新・旧レクサスISと新・旧アテンザの4台から「ベストなデザインは?」と訊かれたら、即座に「旧アテンザ」と返答するのだが、「その根拠は?」とさらに訊かれたら・・・。「リアおよびサイドのデザインのレベルが1台だけ異次元」とでも言うと思う。この4台の序列は「旧アテ>新アテ=新IS>旧IS」だ。べつに旧ISのデザインがヒドいというわけではなく、あくまで個人の好みであり、この4台が日本車デザインの最高峰に位置していることに異論はない。じゃあなんで「旧IS」の評価が低いのかというと、それは「旧IS」が「ランエボX』や「アルファ159」と同様の欠点を抱えているからだ。
この3台のリアデザインを比べると、ライトの形状とポジションがとても良く似ている。強いて言えばマツダの「アクセラセダン」もこのデザインに近い。アクセラセダンはフロントこそ凛々しいがリアのライト周りの造形がアテンザセダンと比べて大きく劣るので、購入を見送ったほどでどうしても好きになれなかった。ランエボXのベース車である「ギャランフォルティス・セダン」に関してもフロントマスクは精悍で、基本性能(エンジンや足回り)もとても素晴らしいのだが、「あの」リアデザインのせいで全くと言っていいほど「ほしい」と思わなかった。特に「ラリーアート」仕様は、ゴルフGTIなどの「スポーツCセグモデル」の中でも最高水準の性能を有しているのですが、あの「リア」はないだろう・・・、非常にがっかりしたものです。
「旧レクサスIS」も「アクセラ」や「ギャランフォルティス」と同じでフロントのデザインはとても素晴らしいと思う。弱点は「リアデザイン」と「後ろのシートの居住性の悪さ」(デザインには関係ないが・・・)だ。V6エンジンを積むためにFRの設計になっているISは、FFのDセグセダンと比べるまでもなく、Cセグのアクセラやギャランフォルティスよりも後席の足元に圧迫感があり居住性が良くない(アクセラの車内の作りはアテンザに匹敵すると言っていいくらい広いです)。この2つの欠点がどう考えても「致命傷」になって、中古でいくらお買い得になっていようとも、まったく興味が出なかったです。
新型レクサスISは、この「2大欠点」に対して真摯に取り組み、徹底的に改善されたようです。「車台」がGSと同じものに換わり(後席がかなり広くなった)、フロント・リアのデザインも大胆に変更になり、サイドに至っては「過激」(決して下品ではない)なまでのキャラクターラインが加わり、「スペシャリティ感」十分です。しかも「お値段据え置き」なので、間違いなく「日本の」レクサス史上(まだ7、8年ですが)最高に「お買い得」なクルマになっています(元々がやや高価格という意見もありますが・・・)。
新型ISの「やる気まんまん」の姿勢に比べると、新型アテンザは大前提としてベースグレード(20S)で「220万円→250万円」の10%以上の「値上げ」が行われています(もちろんもともとが「超お買い得価格」なので、他ブランドに比べて「割高感」などはまったくないのですが・・・)。当然ながらデザインを始めとした諸機能はグレードアップしているはずです。特に進化したと強く感じさせてくれるのは「フロントマスク」で、先代モデルと比べて大きく違うのは、「プレミアムモデルへの自覚」といった格調高い意識が感じられることです。ここにはドイツのマジメ一辺倒メーカーの「BMW」「アウディ」への強いリスペクトすら感じます(もう1つのブランドは近年「チャラさ」が目立ちますが・・・)。
ただ個人的な意見としては「格調」を求めて、ドイツメーカーらしさ(あくまで日本メーカーだが・・・)を追求することは、デザインの「良化」こそあれ「進化」ではないと理屈っぽいことを感じてしまう。客観的に見て2000年代の後半の「自動車デザイン」の閉塞感を打破したと言われる2005年登場の3代目アウディA6(和田智デザイン)以降に登場したクルマの中で、このアウディのさらに上(さらなるアバンギャルド)を目指したメーカーが「マツダ」と「プジョー」だったと思う。しかし現在、自動車(特にプレミアムカー)のデザインは「格調高い」フロントマスクを備えた「保守的」なものが主流になっているようだ。「マツダ」や「プジョー」が目指した「猛禽類」はどうやらメジャーになることはなく(もちろん素晴らしいデザインだが・・・)、この「アバンギャルド」志向だった両メーカーも欧州危機の煽りを受けて、売上の安定を目指して「保守・反動化」してきたように思う(保守的になったデザインもまた素晴らしいのだが・・・)。
