日本でスカイアクティブDを発売した2012年の段階では、北米マツダ(マツダUSA)主導によるディーゼルによるレース用エンジンを開発&実用化し、デイトナ24時間耐久に3年連続で出場しました。ディーゼルのフィールを極限まで改善していけば、日本で市販されているプレミアムブランドのガソリンエンジンくらいなら軽く蹴散らすことができる!!!という目論見すらあったようです。
しかし北米でのディーゼル発売を保留したままで3年が経過し、デイトナ24時間のレギュレーションが2017年から変わりディーゼル禁止となる影響もあるのかもしれませんが、2016年参戦モデルからガソリンターボに変わりました。今度は2L直4ターボで570psという市販モデルからすれば異次元の領域のレース用エンジンですが、これもれっきとしたマツダ製で、ターボチャージャーは、スカイアクティブDのタービンを担当する米国ギャレット製です。
余談ですが、スーパーGT(GT500)に参戦するトヨタ・日産・ホンダの2Lターボは3社共同開発で『NRE』と呼ばれる基幹エンジンを作成し、3陣営がそれぞれカスタムして使っています。3社ともにレースに転用できるエンジンなんて無いからコストを3分割して作ろうということになったようです。ホンダならVテック搭載K20といった傑物はあるわけですが・・・。同じ2L直4ターボでマツダとどっちの出力が上か?は全く不毛な議論で、GT500には燃料リフレクターが付いていて流量制限があります。マツダが自前のエンジン(デイトナ仕様)でRX-9発売と同時にスーパーGTに参戦したら盛り上がりそうですけどね。マツダはロードスターを使ってGT300クラスでスバルBRZ-GTと争ってろ!とか言われそうですが・・・。
マツダとしては450psのディーゼルターボ、570psのガソリンターボを実用化していながらも(もちろんそのまま市販化できないですが)、まだまだ伝家の宝刀ロータリーこそがマーケティングに一番インパクトがあると考えているようです。300ps(70kg・m)前後の2.2Lディーゼルツインターボ。300~400ps(60kg・m)前後の2.5Lガソリンターボ。それに対してロータリーだと・・・2ローターで300ps、3ローターで450psくらいは出るのかな。
マツダがそれだけのエンジンを作って、主戦場となる北米でどのライバルを潰すのか?という話です。狙うはRX-7の宿命のライバル・ポルシェなんでしょうけど、因縁の944などFRのポルシェスポーツカーはすでに絶滅しました。944の後継となっているのが718ボクスター/ケイマンですが、トヨタ86陣営から発売時にライバルだと名指しされるほどで、わざわざマツダがRX9を仕立てて全力で挑むほどの格ではないです。マツダの某出たがり役員もある本の中で「ロードスターの亜流(=ゴミ)」だと蔑んでいましたから・・・。
やはり今のマツダが全力を傾けて挑めるほどの権威を持つスポーツティなクルマとなると、「911」だけなのかもしれません。「GT-R」「V8ヴァンテージ」「Fタイプ」「エヴォーラ400」「NSX」・・・次々と北米での覇権を賭けて優秀な挑戦車を生み出し続ける金字塔ですねー。ここに挑むならば直4ターボではさすがに分が悪いので、やはり3ローターですかね・・・。
しかし今やポルシェの人気を支えているのは、スポーツカーではなくSUVだとされています。ポルシェが「アーバンライフ&エクスクルージブ・スポーティ」をイメージして創作したマカン・ターボ。マツダのマーケティング的には、ここを撃破することも視野に入っているはずです。すでに北米マツダの最量販車種になっているCX5ですが、この1年でアコードがCR-Vに抜かれ、アルティマ(ティアナ)がローグ(エクストレイル)に抜かれ、カムリもRAV4とほぼ同水準に追いつめられ、ミドルSUVの優勢が鮮明になってきました。
北米市場といえば4ランナー(ハイラックスサーフ)のような大型SUVのイメージですが、トヨタの場合4ランナー、ハイランダー、セコイア、ランクルの大型4車を合計してもRAV4の台数に届かなくなりました。やたらと操縦安定性が高い日本メーカーのミドルSUVがアメリカで大ウケしています。CX5もその点で非常に定評が高いのですが、ホンダ、日産、スバルのSUVも、実際に乗ってみると、なるほどの手応えは爽快。その部分での進化は怠ってないようで、マツダの引き離して北米市場を快走しています。ブランド全体で月10万台を軽く越えるホンダと日産に、5万台越えのスバルに対して、マツダは3万台前後でメルセデス、BMW、VWといったドイツの三流メーカーと争う惨めなポジションです。
このまま頑張っても『三流』からは抜け出せそうにないので、いっそ三流らしいディーゼル戦略に撃って出れはいいと思いますね・・・。メルセデスのようにCX5のスペシャルモデルにSCR(尿素処理)を搭載して排ガスを徹底的に浄化すれば問題ないはずです。ディーゼルツインターボ300ps(80kg・m)の「悪魔の加速」は、マッスルSUVとして新しいブームを作りそうな予感です。
マツダの経営戦略をよりアグレッシブにするためには、RX9とCX5のMSバージョンだと思うのですが、マツダの既存ファンが望んでいるのは、戦闘力を上げたMS版のアクセラとアテンザでしょうね。先日見に行った「オートモービルカウンシル2016」では、MSアテンザの方向性を示唆する1台が展示されていましたよー。
旧世代アテンザのシャシーに直4ターボ&スーパーチャージャーで367psの高出力を実現したユニットを搭載して、それだけのハイパワーですから当然にAWD化されています。足回りも専用にチューンされていてるようです。0-100km/hも4.7秒で、WRXSTIやランエボXどころかV8ツインターボを搭載したBMW ・MやAMGの最速モデルとほぼ互角!!!しかもなんとすでに市販化が決まっているとかで、今月から台数限定で839万円で発売されています。
やるじゃんマツダ!!!・・・ではなくてボルボです。最近のボルボはマツダの行く先を照らすような素早い動きが目立ちます。北米販売も単月ながら昨年比160%と絶好調なようで、しかも売れてるクルマが以前よりハンパなくデカくなって価格もアップしたXC90やS90/V90ですよ!!短期間の内にレクサスを越える(?)次元のラグジュアリーカーと、BMW・MやAMGを上回るツーリングカーを同時に作ってくるなんて(WTCC参戦してます)!! SUVやFRスポーツばかりににしがみ付いていて、身動き取れなくなっているどっかの三流メーカーよ!さっさと目を覚ませー!!
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