CX-5のエアロパーツ発売でいよいよマツダも「街乗りチューニング」解禁か？

　　マツダのディーラーで点検を待っていると、テーブル近くに貼られているパンフレットに目が行く。そこには「ブラック」の塗装のマツダ４車種の写真が載っていて、それぞれの「サーキット仕様」のチューニングについての案内になっている。主にエアロパーツとメカチューンの２つで、サスペンションやタイヤについてもスポーツ仕様のものが掲載されていて、なかなか興味深かったりする。アテンザのFMCのあともまだ２代目アテンザの写真でそのまま残っている。アテンザの他には「デミオ」「アクセラ」「ロードスター」がそれぞれ載っているが、エアロパーツがとても地味でちょっと期待ハズレだ。「デザインのマツダ」としてはもっといろいろ提案してほしい気がする。

　　２代目アテンザに関しては「スポーツ」のみに対応しているようで、セダンに関してはエアロパーツは用意されていない(ようだ)。マツダとしてはあくまでサーキット仕様のみのもので、「街乗りのクルマをチューニングするなんてチャラいことはしない」といったところか。いったいどこまで真面目な会社なんだとつくづく思う。そもそもシャシーや足回り、ハンドリングにこだわりを見せるマツダ車なのだからもっと大々的にチューニングメーカーを募って展開してもいいような気がする。ただ残念なのはFF車ということで、BMWのように大排気量エンジンへ換装するチューニングが難しいことだ(FRと違ってFFだとトルクステアが発生して危険なクルマになる)。

　　アテンザの基本のシャシーは250km/h超のスピードに耐えられる高性能なものなので、4WD化しての高出力化は初代アテンザでは行われていたし、新型でももちろん可能だ。初代デビュー当時はアリストターボやスカイラインGT-Rなどの高出力セダンが流行していたこともあって、マツダとしてはライバル関係を重視してターボモデルを設定したのだと想像がつく。２代目アテンザの頃にはセダンを取り巻く状況は完全に変化してしまい、さらにマツダはターボモデルの設定を見送ったが、国内市場ではこれが裏目にでてアテンザの印象はマイナーなものになってしまった(ようだ)。新型アテンザではこれを受けて、デビュー前から早くも来年以降にターボモデルが登場するのではないかと噂されていた(海外メディアも報じているが北米向けに作るらしい)。

　　高出力のアテンザももちろん魅力的ではあるが、アテンザのチューニングはターボモデル設定以外にもいろいろ楽しめるような気がする。アテンザ購入当初から思っていたのが、タイヤやショックアブソーバーを換えて様々な乗り味を提案してくれるサービスがあってもいいと思う。もしディーラーで試乗車を用意して足回りを提案してくれるなら、30万円くらいかかってもいろいろ試してみたいとは思う。どっかのパーツショップで勝手にエアサスでもなんでも換えればいいと言う意見もあるだろうが、初心者にとってはディーラーがとても心強かったりするわけで、せめて信頼できるショップを仲介などしてくれたらと思う。

　　今回CX-5では、トヨタのG'sやモデリスタのような「街乗り」チューニングを展開し始めた。これはトヨタなどの量販メーカーの高級モデルでよく行われている手法であるが、所有する喜びを最大限に感じてもらうためにクルマに個性を出す「外装パーツ」を専用に開発するものだ。マツダとしては国内での単一モデルの販売数がこれまでは少なかったということもあり、こういう「企画」はとても珍しいことだ。大ヒットを記録しているCX-5の今後の売れ行きを支えるために、マツダが急ピッチで進めた「企画」なのでは？という気がしないでもない。

　　新型アテンザも今後かなりの台数が出ることが予想されるので、街中でも多く見られるようになり、マツダの主導で同様の「外装パーツ」の開発が行われる可能性は高い。元々はノーマルでもかなり評価の高いデザインだが、よりスタイリッシュなテイストを様々に盛り込むこともできるのではないかとも思う。いくら評価が高いクルマであっても見飽きるほどたくさん走っているとすぐに陳腐化してしまいます。セダンの種類もかなり少なくなってきたので、まるで別のクルマに見えてしまうくらいの「イメチェン」ができるエアロパーツは各メーカーもっと開発に積極的になってもいい気がします(そうすればもっとセダンが売れるのでは？)。個人的には新型アテンザのリアのライトの形状とリアのパネルを、全て別デザインのものに純正で交換できるとしたら、フロントサス(ストラット)には目をつぶって、新車で購入したいですね。

↓この号の裏表紙にCX-5専用エアロパーツの広告が全面で入ってました。