しかし「プジョー」と「マツダ」が作ったアバンギャルド路線の炎は決して消えることはなく、この両メーカーが先鞭を付けた路線に「わがもの顔」で参入してきたのが、「スーパー保守系プレミアムブランド」のレクサスの最新モデル「IS」だ。プジョー407や先代アテンザで「アバンギャルド」に目覚めてしまったユーザーにとって、その路線を引き継いでいるかのような「新型IS」の「変わり果てた」デザインはとても「魅力的」に映るのだ。このISのデザインこそが、後継車種の「508」や「新型アテンザ」の正しい姿なのでは?と感じてしまう・・・。やはりトヨタの戦略はPSAやマツダなどの二流メーカー(失礼!)とはまったくレベルが違う。クルマ業界の推移をじっくり伺って、黒字化に必死なPSAやマツダを横目に余裕の展開のようだ・・・。(新型ISが407や先代アテンザに近いかどうかは、あくまで私の主観です。悪しからず。)
↓モデルカーの段階では「強烈な生々しさ」を発揮していたのですが、市販車はすっかり上品になっていますね。
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新型ISですが、先週早速乗ってきました。
まず実写のデザインをば、なんてショールームで
張り切ってISに近づいていくにつれ、一気にテンションが
下がりました。
非F、つまり「売れ筋」が展示されていたのですが、スピンドルグリルの
上半分の基調が横ルーバー、下半分がハニカムグリルと
全く統一感にかけ、意図すら不明。
写真では秀逸だったリアに回ればハイブリッドモデルであることを示したいのか
バンパーでマフラーを隠すようになっているのですが、そのバンパーがウレタン丸出し。
こんなものに決して500万は払えません。
同席した相方も同意見でした。感想はもっと単純で辛辣です。「何か変だね」それだけです。
すっかり気落ちしてしまい、カタログももらわずに踵を返そうとしたのですが、
それを察した営業さんが試乗だけでもなさってくださいというので、何となく気が乗らないまま向かうと
新色、ソニックチタニウムのFスポが鎮座(!)ましましておりました。
素直にカッコイイといわざるを得ません。
上で挙げた非Fのネガは全くなく、
横長の菱形が整然かつボリューム感に溢れる形でスピンドルグリル全体が構成され、
リアに至ってはオーバルのマフラーエンドが燦然と輝き、スポーツセダンとしては至極真っ当な、
素直に所有欲をそそられるものとなっていました。
思考停止のまま車内に乗り込むと、シートはダークローズ、
GSでも見たはずですが完全にやられました。カッコイイ。
デザインに好き嫌いはあるでしょうからアレですが、組付け精度やマテリアルの使い方、
各種ボタンやインフォテイメント関係の易アクセス性、おもてなしでもL-finesseでもなんだっていいんですが、
日本が誇る日本の高級ブランド、レクサスの本気を見る思いがしました。
試乗車は250で動力性能的には過不足なし、といったところで及第点は勿論超えますし、
十分考慮に値します。
350はGSで体験済みですが、来月くらいには用意できるとのことでしたのでまたレビューします。
でもFスポで115万の差なら、250選んじゃうかもですね。
あ、Pが足踏み式なのは興醒めでした(笑)
カーテシライトがLEDじゃないとか。
素晴らしい試乗レビューをありがとうございます(これIS検討中の人にとっては、プロの記事なんかよりも断然に参考になると思いますよ)。
確かに写真をよ〜く見ると「非F」のグリルはツートーンになってますね。これは「何か変だね」ですね・・・。まあ「Fスポを売りたい」ということでしょうけど。
300hのリアは今まで気づかなかったですけど、マフラーに蓋がしてありますね。ちょっと写真ではどれだけイケてないのか解らないのですが、GS450hもよく見ると蓋してありますね。
「ダークローズ」って凄そうですね。レクサスのサイトでじっくり見たのですがGSには無い、新しい色のようですがISの外装からするとごくごく自然な感じがしていいですね(他の色は高齢者向けかも)。
トヨタって今や全部足踏み式らしいですね。アイシンのATで「世界征服」する陰謀なんですかね(その性でBMWからの乗り換えが少し減るリスクが・・・)。SLKのMTも「足踏みPB」らしいです。どうやって坂道発進するんだろか?
