道などでブレーキがきかなくなったら、最後の頼み(命の綱)はサイドブレーキだから。私は、以前、バックしサイドブレーキを引くと180度ターンが出来ると書きましたが(テレビでのホンダの車作りの原則を引き合いに出して)、やはり安全の条件にサイドブレーキをあげている人がいるのだな、と思いました。炯眼な考え方だと思います。

論理的に考えていくとどうしてもその歴史を考えざるを得ない(「論理的なものは歴史的である」)と思います。マツダは、過去の歴史を十分勘案し、アテンザを日本はもちろんのこと、世界のワールドカーに育てて言ってほしいと思っています(山内前社長は、アテンザを4800o以上にしない。アテンザをDセグメントの車にとどめると明言していますが。ちなみにこれまでのマツダ車で全長が一番長いのはセンテイアで全幅が一番大きいのはロードペーサーです)。


※ 今回も長くなりましたが、文章に一部論理の飛躍があります(センチュリー、プレジデントから詳しい説明なしにいつのまにかクラウン、セドリック・グロリアに) 。
Posted by K.T at 2013年06月16日 00:53
K.Tさんこんにちは

コメントありがとうございます。

K.TさんのGH系アテンザはデビュー直後のものなので、かなりスポーティな足回りになっていて、失礼ですが乗り心地に関してはまったく期待できないみたいですね。(あくまで関東マツダで聞いた話ですが)

私の2012年製のGH系アテンザも納車当初は酷い乗り心地だと思いましたが、5千キロで冬タイヤにしてからかなり改善し、1万キロで夏タイヤに戻しても、以前の酷い突き上げはなかったので、今では満足できるレベルになっています。

大先輩のK.Tさんのご意見に反しているようで、大変心苦しいのですが、マツダはあくまでもプジョーやVWといった大衆ブランドとしての展開を意図しているので、フラッグシップはプジョー「508」やVW「CC」と同等という意味で「アテンザ」でいいのではないかと思います。

センチュリーやプレジデントはもはやデザインの変更もされていませんし、ブランドのコンセプトを体現しているとはとても言えないので、私の感覚だと「フラッグシップカー」というにはむしろ違和感を感じます。(もちろんフラッグシップカーなのですが)

新型「アテンザ」はレクサスGSや日産フーガと肩を並べる大きさになり、これに新たにハイブリッドモデルが追加され、東京オートサロンに出された「サウンドスペシャル」のような豪華パッケージをMC時にでも追加すれば、クラウン・GS・フーガ・Eクラス・5シリーズ・A6をまとめて捲ってしまうのではないか?というほどの勢いを感じます。

ベンツの新型Eクラスもアテンザのように、電動ステアリングを使い、かつて日産やとトヨタを追いかけて装備した電制ダンパーなどの無用な豪華装備は一部にグレードに限定するなど、完全に「迷走」しています。実際にハンドリングなどまったく仕上がっていないそうなので、それに比べれば新型アテンザが一歩一歩階段を登っていくマツダの「青写真」はかなり上手くいくのではと思います。2年後にはクーペあり、MSPあり、ロータリーハイブリッド(アウディが採用したとか)ありの今以上に豪華な「アテンザ・ファミリー」が存在しているような気がします。

K.Tさんの今回のご意見は完全に自分の想定外だったので、おかげさまで視野がとても広がったように思います。またどんなことでも構いませんので、お気軽にコメント頂けると嬉しいです。




Posted by CARDRIVEGOGO(のっち) at 2013年06月18日 02:54
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

一週間後の世界が気になりませんか? bet.japan

約130万サイトが利用しているA8.net >br/>
一般人ライター募集中

ワン・クリックで登録完了!いますぐ憧れのショップオーナーに!
カラーミーショップ