3、4年後を目処にアテンザのスペアカーを買うつもりなのですが、今のところは来年登場の「スカクー」か今年末の「レジェンド」にしようと思っています。「IS」か「RC」も気になっていて、アテとの差別化で3.7Lクラスのクルマが欲しいので「350」かなと考えています(かなり背伸び感があるので、仕事を頑張らねばいけませんが・・・)。
また350のレビューも期待しています!
のっちさん、こんばんは!
PBもLEDも些細なネガなんですけどね^^
あまりにも出来がよく見えて少しケチつけてみたくなっただけです。
ダークローズはソニックチタニウム同様、ISで初お披露目みたいですね。
そういえばGSはもう少し茶寄りのガーネットでした。
ダークローズは表現は悪いかもですが「血」のような
濃い赤で深みのあるいい色でしたよ。
アテのスペアカー計画進行中なんですね!
Q50、カッコイイですもんね。
インテリアは水平基調のレクサスに対して
垂直のラインを強調したセンターコンソールなんて
肉感的かつ動的でドアトリムのレザー処理なんて
かなり好印象です。
デザインも性能の1つですね!
次期レジェンドはどうでしょうね。
背伸び感は絶対ありますね!
性能は申し分ないですが、ホンダはもう高級車作るのどうかな?なんて思ったりもします。
内外装のデザインに(今のところ)見るべき点がありませんし。
3.7のV6でしたっけ?スポーツハイブリッドSH‐AWDには興味あります!
インフィニティのコンセプトで「エセレア」ってありましたよね。
アレ、市販車に落とし込んでくれないですかね〜。
そしたら潔くDS5のオルタナティブで候補入れ替えです(笑)
それにしても、NA積んでる(いい)車って少ないですね…。
もう次はターボに乗るしかないのか…。
時間が有れば「今なら買えるNAの名車!」
とかブログアップ期待してます(笑)
「エセレア」は完全にノーマークで???だったのでググりました。確かにDS5をさらに進化させたようなクルマですね(発売は2年後だとか)。画像を見てピニンファリーナのEVコンセプトの「カンビアーノ」に似てるなと思いました。オールクリアルーフだと内装はベージュか白が基本みたいですね。ジウジアーロ「ブリヴィド」っていうのもあります。イタリアのデザイナーズに対抗するなんてインフィニティはやはりフランス資本だなって感じですね。
先代のレジェンドは2004年のデザインとしては素晴らしいと思いますよ!レクサスの初代モデルと比べても数段レベルが上な気がします。それでもライバル車のE61乗りの心が掴めていないレジェンドのブランド力には大いに問題ありだとは思いますが・・・。
そもそもBMユーザーにとっての「ホンダ」って、マツダユーザー(私)にとっての「スバル」みたいなものですよね。実力は認めるけど、いろいろ欠点が目についちゃうって感じですかね。
NA車企画をぜひやってみたいと思います。日本車とアメ車のオンパレードになりそうです。欧州はBMWとアウディがほぼ絶滅状態なのが痛いですね・・・。結論としては、ポルシェ or ホンダになりそうです。